開業届は、個人事業主として事業所得や不動産所得を得る場合、税務署への提出が必要な申告書です。
所得税法では、事業を開始してから1ヶ月以内に開業届を提出する必要があると定められています。開業届を提出しなくてもペナルティは発生しませんが、屋号を決められなかったり、確定申告で青色申告ができなかったりするなどデメリットに気をつけなければなりません。
本記事では、開業届の提出期限や青色申告承認申請書の提出、開業日の決め方などについて詳しく解説します。
目次
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開業届とは
開業届とは、個人事業の開業にあたり税務署への提出が必要な書類のことで、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業届を出さなくても違法にはなりませんが、新たに事業所得や不動産所得を得る際は、原則として開業届の提出が必須です。
個人事業主になると、1月1日から12月31日の所得を計算して確定申告を行い、所得税を納めなければなりません。開業届は、確定申告で青色申告をする際にも必要で、青色申告承認申請書とあわせて提出する必要があります。
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青色申告承認申請書とは?書き方と提出期限について解説
開業届の提出期限
開業届は、所得税法第229条により、事業を開始した日から1ヶ月以内に提出しなければならないと定められています。これは、事業所得・山林所得・不動産所得が生じるいずれの事業を開始した場合であっても同様です。
ただし、期限を過ぎてしまってもペナルティはなく、税務署から提出を催促されることもありません。
出典:e-Gov法令検索「所得税法」
開業届を青色申告承認申請書とあわせて提出する場合
開業した初年度の確定申告から青色申告したい場合には、開業届と青色申告承認申請書を同時に提出する必要があります。青色申告承認申請書には提出期限があり、開業時期によって以下のように変わる仕組みです。
上記の期限を過ぎてしまうと、その年度の確定申告では青色申告ができません。この場合は白色申告しかできなくなり、青色申告によるメリットは受けられないため、提出期限には十分注意しましょう。
開業前に開業届を出すことはできない
開業届は、開業前に提出することはできません。開業届は事業を開始した旨を申告するための書類であるため、開業日が提出日よりも後にならないよう注意してください。
開業届を開業前に出したからといってペナルティを受けることはありませんが、業種によっては許認可や士業の登録が必要なケースがあり、それ以前の開業はできない場合があります。
開業届の提出期限を過ぎてもペナルティはない
先述したように、開業届の提出期限を過ぎてもペナルティや税務署からの催促を受けることはありません。原則としては開業から1ヶ月以内の提出が必要ですが、1ヶ月を超えて開業届を提出したとしても、受け入れてもらえます。
ただし、ペナルティがないからといって開業届を提出しないことはおすすめできません。開業届を提出しなければ青色申告はできないことや、屋号入りの銀行口座の開設ができないというデメリットがあるからです。
開業届の提出には費用がかからないため、提出期限を過ぎていたとしても早めに作成して提出しましょう。
開業日の決め方とポイント
開業日は、開業届への記載が必須である項目です。個人事業主の開業日は事業を開始した日になりますが、厳密にその日にしなければいけないというルールはなく、自由に設定できます。
ただし、実際に事業で売上が発生してから4年後を開業日に設定するような場合は、不自然であると見なされて認められない恐れがあります。開業日を決める際は、ある程度常識の範囲内で設定することが重要です。
また、開業日は経理処理に影響することも覚えておきましょう。開業日より後に発生した広告費や設備費などは必要経費として計上できますが、開業日より前に発生した費用は開業費として計上します。
開業費は経費ではなく繰越資産として任意償却する項目であり、5年かけて償却することが原則です。このように、開業日によって発生した費用の計上方法が異なるため、経費と資産のどちらとして計上したいのか事前に決めておきましょう。
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開業費は繰延資産として任意償却する! 仕訳や勘定科目の処理方法解説
開業届に記載した開業日の変更方法
開業届に記載した開業日は、再提出することで後から変更できます。また、開業から1ヶ月以内の期限内であれば、一度提出した開業届を取り下げることも可能です。
開業届は何度でも提出できますが、特に重大な理由なく取り下げ・再提出することはおすすめできません。税務署から何か怪しい理由があるのではないかと、申告に対して目をつけられてしまう恐れがあります。
また、初年度から青色申告をしたい場合、承認申告書の提出は開業日から2ヶ月以内にしなければいけません。
しかし、提出を忘れていることが理由で開業日の変更をする場合、税務署が認めてくれない可能性もあります。そのため、基本的には開業日の変更はせず、青色申告が間に合わなかった年度は白色申告で調整しましょう。
まとめ
開業届は、開業してから1ヶ月以内の提出が必要であると、所得税法の第229条において定められています。提出期限を過ぎることで発生するペナルティはありませんが、なるべく期限内に提出することがおすすめです。
また、確定申告を青色申告でする場合は、青色申告承認申請書とあわせて開業届を提出する必要があります。青色申告承認申請書は、期限を過ぎるとその年の確定申告では青色申告ができなくなってしまうので、くれぐれもご注意ください。
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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
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freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。
Step1:準備編
準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。
事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
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よくある質問
開業届の提出が遅れて1ヶ月過ぎたらどうなる?
開業届の提出期限である1ヶ月を過ぎて提出しても、特にペナルティは発生しません。ただし、開業届を提出しないデメリットもあるため、個人事業を開始したら開業することがおすすめです。
詳しくは記事内「開業届の提出期限を過ぎてもペナルティはない」をご覧ください。
開業届と青色申告承認申請書を一緒に出す場合はいつまでに提出する必要がある?
開業した初年度の確定申告から青色申告したい場合は、期限内に青色申告承認申請書と開業届を提出する必要があります。期限から遅れてしまうとその年は青色申告ができなくなるため、注意しましょう。
詳しくは記事内「開業届を青色申告承認申請書とあわせて提出する場合」をご覧ください。
開業届は開業前に提出できる?
開業届は事業を開始したことを通知する申告書であるため、開業前に提出することはできません。特に、許認可や士業などの登録が必要な事業を開始する場合は注意しましょう。
詳しくは記事内「開業前に開業届を出すことはできない」をご覧ください。