個人事業主がふるさと納税を行った際の仕訳では、勘定科目に事業主貸を用います。ただし、経費計上するためのものではなく、あくまでも支出を記録するものである点にご注意ください。
法人のふるさと納税(地方創生応援税制)の場合、その勘定科目は寄付金です。
本記事では、個人事業主におけるふるさと納税の勘定科目、法人における地方創生応援税制の勘定科目などについて詳しく解説します。仕訳例もそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
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ふるさと納税は経費にならない
前提として、ふるさと納税で使用したお金は寄付金にあたりますが、経費計上はできません。これは、ふるさと納税はあくまでも個人的な寄付であり、事業用の経費には該当しないためです。
ただし、個人口座と事業用の口座が同一であるケースなど、事業用の資金をふるさと納税に充てることもあるでしょう。この場合、事業用の資金を個人の生活費に貸し出すという形で仕訳します。なお、仕訳をしたとしても経費にできるわけではないためご注意ください。
ふるさと納税について詳しく知りたい方は、別記事「確定申告でふるさと納税の控除を受けるには?やり方や必要書類についても解説」をあわせてご覧ください。
個人事業主がふるさと納税を仕訳する際の勘定科目
個人事業主が事業用資金を一時的に利用してふるさと納税の仕訳をする際は、事業主貸の勘定科目を使用します。事業主貸とは、事業用のお金を家計支出に充てた際に計上するものであり、個人事業主用の勘定科目です。
個人事業主は個人のお金と事業のお金の区別がしにくいだけではなく、事業のお金を家計の支出として用いる場面が多くあるでしょう。そこで、事業主貸の勘定科目を用いることで、お金が個人に使われたという事実を、明確に区別できるようになります。
また、事業主貸のお金は、会計年度中の精算が必要なため、精算漏れに注意しましょう。
事業主貸について詳しく知りたい方は、別記事「事業主貸とは?事業主借との違いや仕訳方法、具体例を解説」をあわせてご覧ください。
出典:国税庁「記帳の仕方 青色申告編 P.17」
ふるさと納税の仕訳例
個人事業主が勘定科目「事業主貸」を用いてふるさと納税の仕訳を行う例は、以下のとおりです。
例:ふるさと納税を活用して20万円の寄付を行った場合
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事業主貸 | 200,000 | 現金 | 200,000 |
また、事業主貸を用いた場合、事業用の現金を回収して精算を行ったという処理も必要になります。この場合の仕訳は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 200,000 | 事業主貸 | 200,000 |
ふるさと納税の返礼品が届いた際の仕訳
ふるさと納税は、自分が定めた地方へ寄付をし、その後その地方から返礼品が届く仕組みです。しかし、ふるさと納税は事業主としてではなく、個人から自治体に行う寄付であるため事業収入には該当しません。
そのため、ふるさと納税の返礼品が届いたタイミングにおける仕訳作業は不要です。ただし、返礼品は一時所得として扱われるため、50万円を超えたら課税対象となり申告が必要になります。これは、一時所得における特別控除額の最高が50万円とされているからです。
なお、返礼品は寄付額の3割までとされているため、一時所得額は寄付額の3割を目安に計算しましょう。一時所得額をより詳細に調べたいときには、寄付を行った自治体に問い合わせて確認してください。
出典:国税庁「ふるさと納税の返礼品の収入計上時期」
ふるさと納税の確定申告
ふるさと納税は、寄付額から自己負担額の2,000円を差し引いた金額の所得控除が受けられる制度です。ただし、所得控除を受けるには、確定申告を行わなければなりません。
ふるさと納税の確定申告は、確定申告書の寄附金控除の欄に控除が適用される金額を記入して行います。控除できる金額は、寄付を行った後に送られてくる「寄附金受領証明書」を確認しましょう。
また、ふるさと納税にはワンストップ特例という、確定申告をしなくても寄附金控除が受けられる給与所得者向けの制度がありますが、個人事業主は確定申告が必要であるため対象にはなりません。
個人事業主が行うふるさと納税の確定申告について詳しく知りたい方は、別記事「個人事業主がふるさと納税をした際の確定申告」を、ふるさと納税の確定申告における控除について詳しく知りたい方は、別記事「確定申告でふるさと納税の控除を受けるには?やり方や必要書類についても解説」をあわせてご覧ください。
法人がふるさと納税をした場合の仕訳
法人のふるさと納税は、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)といい、個人向けのいわゆるふるさと納税とは異なります。地方創生応援税制とは、返礼品は受け取れないものの、最大9割の控除が受けられる制度です。
控除割合である9割の内訳は以下のとおりです。
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の控除内訳
- 通常の損金算入:3割
- 法人住民税:最大4割(法人住民税法人税割額の20%が上限)
- 法人税:最大1割(法人税額の5%が上限)
- 法人事業税:最大2割(法人事業税額の20%が上限)
※法人住民税と法人税は合計で最大4割が控除の対象
地方創生応援税制には、寄付企業への経済的な見返り禁止や、事業額の範囲を超える寄付は禁止などの要件があるため、ご注意ください。
出典:内閣府地方創生推進事務局「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について」
出典:内閣官房・内閣府総合サイト「企業版ふるさと納税ポータルサイト」
法人がふるさと納税の仕訳する際の勘定科目・仕訳例
法人が企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)を行った場合は、勘定科目「寄付金」を用いて仕訳をします。仕訳例は、以下のとおりです。
例:地方創生応援税制にて1,000万円の寄付を行った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
寄付金 | 10,000,000 | 現金 | 10,000,000 |
なお、1,000万円の寄付を行った場合の最大控除額は900万円です。
ふるさと納税の仕訳や勘定科目等に関する注意点
ふるさと納税の仕訳や勘定科目について、以下の点に注意が必要です。
ふるさと納税の仕訳時の注意点
- ふるさと納税は寄付金として仕訳できない
- ふるさと納税の確定申告では寄付金受領証明書が必要
- 法人はふるさと納税で寄付できる自治体が限られている
- ふるさと納税を行う際は限度額に注意する
これらの注意点について、以下で詳しく解説します。
ふるさと納税は寄付金として仕訳できない
前述のように、ふるさと納税で納税した金額は、寄付金としての経費計上ができません。あくまでも個人的に寄付を行った扱いとなり、事業用にかかった経費とは認められないことが理由です。
そのため、ふるさと納税を事業用のお金から捻出したとされる個人事業主の場合は、事業主貸という勘定科目を用いて支出の仕訳を行う必要があります。
ふるさと納税の確定申告では寄付金受領証明書が必要
確定申告でふるさと納税の控除を受けるには、寄付金受領証明書が必要です。寄付金受領証明書は、寄付した自治体から送られてくるので、忘れずに受け取りましょう。
寄付金受領証明書が送られてくる目安の期間は、寄付を行ってから約1ヶ月なので、もし送られてこない場合には寄付を行った自治体に問い合わせをしてください。
法人はふるさと納税で寄付できる自治体が限られている
法人による地方創生応援税制では、個人のふるさと納税に比べて寄付ができる自治体に限りがあります。寄付できる自治体は、基本的にあまり栄えていない地域に限定されており、例として東京都における地方創生応援税制の対象地域は以下のとおりです。
東京都における地方創生応援税制の対象地域
- 八王子市
- 青梅市
- 昭島市
- 町田市
- 東村山市
- 東大和市
- 清瀬市
- 武蔵村山市
- 稲城市
- 羽村市
- あきる野市
- 西東京市
- 日出町
- 檜原村
- 大島町
- 八丈町
出典:内閣官房・内閣府総合サイト「企業版ふるさと納税対象事業(東京都)」
上記のように、東京都では23区は地方創生応援税制の対象ではありません。そのほかの対象となる自治体は、企業版ふるさと納税ポータルサイトより確認してみてください。
ふるさと納税を行う際は限度額に注意する
ふるさと納税できる上限金額は、年収や家族構成によって決まる仕組みです。また、控除できるふるさと納税額は総所得の40%と上限が定められています。
詳細の限度額は、ふるさと納税を行っているショッピングサイトでのシュミレーターや税理士への依頼にて確認可能です。ただし、必ずしも正確な金額とは限らないため、ご注意ください。
万が一限度額をオーバーしてしまうと、返礼品を多額で購入しているような形になってしまうので、注意しなければなりません。
出典:総務省「ふるさと納税のしくみ」
まとめ
ふるさと納税は個人事業主の経費としては扱えませんが、事業用の口座からふるさと納税した場合は、勘定科目に事業主貸を用いて仕訳作業しなければなりません。また、事業主貸として行った支出を精算する仕訳も必要です。
一方、法人には企業版ふるさと納税という、地方創生応援税制という制度があります。この場合の仕訳における勘定科目では寄付金を用い、寄付額の約9割を損金算入や税額控除にできます。本記事で紹介した仕訳例を参考に、適切な勘定科目を用いてふるさと納税の仕訳を行いましょう。
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