監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所
商品券は、使用時に経費計上が可能です。本記事では、商品券に用いる勘定科目や具体的な仕訳例を解説します。
商品券には、さまざまな発行元や種類があり、他社が発行する商品券だけでなく自社が商品券を発行する場合も考えられます。
商品券の会計処理をする際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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目次
- 商品券は使用した際に経費計上できる
- 商品券の種類
- 商品券に用いる勘定科目
- 【商品券】
- 【貯蔵品】
- 【交際費】
- 【給与】【福利厚生費】
- 【消耗品費】【事務用品費】【雑費】【広告宣伝費】
- 【事例で解説】商品券の仕訳例
- 他店商品券を購入した際の仕訳例
- 他店商品券をもらった際の仕訳例
- 自社の商品券を発行した場合の仕訳例
- 販売代金として商品券を受け取った場合の仕訳例
- 他店商品券を使用する際の仕訳例
- 決算時に「貯蔵品」として資産計上する際の仕訳例
- 商品券の会計処理をする際のポイント
- 消費税の取り扱いに注意する
- 現金同様に厳正に管理する
- 適切な勘定科目を用いて仕訳する
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
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商品券は使用した際に経費計上できる
商品券は購入時には資産計上しますが、使用の際に経費計上できます。贈答用など特定の目的がある場合は、購入時の経費計上も可能です。
商品券の種類
商品券の主な種類を紹介します。
商品券の主な種類
- 百貨店やスーパーマーケットなどの小売店が発行する商品券やギフト券
- クレジットカード会社が発行する商品券
- 旅行券
- 図書カードやガソリンなどのプリペイドカード など
上記は一例であり、ほかにもさまざまな商品券が存在します。
商品券に用いる勘定科目
商品券に用いる勘定科目は、状況や目的により異なります。主に用いる科目は、以下の通りです。
商品券に用いる主な勘定科目
- 自社で商品券を発行した場合は【商品券】
- 自社以外が発行した商品券を購入、またはもらった場合は【貯蔵品】
- 取引先などに対する贈答目的で使用する場合は【交際費】
- 褒賞や祝金など従業員に渡す場合は【給与】や【福利厚生費】
- 他店商品券を使用して物品を購入した場合は【消耗品費】【事務用品費】【雑費】【広告宣伝費】など
それぞれ詳しく解説します。
【商品券】
自社で商品券を発行した場合は、「商品券」として負債計上します。商品券で支払いを受けた際には借方を「商品券」で処理し、負債を消し込みます。
【貯蔵品】
他社の商品券を購入、またはもらった場合は「貯蔵品」として資産計上します。贈答用など目的が明確であれば、購入時に経費計上できます。
【交際費】
取引先などへの贈答目的の商品券は「交際費」を用います。交際費は、利害関係者などに対して接待や、贈答をした際の勘定科目です。
【給与】【福利厚生費】
褒賞や祝金などで従業員に渡す場合は、「給与」や「福利厚生費」で経費計上します。福利厚生費は、社員旅行・健康診断など福利厚生費用の勘定科目です。
福利厚生費にする条件は、「全社員が対象」「社会通念上妥当とされる金額」の2点です。
また給与扱いの場合は、所得税の課税対象です。
【消耗品費】【事務用品費】【雑費】【広告宣伝費】
他店商品券で物品を購入した際は、購入内容に応じた勘定科目を使用します。「消耗品費」や「事務用品費」「雑費」などが挙げられます。
不特定多数の相手に宣伝目的で配布する場合は、「広告宣伝費」も使用可能です。
【事例で解説】商品券の仕訳例
商品券の具体的な仕訳例を紹介します。
他店商品券を購入した際の仕訳例(
他店商品券を購入した際の仕訳例を紹介します。
例:3万円の他店商品券を現金で購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 30,000円 | 現金 | 30,000円 |
額面より安い金額で購入した場合は、購入金額と額面との差額を雑収入で計上します。
例:3万円の他店商品券をチケットショップで額面より3千円安く現金で購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 30,000円 | 現金 | 27,000円 |
雑収入 | 3,000円 |
贈答などの目的が明確である場合は、購入時点で費用計上できます。
例:得意先への贈答用として1万円の他店商品券を現金で購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
他店商品券をもらった際の仕訳例
お中元やお歳暮などで、取引先から商品券をもらうケースも考えられます。商品券をもらった場合は、「雑収入」で処理します。
例:取引先から5万円の他店商品券をもらった
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 50,000円 | 雑収入 | 50,000円 |
自社の商品券を発行した場合の仕訳例
自社の商品券を発行した際の仕訳例を紹介します。
例:3万円分の自社商品券の販売代金を現金で受け取った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 30,000円 | 商品券 | 30,000円 |
販売代金として商品券を受け取った場合の仕訳例
商品を販売し、商品券(他店商品券)で代金を受け取った際の仕訳例を紹介します。
例:1万円の商品の販売代金を商品券(他店商品券)で受け取った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
商品券(貯蔵品) | 10,000円 | 売上 | 10,000円 |
例:他店商品券を精算し10万円の現金を受け取った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 100,000円 | 他店商品券 | 100,000円 |
他店商品券を使用する際の仕訳例
商品券を使用して経費計上する際、目的により勘定科目が異なります。
①取引先などへの贈答品として他店商品券を贈った際の仕訳例
例:購入してあった他店商品券1万円分を取引先に贈った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 10,000円 | 貯蔵品 | 10,000円 |
贈答目的が明確である場合は購入時点で経費計上できます。
例:贈答用として1万円の他店商品券を現金で購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
交際費 | 10,000円 | 現金 | 10,000円 |
②自社の従業員に商品券を渡した際の仕訳例
例:永年勤続の褒賞として1万円分の商品券を渡した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給与 | 10,000円 | 商品券(貯蔵品) | 10,000円 |
③他店商品券を使用して物品を購入した際の仕訳例
例:他店商品券で1,000円の消耗品を購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費(または事務用品費など) | 1,000円 | 貯蔵品 | 1,000円 |
④広告宣伝の目的で他店商品券を使用した際の仕訳例
例:自社サービスの宣伝を目的とした配布のため商品券を10万円分使用した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
広告宣伝費 | 100,000円 | 貯蔵品 | 100,000円 |
決算時に「貯蔵品」として資産計上する際の仕訳例
経費計上した商品券の未使用在庫は、計上した際の費用科目から資産勘定「貯蔵品」に期末時点で振り替えます。仕訳例を紹介します。
例:贈答用に他店商品券をまとめ買いしたが、期末時点で2万円分の余りがある
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
貯蔵品 | 20,000円 | 交際費 | 20,000円 |
商品券の会計処理をする際のポイント
商品券の会計処理のポイントを解説します。
消費税の取り扱いに注意する
商品券の購入時には、消費税がかかりません。購入時に経費計上する場合も同様です。
ただし商品券を実際に使用する場合には、消費税が課税されます。混同しないよう注意しましょう。
現金同様に厳正に管理する
商品券は現金と同じように使用できる金券であり、厳正な管理が必要です。管理表などで入出庫や目的を管理し、不正使用を防止しましょう。
購入時に経費計上した商品券が期末時点で未使用である場合、「貯蔵品」への振替が必要です。
適切な勘定科目を用いて仕訳する
商品券は、目的によりさまざまな勘定科目を使用できます。適切な科目を選択し、正しい処理を行いましょう。
また一度用いる勘定科目を決めたら安易に変更せず、会計処理の方針は原則継続するようにしましょう。
まとめ
商品券は、使用目的に応じた勘定科目で経費計上できます。
経費計上のタイミングは、使用したときです。購入時やもらった際は資産として計上しますが、贈答用など特定の用途があれば購入時の経費計上も可能です。
ただし未使用の商品券は、期末に資産勘定(貯蔵品)への振替が必要です。
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よくある質問
商品券は経費にできる?
購入時は資産計上しますが、使用時に経費計上できます。贈答用など目的が明確であれば、購入時の経費計上も可能です。
商品券の経費計上を詳しく知りたい方は「商品券は使用した際に経費計上できる」をご覧ください。
商品券に用いる勘定科目は?
自社発行は「商品券」、他社発行は「貯蔵品」、使用時は「交際費」「給与」「福利厚生費」「消耗品費」「広告宣伝費」など目的により異なります。
商品券の勘定科目を詳しく知りたい方は「商品券に用いる勘定科目」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。