勘定科目の基礎知識

切手の勘定科目は? 収入印紙との違いや仕訳方法、消費税の取り扱いなどを解説

監修 安田 亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

切手の勘定科目は? 収入印紙との違いや仕訳方法、消費税の取り扱いなどを解説

請求書や資料の発送など、さまざまな郵便物の発送に使用されるのが切手です。業務上の必要性があり、法人で大量に購入するケースもあるでしょう。

切手の一般的な購入場所は郵便局ですが、コンビニやチケットショップなどでも購入できます。切手の仕訳に用いる勘定科目は「貯蔵品」と「通信費」です。

本記事では、切手の購入時や使用時に行う会計処理の方法を、原則的な処理と例外的な処理に分けて事例で解説し、実際の具体的な仕訳例も紹介します。

また、切手は購入時と使用時で消費税の取り扱いが異なるため注意が必要です。複雑な税金の処理もあわせて解説します。

目次

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切手は経費にできる?

切手代は、適切な会計処理の元であれば経費として計上できます。

切手に関連する仕訳方法は、購入時は資産として計上し、使用したタイミングで費用計上する方法と、購入したタイミングで費用計上する方法です。

購入したタイミングで費用計上する場合、まとめ買いをした切手のうち、期末時点で未使用分があれば棚卸をして残高を確認し、資産として振り替えます。

なお、費用計上できるからといって、購入すればするほど無条件に経費として認められるわけではありません。税務調査の際に、購入した切手がきちんと事業に必要だと証明する必要があります。

切手の勘定科目

切手の仕訳に使用する勘定科目は、「貯蔵品」と「通信費」の2つです。

各勘定科目をそれぞれ詳しく解説します。

貯蔵品

切手を購入した際に使用する勘定科目は、原則「貯蔵品」です。ただし、郵便物を発送するために使用したタイミングで、「通信費」へ振り替えが必要です。

通信費

切手を使用した際に使用する勘定科目は、「通信費」です。

法人など業務で必要な切手は、ある程度の枚数を継続してまとめ買いしている場合、購入したタイミングで「通信費」の勘定科目で計上しても問題ありません。切手を購入してすぐ使用する場合も同様です。

ただし、仕訳のつど処理方法を変えてもよいわけではありません。企業ごとに定められた会計ルールは、原則継続して同一の処理を行いましょう。

切手の購入時に費用計上する場合、期末時点で余った未使用の切手は、残高を確認し、決算整理で「通信費」から資産の勘定「貯蔵品」へ振替計上します。

切手以外の郵便代の勘定科目は?

郵便局が取り扱う商品やサービスには、切手以外にも多数の種類があります。

切手がすでに印刷されている官製はがきは、切手と同じ取り扱いです。会計の方針に則って、「貯蔵品」や「通信費」の勘定科目を用いて仕訳します。

官製はがきとは逆に、切手が印字されておらず、郵送時に切手を自分で貼付するはがきは、一般的な文房具類と同様に「消耗品費」や「事務用品費」で処理をしましょう。

切手・はがき以外の郵便商品には、書留・配達記録・レターパック・宅配便などがあります。これらのサービスを利用した場合、通信目的であれば「通信費」、商品発送の経費は売上原価として「荷造運賃費」の勘定科目を使用します。

切手と収入印紙の違い

収入印紙も切手と同じく郵便局・コンビニ・チケットショップなどで購入できます。収入印紙と切手は見た目が似ていますが、用途は別物です。

また、使用する勘定科目も一部異なります。次項では収入印紙の概要を解説します。

収入印紙とは

収入印紙は、契約書や領収証・申請書など、印紙税が課税される文書に貼付する証票です。

該当の文書に収入印紙を貼付し、使用済みである証明として消印すると、印紙税を納付した扱いになります。

収入印紙は、切手と同じく郵便局・コンビニ・チケットショップなどで購入できます。なお、印紙税は、取引の内容により課税される金額が異なるため注意しましょう。

適切な金額の収入印紙が貼付されていない場合は過怠税が課され、徴収される金額は本来必要であった印紙税額の3倍相当です。

また、消印がない場合も過怠税の対象となり、額面と同じ金額を徴収されます。余分な金額の税金を納付する事態にならないよう、貼り忘れ・消印漏れには注意が必要です。

収入印紙の勘定科目は「租税公課」「貯蔵品」

収入印紙の勘定科目は「租税公課」「貯蔵品」を使用します。購入時に資産計上と費用計上する方法がある点は切手の処理方法と同様です。

購入したタイミングで「租税公課」で費用計上する場合、期末時点で未使用の残高があれば「貯蔵品」として資産計上します。

【切手は非課税?】切手における消費税の取り扱い

まず原則として、郵便局での切手購入は非課税取引であり、使用時に消費税が課税されます。ただし郵便料金には消費税が含まれており、購入時に経費として計上する場合は課税取引として処理します。

切手の購入が非課税取引になるのは、郵便局もしくは郵便切手類販売所として定められたコンビニなどで購入する場合のみです。

金券・チケットショップなどで切手を購入する際は課税取引の扱いです。

【事例で解説】切手の仕訳例

切手の仕訳例を、原則的な仕訳と例外的な仕訳に分けて解説します。

いずれの方法で仕訳しても、一度決定した方針は基本的に継続するようにしましょう。

切手の原則的な仕訳方法

購入時に貯蔵品として計上する方法を解説します。

例:84円切手を100枚、現金で購入した

借方貸方
貯蔵品8,400円現金8,400円

例:84円切手を1枚使用した

借方貸方
通信費84円貯蔵品84円

切手の例外的な仕訳方法

購入時に通信費として計上する方法を解説します。

例:84円切手を100枚、現金で購入した
<【借方】通信費 8,400円 / 【貸方】現金 8,400円>

借方貸方
通信費8,400円現金8,400円

例:未使用の84円切手20枚を期末に貯蔵品に振り替えた

借方貸方
貯蔵品1,680円通信費1,680円

まとめ

切手代は適切な会計処理の元であれば経費として計上できます。

経費計上するタイミングは会計の方針によって異なり、切手の購入時か使用時です。

購入時に経費として計上する場合は、期末に未使用の切手があれば残高を確認して貯蔵品の科目に振り替えます。

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よくある質問

切手は経費にできる?

切手は経費として計上できますが、仕訳のタイミングに注意が必要です。

切手の経費計上を詳しく知りたい方は「切手は経費にできる?」をご覧ください。

切手の勘定科目は?

切手の購入時や使用時に仕訳をする際、勘定科目は「貯蔵品」「通信費」を使用します。

切手の勘定科目を詳しく知りたい方は、「切手の勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮