勘定科目の基礎知識

共益費の勘定科目とは? 経費計上の可否や具体的な仕訳例などを解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

共益費の勘定科目とは? 経費計上の可否や具体的な仕訳例などを解説

事務所やオフィスを借りた場合にかかる共益費に関しては、「地代家賃」の勘定科目を用いて処理できます。

一方、賃貸人側が共益費を受け取る場合は、本業の内容によって勘定科目が異なるため、違いを理解しておく必要があるでしょう。

また、共益費を仕訳する際は注意点もあるため、内容を把握して正確に仕訳をすることが大切です。

本記事では、共益費の勘定科目や経費計上の有無、具体的な仕訳例などを紹介します。

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目次

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共益費とは?

共益費は、オフィスビルやマンションなどの入居者が共同して利用する、設備・施設の運営と維持に関する費用のことです。

たとえば、玄関ホール・廊下・エレベーターなどの共用部分の光熱費や清掃費などは共益費に該当します。

共益費と管理費の違い

管理費とは、オフィスビルやマンションなどの建物または共用部分を管理・維持するための費用のことです。

一見すると共益費と同じように感じます。しかし、管理費は共用部分だけでなく、建物全体の管理が含まれる分、共益費より広い範囲の費用を指して用いられることがあります。

ただし、一般的に共益費と管理費は同じ意味で使用されるケースが多いため、「共益費=管理費」と考えても問題ないでしょう。

共益費は経費として計上できる

共益費であっても、事業に関わる場合は経費として計上が可能です。

たとえば、オフィスビルに事務所を借りて、家賃とは別に共益費がかかっている場合は、共益費の全額を経費として計上しても問題ありません。

また、個人事業主の場合は、事務所兼自宅としてマンションの一室を借りていることもあります。このようなケースでも、共益費の一部を経費とすることが可能です。

共益費の仕訳で用いられる勘定科目

共益費は、支払う側(賃借人)と受け取る側(賃貸人)で、仕訳する際の勘定科目が異なるため注意しましょう。

共益費の勘定科目

  • 共益費を支払う場合は【地代家賃】
  • 共益費を受け取る場合は【受取家賃】または【売上高】

それぞれの勘定科目を解説します。

【地代家賃】

一般的に、共益費を支払った場合は、家賃などと一緒に「地代家賃」の勘定科目を用いて処理します。これは、共益費が家賃に付随して発生するためです。

地代家賃は建物の家賃・共益費・月極駐車場代などを含み、借りている建物や土地の賃料を支払ったときに使う勘定科目です。

なお、共益費に電気代や水道代が含まれており、明細がわかるケースもあります。明細がわかる場合は、一部を「水道光熱費」で処理をしなければいけないので覚えておきましょう。

【関連記事】
家賃の勘定科目は? 個人事業主の経費計上の可否や仕訳方法、注意点も解説

【賃貸料】【受取家賃】【売上高】

共益費を受け取った場合の勘定科目は、不動産賃貸業を本業としているのか否かによって、以下のように勘定科目が異なります。

共益費を受け取るときの勘定科目

  • 不動産賃貸業が本業でない場合は【受取家賃】
  • 不動産賃貸業を本業としている場合は【売上高】
  • 個人やサラリーマンが副業で家賃収入を得る場合は【賃貸料】

不動産賃貸業が本業ではない法人が外部に建物を貸しており、共益費と家賃を受け取った場合は、「受取家賃」の勘定科目を使って処理します。

一方、不動産会社のように不動産賃貸業が本業の場合は、そのまま売上になるため、「売上高」の勘定科目を用いて処理が可能です。

また個人やサラリーマンが家賃収入として得た場合は、賃貸料で処理しましょう。

【関連記事】
家賃収入も確定申告が必要?節税方法や必要書類について解説

【事例で解説】共益費の仕訳例

共益費の仕訳をする場合、一般的に支払ったときは「地代家賃」、受け取ったときは不動産賃貸業が本業かどうかで「受取家賃」または「売上高」を使い分けます。

以下、共益費に関して支払う側と受け取る側の両方のケースで、具体的な仕訳例を紹介します。

家賃と一緒に共益費を支払った場合

単純に家賃と一緒に共益費を支払った場合は、そのまま「地代家賃」の勘定科目で仕訳を行いましょう。

たとえば、家賃30万円と一緒に共益費2万円を当座預金から支払った場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
地代家賃320,000円当座預金320,000円

共益費に水道代が含まれており、明細がわかる場合

オフィスビルやマンションによっては、共益費に水道代などが含まれている場合があります。共益費の一部が水道代などとして明確に分かれているときは、水道代などに該当する金額を「水道光熱費」の勘定科目を使って仕訳をします。

たとえば、家賃30万円と一緒に共益費2万円を当座預金から支払い、水道代として5,000円が共益費に含まれている場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
地代家賃315,000円当座預金320,000円
水道光熱費5,000円

不動産賃貸業を本業としている会社が共益費を受け取った場合

不動産賃貸業を本業としている会社が共益費を受け取った場合は、「売上高」の勘定科目で処理します。

たとえば、賃貸オフィスをメインとしている不動産会社が、家賃30万円と共益費2万円を当座預金による入金で受け取った場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
当座預金320,000円売上高320,000円

不動産賃貸業が本業でない会社が共益費を受け取った場合

不動産賃貸業が本業ではない会社が共益費を受け取った場合は、「受取家賃」の勘定科目で処理します。

たとえば、社宅として所有するマンションのうち、一部を第三者へ貸し出して8万円の家賃と一緒に共益費5,000円を、当座預金による入金で受け取った場合の仕訳は以下です。


借方貸方
当座預金85,000円受取家賃85,000円

共益費の仕訳に関する注意点

共益費の仕訳自体はそれほど難しくありませんが、仕訳をするときはいくつか注意点があります。共益費を仕訳するときの主な注意点を紹介するので、確認しておきましょう。

居住目的ではない物件の共益費は消費税の課税対象になる

マンションやアパート、社宅など、住むことを目的とした物件の共益費は、消費税非課税です。一方、オフィスなど住むことを目的としていない物件の共益費に関しては、消費税の課税対象になるので、注意しましょう。

共益費の仕訳を行うときは、正確に処理できるように、居住目的かどうかを明確にしておくことが大切です。

個人事業主の場合は家事按分が必要な場合がある

個人事業主によっては事務所兼自宅としてマンションなどを借りている場合があります。このようなケースでは、家賃を事業用とプライベート用で家事按分しなければいけませんが、共益費に関しても考え方は同様です。

たとえば、家賃14万円で共益費1万円のマンションに住んでおり、事務所として20%を使用している場合は、3万円を「地代家賃」として計上し、以下のように仕訳をします。


借方貸方
地代家賃30,000円普通預金150,000円
事業主貸120,000円

まとめ

事業に関することで支払った共益費は経費にすることが可能です。共益費を支払った場合は一般的に「地代家賃」の勘定科目を用いて処理するので、覚えておきましょう。

また、共益費を受け取る側に関しては、不動産賃貸業が本業であれば「売上高」、本業ではない場合には「受取家賃」の勘定科目を使用します。

共益費の意味や使用する勘定科目に関する理解を深め、状況にあわせて適切に仕訳をしてください。

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よくある質問

共益費と管理費の違いは?

共益費は、賃借人側が共同で利用する施設・設備の管理と維持にかかる費用で、一般的には管理費と同じ意味と考えて問題ありません。

共益費と管理費の違いを詳しく知りたい方は「共益費とは?」をご覧ください。

共益費の勘定科目は?

共益費を支払う側は、一般的に「地代家賃」の勘定科目を使います。一方、受け取る側は、不動産賃貸業が本業であれば「売上高」、本業でない場合は「受取家賃」の勘定科目を使います。

共益費の勘定科目を詳しく知りたい方は「共益費の仕訳で用いられる勘定科目」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一