開業届は個人事業を始める際に税務署に提出する届出です。事業を開始したこと、納税する意思があることを示すためのもので、独立開業の第一歩といってもいいかもしれません。
開業届は提出しなくても罰則などはありませんが、特別な理由がない限り出しておいたほうがいいでしょう。
一方で、ある条件を満たす人が開業届を出すと損をしてしまうケースもあります。本記事では、開業届を出すデメリットや出したほうが良いケースについて詳しく解説していきます。
目次
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開業届を出すデメリット
開業届の提出には、「扶養から外れてしまう可能性があること」などのデメリットもあります。以下のケースに当てはまる場合は、注意しましょう。
配偶者の扶養に入っている場合
配偶者の扶養に入っている場合は、開業届の提出には注意が必要です。扶養には「所得税法上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2種類があり、開業届に関わりがあるのは後者です。
配偶者の扶養に入っている場合、健康保険料を支払う必要はありませんが、会社の健康保険組合によっては個人事業主になるとどんなに収入が少なくても扶養に入れないルールを設けているところもあります。
一般的に、配偶者の「健康保険上の扶養」から外れる目安は年間所得130万円ですが、企業によってルールが異なりますので確認しましょう。
社会保険の扶養からはずれてしまうと、国民健康保険料と国民年金保険料を自分で支払う必要があります。
「配偶者控除」(38万円。70歳以上は48万円)を受けられるかどうかです。所得が一定額を超えると、扶養から外れてしまいます。
参考記事:
『サラリーマンの妻が青色申告しても、扶養家族でいられるか?』
会社に秘密で副業をしている場合
会社に秘密で副業をしている場合、開業届を出すことで会社に副業がバレるのではと心配に思う人もいるかもしれません。しかし、開業届を出しただけでは副業しているかどうかはわかりません。ポイントは確定申告です。確定申告をすると副業がバレる場合があります。これは、納める住民税が増えるためです。
年間所得が20万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。確定申告をすれば住民税についても申告されます。
最近では、副業に前向きな会社も増えているため、黙っていて後にトラブルに発展するよりも、開業届を出す前に副業について上司や人事に確認しておくほうが良いかもしれません。
おすすめ記事
『副業がバレるのはどんなとき?バレたらどんなリスクがあるの?』
開業届を出したほうが良い人、出さなくてもいい人
開業届の提出は必須ではありませんが、特に以下の場合は提出したほうが良いでしょう。
開業届を出したほうが良い人
- 青色申告で確定申告したい
- 開業届を就労証明として利用したい
- 屋号付きの銀行口座を持ちたい
- 創業融資や銀行からの融資を検討している
- 小規模企業共済に加入したい
逆に、開業届を出さなくて良いケースもあります。例えば、「副業でお小遣い稼ぎ程度で仕事をしている」場合です。年間所得が20万円を超えたら確定申告の必要が出てくるため、このタイミングで開業届を出すといいでしょう。
医療費控除や生命保険料控除等の控除を申告する場合も、確定申告を行うだけでOKです。開業届を出す必要はありません。
おすすめ記事
『副業の収入が増えたら個人事業主になろう!副業と個人事業主について』
開業届を出すメリット
開業届を出すことで得られるメリットも多くあります。
青色申告で確定申告ができる
開業届と青色申告承認申請書を出さなければ、青色申告で確定申告はできません。青色申告には様々な税制優遇措置があり、節税したい場合はぜひ検討したいところです。白色申告で確定申告した場合には得られない、様々なメリットがあります。
青色申告のメリット
- 最大65万円の特別控除を受けられる
- 赤字を繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる(青色申告専従者給与)
- 貸倒引当金を経費にできる
- 30万円未満の資産を取得した場合、一度に経費に計上できる
詳しくはこちら
『青色申告のメリットとは?』
小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済は、退職時や廃業時に給付金が支給される制度です。個人事業主は、会社員と違って退職金がありません。「個人事業主であれば小規模企業共済に入らない理由がない」という意見もあるほどで、多くの個人事業主が加入しています。
開業届を出さなければ個人事業主として認められず、加入ができないため注意が必要です。
屋号付きの事業用銀行口座が作れる
個人事業主は事業用の銀行口座を作る際に、口座名に屋号がつけられます。銀行によっては、口座開設の際に開業届の控えが必要な場合がありますので、屋号付きの銀行口座を持ちたい場合は開業届を出しておいたほうがいいでしょう。
個人事業主であることの証明になる
開業届は事業主であることの証明です。このため開業届を就労証明として使えます。保育園や学童に申し込む際、就労証明が必要な際に開業届の控えを提出しましょう。また、事務所の契約や融資の申し込みの際に開業届を出し、審査の材料の一つにすることもあります。
個人事業主としての自覚が生まれる
これは人によるかもしれませんが、届出を出すことが一つの区切りになって「自分は個人事業主として仕事をするんだ」と自覚のようなものが生まれます。届出一つで何も変わらないと思うかもしれませんが、「開業届を提出したことで、襟を正すような気持ちになった」という意見もあります。
開業届の入手方法と書き方、提出方法
開業届は国税庁のWebサイト([手続名]所得税の青色申告承認申請手続)からダウンロードできます。最寄りの税務署で直接受け取りたい場合は、国税庁のWebサイトの「国税局・税務署を調べる」を活用しましょう。
開業届は、控えのために1部余分に記入することをおすすめします。郵送して提出する場合は、返信用封筒を入れておくと後日控えが返送されます。
開業届の書き方については、『開業届の書き方。正確・簡単に記入するための初心者ガイド』に詳しく記載されていますので、そちらをご参照ください。
手書きではなく、無料の作成ツールを使いたい場合は、開業freeeがおすすめです。開業届の作成から提出まで、簡単に完了します。
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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。
freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。