勘定科目の基礎知識

ウォーターサーバー費用の勘定科目とは? 仕訳例や注意点を詳しく解説!

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

ウォーターサーバー費用の勘定科目とは? 仕訳例や注意点を詳しく解説!

事業に関連してウォーターサーバーを導入した場合は、経費にできます。本記事では、ウォーターサーバーに関する費用の勘定科目について解説します。

ウォーターサーバーの導入は、来客時にすぐ飲み物を提供できる点がメリットです。また誰でも自由に利用できるウォーターサーバーを設置すれば、従業員の満足度も向上するでしょう。

本記事では、仕訳時の注意点も説明するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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ウォーターサーバーにかかる費用は経費にできる?

ウォーターサーバーに関するコストは、使用目的によって経費にできる場合があります。ウォーターサーバーにかかる主な費用は、次の通りです。

ウォーターサーバーに関する費用

  • 水代
  • レンタル代
  • 電気代
  • 配送料

上記のほか、サーバー設置代などの初期費用やメンテナンス代が生じる場合があります。また、導入事例として、以下のようなケースであれば必要経費として計上できます。

経費対象となる導入例

  • 従業員の休憩室にウォーターサーバーを設置し、いつでも利用できるようにする
  • 来客に飲料水を提供するために、事務所にウォーターサーバーを置く

経費の対象となるのは、事業に関連して導入されたウォーターサーバーのコストです。

個人事業主の場合、ウォーターサーバーを経費にできる?

個人事業主の場合も、事業のために設置したウォーターサーバーであると証明できれば、経費と認められます。たとえば、「商談や来客対応のために事務所に設置する」場合などは、経費として計上して問題ありません。

なお、個人や家族が利用するために置いたウォーターサーバーのコストは、事業の必要経費とは認められません。

ウォーターサーバー本体に用いる勘定科目

ウォーターサーバーに関する費用に用いる勘定科目は、ウォーターサーバー本体と水で異なります。

ウォーターサーバー本体に用いる勘定科目は、次の2点です。

ウォーターサーバー本体に用いる勘定科目

  • 賃貸借契約の場合は【賃借料】
  • リース契約の場合は【リース料】

それぞれ、どのような勘定科目なのか見てみましょう。

【賃借料】

ウォーターサーバー本体を賃貸借契約で借りる場合、「賃借料」で仕訳します。賃貸借契約は、レンタルをする会社がすでに所有している物を借りる契約です。

「賃借料」とは、土地・機械・車両などを借りる際にかかった費用に用いる勘定科目です。

企業会計原則のひとつである「継続性の原則」に基づき、一度「賃借料」として仕訳した取引は、その後も賃借料として処理しましょう。

【リース料】

ウォーターサーバー本体をリース契約で借りる場合は、「リース料」を用います。リース契約とは、リース会社が新規で購入した商品を借りる契約です。

賃借料とリース料の大きな違いは、契約形態です。契約形態によって勘定科目を使い分けましょう。

ウォーターサーバーの水の費用に用いる勘定科目

ウォーターサーバーに使う水代は、使用目的によって用いる勘定科目が異なります。

ウォーターサーバーに使う水代に用いる勘定科目

  • 従業員が利用するためにウォーターサーバーを設置する場合は【福利厚生費】
  • ウォーターサーバーを事務所に置き、取引先の人が利用する場合は【接待交際費】
  • 店舗などで客が自由に利用できるように設置したウォーターサーバーは【販売費】
  • ウォーターサーバーの水にかかった費用が少額であれば【消耗品費】
  • 少額で販売費や一般管理費などに該当しない場合は【雑費】

それぞれ詳しく解説します。

【福利厚生費】

従業員が利用するためにウォーターサーバーを設置する場合、「福利厚生費」で仕訳します。福利厚生費は、会社が従業員のために支出した費用を、会計処理する際に用いる勘定科目です。

福利厚生費に該当する例として、以下の支出が挙げられます。

福利厚生費の例

  • 従業員の健康診断費
  • 慰安旅行費用
  • 会社に設置している薬代

類似している勘定科目に「法定福利費」があります。法定福利費は法律で定められた費用ですが、福利厚生費は会社が任意で支出した費用です。

【接待交際費】

ウォーターサーバーを事務所に置き、取引先の人が利用する場合は、「接待交際費」を用いて処理します。接待交際費は、取引先など営業するうえで必要な接待や交際のために支出する費用です。

たとえば、次のような支出は接待交際費に該当します。

接待交際費の例

  • 取引先との食事会費用
  • お中元・お歳暮を贈る費用

接待交際費は、福利厚生費や会議費などと混同されやすい勘定科目です。費用の内容がわかる書類を保管しておきましょう。

なおほとんど取引先との打ち合わせで使用している場合は、「会議費」でもよいでしょう。

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【販売費】

自社が運営する店舗などで客が自由に利用できるように設置したウォーターサーバーは、「販売費」で仕訳しましょう。販売費とは、営業活動で生じた費用のうち、次のように売上原価以外にかかった費用をいいます。

販売費の例

  • 広告宣伝に要した費用
  • 商品発送のための配達料

上記のコストは、商品などを製造する直接的な費用ではありませんが、販売したり提供したりするために必要な費用です。

【消耗品費】

ウォーターサーバーの水にかかった費用が少額であれば、「消耗品費」で計上できます。消耗品費とは、取得価額が10万円未満、または耐用年数が1年未満の物品の購入費用で用いる勘定科目です。

消耗品費の例

  • ボールペン
  • はさみ
  • 鉛筆

上記の通り、固定資産のように長期にわたって使用するものではなく、安価で消費がはやい事務用品などが該当します。

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【雑費】

少額で販売費や一般管理費などに該当しない場合は、「雑費」を用いることも可能です。雑費は、販売費や一般管理費などに該当しない、少額費用を一括で処理するための勘定科目です。

一般的に、次のような支出は雑費で仕訳します。

雑費の例

  • 振込手数料
  • クレジットカードの年会費 など

ただし雑費で仕訳をすると、内訳がわかりにくくなるため注意しましょう。

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【事例で解説】ウォーターサーバーの仕訳例

ウォーターサーバーを導入した場合の3つの仕訳例を紹介します。

ウォーターサーバーを導入した場合の仕訳例

  • レンタル契約した場合のウォーターサーバー本体代の仕訳
  • ウォーターサーバーを従業員のために設置した場合の水代の仕訳
  • 取引先との商談のため事務所にウォーターサーバーを置く場合の水代の仕訳

それぞれ、どのように仕訳するのか見てみましょう。

レンタル契約した場合のウォーターサーバー本体代

業者から借りたウォーターサーバー本体のレンタル代は、以下のように仕訳します。

(例)ウォーターサーバーレンタル代(1,000円)を事業用口座から支払った場合

借方貸方
賃借料1,000円普通預金1,000円

(例)ウォーターサーバーレンタル代(1,000円)をクレジットカードで支払った場合

利用時

借方貸方
賃借料1,000円未払金1,000円

引き落とし時

借方貸方
未払金1,000円普通預金1,000円

業者によっては、本体代は無料の場合があります。レンタルする際は、請求内容の内訳をよく確認しましょう。

ウォーターサーバーを従業員のために設置した場合の水代

(例)従業員のために設置したウォーターサーバーの水代(2,500円)を現金で支払った場合

借方貸方
福利厚生費2,500円現金2,500円

(例)従業員のために設置したウォーターサーバーの水代(2,500円)をクレジットカードで支払った場合

利用時

借方貸方
福利厚生費2,500円未払金2,500円

引き落とし時

借方貸方
未払金2,500円普通預金2,500円

会社が従業員のためにウォーターサーバーを設置した場合、水ボトル代は福利厚生費で処理します。

取引先との商談のため事務所にウォーターサーバーを置く場合の水代

(例)取引先との商談のため事務所にウォーターサーバーを置く場合の水代を現金で支払った場合

借方貸方
接待交際費2,500円現金2,500円

(例)取引先との商談のため事務所にウォーターサーバーを置く場合の水代をクレジットカードで支払った場合

利用時

借方貸方
接待交際費2,500円未払金2,500円

引き落とし時

借方貸方
未払金2,500円普通預金2,500円

ウォーターサーバーで使う水代は、使用目的によって勘定科目が異なります。個々の利用実態に応じて、判断しましょう。

ウォーターサーバーの費用を会計処理する際の注意点

ウォーターサーバーにかかる費用を仕訳する際、次の2点について注意しましょう。

仕訳時の注意点

  • サーバーレンタル代と水代の費用は、消費税の扱いが異なる
  • 従業員を雇用していない個人事業主は「福利厚生費」で仕訳できない

サーバーレンタル代と水代の費用は、消費税の扱いが異なる

2019年10月から、消費税10%への引き上げに伴い、軽減税率の適用が始まりました。軽減税率の対象は、次の通りです。

軽減税率の対象

  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

ウォーターサーバーの場合、水は食品に該当するため、その販売は軽減税率の適用対象です。一方、レンタル代は軽減税率の対象となりません。

ウォーターサーバー本体と水で、消費税の扱いが異なるため注意しましょう。

従業員を雇用していない個人事業主は、「福利厚生費」で仕訳できない

たとえば、会社が従業員のために職場にウォーターサーバーを設置した場合、関連して生じたコストは「福利厚生費」に該当します。福利厚生費は、会社が従業員のために支出した費用です。

そのため、従業員をもたない個人事業主の場合、福利厚生費で計上はできません。

まとめ

原則、事業に関するウォーターサーバーの設置や利用で生じた費用は経費となります。仕訳する際、レンタル代と水代、また水代は使用用途によって勘定科目が異なります。そのため、利用実態に応じて判断しましょう。

個人事業主も、事業のためにウォーターサーバーを設置している場合、経費と認められます。ただし、従業員がいない個人事業主の場合、福利厚生費では仕訳できないので注意しましょう。

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よくある質問

ウォーターサーバーの料金は経費にできる?

来客や従業員のために設置したものであれば、基本的に経費として計上できます。

ウォーターサーバー導入に関する費用を経費計上できるか知りたい方は、「ウォーターサーバーにかかる費用は経費にできる?」をご覧ください。

ウォーターサーバーで用いる勘定科目は?

ウォーターサーバーは、ウォーターサーバー本体と水で使用する勘定科目が異なります。サーバーレンタル代は「賃借料」や「リース料」、水代は使用目的によって「福利厚生費」や「接待交際費」などで仕訳します。

ウォーターサーバーに関する勘定科目について詳しく知りたい方は、「ウォーターサーバー本体に用いる勘定科目」および「ウォーターサーバーの水の費用に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮