監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
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事業用の物件を借りる際、保証委託料(家賃保証料)の支出が生じる場合があります。保証委託料を支払う際の勘定科目と仕訳例を解説します。
家賃保証会社に支払った保証委託料は、経費計上が可能です。
ただし、支払時に全額を経費に計上できる場合と償却が必要な場合があり、金額によって異なります。個人事業主が自宅兼事務所を借りる場合や、賃貸契約を結ぶ際に支出したその他費用に用いる勘定科目も説明するので、ぜひご覧ください。
確定申告の基本をすべて解説!確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら
目次
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保証委託料(家賃保証料)は経費にできる?
事業に関連する保証委託料は、経費に計上できます。
ただし、支払時に一括で経費に計上できる場合と、資産に計上し、契約期間で償却が必要な場合があるため注意が必要です。保証委託料とは、賃貸物件を契約する際、保証会社に支払う委託料のことです。
賃貸物件を契約する際、連帯保証人の代わりに家賃保証会社(※)の利用を必須とするケースが多くなっています。
(※)家賃保証会社とは、入居者が万が一家賃を支払えなくなった場合に、入居者に代わって家賃を立替払いする会社です。
家賃保証会社を利用する契約の場合、入居者は契約時および定期的(毎月、毎年など)に、家賃に応じた保証委託料を支払います。
保証委託料は一般的に繰延資産として扱う
保証委託料は、契約期間の途中で解約しても返金されないケースが多いため、一般的に税務上の繰延資産として処理します。
繰延資産とは、すでに支払いが完了しているまたは支払い義務が確定し、サービスの提供を受けた支出のうち、その支出効果が1年以上に及ぶと想定されるものです。
繰延資産は一括で経費にせず、契約期間で按分して少しずつ経費化します。
保証委託料に用いる勘定科目
保証委託料に用いる勘定科目は、20万円未満と20万円以上の場合で異なります。
保証委託料に用いる勘定科目
- 保証委託料が20万円未満の場合は【支払手数料】
- 保証委託料が20万円以上の場合は【長期前払費用】
【支払手数料】
保証委託料を繰延資産として扱う場合、金額が20万円未満なら「支払手数料」を用いて支払時に一括で経費に計上できます(少額繰延資産)。
保証委託料は、家賃保証会社との契約のために要した手数料であるため、「支払手数料」を用いるのが一般的です。
「支払手数料」とは、商品やサービスに付随して発生した手数料などの費用や、専門家への報酬を支払ったときに使用する勘定科目です。
また、「保証料」の勘定科目で処理する場合もあります。
【関連記事】
支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説
【長期前払費用】
保証委託料が20万円以上の場合は、繰延資産として「長期前払費用」に資産計上し、契約期間で償却を行います。
「長期前払費用」とは、次期以降に費用となる前払い分のうち、決算日から1年を超えて費用となる部分の金額に用いる勘定科目です。
また、長期前払費用を決算時に償却する際は、「長期前払費用償却」の勘定科目を用います。
「長期前払費用償却」とは、支出の効果が将来におよぶ費用を償却期間の各年度に配分し、決算時に費用化するための勘定科目です。
【事例で解説】保証委託料の仕訳例
賃貸契約を結ぶ際に支払う保証委託料の仕訳方法を紹介します。
保証委託料の仕訳例
- 保証委託料10万円を支払った場合
- 保証委託料24万円を支払った場合
- 個人事業主が自宅兼事務所の保証委託料を支払った場合
保証委託料10万円を支払った場合
事務所を借りる際に家賃保証会社との間で賃貸保証契約を結び、2年間分の保証委託料10万円を支払った場合の仕訳は、以下の通りです。
借方 | 貸方 | ||
支払手数料 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
保証委託料の金額が20万円未満であるため、支払時に一括で経費として計上できます。
「支払手数料」はさまざまな場面で使用するため、摘要欄に保証委託料である旨を記載しましょう。
保証委託料24万円を支払った場合
事務所を借りる際に家賃保証会社との間で賃貸保証契約を結び、2年間分の保証委託料24万円を支払った場合、支払時の仕訳は以下の通りです。
支払時
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用 | 240,000円 | 現金 | 240,000円 |
保証委託料が20万円以上であるため、上記のように「長期前払費用」で資産に計上し、決算時に経過月数分の償却を行います。
1ヶ月あたりの償却額は、24万円 ÷ 24ヶ月 = 1万円となります。経過月数を6ヶ月とした場合の仕訳は以下の通りです。
決算時
借方 | 貸方 | ||
長期前払費用償却 | 60,000円 | 長期前払費用 | 60,000円 |
個人事業主が自宅兼事務所の保証委託料を支払った場合
個人事業主が自宅兼事務所を借りる際に家賃保証会社との間で賃貸保証契約を結び、保証委託料6万円を事業資金から支払った場合の仕訳は、以下の通りです。
なお、事業使用割合は50%とします。
借方 | 貸方 | ||
支払手数料 | 30,000円 | 現金 | 60,000円 |
事業主貸 | 30,000円 |
プライベート使用分は経費に計上できないため、保証委託料を事業資金から支払った場合は「事業主貸」で処理しましょう。
保証委託料を会計処理する際のポイント・注意点
保証委託料を支払い、会計処理する際のポイント・注意点を解説します。
保証委託料を会計処理する際のポイント・注意点
- 自宅兼事務所の保証委託料を支払ったときは家事按分する
- 事務所や店舗の保証委託料には消費税がかかる
- 賃貸契約の勘定科目は費用の内容によって異なる
自宅兼事務所の保証委託料を支払ったときは家事按分する
個人事業主が自宅兼事務所の賃貸契約を結ぶために保証委託料を支払った場合、プライベート使用分は経費にできないため、家事按分を行います。
家事按分とは、プライベートと事業の支出が混在している場合に、プライベート使用分・事業使用分に振り分ける作業です。
家事按分の方法に明確なルールはありませんが、明確な根拠によって按分する必要があります。
保証委託料は、事業で使用した面積や時間を基準に按分するのが一般的です。
たとえば、全体の面積が50㎡、事業に使用している面積が10㎡の場合、事業使用分は20%となります。
事業使用分 = 10㎡(事業使用面積)÷ 50㎡(全体の面積)× 100
事務所や店舗の保証委託料には消費税がかかる
保証委託料は家賃に付随する費用であるため、家賃と同様に消費税が課税されます。保証委託料はサービスの提供に対して支払われるものであり、対価性のある取引にあたるからです。
したがって、事務所や店舗を借りる際に支払った保証委託料は、消費税を考慮して処理しましょう。
ただし、居住用の保証委託料は非課税とされています。
賃貸契約の勘定科目は費用の内容によって異なる
賃貸物件を借りると、保証委託料以外にもさまざまな費用がかかります。
費用の内容によって用いる勘定科目が異なるので、正しく理解しましょう。
項目 | 一般的な勘定科目 |
家賃 | 地代家賃 |
礼金 | 地代家賃、支払手数料 |
更新料 | 地代家賃、支払手数料 |
仲介手数料 | 支払手数料 |
敷金 | 敷金・保証金 |
なお、礼金・更新料は保証委託料と同様に、20万円未満の場合と20万円以上の場合で処理が異なります。
20万円未満の場合は「地代家賃」や「支払手数料」を用いて一括で経費に計上できます。
一方、20万円以上の場合は、税務上の繰延資産に該当するため「長期前払費用」で資産に計上し、償却が必要です。
【関連記事】
家賃の勘定科目は? 個人事業主の経費計上の可否や仕訳方法、注意点も解説
まとめ
家賃保証会社に保証委託料を支払ったときの勘定科目は、金額が20万円未満の場合と20万円以上の場合で異なります。
20万円未満の場合は、「支払手数料」を用いて一括で経費に計上できます。
一方、20万円以上の場合は「長期前払費用」で資産に計上し、償却が必要です。
賃貸物件にかかる費用の処理方法は、費用の内容によって異なります。
それぞれの勘定科目や処理方法を理解し、正確に仕訳しましょう。
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よくある質問
20万円未満の保証委託料に用いる勘定科目は?
保証委託料が20万円未満の場合は、「支払手数料」を用いて支払時に一括で経費に計上できます(少額繰延資産)。
20万円未満の保証委託料に用いる勘定科目を詳しく知りたい方は「【支払手数料】」をご覧ください。
20万円以上の保証委託料に用いる勘定科目は?
保証委託料が20万円以上の場合は、税務上の繰延資産に該当するため資産に計上し、契約期間で償却が必要です。
支払時にいったん全額を「長期前払費用」に計上し、決算時に償却処理を行いましょう。
20万円以上の保証委託料に用いる勘定科目を詳しく知りたい方は「【長期前払費用】」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
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