勘定科目の基礎知識

材料費とは? 勘定科目や仕訳の具体例、処理するときの注意点などを解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

材料費とは? 勘定科目や仕訳の具体例、処理するときの注意点などを解説

材料費は、とくに製造業または建設業を営んでいる場合に重要になる費用です。仕訳時は「材料」や「仕入高」の勘定科目を用いて処理します。

一般的な経費とは違い、材料費は売上・製造原価の勘定科目になるため、しっかりと内容を把握しておくことが大切です。

また、確定申告をする際は、白色申告と青色申告どちらを選択しているかで記入欄が異なる点にも注意が必要です。

本記事では、材料費の勘定科目や具体的な仕訳例、処理するときの注意点などを解説します。

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目次

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材料費とは

材料費とは、原価の3大要素のひとつであり、製品を製造する目的で材料(物品)を消費したときに発生する原価のことを指します。

製品の製造をする場合、仕入れた材料をすべて消費するとは限らないため、使用した分を材料費とすることが基本です。なお、材料費は大きく以下の2種類に分類できます。

材料費の種類

  • 製造にかかわる間接的な費用:間接材料費
  • 製造にかかわる直接的な費用:直接材料費

製造にかかわる間接的な費用は間接材料費

間接材料費は、製品を製造するために間接的にかかった区分の難しい原価のことです。ほかの製品でも使用できる補助材料費・工場消耗品・消耗工具備品費が該当します。

間接材料費内容
補助材料費接着剤や塗料など、製品の製造を間接的に支援する消耗品にかかる費用
工場消耗品機械油など工場の運営に必要な消耗品にかかる費用
消耗工具備品費金槌や定規など、耐久年数が1年未満または、金額が低く固定資産として扱わない工具備品の費用

製造にかかわる直接的な費用は直接材料費

直接材料費は、特定の製品を製造するために消費されたことが直接認識できるかつ、賦課できる原価のことです。直接材料費には、主要材料費・買入部品費が該当します。


直接材料費内容
主要材料費製品を構成する主要な材料にかかる費用
(たとえば、パンの製造であれば小麦粉が該当する)
買入部品費ボタンやノブなど、外部から購入して、そのまま製品に組み込む物品にかかる費用

材料費は個人事業主も経費にできる?

法人・個人事業主に限らず、事業に関わる材料を購入した場合は、費用として計上が可能です。

ただし、個人事業主の場合は、白色申告だと収支内訳書、青色申告だと決算書の4ページ目にある製造原価の計算に記載します。材料費は、一般的な経費とは異なる性質があるため、間違わないように注意しましょう。

材料費の仕訳で用いられる勘定科目

業種や規模などによっても異なりますが、材料費の仕訳に使う主な勘定科目は、以下の通りです。

材料費の勘定科目

  • 製造業・建設業を営む場合は【材料】
  • 製造業・建設業ではない場合は【仕入高】

それぞれ解説します。

【材料】

製造業または建設業を営む場合は、直接材料費・間接材料費に関係なく、材料費は「材料」の勘定科目を用いて処理します。

勘定科目の材料は、製造原価の項目のひとつです。原価計算が必要な製造業や建設業を営む場合は、個人事業主・法人ともに、決算書で製造原価の内訳を記載する必要があるため、材料の勘定科目で計上します。

【仕入高】

製造業または建設業を営んでいない、または原価計算の必要がない個人事業主の場合は、「仕入高」の勘定科目で処理できます。

仕入高は、事業で販売する商品を仕入れるためにかかった費用に用いる勘定科目です。

材料費の明記が必要ない白色申告の個人事業主などは、何かしらの製造をしていても仕入高の勘定科目を使用して問題ありません。

【関連記事】
仕入れとは?商品を仕入れた際の仕訳方法や勘定項目について解説

【事例で解説】材料費の仕訳例

材料費の仕訳は、業種や規模によって異なります。以下では材料費の仕訳に関して具体例をいくつか紹介します。

掛取引で製品の製造に必要な材料を仕入れた場合

製造業で製品の製造に必要な材料を仕入れた場合は、仕入れ時の仕訳のほか、製品を製造したときに振り替えを行う仕訳が必要です。

たとえば、製品を製造するための材料5万円分を掛けで仕入れた場合の仕訳は、以下の通りです。


借方貸方
材料50,000円買掛金50,000円

購入代金を支払ったときは以下の仕訳をしましょう。


借方貸方
買掛金50,000円普通預金50,000円

仮に製品の製造に伴い、2万円分(内訳:直接材料15,000円、間接材料費5,000円)を消費した場合は、以下のように振り替えを行います。


借方貸方
仕掛品15,000円材料20,000円
製造間接費5,000円

仕掛品とは、製品の製造過程にあり、仕掛中の未完成な製品のうち、販売不可能なものの在庫を処理するために用いる勘定科目です。

製造するときに消費した段階では、製品が完成しているとは考えられないため、一時的に仕掛品の勘定科目を使用して処理します。

仕入勘定で処理する場合

材料費の明記が必要ない個人事業主などは、仕入高の勘定科目を用いて処理できます。たとえば、ハンドメイドのアイテムを製造するために材料5万円分を現金で支払った場合の仕訳は、以下の通りです。


借方貸方
仕入高50,000円現金50,000円

材料費の仕訳に関する注意点

材料費の仕訳を行うときは、いくつか注意点があります。主な注意点を紹介するので確認しておきましょう。

確定申告するときは申告書の記入欄に注意する

個人事業主が確定申告をする際は、白色申告か青色申告どちらを選択しているかにより、記入欄が異なるため注意が必要です。

白色申告の場合は収支内訳書、青色申告の場合は決算書4ページ目にある製造原価の計算に記載後、1ページ目の売上原価欄に転記します。

経費の欄に記入してしまうと、売上・製造原価と、業務に必要な経費との区別ができなくなってしまうため、注意しましょう。

振り替えるタイミングに注意する

製品を製造して売上や費用にできるのは、原則、製品を引き渡したときです。製造している段階では費用にならないため、売上を計上した時点で仕掛品(製造中の物品)から費用に振り替える作業が必要です。

ただし、仕掛品から振り替えるタイミングを間違えると期ずれが生じてしまうため、計上漏れがないように注意しましょう。

また、期末時点で材料が残っている場合は、棚卸が必要です。残った材料は、期末に「期末原材料棚卸高」で売上原価から減算し、期首に「期首原材料棚卸高」として原価に加算します。

法人に限らず、確定申告を行う個人事業主の場合も同様に棚卸しが必要なため、12月31日時点に残った材料がある場合は、振り替えをしなければいけません。

まとめ

材料費は原価の3大要素のひとつで、製品を製造するために消費した材料(物品)に発生する原価のことです。

製造業または建設業の場合は、材料の購入時点で「材料」の勘定科目を使って処理し、消費時点で「仕掛品」や「製造間接費」などで仕訳を行います。

また、原価計算が必要ない場合は、購入時点で「仕入高」として処理することも可能です。

材料費は一般的な経費とは違う性質を持っているため、内容を把握して適切な仕訳をしましょう。

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よくある質問

材料費は経費にできる?

材料費は一般的な経費ではなく、製造原価として計上が可能です。

材料費を経費にできるか知りたい方は「材料費は個人事業主も経費にできる?」をご覧ください。

材料費の勘定科目は?

材料費は原価計算が必要な場合は「材料」、原価計算が必要ない場合は「仕入高」の勘定科目で処理できます。

材料費の勘定科目を知りたい方は「材料費の仕訳で用いられる勘定科目」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一