勘定科目の基礎知識

納税証明書の勘定科目は? 発行手数料の仕訳例を具体例で解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

納税証明書の勘定科目は? 発行手数料の仕訳例を具体例で解説

納税証明書の取得にかかった発行手数料(交付手数料)は、「租税公課」を用いて経費に計上できます。本記事では納税証明書の勘定科目を解説します。

納税証明書とは、納税すべき金額や納税額を証明する書類のことで、銀行融資の申込みや国・都道府県などが行う事業への入札申請などに必要です。

納税証明書に用いる勘定科目のほか、会計処理する際のポイントや、実例を用いた仕訳方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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納税証明書の発行手数料は経費にできる?

納税証明書の取得にかかった発行手数料(収入印紙または現金)は、経費として計上できます。

納税証明書とは、納税すべき金額や納税額を証明する書類です。

銀行融資を受ける際や、国や都道府県が行う事業に入札する際などに提出を求められます。

納税証明書の種類

納税証明書は、大きく「国税(法人税や消費税など)」と「地方税(住民税や事業税など)」に分けられます。

国税の納税証明書は、以下の6種類です。

納税証明書の種類証明内容
その1納付すべき税額、納付した税額および未納税額等
その2「申告所得税及復興特別所得税」または「法人税」の所得金額
その3未納の税額がないこと
その3の2「申告所得税及復興特別所得税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないこと(個人用)
その3の3「法人税」と「消費税及地方消費税」に未納の税額がないこと(法人用)
その4証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないこと
出典:国税庁「納税証明書を請求される方へ」

それぞれ証明内容が異なるため、提出を求められたときに必要な納税証明書の種類を確認しておきましょう。

納税証明書に用いる勘定科目

納税証明書の発行手数料を支払ったときは、一般的に「租税公課」または「支払手数料」の勘定科目を用いて経費に計上します。

納税証明書に用いる勘定科目

  • 「租税」と公課を納めたときは【租税公課】
  • 商品やサービスに付随して発生する手数料や専門家への報酬は【支払手数料】

【租税公課】

納税証明書の発行手数料を支払ったときは、勘定科目「租税公課」を用いて経費に計上します。「租税公課」とは、国や地方に納める「租税」と公共団体に納める「公課」(会費や罰金など)を納めたときに用いる勘定科目です。

納税証明書のほかに、登記事項証明書や印鑑証明書、住民票を取得する際にかかった費用も「租税公課」で処理します。

【関連記事】
所得税や消費税など税金の支払いはどうなる?租税公課について

【支払手数料】

納税証明書の発行手数料を支払ったとき、「支払手数料」の勘定科目で処理する場合もあります。

「支払手数料」とは、商品やサービスに付随して発生する手数料や、専門家(税理士や司法書士など)に報酬を支払ったときに使う勘定科目です。

【関連記事】
支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説

【事例で解説】納税証明書の仕訳例

納税証明書の発行手数料を支払ったときの仕訳例をいくつか紹介します。

納税証明書の仕訳例

  • 納税証明書の発行手数料400円を現金で支払った場合
  • e-Taxで納税証明書を交付申請し、郵送で受け取った場合
  • 郵送で納税証明書を交付申請した場合
  • 個人事業主が納税証明書の発行手数料を個人資金で支払った場合

納税証明書の発行手数料400円を現金で支払った場合

納税証明書を発行し、交付手数料400円を現金で支払ったときは、次のように仕訳します。


借方貸方
租税公課400円現金400円

e-Taxで納税証明書を交付申請し、郵送で受け取った場合

e-Taxで納税証明書の交付請求を行い、郵送(簡易書留)で受け取った場合の仕訳を紹介します。

発行手数料370円、簡易書留の郵送料434円をインターネットバンキングなどで支払った場合の仕訳は、以下の通りです。


借方貸方
租税公課370円普通預金400円
通信費434円

※金額は一例です。

郵送で納税証明書を交付申請した場合

納税証明書を郵送で交付申請し、発行手数料(収入印紙)400円、切手代518円(送付用84円、返信用封筒用434円)をインターネットバンキングなどで支払った場合は、次のように仕訳します。


借方貸方
租税公課400円普通預金918円
通信費518円

※金額は一例です。

個人事業主が納税証明書の発行手数料を個人資金で支払った場合

個人事業主が事業用に納税証明書を発行し、発行手数料400円を個人用の資金から支払った場合は、「事業主借」を用いて仕訳します。


借方貸方
租税公課400円事業主借400円

納税証明書の取得費用を会計処理する際のポイント・注意点

納税証明書の取得にかかった費用を会計処理する際におさえておきたいポイント・注意点を解説します。

納税証明書の取得費用を会計処理する際のポイント・注意点

  • 納税証明書の発行手数料に消費税はかからない
  • 私的に納税証明書を取得した場合は経費にならない
  • 一度決めた勘定科目を継続して使用する
  • 摘要欄を活用する

納税証明書の発行手数料に消費税はかからない

国や地方公共団体に支払った行政手数料は、税金としての性格を有するため、消費税の非課税取引とされています。

会計ソフトで「支払手数料」を用いて処理する際、税区分を間違えないよう気を付けましょう。

会計ソフトでは、「支払手数料」で仕訳を行うと、自動的に税区分が「課税仕入」となる場合があります。

納税証明書の発行手数料に消費税はかからないため、税区分は「非課税仕入」で登録しましょう。

私的に納税証明書を取得した場合は経費にならない

納税証明書の発行手数料を「租税公課」として経費に計上できるのは、事業に関連する場合に限られます。

個人的に納税証明書や住民票の写しを取得した際に支払った発行手数料は、経費に計上できません。

なお、個人事業主が個人的な支払いを事業資金から支払った場合は、勘定科目「事業主貸」を用いて処理します。

一度決めた勘定科目を継続して使用する

勘定科目の使い方に法的なルールはないため、「租税公課」「支払手数料」のどちらを用いても法律上問題はありません。

ただし、企業会計には「継続性の原則」があります。

「継続性の原則」とは、決めたルールは毎期継続して運用し、みだりに変更してはならないという原則です。ルールがきちんと決まっていないと、費用の内容を正しく把握できず、経営状況の判断が難しくなります。

勘定科目を一度決めたあとは、継続性の原則にもとづき一貫性をもって処理しましょう。

摘要欄を活用する

会計ソフトには、仕訳だけではわからない具体的な取引内容を記入するため、摘要欄が設けられています。

「租税公課」や「支払手数料」は、納税証明書以外にもさまざまな取引で使用する勘定科目です。

項目内容
租税公課の例 ・印紙税
・固定資産税
・自動車税
・法人事業税
・不動産取得税
・登録免許税
・公共サービスに対する手数料
・商工会などの会費や組合費
支払手数料の例 ・金融機関の振込手数料
・為替手数料
・ATM手数料
・不動産の賃貸にかかる手数料
・専門家に支払う報酬

納税証明書の交付手数料を支払った際は、取引内容がわかるよう摘要欄に入力しましょう。

会計ソフトによっては、摘要欄の内容で絞り込み検索できる場合もあります。

まとめ

納税証明書を取得する際に支払った発行手数料は、「租税公課」や「支払手数料」を用いて経費に計上しましょう。

登記事項証明書や印鑑証明書、住民票の写しを取得した際も同様に処理できます。

ただし、事業に関連するものに限り経費として認められます。個人的な理由で納税証明書を取得した場合、経費には計上できません。

納税証明書に用いる勘定科目を把握し、正確に仕訳しましょう。

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よくある質問

納税証明書に用いる勘定科目は?

納税証明書の発行手数料を支払ったときは、一般的に「租税公課」または「支払手数料」の勘定科目を用いて経費に計上します。

納税証明書に用いる勘定科目を詳しく知りたい方は「納税証明書に用いる勘定科目」をご覧ください。

納税証明書の発行手数料に消費税はかかる?

国や地方公共団体に支払う行政手数料は、税金としての性格を有するため、消費税が課税されません。

納税証明書の消費税の取り扱いを詳しく知りたい方は「納税証明書の発行手数料に消費税はかからない」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮