監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
お茶代の仕訳では、消耗品費や会議費、交際費や福利厚生費などの勘定科目が用いられます。各勘定科目を解説し、事例とともに仕訳を紹介します。
会議で出したお茶や従業員が勤務中に飲む飲み物などの費用は、どの勘定科目を用いればよいか悩むケースが多い項目です。勘定科目の内容と仕訳の仕方を理解し、適切な経費計算を行いましょう。
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目次
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お茶代は経費にできる?
お茶代は、事業に関して使用された費用であれば経費で計上できます。具体的には、従業員が仕事中に飲むお茶代・来客に出したお茶代・社内の会議や取引先との打ち合わせで支払ったお茶代などです。
事業と関係のないお茶代、たとえばプライベートで購入したお茶の費用は当然のことながら経費にできません。また、お茶代が支払われた内容により、用いる勘定科目が異なる点に注意しましょう。
お茶代に用いる勘定科目
お茶代の仕訳では、主に次の勘定科目が用いられます。
お茶代に用いる勘定科目
- 従業員が飲むお茶を購入した場合は【消耗品費】
- 会議に出すお茶を購入した場合は【会議費】
- 社外の人に出す目的で、一定金額を超える場合は【交際費】
- 従業員の福祉向上を目的とする場合は【福利厚生費】
各勘定科目の特徴を理解し、内容に応じて区別しましょう。
【消耗品費】
消耗品費は文房具や用紙などの消耗品購入費、使用期間が1年未満か取得金額が10万円未満の什器備品の購入費で用いる勘定科目です。
給湯室に常備するお茶、従業員が休憩時間や勤務中の水分補給のために飲むお茶などは、通常、消耗品費の勘定科目で仕訳を行います。
【会議費】
会議費とは、会社の事業に関する社内外の会議、商談や打ち合わせで必要な費用に用いる勘定科目です。会議などで出す飲み物のほか、昼時を挟んで開催された会議の昼食なども会議費で計上可能です。
【交際費】
交際費とは、商談などで来訪した取引先などのために購入した手土産代などに用いる勘定科目です。
通常、手土産を購入した場合は交際費、一緒に参加しての打ち合わせを行う場合は会議費を用いましょう。
【福利厚生費】
従業員の福利厚生目的で購入したお茶代は、福利厚生費で計上できます。
なお、福利厚生費で計上するためには、機会の平等性の観点から、すべての従業員が利用できるものである必要があります。また、支給する金額も社会通念上、常識と捉えられる範囲のみです。
ただし、条件が平等であればよく、すべての従業員が利用している必要はありません。たとえば誰もが利用できる給湯室のお茶の購入費用であれば、条件は平等となっているので福利厚生費で計上できます。
【事例で解説】お茶代の仕訳例
お茶代の仕訳は内容や目的で勘定科目が違います。代表的な2つのケースを例に仕訳を紹介します。
お茶代の仕訳例
- 従業員が飲む目的で購入したお茶代の場合
- 会議で提供するお茶代の場合
従業員が飲む目的で購入したお茶代の場合
従業員が飲む目的で購入したお茶代(3,000円)の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 3,000円 | 普通預金 | 3,000円 |
借方に消耗品費などの勘定科目を立て、貸方に支払方法に応じた勘定科目(今回は口座振替なので普通預金)で金額を計上します。
従業員に4,000円を持たせて買い出しに行かせ、3,000円分のお茶を購入してもらってあとで精算した場合は仮払金で処理しましょう。仕訳例は次の通りです。
●仮払い時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仮払金 | 4,000円 | 現金 | 4,000円 |
●精算時
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 3,000円 | 仮払金 | 4,000円 |
現金 | 1,000円 |
なお、従業員すべてに平等な条件で支給される場合は福利厚生費でも計上できます。福利厚生費で計上する場合のお茶代(3,000円)の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
福利厚生費 | 3,000円 | 普通預金 | 3,000円 |
会議で提供するお茶代の場合
会議で提供するお茶代は、会議費で計上します。社内会議などで出すお茶やコーヒーの費用(10,000円)の仕訳例は次の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
会議費 | 10,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
お茶代を経費に計上する際のポイント・注意点
お茶代を経費に計上する際には、使用される目的や実態の把握がポイントです。以下の3つにわけて注意点を解説します。
お茶代を経費に計上する際のポイント・注意点
- 使用される目的で勘定科目が異なる
- 社外の人を含む会議では要件に注意する
- 個人事業主は交際費を経費計上できる
使用される目的で勘定科目が異なる
お茶代は従業員のためなのか、取引先との商談が目的なのかで使用される勘定科目が異なります。提出された領収書だけでは判断に迷う場合は、従業員に使用した目的や用途を細かく確認しておきましょう。
仕訳の際は、確認した目的や用途を摘要欄に記入します。たとえば「従業員用のお茶を購入」「〇〇社との商談で購入」などと記入しておくと、あとでチェックする際に役立ちます。
使用される目的で勘定科目が異なる
社外の人を含む会議など、交際費に該当する可能性のある場面での費用には注意が必要です。
会議費で経費計上するためには、参加者1人あたりの費用が10,000円以下でなければなりません。金額基準である10,000円の判定や交際費額の計算は、法人の適用している消費税の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)にもとづいて行います。
そのほか、会議費で計上する際は次の内容の保管が求められます。
保存すべき書類の内容
- 飲食などのあった年月日
- 得意先などの氏名および名称、関係
- 飲食に参加した人の数
- 飲食の金額、飲食店の名称および所在地
- そのほか、飲食に要した費用であることを明らかにする事項
飲食の年月日や金額、飲食店の名称や所在地は領収書に記載されていることが多いです。得意先の氏名や参加人数など、足りない部分を領収書などに追記しておくなど対処しておきましょう。
使用される目的で勘定科目が異なる
法人の場合は交際費の区別が必要ですが、「法人が」取引などを接待する際に適用される項目です。
個人事業主は、事業に必要な費用であれば経費計上が可能です。消耗品費・会議費・交際費・福利厚生費などのなかから、どの勘定科目を用いても問題ありません。
ただし、福利厚生費は従業員の福祉向上のための科目です。従業員を雇用していない個人事業主は用いることができない点に注意しましょう。
まとめ
一口にお茶代といっても、取引先の商談用や従業員の休憩用などさまざまなシーンでお茶代は発生します。事業に関するお茶代は経費計上できます。
ただし、用途によって用いる勘定科目が違うので、どの場面でどの勘定科目を用いればよいか事前に把握しておきましょう。
法人の商談は交際費に該当する場合があり、交際費は原則損金算入できません。なお、令和6年度税制改正では、判定基準を1人1回5,000円から10,000円へ増額する内容が盛り込まれました。最新の情報をチェックし、適切に処理していきましょう。
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監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。