勘定科目の基礎知識

セミナー受講料の勘定科目は? 具体的な仕訳例や注意点を分かりやすく解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

セミナー受講料の勘定科目は? 具体的な仕訳例や注意点を分かりやすく解説

セミナーの受講料は、業務に関わるものであれば経費として計上できます。本記事では、セミナー受講料に用いる勘定科目具体的な仕訳例を解説します。

今や、会場だけでなくインターネットを通じてオンラインでもセミナーを受けられる時代です。世間で開催されるセミナーの内容はさまざまあり、受講料に用いる勘定科目も複数考えられます。

セミナー受講料に用いる複数の勘定科目と、勘定科目の使い分け方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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セミナー受講料は経費にできる

業務に関係するセミナーや研修を受けた際の受講料は、経費として計上が可能です。外部の組織が開催するセミナーへの参加だけでなく、自社に講師を招いて研修を受ける場合も、経費にできます。

セミナーを受講する際に必要な関連テキストや教材・交通費など、付随する費用も経費として認められます。

経費計上できるのは、実際に会場に足を運んで受ける場合だけではありません。e-ラーニングやオンラインセミナーなど、インターネットを通じて受講する際の受講料も経費計上が可能です。

個人事業主は業務に直接関わる受講料のみ経費にできる

個人事業主の場合、業務に直接必要なセミナー受講料でなければ経費として計上できません。「福利厚生費」などの勘定科目で、ある程度幅広く経費計上できる法人とは条件が異なります。

たとえば、「決まった予定はないが、いずれ必要となるかもしれないスキルのセミナー」を受講する場合、経費としては認められない可能性があります。

一方で、「具体的に予定されている業務の遂行に必須であるスキルのセミナー」の場合は、業務に直接関わる費用であると客観的に認められるでしょう。

セミナー受講料に用いる勘定科目

セミナー受講料に用いる勘定科目に法的な定めはなく、企業が独自の判断で会計方針を決定します。また原則として一度決めた方針は、特段の理由がない限り継続運用が必要です。

セミナー受講料に用いる主な勘定科目は以下の通りです。

セミナー受講料の勘定科目

  • 一般的に用いるのは【研修費】
  • 接待が目的の場合は【交際費】
  • 福利厚生の一環のセミナーなら【福利厚生費】
  • テキストなどを購入する場合は【新聞図書費】
  • 少額である場合・頻度が少ない場合は【雑費】

それぞれ詳しく解説します。

【研修費】

セミナーなどを受講した際、一般的に用いられる勘定科目は「研修費」です。

「研修費」は、業務に必要な知識やスキルを取得するためのセミナーなどにかかる費用の勘定科目です。

企業によって「教育訓練費」や「採用教育費」などの勘定科目を設けている場合、使用しても問題ありません。

【交際費】

取引先を招待し、接待を目的としてセミナーに参加する場合は「交際費」を使用します。

「交際費」は、取引先や顧客など、事業活動を営むうえで付き合いのある相手方に対し、接待を行ったり贈答品を渡したりする際にかかる費用の仕訳に用いる勘定科目です。

【福利厚生費】

セミナーの内容が自己啓発や自主的なスキルアップを支援する場合は、「福利厚生費」を使用できます。

「福利厚生費」は、社員旅行や祝金など、従業員の福利厚生のために支出する費用の仕訳に用いる勘定科目です。

経費を「福利厚生費」として計上するための条件は、以下の通りです。

福利厚生費として計上するための条件

  • 従業員全員が対象である
  • 社会通念上妥当な金額である

対象の従業員が限定されている場合や、必要以上に高額である場合は福利厚生費としては認められないため注意が必要です。

【関連記事】
課税される福利厚生費もある?経費計上時の注意点や具体的な事例も紹介

【新聞図書費】

セミナーの受講に際し、必要なテキスト・教材・参考資料などを購入する場合、「研修費」のほかに「新聞図書費」も使用できます。

「新聞図書費」は、業務で必要な新聞・雑誌・書籍などの費用を仕訳する際に用いる勘定科目で、インターネットで利用する電子書籍にも使用できます。

【雑費】

セミナー受講料が少額で頻度も少ない場合、特別に管理する必要もなければ「雑費」を使用できます。

特に個人事業主で、ほかに「研修費」として計上する費用がないケースなどが考えられます。

【事例で解説】セミナー受講料の仕訳例

セミナー受講料の具体的な仕訳例を、事例別にそれぞれ紹介します。

業務で必要なセミナーを受けた際の仕訳例

業務上の必要があり、セミナーの受講料を支払った際の仕訳例を紹介します。

例:業務で必要のあるセミナーの受講料5,000円を現金で支払った


借方貸方
研修費5,000円現金5,000円

翌期以降にわたる期間の受講料を一括で支払った場合は、前払費用で処理します。

例:業務で必要のある講習の受講料(月額5,000円・月1回受講×24ヶ月の合計費用)12万円を預金から支払った

受講料の支払時

借方貸方
前払費用120,000円預金120,000円

1年分の費用計上時

借方貸方
研修費60,000円前払費用60,000円

年額ではなく月次ベースで管理する場合は、月額5,000円ずつ計上します。

取引先を招待してセミナーに参加した際の仕訳例

接待を目的として取引先をセミナーに招待し、参加費用を支払った際の仕訳例を紹介します。

例:接待目的でセミナーに取引先を招待し、受講料2万円を現金で支払った


借方貸方
交際費20,000円現金20,000円

例:接待目的でセミナーに取引先を招待し、受講料2万円をクレジットカードで支払った

クレジットカードでの支払時

借方貸方
交際費20,000円未払金20,000円

利用代金の引き落とし時

借方貸方
未払金20,000円預金20,000円

福利厚生の目的で受講料を支払った場合の仕訳例

従業員に対する福利厚生の目的でセミナー受講料(給与課税されないもの)を支払った際の仕訳例を紹介します。

例:幅広い知識を得るため従業員が参加するセミナーの受講料1万円を現金で支払った


借方貸方
福利厚生費10,000円現金10,000円

例:従業員が参加するセミナーの受講料1万円をクレジットカードで支払った

クレジットカードでの支払時

借方貸方
福利厚生費10,000円未払金10,000円

利用代金の引き落とし時

借方貸方
未払金10,000円預金10,000円

セミナー受講のためのテキストを購入した際の仕訳例

セミナー受講のためのテキスト代を支払った際の仕訳例を紹介します。

例:セミナー受講のためのテキスト代1,000円を現金で支払った


借方貸方
新聞図書費1,000円現金1,000円

例:セミナー受講のためのテキスト代1,000円をクレジットカードで支払った

クレジットカードでの支払時

借方貸方
新聞図書費1,000円未払金1,000円

利用代金の引き落とし時

借方貸方
未払金1,000円預金1,000円

セミナー受講料を「研修費」など別の科目で仕訳する場合、同じ科目を用いてまとめて処理する方法でも仕訳できます。

まとめ

セミナーや研修の受講料は、基本的に経費として計上できます。ただし個人事業主の場合、業務に直接的に必要な内容でないと経費計上ができません。

仕訳の際の勘定科目は主に「研修費」を使用します。用いる勘定科目に法的な決まりはなく、目的にあわせ「交際費」「福利厚生費」「新聞図書費」なども使用できます。

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よくある質問

セミナー受講料は経費にできる?

法人の場合、セミナー受講料は将来的に業務に役立つものも含めて、幅広く経費にできる可能性が高いです。個人事業主の場合は、業務との直接的な関連が必要です。

セミナー受講料の経費計上を詳しく知りたい方は、「セミナー受講料は経費にできる」をご覧ください。

セミナー受講料に用いる勘定科目

セミナー受講料の仕訳には、「研修費」のほか、「交際費」「福利厚生費」など目的にあった勘定科目を使用できます。少額で特に管理する必要がない場合は、「雑費」でも処理できます。

セミナー受講料の勘定科目を詳しく知りたい方は、「セミナー受講料に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮