監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ
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法人や個人事業主が紹介料を支払うと、経費計上できる場合があります。紹介料を仕訳する際に使う勘定科目はケースによって異なるため注意が必要です。
不動産会社や人材紹介業者、従業員など、紹介料を渡す相手によって何の勘定科目を使うのか、記帳の仕方を確認しておきましょう。本記事では、紹介料に使う勘定科目や仕訳方法を解説します。
確定申告の基本をすべて解説!確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら
目次
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紹介料は経費計上できる?
経費にできる費用とは、事業に関係する支出です。事業に関係する紹介料であれば一般的に経費にできます。
紹介料を支払うケース
- 工事仲介業者に施工業者を紹介してもらった場合
- 不動産仲介業者に物件を紹介してもらった場合
- 人材紹介業者に相談して採用候補となる人材を紹介してもらった場合
- リファラル採用を実施している企業で従業員が採用候補者を紹介した場合
逆に、事業に関係ない紹介料を支払った場合は経費にできません。個人事業主が事業とは関係のない個人的な紹介料を支払い、事業用の口座から振り込んだ場合は、経費にあたらないため勘定科目「事業主貸」で仕訳します。
また、不動産を取得する際、不動産会社が施工業者などを紹介してくれて仲介手数料を支払った場合、仲介手数料が不動産の取得価額に算入されるケースでは、仲介手数料を経費に算入することはできません。
【関連記事】
事業主貸とは?事業主借との違いや仕訳方法、具体例を解説
紹介料の仕訳に使う勘定科目
紹介料の仕訳に使う勘定科目はケースによって異なります。法人や個人事業主が紹介料を支払った場合、仕訳で使う主な勘定科目は次の3つです。
紹介料の仕訳に使う勘定科目
- 紹介業者に紹介料を支払った場合は【支払手数料】
- 紹介業者以外に紹介料を支払った場合は【接待交際費】
- 社内の従業員に紹介料を支払った場合は【給与手当】
以下では、紹介料の仕訳に使う各勘定科目の概要を紹介します。
【支払手数料】
情報提供・紹介業をしている相手に紹介料を支払った場合は、勘定科目「支払手数料」で仕訳します。
なお、情報提供・紹介業者でない場合でも、下記の要件を満たす場合はすべて「支払手数料」での仕訳が可能です。
- 1.その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
- 2.提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
- 3.その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。
出典:国税庁「第1款 交際費等の範囲」
支払手数料とは、商品やサービスそのものの費用ではなく、付随して発生する手数料などの費用(振込手数料など)を支払ったときに使う勘定科目です。
【関連記事】
支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説
【接待交際費】
情報提供・紹介業者以外の事業者に紹介料を支払った場合は、勘定科目「接待交際費」で仕訳します。
接待交際費とは、得意先や仕入先など事業に関係のある者などに対する接待・供応・慰安などに類する行為のための支出です。
取引先に顧客を紹介してもらって紹介料を支払った場合に、その取引先が人材紹介業等を行っている業者ではない場合などが該当します。
【給与手当】
社内で人材紹介制度を整備してリファラル採用を実施している場合、人材を紹介した従業員に紹介料を支払うと、勘定科目「給与手当」や「支払手数料」で仕訳します。
仕訳で使う勘定科目は、従業員としての業務に直接関係する場合は「給与手当」、従業員としての業務に直接関係しない場合は「支払手数料」です。
どちらの勘定科目に該当するのかは、以下のポイントなどをもとにケースごとに総合的に判断する必要があります。
使用する勘定科目の判断ポイント
- 紹介活動を行っているのが業務時間内か業務時間外か
- 紹介活動にかかったコストが会社負担か自己負担か
- 社内での紹介制度の整備状況
【事例で解説】紹介料の仕訳例
法人や個人事業主が紹介料を支払った場合、どのような勘定科目を使って仕訳するのか、具体的な事例で仕訳例を確認してみましょう。
紹介料の仕訳では使う勘定科目はケースによって異なります。また、税抜経理方式で記帳しており、紹介料に消費税がかかる場合には紹介料を支払ったときに消費税に関する仕訳も行います。
人材紹介サービスを利用して紹介料5万円を支払った場合
勘定科目「支払手数料」を使って仕訳するケースとして、人材紹介サービスを利用して紹介料5万円を支払った場合の仕訳を見てみましょう。
紹介料が5万円、消費税が10%・5千円の場合、税込経理方式では以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 55,000円 | 普通預金 | 55,000円 |
税抜経理方式による仕訳の場合は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払手数料 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 |
仮払消費税 | 5,000円 |
新たな顧客を紹介してくれた取引先に紹介料3万円を支払った場合
情報提供を業務としていない企業に紹介料3万円を支払った場合の仕訳を見てみましょう。なお、紹介料の基準はないものとします。
支払った紹介料が3万円、消費税が10%で3千円の場合、税込経理方式では以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
接待交際費 | 33,000円 | 普通預金 | 33,000円 |
税抜経理方式による仕訳の場合は以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
接待交際費 | 30,000円 | 普通預金 | 33,000円 |
仮払消費税 | 3,000円 |
採用候補者を紹介した社員に紹介料2万円を支給した場合
勘定科目「給与手当」を使って仕訳するケースとして、人材を紹介してくれた従業員に紹介料2万円を支給した場合の仕訳を見てみましょう。
取引先に紹介料を支払う場合とは異なり、紹介料の支払いが給与にあたる場合には消費税はかかりません。
紹介料2万円を支給して2千円を源泉所得税として徴収した場合、以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給与手当 | 20,000円 | 普通預金 | 18,000円 |
預り金 | 2,000円 |
紹介料の仕訳に関する注意点
紹介料の仕訳に関する主な注意点は次の2つです。
紹介料の仕訳に関する注意点
- 法人税法上の損金算入に注意する
- 消費税の扱いを確認する
法人税法上の損金算入に注意する
紹介料が交際費にあたるケースでは、法人税法上の損金算入に関して注意が必要です。中小企業では、交際費が800万円を超えると税務上、費用(損金)として認められません。
ただし、一定の要件をすべて満たした場合は、例外的に全額費用(損金)として計上できます。紹介料が交際費に該当せず全額費用(損金)にできるのは、以下の条件を満たす場合です。
- 1.その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
- 2.提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
- 3.その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。
出典:国税庁「第1款 交際費等の範囲」
【関連記事】
損金とは?費用・経費との違いから、算入・不算入の事例までわかりやすく解説
消費税の扱いを確認する
給料は消費税の不課税取引にあたるため、従業員に紹介料を支払って給料に該当する場合は消費税はかかりません。一方で、取引先などに紹介料を支払ったり、自社が受け取ったりする場合は一般的に消費税の課税対象です。
自社が紹介料を受け取る際は消費税も忘れずに請求します。
なお、自社が税抜経理方式による仕訳を採用しており、課税取引として紹介料を支払う場合は「仮払消費税」を一緒に計上するようにしましょう。
まとめ
顧客や採用候補者となる人材の紹介など、事業に関連して支払う紹介料は一般的に経費計上できます。企業や個人事業主が紹介料を支払った場合、仕訳をする際に用いる主な勘定科目は支払手数料・接待交際費・給与手当です。
取引先に紹介料を支払う場合は、一般的に課税取引となるため消費税がかかります。しかし、人材を紹介してくれた自社の従業員に、紹介料を支払って給与にする場合は消費税がかかりません。
紹介料を支払う場合は、紹介料を渡す相手に応じて勘定科目を使い分けるとともに、法人税法上の損金算入や消費税の扱いに注意が必要です。
紹介料に関する仕訳の考え方や使う勘定科目について社内でルールを統一し、ケースに応じて適切に仕訳しましょう。
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よくある質問
紹介料は経費計上できる?
顧客や採用候補者となる人材の紹介を受けた場合など、事業に関連して支払う紹介料は、一般的に経費として計上できます。
紹介料を経費にできるか詳しく知りたい方は「紹介料は経費計上できる?」をご覧ください。
紹介料の仕訳に使う勘定科目は?
紹介料の仕訳で用いる勘定科目には、支払手数料・接待交際費・給与手当などがあります。
紹介料の仕訳で用いる勘定科目を詳しく知りたい方は「紹介料の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。
監修 宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。
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