監修 北田 悠策 公認会計士・税理士
フリーランスとは、組織や団体に所属せず仕事を請け負う人や働き方を指す言葉です。フリーランスは、時間や場所に縛られずに働けるメリットがある一方で、収入をアップしたり案件を獲得したりするには努力が必要です。
本記事では、フリーランスの概要やメリットデメリットのほか、フリーランスが仕事を獲得する方法などについても解説します。
目次
- フリーランスとは
- フリーランスの就業日数・就業時間
- フリーランスと個人事業主の違い
- フリーランスが注目されている理由
- 代表的なフリーランスの職種10種と仕事内容
- ライター
- デザイナー
- イラストレーター
- 編集者
- プログラマー(SE)
- ウェブマーケター
- アフィリエイター
- 動画クリエイター
- カメラマン
- コンサルタント
- フリーランスとして働くメリット
- 自由な働き方ができる
- 仕事を自由に選ぶことができる
- 技術力があれば高い報酬が期待できる
- フリーランスとして働くデメリット
- 収入が不安定になる可能性がある
- 社会的信用を得にくい
- 確定申告や各種保険の手続きを自身で行う必要がある
- フリーランスが仕事を獲得する方法
- 知人・友人からの紹介
- 企業からの直接受注
- SNSの宣伝活動
- クラウドソーシング・エージェントサービスの利用
- フリーランスとして働くために必要な準備と手続き
- 開業届を提出し個人事業主となる
- 健康保険・年金の切り替えと加入手続きを行う
- 確定申告を行う
- まとめ
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- よくある質問
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フリーランスとは
フリーランスとは、組織や団体に所属せず、個人で仕事を受注する人や働き方を指します。政府のガイドラインによるフリーランスの定義は以下です。
上記のとおり、フリーランスは働き方を定義する言葉であり、業種・職種は問いません。雑誌・ウェブなどの制作物に携わるクリエイティブ系から、大工・税理士などの多様な職種が存在します。
ただし、会社員や団体職員のように組織に雇用されていないため、基本的に労働基準法などの労働関係法令は適用されません。
フリーランスの就業日数・就業時間
フリーランスには、専業として個人で請け負ったフリーランスによる仕事のみで生計を立てるパターンと、副業として会社員などと兼業するパターンに分かれます。専業か副業かによって、フリーランス業務に費やす時間は大きく異なります。
2020年の内閣官房の調査によると、フリーランスの1日あたりの就業時間は、2時間以上4時間未満・4時間以上6時間未満・6時間以上8時間未満がそれぞれ約19%を占めています。
また、ひと月あたりの就業日数の最多は「5日以内」(23.5%)であり、次点で「26日以上」(16.4%)であることからも、人によって就業時間・日数に大きな差があることが分かります。
出典:内閣官房日本経済再生総合事務局「令和2年5月フリーランス実態調査結果」
フリーランスと個人事業主の違い
フリーランスと似た意味を持つ言葉に「個人事業主」があります。個人事業主もフリーランス同様に個人で仕事を請け負って収入を得る働き方ですが、フリーランスとは以下の点で異なります。
フリーランスと個人事業主の違い
- フリーランス:法律上の定義がなく、「会社や団体などの組織に属さず個人で仕事を請け負う」という働き方に注目した呼称
- 個人事業主:法律上で「開業届を提出した個人の事業主」を指す呼称。働き方の点ではフリーランスと同様
どちらも特定の法人や団体に属さずに業務を請け負い、給与ではなく報酬として収入を得る点は同様です。しかし、行っている事業について税務署に開業届を提出することで、税務上は「個人事業主」に分類されます。 開業届を出すことで税務上は個人事業主の扱いになりますが、会社や団体など組織に属さずに業務を行う働き方の点では、フリーランスであるといえるでしょう。
【関連記事】
開業届とは?個人事業主が知っておくべき基礎知識や提出するメリット・注意点について解説
フリーランスが注目されている理由
働き方が多様化する中、フリーランスという働き方が注目される背景には、以下の理由が考えられます。
フリーランスが増えている理由
- 独立・副業の敷居が下がった
- 多様な働き方が認められるようになった
- 「人生100年時代」でセカンドキャリアが注目されるようになった
- 企業が外部の優秀な人材を探すようになった
政府が副業や兼業、リモートワークを推進することで、多様な働き方を認める企業が増加し、働き方の選択肢が広がっています。
たとえば、働き方改革実行以前の働き方では、20〜30代の女性は出産や育児を理由にキャリアを中断しなければならないケースが少なくありませんでした。しかし、働く場所や業務量を調整できるフリーランスであれば、仕事と家庭の両立を実現しやすくなります。
また、平均寿命が伸び、長い人生をより豊かに過ごすための選択肢としても、フリーランスという働き方が注目されています。定年制度のないフリーランスは、働く意欲のある高齢者が年齢に制限されずに生き生きと過ごすための手段のひとつといえます。
そして、フリーランスという働き方が広まることは、個人だけでなく企業にもメリットがあります。雇用の型にとらわれない採用は、企業にとって外部の優秀な人材を確保するチャンスとなるためです。
出典:厚生労働省「生涯における出来事と職業キャリア」
出典:フリーランス協会「フリーランスの実態と課題」
出典:厚生労働省「副業・兼業」
代表的なフリーランスの職種10種と仕事内容
フリーランスは「個人で仕事を請け負う働き方」を指す言葉であり、業種や職種を選びません。以下では、個人のスキルや知識を活かして仕事を得やすい職種10種を紹介します。
フリーランスの代表的な職種
- ライター
- デザイナー
- イラストレーター
- 編集者
- プログラマー(SE)
- Webマーケター
- アフィリエイター
- 動画クリエイター
- カメラマン
- コンサルタント
その人の技術や経験、スキルに価値があり、クライアントに対して一層高い価値を提供できるでしょう。
ライター
ライターは、出版社や新聞社などのメディアから依頼を受け、記事の執筆をするのが主な仕事です。基本的な業務は執筆ですが、コンテンツの企画立案から、必要に応じて取材先へのアポ取りや取材も一貫してこなすライターも多くいます。
Web上に掲載される文章を執筆する「Webライター」であれば、SEO対策に適したライティングスキルなど、紙媒体でのライティングとは異なる知識やスキルが必要です。
そのほかスキルに応じたライティング職として、人物や企業にフォーカスしてインタビュー記事を作り上げる「インタビューライター」、商品やサービスの宣伝文の執筆をする「コピーライター」などがあります。
特定の分野に関して専門知識があり、かつ一定の文章力があればWebライターとして活躍できる可能性があります。また、広告会社や企業の広報部門などで経験を積んでいると、フリーランスのライターとして独立しやすいでしょう。
デザイナー
デザイナーは、あらゆる課題を「デザイン」を用いて解決する仕事です。たとえば、ウェブサイトのデザインを手がける「Webデザイナー」や、サイトのユーザビリティやユーザーへの体験価値を提供するためにデザインを考える「UI/UXデザイナー」、出版物や広告などのデザインを考え・制作する「DTPデザイナー」など、使えるツールや内容によって、さまざまな種類に分けられます。
商品やサービスを使いやすくアレンジしたり、説明やイラストがより効果的に伝わるようデザインを提供します。自らの感性・技術・センスを活かせる仕事です。
フリーランスのデザイナーになるには、美術系の大学や専門学校を卒業し、広告会社やデザイン事務所などで経験を積んだ後に独立するのが一般的です。
イラストレーター
主にクライアントを対象とするイラストレーターは、クライアントの趣旨に合うイラストを企画・制作します。書籍・雑誌・ウェブなどに視覚的な印象を与える挿絵や、文章の説明に添えてわかりやすく伝える図解の作成、ゲームに用いるためのキャラクターデザインの考案など、イラストのタッチやテイストに応じたさまざまな業務があります。
独自で展示会を開催したり作品集を発表したりすることで、自身のイラストの認知拡大や、ファン化のきっかけになります。主体的に自身の作品を公開していくことは、新たな取引先が見つかるなど営業活動の一環としても効果的です。
フリーランスのイラストレーターになるには、広告・出版・印刷・ゲーム制作会社などに就職し、経験を積んだ後に独立するのが一般的です。
編集者
編集者は、書籍・雑誌・ウェブコンテンツなどを制作する際に、全体を調整し仕上げる役割です。
雑誌編集者であれば、読者のニーズを踏まえて企画を考え、執筆者やカメラマン、デザイナー、イラストレーターを手配します。原稿ができたら、ページのレイアウトや原稿のリライトなど、全体を整える作業を行います。
Web編集者は、Webサイト・メディアの記事構成を考え、Webライターに原稿を依頼します。スケジュールを管理し、原稿ができたらチェックするのがメインの仕事です。
編集者と混同しやすい職業として、「Webディレクター」が挙げられます。Webディレクターは、Webサイトの構築に関する企画・設計・制作進行・運用まで、すべてを指揮する現場監督の役割を担います。
フリーランスの編集者になるには、出版社などメディアをもつ企業で経験を積んでから独立するケースが多くあります。
プログラマー(SE)
プログラマー(SE)は、プログラミング言語を使用してシステムやアプリケーションの設計・開発・保守を行います。
システム全体の構造を設計、具体的な機能を実装し、システムやアプリケーションのテストを通じてバグや問題を解消します。納品後も、運用中のシステムの監視や、必要に応じた修正・改善を行わなければなりません。また、プロジェクトの進行管理やチームメンバーとの協力も重要な業務の一部です。
フリーランスのプログラマーになるには、まず情報サービス企業などに就職し、一定期間の教育を受ける必要があります。学歴や資格は問われませんが、一人前のプログラマーになるには、一般的に3〜4年かかります。
ウェブマーケター
ウェブマーケターは、ウェブを活用したマーケティング戦略を考えて実行するのが主な仕事です。Google検索の上位表示を目的とした「SEOマーケター」、リスティング広告やSNS広告を運用する「広告プランナー」などが挙げられます。
ウェブマーケターに求められるスキルは、主に情報解析スキル、企画力、コミュニケーションスキル、情報収集能力です。また、ターゲット層が商品やサービスを認知し、最終的に購入するまでを設計する企画力が必要です。
フリーランスのウェブマーケターになるには、広告代理店やWebマーケティング会社などに就職し、経験を積んだ後に独立するのが一般的です。
アフィリエイター
アフィリエイターは、自身が運営するサイト・ブログ・メルマガ等に広告を載せることで報酬を得る仕事です。サイト訪問者が商品を購入したりサービスに申し込んだりすることで報酬を得ます。
自身のサイト・ブログなどへのアクセスを増やすために、検索上位表示させるためのSEO対策の知識や、文章で商品を販売する「セールスライティング」の技術が必要です。
フリーランスのアフィリエイターになるために特別な資格や学歴は不要ですが、収益化するにはWebマーケティングやSEOの知識を身につける必要があります。
動画クリエイター
動画クリエイターは、映像や音声を使って魅力的なコンテンツを制作する仕事です。クライアントの依頼内容に基づいて撮影や編集を担い、写真やイラストを組みあわせてさまざまなジャンルの動画を制作します。
フリーランスの動画クリエイターになるには、映像系の学校を卒業して映像制作会社などで経験を積んでから独立するのが一般的です。
カメラマン
カメラマンは、クライアントの依頼に基づいた写真を撮影する仕事です。広告・出版カメラマンであれば、商品や食材などの被写体を撮影し、報道カメラマンであれば報道現場で取材や撮影を行います。
フリーランスのカメラマンになるには、まず広告制作会社やカメラマンの個人事務所に就職し、経験を積んだ後に独立するのが一般的です。
コンサルタント
コンサルタントは、クライアントが持つ課題・問題解決をサポートする仕事で、ITや人事、経営など、さまざまな分野で必要とされる職業です。
たとえば、人事コンサルタントはクライアントである企業の人事制度や人材開発に関してのサポートを担います。人事のニーズや問題点を把握し、人事制度の設計や運用のアドバイスや、人材育成のための研修をフォローしたりします。
フリーランスのコンサルタントになるには、まずコンサルティング会社に就職し、経験を積んだ後に独立するのが一般的です。
フリーランスとして働くメリット
フリーランスは、自分の特技やスキルを活かして働くことができます。フリーランスの主なメリットは以下です。
フリーランスのメリット
- 自由な働き方ができる
- 仕事を自由に選ぶことができる
- 技術力があれば高い報酬が期待できる
自由な働き方ができる
フリーランスは組織に所属しないため、働く時間・場所・休日を自分でコントロールしやすいといえます。また、出勤が不要な場合も多いので、オフィスの場所に縛られることなく、居住地を自由に選択できます。
特にパソコンでできる仕事の場合は、旅先やカフェでもできるので、自由度がさらに増します。ただし、クライアントによっては働く時間と場所を指定される場合もあります。
仕事を自由に選ぶことができる
フリーランスは、依頼された案件を受けるかどうかは自分の判断で決められます。苦手な仕事を断ったり、条件について交渉したりすることも可能です。
また、自分のスキルアップにつながる仕事や、チャレンジしてみたい分野の仕事を選ぶこともできます。組織の目的に沿って指示された仕事をこなさなければいけない会社員とは、異なる点といえるでしょう。
技術力があれば高い報酬が期待できる
フリーランスは、自分の裁量で仕事量・仕事内容・報酬をコントロールしやすい働き方といえます。
技術力の高さによって他者との差別化ができ、その分、より多くの報酬を得られる可能性があります。ただし、高い報酬を得るためには他者よりも高いスキルやスピードなどを求められます。自身のスキルや興味を活かせる職種を選び、それを磨き上げていくことが大切です。
フリーランスとして働くデメリット
柔軟で自由な働き方が魅力のフリーランスですが、以下のようにデメリットもあります。
フリーランスのデメリット
- 収入が不安定になる可能性がある
- 社会的信用を得にくい
- 確定申告や各種保険の手続きを自身で行う必要がある
以下で詳しく説明します。
収入が不安定になる可能性がある
フリーランスは、会社員や公務員に比べると収入が不安定になりやすいです。
固定給や最低賃金などの規定はなく、自分が請け負った仕事による報酬で生計を立てなければなりません。
また、取引先との契約が長期間続く保証はなく、取引先の方針や都合により契約を打ち切られたり、報酬の引き下げを交渉される可能性もあります。
社会的信用を得にくい
フリーランスは企業や組織に所属しないことで第三者への身元保証ができないほか、収入が安定しづらいという点でも、会社員と比べて社会的信用が低くなりやすいです。実績が少ない場合は、金融機関からの融資も受けにくいでしょう。
クレジットカードを作ること、住宅ローンを組むことなどのハードルが会社員に比べると上がります。会社を辞めてフリーランスとして独立する場合は、会社員である間に手続きを済ませておくとよいでしょう。
確定申告や各種保険の手続きを自身で行う必要がある
企業や組織で働いている場合、税金や公的保険などに関する手続きは勤務先が処理してくれます。しかし、フリーランスは税金関係や保険に関する手続きを、すべて自分で行わなければなりません。
所得税の算出・納税のためには、確定申告が原則必須です。税制上の優遇措置を受けたいのであれば、青色申告を選びましょう。ただし、青色申告を行うには条件を満たす必要があるため、初めて申告する際は、税金に関する知識を身につけておきましょう。
【関連記事】
青色申告の期限はいつまで?青色申告承認申請書の提出期限も解説
フリーランスは確定申告が原則必須!青色申告のメリットや申告方法・必要書類について解説
フリーランスが仕事を獲得する方法
フリーランスとして生計を立てていくためには継続的に仕事を獲得せねばなりません。仕事を得る方法としては、以下が挙げられます。
フリーランスが仕事を獲得する方法
- 知人・友人からの紹介
- 過去・現在の取引先からの受注
- SNSの宣伝活動
- クラウドソーシング・エージェントサービスの利用
知人・友人からの紹介
フリーランス協会が行った2023年の調査によると、フリーランスがもっとも多く案件受注する方法は「知人や友人からの紹介」でした。コロナ禍の前と比べると減少傾向にありますが、人脈で仕事を得ているフリーランスは多くいます。
また、フリーランスに関するセミナーや交流会で人脈が広がる場合もあります。興味のあるコミュニティなどには積極的に参加し、人とのつながりを大切にしましょう。
出典:フリーランス協会「フリーランス白書2023年」
企業からの直接受注
フリーランスとして独立する前に所属していた会社の取引先から、仕事を依頼されるケースも少なくありません。
また、求人サイトで「業務委託契約」を希望する求人情報が掲載されている場合もあります。定期的にチェックし、自分のスキルや実績に適した募集があれば、積極的に検討してみましょう。
SNSの宣伝活動
自分の得意なことや興味のある分野についてSNSで発信することで、企業から声がかかるケースもあります。
そのほかポートレートを掲載したWebサイトなどを制作し、自身の実績やスキルの露出を図りましょう。インターネット上で広く情報を開示することで、自身を知ってもらい、仕事を得るきっかけづくりができます。
クラウドソーシング・エージェントサービスの利用
クラウドソーシングなどで、案件に応募して仕事を獲得するのも手段のひとつです。2023年のフリーランス白書によると、コロナ禍前に比べるとエージェントサービスの利用は増加しています。
企業と直接契約するよりも報酬額は低い傾向にありますが、報酬未払いなどのトラブルを防止できるため、実績を作りたいフリーランス初心者に適しています。
出典:フリーランス協会「フリーランス白書2023年」
フリーランスとして働くために必要な準備と手続き
フリーランスは会社員とは異なり、役所への届出や経理業務といったバックオフィス業務をすべて自身で行わなければなりません。フリーランスとして働くために必要な準備と手続きは、以下の3つです。
フリーランスとして働くために必要な準備と手続き
- 開業届を提出し個人事業主となる
- 健康保険・年金の切り替えと加入手続きを行う
- 確定申告を行う
開業届を提出し個人事業主となる
一定の企業から継続して仕事を獲得できるなら、「事業を運営している状態」とみなされます。その際には、開業届を提出し個人事業主となりましょう。開業届を提出することで、以下のメリットが得られます。
開業届を提出するメリット
- 節税効果の高い青色申告を利用できる
- 屋号付きの事業用銀行口座を作れる
- 小規模企業共済に加入できる
- 開業届の控えが証明書の役割を果たしてくれる
開業届は原則、事業を開始した日から1ヶ月以内に提出する必要があるため、忘れずに手続きを行いましょう。
開業届の提出方法や提出するメリットについて詳しく知りたい方は、別記事「開業届とは? 個人事業主が知っておくべき基礎知識や提出するメリット・注意点について解説」をご覧ください。
出典:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
健康保険・年金の切り替えと加入手続きを行う
会社を退職し、専業のフリーランスになるのであれば、以下の手続きが必要です。
退職にあたっての必要な手続き
- 勤務先の健康保険から国民健康保険への切り替え
- 厚生年金から国民年金への切り替え
国民健康保険の加入は、原則として退職日の翌日から14日以内に加入手続きを行う必要があります。以下を持参のうえ、お住まいの地域の役所で手続きをしましょう。
- 離職票
- 身分証明書
- マイナンバー
- 印鑑
また、健康保険の加入手続きとあわせて、国民年金への加入も済ませておくとよいでしょう。社会保険に関しては、勤務先の健康保険を任意継続するという方法もあります。
特定の職種では、業界専用の健康保険が用意されており、団体に所属することで加入できるものもあります。健康保険について詳しく知りたい方は、別記事「フリーランスが加入する健康保険とは?」をご覧ください。
出典:厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」
確定申告を行う
フリーランスとして所得を得ると、確定申告を行わなければなりません。確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの期間に発生した収入や支出などから所得を計算し、納税すべき所得税を確定し申請・精算する手続きです。
確定申告を行わなければ脱税とみなされ、厳しい罰則が科されてしまうため注意しましょう。ただし、フリーランスの仕事による所得が年間で48万円以下の場合は確定申告する必要はありません。
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類あります。青色申告であれば、手続きや必要な書類がやや複雑ですが、白色申告よりも高い節税効果が得られます。
簿記の原則にしたがって会計処理を行うなどの条件があるため手間はかかりますが、最大で65万円の特別控除が受けられます。青色申告について詳しく知りたい方は、別記事「フリーランスは確定申告が原則必須!青色申告のメリットや申告方法・必要書類について解説」
をご覧ください。
出典:国税庁「所得税のしくみ」
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
まとめ
近年ではフリーランスという働き方の認知度が増し浸透してきました。さまざまな業種での活躍が見られ、その自由な働き方に惹かれてフリーランスを志す人も増えています。
時間や場所に縛られない働き方ができるなど多くのメリットがありますが、収入が不安定といったデメリットもあります。
フリーランスへの転身を考える場合は、メリットやデメリットを考慮したうえで、自身の将来のキャリアプランやキャリアの軸に適しているか検討しましょう。
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3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。
申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。
給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。
さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。
入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。
届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
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よくある質問
フリーランスとは?
自分の知識やスキルを活かして、事業を行う人を指します。
フリーランスについて詳しく知りたい方は、「フリーランスとは」をご覧ください。
フリーランスが注目されている理由?
政府によって副業や兼業が推奨され、多様な働き方が認められるようになったことが挙げられます。
詳しく知りたい方は、「フリーランスが注目されている理由」をご覧ください。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。