勘定科目の基礎知識

掃除機購入の勘定科目は? 事例別の仕訳例や経費計上時のポイントを解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

掃除機購入の勘定科目は? 事例別の仕訳例や経費計上時のポイントを解説

業務で必要な掃除機を購入した場合は、経費計上が可能です。本記事では、掃除機に用いる勘定科目具体的な仕訳例を解説します。

掃除機は、購入金額によって会計処理が異なります。原則として10万円以上の掃除機は、資産計上して減価償却が必要です。

掃除機の耐用年数は、種類を問わず一律6年です。掃除機の購入金額や会社の規模など一定の条件を満たす場合は、1年や3年で計上・償却できます。

購入金額別に分かりやすく仕訳例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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掃除機の購入費用は経費にできる?

掃除機の購入費用は、事務所や店舗の掃除目的など業務上必要があって購入する場合に限り、経費として計上が可能です。紙パックなどの関連費用も、同様に経費として認められます。

一般的な掃除に使用するスティックタイプやキャニスタータイプのほか、ロボット型や業務用の大きな掃除機も経費にできます。

購入代金が10万円以上の場合は資産計上し、減価償却の処理が必要です。ただし所定の条件を満たせば、特例適用により購入代金の全額を支払った期の経費にできます。

特例に関して詳しく知りたい方は「購入代金が10万円以上の場合の資産計上と減価償却」をご覧ください。

個人事業主が掃除機の購入費用を経費として計上する場合は、次項で解説する家事按分を参考にしてください。

個人事業主の場合はプライベート用途との兼ね合いに注意

個人事業主も、業務上の必要があって掃除機を購入した場合は経費にできます。

掃除機が事務所スペースなどの事業専用なら問題ありませんが、プライベートと兼用する場合は家事按分の処理に注意が必要です。

家事按分とは、費用の目的に業務とプライベートの両方が含まれる場合に、明確な基準を用いて業務使用の割合を算出し計上する処理をいいます。

自宅兼事務所の場合、事務所使用の面積の割合で費用を区別するなどの按分が必要です。

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家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

購入代金が10万円以上の場合の資産計上と減価償却

10万円以上の掃除機は、資産計上のうえ減価償却します。掃除機の法定耐用年数は6年ですが、20万円未満の場合は一括償却資産として3年での減価償却も可能です。

一括償却資産として処理する場合、期中の購入でも月割はありません。所定の条件を満たす場合、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を適用できます。

特例を受ければ、30万円未満の掃除機を1事業年度で300万円を上限として、購入費用全額を当期の経費に計上可能です。

なお特例を適用できるのは、青色申告書を提出する個人、または資本金が1億円以下であり、従業員数が500人以下の青色申告法人です。特例には期限があり、令和6年3月31日までに資産を取得した場合に適用できます。

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減価償却とは?確定申告前に知っておくべき減価償却資産の計算方法について解説

掃除機購入費用の仕訳に用いる勘定科目

掃除機に用いる勘定科目は、以下の通りです。

掃除機の勘定科目

  • 10万円未満の掃除機、または30万円未満で少額減価償却資産として全額経費計上する場合は【消耗品費】
  • 10万円以上の掃除機を資産計上する場合は【工具器具備品】
  • 10万円以上・20万円未満の掃除機を3年で一括償却資産とする場合は【一括償却資産】

それぞれ詳しく解説します。

【消耗品費】

掃除機の購入代金が10万円未満の場合、「消耗品費」の勘定科目を使用します。

また、「少額減価償却資産の特例」の条件を満たす企業が30万円未満の購入代金全額を経費計上する場合も同様に「消耗品費」で処理します。

「消耗品費」とは、耐用年数が1年未満または10万円未満の消耗品に用いる勘定科目です。

【工具器具備品】

購入代金が10万円以上の掃除機は「工具器具備品」で資産計上のうえ、減価償却します。

ただし30万円未満で「少額減価償却資産の特例」の条件に該当する場合は、前項の「消耗品費」で全額経費にもできます。

20万円未満であれば、次項で解説する一括償却資産としての処理も可能です。

なお30万円以上の掃除機は、すべて「工具器具備品」で処理します。「工具器具備品」は資産の勘定科目で、価格が10万円以上の工具・器具・備品に用います。

【一括償却資産】

10万円以上の掃除機は資産計上して耐用年数6年で減価償却しますが、20万円未満であれば、「一括償却資産」でも処理できます。一括償却資産の場合、20万円未満の取得価額を3年で減価償却できます。

18万円の掃除機を計上する場合

  • 資産として計上(6年で減価償却):1年あたり3万円の節税
  • 一括償却資産として計上(3年で減価償却):1年あたり6万円の節税

たとえば18万円の掃除機を法定耐用年数の6年で定額法にて減価償却すると、1年あたりの減価償却費は3万円です。

3年の場合は1年あたり6万円のため、一括償却資産での処理は法定耐用年数での処理と比較して、1年あたりの節税効果がより高くなります。

なお一括償却資産として処理すると、償却資産税は非課税となるというメリットがあります。

【事例で解説】掃除機の仕訳例

掃除機の具体的な仕訳例を紹介します。

購入代金が10万円未満または少額減価償却資産の特例適用の場合

10万円未満の掃除機を、消耗品費で処理する際の仕訳例を紹介します。「少額減価償却資産の特例」を適用する場合も同様の処理です。

例:事務所を掃除する目的で5万円の掃除機を現金で購入した


借方貸方
消耗品費50,000円現金50,000円

例:事務所を掃除する目的で5万円の掃除機を会社のクレジットカードで購入した

クレジットカードでの支払時

借方貸方
消耗品費50,000円未払金50,000円

利用代金の引き落とし時

借方貸方
未払金50,000円預金50,000円

10万円以上の掃除機を購入し資産計上する場合の仕訳例

10万円以上の掃除機を資産計上する際の仕訳例を紹介します。

例:事務所を掃除する目的で12万円の掃除機を現金で購入した

購入時

借方貸方
工具器具備品120,000円現金120,000円

減価償却時(定額法・法定耐用年数6年)

①直接法

借方貸方
減価償却費20,000円工具器具備品20,000円

②間接法

借方貸方
減価償却費20,000円減価償却累計額20,000円

20万円未満の掃除機を一括償却資産で処理する場合の仕訳例

10万円以上20万円未満の掃除機を一括償却資産として処理する際の仕訳例を紹介します。

例:事務所を掃除する目的で12万円の掃除機を現金で購入し、一括償却資産として3年で減価償却する

購入時

借方貸方
一括償却資産120,000円現金120,000円

減価償却時

借方貸方
減価償却費40,000円一括償却資産40,000円

掃除機の法定耐用年数は6年

掃除機の法定耐用年数は6年です。

掃除機にはスティック型・キャニスター型・ロボット型など、さまざまなタイプが存在しますが、種類は関係なく一律で6年です。

まとめ

業務上の必要があり購入した掃除機の費用は、経費として計上が可能です。業務用とプライベートで兼用する個人事業主は、家事按分に注意しましょう。

掃除機購入の際に使用する勘定科目は「消耗品費」「工具器具備品」「一括償却資産」です。購入代金や特例適用などの条件により、全額費用として計上するか、資産計上して減価償却するかが異なります。

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よくある質問

掃除機の購入費用は経費にできる?

事務所や店舗の掃除など、業務で使用する掃除機の経費は経費にできます。個人事業主の場合は、家事按分に注意して会計処理を行いましょう。>

掃除機の経費計上に関して詳しく知りたい方は「掃除機の購入費用は経費にできる」をご覧ください。

掃除機の勘定科目は?

10万円未満の掃除機は「消耗品費」を使用し、10万円以上の掃除機は「工具器具備品」で資産計上して減価償却します。

20万円未満であれば「一括償却資産」を使用して3年での減価償却も可能です。

掃除機の勘定科目を詳しく知りたい方は「掃除機購入費用の仕訳に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮