開業の基礎知識

フリーランスの領収書の書き方|記載項目や受領の注意点も解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

フリーランスの領収書の書き方|記載項目や受領の注意点も解説

日々の取引で領収書を正しく管理することは、税務処理や経費精算において非常に重要です。フリーランスは領収書を発行する立場でもあるため、受領時だけでなく作成時に注意すべき点の理解が求められます。

また、税務署からの指摘を避けるための領収書保存方法や、電子領収書に関する最新ルールなども把握しておくことが求められます。そこで本記事では、領収書を発行・受領する際の取り扱いについて解説します。

目次

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フリーランスは領収書の保管が必須

経費とは、事業を運営する上で発生した費用です。

たとえば、ライターが記事を書くために購入した参考図書や有料のWeb記事、取引先との打ち合わせのために発生した交通費などを指します。

確定申告の際は、年間の総収入を計算し、そこから必要経費と控除を差し引き、所得を計算します。その所得に応じて納税金額が決定するため、経費を把握していなければ確定申告ができません。

「フリーランスになったら、とりあえず領収書は必ずもらうこと」と言われる所以です。

フリーランスの領収書作成時に必要なもの

フリーランスが領収書を発行する際には、収入印紙や印章も必要に応じて準備し、適切な作成が求められます。フリーランスが領収書を作成する際に必要なものは以下の通りです。

領収書の作成に必要なもの

  • 領収書の用紙またはテンプレート
  • 収入印紙(必要な場合)
  • 印章(必要に応じて)
  • 印刷環境または会計ソフト(電子発行の場合)

領収書の用紙またはテンプレート

フリーランスが手書きで領収書を発行する場合、控えが付いた市販の領収書用紙を用意する必要があります。この用紙を使用すれば、相手方と自分の記録の両方残すことが可能です。

一方、パソコンや会計ソフトを使って電子的に発行する場合は、領収書テンプレートの利用が効率的です。テンプレートを使用すれば必要な項目を網羅でき、ミスを防ぎやすくなります。

さらに、印刷環境を整えておくことで、迅速な発行が可能です。

収入印紙

領収書の発行時に、取引金額が5万円を超える場合には、収入印紙を貼付して消印を行う必要があります。

収入印紙は、印紙税法に基づき、一定額以上の取引に対して課税されるため、該当する場合には事前に印紙を用意しなければいけません。

ただし、電子領収書を発行する場合は、印紙税の対象外となるため収入印紙は不要です。

印章

領収書に押す印章(印鑑)は、発行者が正式に発行したことを証明でき、取引の信頼性を高める効果が期待されます。

フリーランスや個人事業主の場合、自分の名前が彫られた認印を使用するのが一般的です。屋号を使用して事業を行っている場合には、屋号が彫られた印鑑を使いましょう。

フリーランス発行の領収書に印鑑は必要?

フリーランスが発行する領収書には、必ずしも印鑑が必要というわけではありません。法律上、押印のない領収書でも正式な書類として認められます。

しかし、クライアントによっては押印を求めてくる場合があります。発行先の要求に応じて適切に対応できるように、印鑑を準備しておくことが望ましいです。

なお、領収書に印鑑を使うならば名前か屋号のいずれかに統一しましょう。

フリーランスの領収書の記載項目

フリーランスが領収書を発行する際には、以下の項目を記載するのが一般的です。

  • 宛名
  • 日付
  • 領収金額
  • 但し書き
  • 発行者情報
  • 収入印紙

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領収書の書き方を見本付きで解説!必須項目やルールなどのポイントは?

①宛名

宛名は、領収書の中央または上部に記載します。受領した金額の相手方の名前や会社名を記入し、「御中」や「様」を付け加えます。

宛名が不明の場合、「上様」と記載しても問題ありませんが、可能な限り具体的な記載が必要です。

②日付

領収書の日付は、領収書の右上または左上に日付欄を設け、実際にお金を受け取った日を西暦または和暦で年月日を記入します。

正確な取引日の記載が求められるため、年号などの間違いには特に注意が必要です。

③領収金額

領収金額は、領収書の本文中央に大きく記載します。金額は、円単位で明確に書き、金額の先頭に「¥(円マーク)」や「金」を、後に「‐(ハイフン)」「(米印)」「也(なり)」などを付けます。

数字の間違いを防ぐために、金額の前後にはスペースを空けないように記載し、3桁ごとに「,(コンマ)」を付けるのが一般的です。

¥10,000-
¥10,000
金10,000円也

④但し書き

但し書きは領収書の金額の下に記載し、取引内容を具体的に説明します。

経費としての正当性を示すために、「商品代として」「サービス代金として」などの曖昧な表記は避け、「〇〇代として」と詳細に記載します。

但し書きの例

  • 消耗品費として
  • 通信費として
  • 広告宣伝費として
  • セミナー参加代として
  • 椅子4脚分の代金として

⑤発行者情報

発行者情報は、領収書の最後に記載し、発行者の氏名または会社名、住所、電話番号を記載します。場合によっては、印章(印鑑)を発行者情報の上に押印することもあります。

インボイス登録をしているならば、登録番号を発行者情報とともに記載します。

⑥収入印紙

領収金額が5万円以上の場合、収入印紙を貼ることが義務付けられています。ただし、本体価格が5万円未満であって、消費税額が明確な場合は収入印紙を貼らなくても良いこととされています。

フリーランスが領収書をもらう際の注意点

領収書を受領する際、領収書の宛名は自分の名前にしてもらうべきなのか、屋号にしてもらうべきなのかも知っておきたいポイントです。

また、領収書は一定の保管期間が義務付けられています。保管する際はなくさないよう、適切に保管する必要があります。

以下では領収書の宛名や保管方法について解説します。

領収書の宛名は氏名や屋号を記載する

フリーランスが領収書を受領する場合、取引の正確性を保つためにも、宛名は自分の名前や屋号で記載してもらいましょう。

屋号を持っている場合は、領収書の宛名に屋号を記載してもらうと、後に領収書を確認した際に業務用の取引であることが明確になり、経費処理がしやすいです。屋号がない場合は、自分の名前を宛名として書いてもらいます。

「上様」と記載してもらっても法的には問題ありませんが、後々の確認が困難になる可能性があるため、できるだけ具体的な宛名を使用しましょう。

領収書の保管方法と期限を守る

領収書は、税務調査を受ける際に経費の証拠として提出できるよう、適切に保管する必要があります。

領収書を保管する際は、月別や経費項目別(交通費、通信費など)に分けて整理すると良いです。整理することで、後から必要な書類をすぐに見つけやすくなるでしょう。

また、スキャンデータはクラウドサービスを活用し、バックアップを取ることで紛失リスクを回避できます。

なお、保存期限は原則として5年間、青色申告を行っている場合は7年間が義務付けられています。

2023年10月から適用されたインボイスを領収書として利用する場合は、7年間の保存が必要です。


出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

フリーランスの収益と経費を管理する方法

ここまでフリーランスの経費について説明してきました。日々の収益と経費を管理するためには、アナログ管理、エクセル管理、会計ソフトでの管理など様々な方法があります。

税理士にお願いするひとつの方法ですが、一度、自分で確定申告をしてみることをおすすめします。

自分で作業することで、実際に手を動かすことで自分が何にお金を使い、何からどれくらいの収益があるのか肌感覚で理解できるでしょう。

経費は節税への第一歩

冒頭でご説明しましたが、納税金額は課税所得に税率をかけて決定します。そのため、経費を差し引くことで課税所得の金額が小さくなり、納税金額も少なくなります。経費をきちんと計上することは節税への第一歩です。

節税効果を最大限にしたいのであれば、青色申告がおすすめです。

まとめ

フリーランスにとって経費の適切な管理は、確定申告時の節税に直結する重要な要素です。経費とは事業運営に必要な支出を指し、事業の経費と認められる項目を把握しておきましょう。

また、フリーランスは領収書の受領だけでなく発行にも関わるため、日付、宛名、金額、但し書きなどの記載項目に注意が必要です。

領収書は電子データとしての保存が義務付けられているため、税務調査に備えて経費の正当性を証明するために適切に保管しましょう。

freee開業なら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成

個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。

そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。

freee開業で作成可能な5つの届出

1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。

2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。

3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。

5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。

freee開業の使い方を徹底解説

freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。

しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。

また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業freee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

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1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。

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溜め込んだ経費も自動入力でカンタン!

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さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

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e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

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完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

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よくある質問

フリーランスの領収書発行に必要なものと記載項目は?

フリーランスの領収書発行に必要なものは、領収書用紙またはテンプレート、収入印紙(5万円超の場合)、印章です。

記載項目は、日付、宛名、領収金額、但し書き、発行者情報が含まれます。

領収書の発行に必要なものと記載項目を詳しく知りたい方は「フリーランスの領収書の記載項目」をご覧ください。

領収書の宛名はどうすればいい?

領収書の宛名は、屋号があれば屋号を記載し、ない場合は自分の名前を書きます。「上様」でも法的には問題ありませんが、後々の確認を考慮し、具体的な宛名が望ましいです。

領収書の宛名を詳しく知りたい方は「フリーランスが領収書をもらう際の注意点」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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