勘定科目の基礎知識

害虫駆除の勘定科目は?経費にできる・できないパターンも紹介

害虫駆除の勘定科目は?経費にできる・できないパターンも紹介

事業を進めていくうえで、ゴキブリやシロアリなどの害虫に頭を悩ませることも多いでしょう。特に、オフィスや事業所での害虫駆除においては、駆除にかかった支出をどの勘定科目で処理するか、経費として認められるかどうかを理解しておくことが非常に大切です。

本記事では、害虫駆除にかかる支出の勘定科目の選定や、どのケースで経費として計上できるのか、具体的な仕訳例を交えながらわかりやすく解説していきます。

目次

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害虫駆除の勘定科目

害虫駆除に使用する主な勘定科目は以下のとおりです。

害虫駆除に使用する勘定科目

  • 衛生費
  • 消耗品費
  • 修繕維持費
  • 支払手数料

ここでは、害虫駆除の勘定科目ごとに適用できるケースについてもあわせて解説します。

衛生費

衛生費を使用するのは、オフィスや施設に発生したスズメバチやシロアリなど素人だけでの対処が難しい害虫の駆除を専門業者に依頼した場合などです。

また、ネズミなどの害獣が飲食店や食品倉庫で発生した場合の駆除にかかった支出も、衛生費として仕訳します。

消耗品費

従業員が日常的に使用するために購入した殺虫剤などは、「消耗品費」として計上します。たとえば、事業所や店舗で害虫が発生したときのために購入した殺虫スプレーなどがこれに該当します。

消耗品費の対象となる支出の範囲は広いため、摘要欄に「害虫駆除剤購入費用」など具体的に記載することでいつ見返してもわかるようにしましょう。

修繕維持費

シロアリ発生による建物の損傷を修繕し、あわせて害虫駆除を行った場合の費用は修繕維持費として計上できます。修繕維持費として計上される具体例は、以下のとおりです。

修繕維持費が適用されるケース

  • 事務所の柱がシロアリによってダメージを受けた
  • 柱に加え壁も損傷を受けた

このようなケースでは、費用の総額を「修繕維持費」として計上し、摘要欄に「害虫駆除および柱の修繕」など、具体的な依頼内容を記載します。

外注費

害虫駆除を外部の害虫駆除業者に依頼した場合の費用は、「外注費」や「支払手数料」としても処理できます。外注費は衛生費や修繕費に該当しないが、外部に駆除を委託した場合などに使用します。

また、外注費にはさまざまな費用が含まれるため、後から内容が確認できるよう、摘要欄に具体的な駆除内容、害虫の種類などを明記しておきましょう。

害虫駆除にかかる費用相場

害虫駆除費用は、対象となる害虫の種類や発生状況、施工内容によって大きく異なります。


害虫の種類駆除にかかる費用相場
ゴキブリ10,000~50,000円前後
ハエ10,000〜20,000円前後
シロアリ1,000~3,000円/㎡
トコジラミ1,800~3,000円/㎡

上記はあくまで参考のための目安であり、実際の費用は害虫の種類や発生状況、また作業内容によって大きく異なる場合があります。

正確な料金を把握するためには、複数の専門業者から見積もりを取得し、しっかりと比較検討することが大切です。

害虫駆除の費用が経費になるパターン

害虫駆除にかかる支出が経費になるかは、駆除の対象範囲や事業への関連の有無によって異なります。

害虫が発生した場所が製品を取り扱う場所であったり、従業員の健康に害する可能性があったりすれば経費計上が可能です。ただし、上述したようにその支出内容に応じて正確に仕訳しなければ、経費として認められない場合もあるため注意しましょう。

害虫駆除の費用が経費にならないパターン

害虫駆除費用を経費計上できないのは、事業に関係がない場合です。

たとえば、事業所が自宅内にあったとしても、害虫駆除の範囲が自宅全体やオフィススペース以外のためであれば経費には該当しません。

また、個人事業主が自宅兼事務所で害虫駆除を行った場合、事業に使用している部分と生活に使用している部分を適切に区分しなければなりません。これを家事按分といい、この按分を正しく行わなければ、全額が経費として認められないこともあります。

家事按分について詳しく知りたい方は、別記事「家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。

また、自宅の害虫駆除のために支出があった場合、経費計上できなくても、確定申告時に「雑損控除」を受けられます。ただし、予防のための支出は該当しないため注意しましょう。

害虫駆除の仕訳例

ここでは、害虫駆除の仕訳例を以下のパターンごとに解説します。

害虫駆除の仕訳例

  • 事務所の害虫予防に通販で防虫剤を購入した場合
  • 害虫が発生したため業者に駆除依頼を行った場合
  • 自宅の作業スペース用に殺虫剤を購入した場合

事務所の害虫予防に通販で防虫剤を購入した場合

害虫予防のために防虫剤を購入した場合の勘定科目は、一般的に「消耗品費」が使用されます。実際の仕訳例は以下のとおりです。

<1,000円の防虫剤を事務所用に購入した場合の仕訳例>

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消耗品費:1,000円現金:1,000円
(害虫予防用の防虫剤購入費用として)

害虫が発生したため業者に駆除依頼を行った場合

外部業者に害虫駆除を依頼した場合の勘定科目は、「衛生費」や「外注費」を使います。仕訳例は、以下のとおりです。

<外部の業者に1万円で害虫駆除を依頼した場合の仕訳例>

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外注費:10,000円現金:10,000円
(害虫駆除の委託費用として)

自宅の作業スペース用に殺虫剤を購入した場合

個人事業主の場合、プライベートな支出の経費計上はできません。ただし、自宅であっても事業用スペースのための殺虫剤の費用であれば、「消耗品費」として経費計上できます。

<自宅の事業用スペースのために800円の殺虫剤を購入した場合の仕訳例>

借方貸方
消耗品費:800円現金:800円
(殺虫剤の購入費用として)

害虫駆除の費用を仕訳する際の注意点

害虫駆除にかかった支出を仕訳するときに、「雑費」を使うのは適切ではありません。

駆除が季節ごとや1年をとおして害虫駆除が必要である場合は、別途勘定科目を設定しましょう。どうしても「雑費」を使用しなければならない場合は、摘要欄に具体的な支出内容を記載することで、詳細を把握できるようにします。

「雑費」の勘定科目を多用することで、税務調査時に調査の目が厳しくなることも考えられるため、仕訳はより明確にわかりやすく行いましょう。

まとめ

害虫駆除のための支出を適切に経費計上するためには、正しい勘定科目の選定はもちろん、誰が見てもすぐに支出の理由がわかるようにしなくてはなりません。

害虫駆除を行った際の勘定科目には衛生費・消耗品費・修繕費・支払手数料などが挙げられますが、どの科目を使うかは駆除の目的や実施状況によって異なります。

また、害虫駆除にかかる支出が経費として認められるかは、その対象が事業に関わるのかどうかで変わります。害虫駆除費用の仕訳に迷ったら、どのエリアをなんの目的で行ったのかを整理するなどして、誤った経費計上をしないようにしましょう。

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よくある質問

害虫駆除の勘定科目には何がある?

害虫駆除に該当する勘定科目の例は、以下のとおりです。

  • 衛生費
  • 消耗品費
  • 修繕費
  • 外注費

詳しくは記事内「害虫駆除の勘定科目」をご覧ください。

害虫駆除の費用が経費になるのはどんなとき?

事業に関連する害虫駆除であれば、費用を経費として計上できます。

詳しくは記事内「害虫駆除の費用が経費になるパターン」をご覧ください。

害虫駆除の費用は経費にできないこともある?

事業との関連性がない場合、たとえば自宅で殺虫剤を使った駆除にかかった費用は経費計上できません。

詳しくは記事内「害虫駆除の費用が経費にならないパターン」をご覧ください。