開業の基礎知識

【記入例あり】事業開始等申告書とは? 書き方や開業後に提出する届出も解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

【記入例あり】事業開始等申告書とは? 書き方や開業後に提出する届出も解説

事業開始等申告書は、個人事業を開業した際に提出する書類のひとつです。各都道府県税事務所に事業の開始を知らせる役割があります。

提出しなくても罰則はなく、納税にも支障はありませんが、税務調査や行政手続きに影響する場合があるためなるべく提出するのがいいでしょう。

本記事では、各都道府県税事務所に提出する「事業開始等申告書」の概要や開業届との違い、申告書の書き方を解説します。開業時に必要なその他の提出書類も紹介するので参考にしてください。

目次

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事業開始等申告書とは

事業開始等申告書とは、都道府県税事務所に個人事業の開業を申告する書類です。各都道府県によって提出先や提出期限に違いがあり、提出しなくても特に罰則はありません。

たとえば、東京都は事業開始の日から15日以内、神奈川県は1ヶ月以内が提出期限とされています。詳しくは、「事業開始等申告書+都道府県名」で検索して提出先や期限、申告書の入手方法などを調べましょう。

開業したことを申請する届出には「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」もありますが、事業開始等申告書と開業届は目的や提出先が異なります。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」
出典:神奈川県「県税Q&A 個人事業税」
出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

事業開始等申告書と開業届の違い

事業開始等申告書と開業届の主な違いは、以下の通りです。


項目事業開始等申告書開業届
目的地方税(個人事業税など)のための届出国税(所得税・消費税など)のための届出
提出先都道府県税事務所税務署
提出期限開業日から1ヶ月以内が目安
(都道府県によって異なる)
開業日から1ヶ月以内

個人で事業を始めると、得た所得に応じて所得税が発生します。また、一定の条件を満たすと課税事業者として消費税を納めなければなりません。開業届は、所得税や消費税などの国税にかかる手続きであるため、納税地を所轄する税務署に提出します。

一方、事業開始等申告書は個人事業税などの地方税にかかる届出であるため、提出先は地方税を管轄する都道府県税事務所です。

なお、個人事業税とは個人事業主が都道府県に納める税金のことで、地方税法で定められた業種(法定業種)の事業を行っている人に納税義務があります。

【関連記事】
開業届とは? 個人事業主が知っておくべき基礎知識や提出するメリット・注意点について解説 出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
出典:国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」

事業開始等申告書の記入例・書き方(東京都)

事業開始等申告書に記載するのは、主に「事業に関する情報(事業所の所在地・事業の種類・事業開始日など)」と「申告者ご自身の情報」です。

ただし、事業開始等申告書の書式は都道府県によって異なります。ここでは、東京都の事業開始等申告書を例に記入例と書き方をご紹介します。

なお、事業開始等申告書の書式は都道府県のホームページでダウンロードしましょう。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

事業所の住所・電話番号

事業の基本情報を記入します。「事務所(事業所)」の「所在地」の欄に、住所と電話番号を記入しましょう。

また、自宅と事務所の住所が異なる人で、事務所を所得税の納税地とする場合は、「所在地」を○で囲みます。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

名称・屋号

「事務所(事業所)」の「名称・屋号」の欄に、事業の屋号を記入します。屋号がなければ、空欄で問題ありません。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

事業の種類

「事務所(事業所)」の「事業の種類」の欄に、事業内容を記入します。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

事業主の住所・氏名

「事業主」の欄に、事業主の住所・氏名を記入します。住所が事業所の住所と同じ場合は、「同上」と記入します。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

事由等

開業日

「開始・廃止・変更等の年月日」の欄には、事業の開業日を記入します。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

提出日

事業主名

提出日の下の氏名欄に、事業主の名前を記入します。押印は認印で構いません。

出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」

事業開始等申告書の提出先と提出期限

事業開始等申告書の提出先は、個人事業税などの地方税を管理する「都道府県税事務所」です。また、一部の地域では市区町村役場にも事業開始等申告書の提出が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。

提出期限は都道府県によって異なります。主な都道府県の提出期限を以下にまとめたので参考にしてみてください。


都道府県提出期限
北海道事業開始日から1ヶ月以内
東京都事業開始日から15日以内
神奈川県事業開始日から1ヶ月以内
千葉県事業開始日から1ヶ月以内
愛知県事業開始日から1ヶ月以内
大阪府事業開始日から2ヶ月以内
広島県事業開始日から5日以内
福岡県事業開始の翌月10日まで

開業届は「開業日から1ヶ月以内」に提出しますが、事業開始等申告書はそれよりも提出期限が早い場合があるため、余裕をもって手続きしましょう。

出典:千歳市「事業の開廃業等の届出と営業証明について」
出典:東京都主税局「事業を始めたとき・廃止したとき」
出典:神奈川県「県税Q&A 個人事業税」
出典:千葉県「個人の事業税」
出典:愛知県「開業(廃業)事務所等設置(移転・廃止)報告書」
出典:大阪府「個人の事業開始等の申告[開業、変更、廃止]」
出典:広島県「個人事業税に関する手続」
出典:福岡県「個人の事業税」

事業開始等申告書を出していないとどうなる?

事業開始等申告書を提出しなくても、ペナルティはありません。ただし、事業開始等申告書は個人事業税の徴収に関わる届出であるため、提出しなければ以下のような影響が生じる可能性があります。

事業開始等申告書を提出しないことで生じ得る影響

  • 後日、税務調査や問い合わせの対象となることがある
  • 地方自治体からの通知や行政手続きが遅れる場合がある

提出期限を過ぎてから気づいた人は、都道府県税事務所に事情を説明したうえで提出しましょう。

なお、事業開始等申告書を提出したかどうかにかかわらず、確定申告を行うとその情報が都道府県に共有され、納税義務者に個人事業税の納税通知書が送付されます。そのため、事業開始等申告書を提出していないからといって納税に支障をきたす心配は基本的にありません。

出典:東京都主税局「個人事業税」

開業時に提出必須の届出とは

個人事業を開業する際は、事業開始等申告書のほかにも税金に関するさまざまな手続きが必要です。


届出概要提出先提出期限
事業開始等申告書事業開始を届け出る手続き都道府県税事務所都道府県によって異なる
個人事業の開業・廃業等届出書 (開業届)事業開始を届け出る手続き税務署開業日から1ヶ月以内
所得税の青色申告承認申請書青色申告の承認を受ける手続き税務署青色申告をしようとする年の3月15日
※事業開始日がその年の1月16日以後の場合は、事業開始日から2ヶ月以内
青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入するための手続き税務署青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日
※その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2ヶ月以内
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書給与の支払いを行う事務所を開設・移転・廃止した際の手続き税務署開設・移転・廃止日から1ヶ月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書源泉所得税の納期に関して年2回にまとめて納付する特例の適用を受ける際の手続き税務署随時
※原則、提出した日の翌月に支払う給与から適用される

個人事業を開業したら、税務署に「開業届」を提出します。

また、青色申告で確定申告を行う人は、開業届とあわせて「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

青色申告をしようとする年の3月15日まで(事業開始日がその年の1月16日以後の場合は、事業開始日から2ヶ月以内)に提出する必要があるため、忘れずに手続きしましょう。

【関連記事】
開業届のダウンロードから提出まで簡単に終わらせる方法!
開業届とは? 個人事業主が知っておくべき基礎知識や提出するメリット・注意点について解説
青色申告承認申請書とは?書き方やいつまでに提出すべきか詳しく解説します

このように、開業時には多くの届出を行う必要があり、届出の意味・提出方法・書き方をひとつひとつ調べて作成すると手間や時間がかかります。これらの届出を無料で簡単に作成するために「開業freee」を活用しましょう。

出典:国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
出典:国税庁「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」

まとめ

事業開始等申告書とは、個人事業の開業を届け出る書類です。地方税にかかる届出であるため、都道府県税事務所に提出します。

事業開始等申告書の書式や提出期限は、都道府県によって異なります。詳しくは、各都道府県のホームページなどをご確認ください。

提出しなくても罰則はありませんが、個人事業税の適切な課税に関わる手続きであるため、事業を始めたら忘れずに提出しましょう。

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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。

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freee開業で作成可能な5つの届出

1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。

2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。

3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。

5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。

freee開業の使い方を徹底解説

freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。

しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。

また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業freee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

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freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
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さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

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3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

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余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

事業開始等申告書と開業届の違いは?

事業開始等申告書と開業届はどちらも個人で事業を始めた際に提出する届出ですが、事業開始等申告書は「地方税」、開業届は「国税」に関する手続きであり、提出先が異なります。

事業開始等申告書と開業届の違いを詳しく知りたい方は、「事業開始等申告書とは」をご覧ください。

事業開始等申告書を出し忘れたら?

事業開始等申告書を提出しなくても、罰則はありません。しかし、個人事業税を適切に納税するために、事業を始めたら忘れずに提出しましょう。

事業開始等申告書を出し忘れた際の影響を詳しく知りたい方は、「事業開始等申告書の提出先と提出期限」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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