勘定科目の基礎知識

レンタル代の勘定科目は? 仕訳時の注意点やリースとの違いも解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

レンタル代の勘定科目は? 仕訳時の注意点やリースとの違いも解説

事業に関連する施設や機材などをレンタルした場合は、レンタル代を経費計上できます。レンタル代の仕訳には主に「賃借料」の勘定科目を使用します。

なお、レンタルの内容によってはほかの勘定科目を使うケースもあるため、状況に応じて使い分けられるようになりましょう。

本記事では、レンタル代の勘定科目仕訳時の注意点のほか、レンタルとリースとの違いも解説します。

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目次

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レンタルとリースの違いは?

レンタルとは、レンタル会社がすでに所有している物品(設備や機械など)を貸し出す、あるいは賃借することです。基本的に賃貸できるものは中古品となり、数ヶ月から1年程度の短期契約がメインです。

レンタルは、保守・修繕義務を負わなくてよいなどのメリットがある反面、契約コストは高くなる傾向があります。

一方、リースとは、借主の選んだ物品をリース会社が代わりに購入し、比較的長期にわたって賃借する取引のことです。

リースは、自社にとって必要なものを新品で賃借できる点が最大のメリットですが、数年単位での契約が必要であったり、管理責任が借主にあったりとデメリットもあります。

レンタルとリースの主な違いは以下です。


レンタルリース
対象レンタル会社が所有している物品から選択借主が指定した物品をリース会社が新規購入
契約期間1日~数年単位で自由に契約が可能一般的に3年~10年の長期契約
所有権レンタル会社リース会社
中途解約可能原則、不可
保守・修繕義務レンタル会社賃借人
契約コスト割高になる傾向があるレンタルより低い傾向がある
契約終了後の扱い返却返却または再契約して延長

一般的に、一時的に利用したいものはレンタル、工場で使う機材やIT機器など長期で利用したいものはリースが望ましいとされています。

レンタル代の仕訳に使う勘定科目

レンタル代は経費として計上できます。レンタル代の仕訳に使う主な勘定科目は、主に以下の4つです。

レンタル代の勘定科目

  • 事業に必要な物品などをレンタルした場合は【賃借料】
  • 会議室をレンタルした場合は【会議費】
  • 建物や土地を借りた場合は【地代家賃】
  • レンタカーを借りた場合は【旅費交通費】
  • ほかの勘定科目に当てはまらない場合は【雑費】

各勘定科目をそれぞれ解説します。

【賃借料】

機械や車両、パソコンなど事業に必要なものをレンタルする際に支払った費用には「賃借料」の勘定科目を使用します。

たとえば、以下のような費用はすべて賃借料の勘定科目で仕訳が可能です。

賃借料を用いる主な費用

  • 会議室やバーチャルオフィスの使用料
  • 備品の賃借料
  • 機械の賃借料
  • 工具の賃借料
  • 自動車のレンタル料

一般的に、レンタル代の仕訳では、賃借料の勘定科目を用いるケースが多いです。

【会議費】

クライアントの打ち合わせや、社内会議を目的として費用を支出したときに使う勘定科目は「会議費」です。

貸し会議室など、会議を行う目的で施設・設備をレンタルした場合は、会議費の勘定科目を用いても問題ありません。

【地代家賃】

借りている建物や土地の賃料を支払ったときに使う勘定科目は「地代家賃」です。建物や土地のレンタル代の場合は、地代家賃の勘定科目で仕訳をすることもできます。

たとえば、以下のような費用が該当します。

地代家賃を用いる主な費用

  • 事務所や店舗の家賃・共益費・管理費
  • 社用車を駐車するための月極駐車場の料金
  • 倉庫やトランクルームなどの賃借料
  • 20万円以下の礼金・更新料・権利金

なお、社宅や自宅兼事務所の家賃も、家事按分して地代家賃の勘定科目を用いて仕訳が可能です。

【旅費交通費】

日々の業務で利用する交通費や出張時の宿泊費などを支払ったときには「旅費交通費」の勘定科目を使用します。

たとえば、以下のような費用が該当します。

旅費交通費を用いる主な費用

  • レンタカーの代金
  • レンタカーに関連するガソリン代
  • レンタカーの保険代

【雑費】

法人事業で本業以外の比較的料金が小さく、ほかのどの勘定科目も当てはまらないときの勘定科目は「雑費」です。

レンタル代は雑費の勘定科目で仕訳しても問題ありません。ただし、費用の内容が不明瞭になりやすい点には注意が必要です。

レンタル代の仕訳に関する注意点

レンタル代を仕訳する際は、いくつか注意点があります。以下、主な注意点を紹介するので、把握しておきましょう。

頻繁に使う機材・備品のレンタル代には「雑費」の勘定科目を避ける

レンタル代に雑費の勘定科目を用いること自体は問題ありません。

しかし、勘定科目は一度採用すると継続して使用するという「継続性の原則」があるため、簡単に変更できない点に注意が必要です。

一時的なレンタルであれば、雑費で処理してもよいですが、頻繁に使用する物品に関しては、適した勘定科目を用いるほうがよいでしょう。

また、雑費が多額になると税務調査や会計監査などで、精査される可能性も高まる傾向があります。

【関連記事】
雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

レンタル期間が年をまたぐ場合は会計処理が異なる

レンタル期間が年をまたぐ場合は、レンタル代を支払うタイミングやレンタル期間の長さなどで会計処理が異なります。

レンタル代を前払いする場合、レンタル期間が1年以内であれば、短期前払費用の特例を用いることでレンタル代を支払った際に経費計上が可能です。

一方、レンタル期間が1年超の場合は、全額を支払った際に「前払費用」として資産に計上し、年末にその年度分のレンタル料を経費に振り替えます。

また、レンタル代の支払いが、年をまたいで後払いになることもあるでしょう。その場合は、その年度のレンタル期間の代金のみを決算時期に未払経費として計上し、残額は支払い時に賃貸料として計上します。

【事例で解説】レンタル代の仕訳例

レンタル代は、主に賃借料の勘定科目を用いて仕訳をするケースが多いですが、レンタルするものによっては、ほかの勘定科目を用いても問題ありません。

以下、それぞれの勘定科目を用いた具体的な仕訳例を紹介します。

イベントで使う音響機材を10万円でレンタルした場合

音響機材のレンタル代は賃借料の勘定科目で仕訳します。たとえば、イベントで使う音響機材を10万円でレンタルした場合の仕訳は以下です。


借方貸方
賃借料100,000円普通預金100,000円

会議をするために貸し会議室をレンタルして2万円を支払った場合

取引先との会議目的で貸し会議室をレンタルした場合は、会議費で仕訳することができます。

たとえば、会議をするために貸し会議室をレンタルして2万円を支払った場合の仕訳は以下です。


借方貸方
会議費20,000円普通預金20,000円

社員が出張先でレンタカーを利用して1万5千円を支払った場合

出張先でレンタカーを利用した場合は、旅費交通費を使用して仕訳をすることもできます。

たとえば、社員が出張先でレンタカーを利用して1万5千円を支払った場合の仕訳は以下です。


借方貸方
旅費交通費15,000円現金15,000円

まとめ

業務にかかわる事務所や機材などのレンタル代は経費として計上可能です。レンタル代の仕訳には、一般的に「賃借料」の勘定科目が用いられることが多いですが、レンタルするものによって「地代家賃」や「旅費交通費」などを用いるケースもあります。

また、レンタル代は「雑費」として処理することも可能です。ただし、費用が不明瞭になる傾向があるため、使用頻度の高い物品をレンタルする場合や、雑費で処理している経費が多い場合などは、雑費で処理することを避けたほうが無難です。

レンタル代の勘定科目はいくつか種類があるため、状況にあわせて適切に処理しましょう。

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よくある質問

レンタルとリースの違いは?

レンタルは、レンタル会社がすでに所有している物品を貸し出すことです。一方、リースは、借主の選んだ物品をリース会社が代わりに購入して賃貸する取引のことです。

レンタルとリースの違いを詳しくは知りたい方は「レンタルとリースの違いは?」をご覧ください。

レンタル代の仕訳に使う勘定科目は?

事業に直接かかわるレンタル代は経費として計上可能です。仕訳時に用いる勘定科目は、一般的に「賃貸料」とするケースが多いですが、レンタルするものによって「地代家賃」や「旅費交通費」などを用いても問題ありません。

レンタル代の勘定科目を詳しく知りたい方は「レンタル代の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮