勘定科目の基礎知識

カード年会費の勘定科目3選|仕訳例や経費にならないパターンについて

カード年会費の勘定科目3選|仕訳例や経費にならないパターンについて

クレジットカードの年会費が経費として計上できるのか、計上する際の具体的な仕訳方法について、詳細まではわからないという方も多いでしょう。クレジットカードの年会費は、使い方次第で経費として処理することが可能です。

本記事では、クレジットカードの年会費に関する経理処理について、適切な勘定科目の選定方法や仕訳の具体例、さらに注意すべきポイントの視点から詳しく解説します。

目次

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クレジットカードの年会費は経費に計上できる?

クレジットカードの年会費が経費に計上できるかは、カードが事業用か個人用かによって異なります。

事業用クレジットカードであれば年会費を経費に計上することが可能です。事業用クレジットカードとは、個人事業主や会社名義で発行され主に事業関連の支出に利用されるカードを指します。

一方で、プライベートな買い物や食事など、個人のために利用されるカードの年会費は経費として認められません。

経費とは、事業を運営するために直接必要とされる支出のことを指します。

したがって、事業用クレジットカードの年会費は、事業活動に不可欠な経費とみなされますが、個人で使用するクレジットカードの年会費は、事業とは関係のない個人的な支出と判断され、経費計上はできません。

クレジットカードの年会費の経費計上についての詳細は別記事「クレジットカードの年会費を経費にするための条件」をあわせてご確認ください。

クレジットカード年会費の勘定科目

クレジットカードの年会費は、主に以下の勘定科目で計上できます。

クレジットカード年会費の勘定科目

  • 支払手数料
  • 諸会費
  • 雑費

支払手数料

クレジットカードの年会費は、カード会社が提供するサービスに対する手数料とみなされ「支払手数料」として計上できます。主に、クレジットカードの利用が事業活動の円滑化や経費削減に貢献していると認められる場合に、支払手数料が適用されます。

諸会費

クレジットカードの年会費は「諸会費」として計上することも可能です。諸会費とは自治体や商工会議所など、業務に関わる団体に所属する会費を処理する勘定科目です。

この場合、クレジットカードの年会費をカード会員としての資格を維持するための費用として計上します。

雑費

クレジットカードの年会費を「雑費」として処理することも可能です。年会費に対して具体的な目的や特定のサービスがない場合、または他に適切な勘定科目が見つからない場合に、勘定科目として雑費を利用できます。

特に個人事業主は、クレジットカード年会費に類似する費用がなければ、雑費として計上するケースが多いでしょう。

ただし、雑費として処理する項目が増えると、経費の内訳が不透明になる可能性があるため、注意が必要です。少額の費用であっても、可能な限り他の適切な勘定科目を検討し、経費の透明性を維持するよう心がけましょう。

クレジットカード年会費を勘定科目にする際の仕訳例

実際にクレジットカードの年会費を経費計上する際の仕訳例を、勘定科目ごとに見てみましょう。なお今回は、年会費を1万円と想定した場合の仕訳例となっています。


<支払手数料の場合>
借方貸方
支払手数料10,000預金10,000

<諸会費の場合>

借方貸方
諸会費10,000預金10,000

<雑費の場合>

借方貸方
雑費10,000預金10,000

支払手数料・諸会費・雑費いずれの場合も、貸方の科目は「預金」となることを覚えておきましょう。

クレジットカードの年会費を仕訳する際の注意点

ここでは、クレジットカードの年会費を仕訳するうえで覚えておきたい、以下2つの注意点について解説します。

年会費を仕訳する際の注意点

  • 消費税が課税対象になる
  • 勘定科目は継続・統一する

消費税が課税対象になる

クレジットカードの年会費を仕訳する際には、消費税が課税対象であることに留意しましょう。クレジットカード年会費には消費税が含まれており、仕入税額控除の対象となります。

仕入税額控除とは、事業者が商品やサービスを仕入れる際に支払った消費税を、売上に対する消費税から差し引ける制度です。

また、消費税相当分は「仮払消費税」などの勘定科目で処理することで、仕入税額控除の適用を受けられます。

<クレジットカード年会費の消費税の仕訳例>

借方貸方
支払手数料10,000預金11,000
仮払消費税1,000

仕入税額控除についての詳細は、別記事「消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

勘定科目は継続・統一する

クレジットカードの年会費は、支払手数料・諸会費・雑費などの科目で計上できますが、一度選んだ勘定科目は翌年以降も一貫して使用しなければなりません。

勘定科目を毎年変更していると、のちに帳簿を確認するうえで混乱を招きやすくなるため、注意が必要です。また、同じ企業内で経理担当者によってカード年会費の勘定科目が異なるのも避けるべきです。

個人事業主がカードの年会費を勘定する際のポイント

個人事業主がクレジットカードの年会費を勘定するうえでは、以下のポイントを把握しておくことが大切です。

年会費を勘定する際のポイント

  • プライベート用のカード年会費は経費にならない
  • リボ払いや利用ポイントの仕訳項目について

なお法人の場合、クレジットカードの年会費は支払手数料・諸会費いずれかの勘定科目で計上します。

プライベート用のカード年会費は経費にならない

プライベート用クレジットカードの年会費は、経費として計上はできません。経費として認められるのは、事業の継続に必要な費用のみであり、プライベート用のカードは含まれないためです。

また、事業用のクレジットカードであっても、個人事業主がプライベートな利用と混在していると年会費の全額を経費計上はできません。この場合、家事按分という方法を使って、事業利用の割合に応じた年会費を経費として処理します。

たとえば、年間10万円の利用額のうち、5万円が事業に関連するものであれば、年会費の50%を経費として計上することが可能です。

ただし、プライベート利用が少しでも含まれていると、税務調査で問題視されるリスクがあります。こうしたリスクを回避するためには、事業専用のクレジットカードを作り、プライベートな利用と明確に区別することが望ましいでしょう。

家事按分についての詳細は、別記事「家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。

リボ払いや利用ポイントの仕訳科目について

リボ払いを利用した際の手数料は、勘定科目を支払手数料にして仕訳します。引き落とし金額が1万円で、リボ払いの手数料が千円だった場合の仕訳例は以下のとおりです。

<リボ払い手数料の仕訳例>

借方貸方
支払手数料1,000預金10,000
未払い金9,000

なお、分割払い利用時も同様、手数料は支払手数料として計上可能です。

また、クレジットカード利用により付与されるポイントについては、雑収入として仕訳するのが一般的です。2万円の交際費のうち、3千円をポイントで支払った場合の仕訳例は以下を参考にしてください。

<クレジットカード利用によるポイントの仕訳例>

借方貸方
未払い金20,000預金17,000
雑収入3,000

キャッシュバックを受けた際もポイント付与時と同様に勘定科目は雑収入とします。

まとめ

クレジットカードの年会費は、事業に関連するものであれば、適切な勘定科目を用いて経費として処理することが可能です。支払手数料や諸会費、雑費など、状況に応じて判断する必要があるため、迷った際は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

ただし、プライベート利用分の年会費やリボ払い手数料などは、経費として認められないので注意が必要です。

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よくある質問

クレジットカードの年会費はどのような勘定科目に分けられる?

クレジットカードの年会費は、支払手数料・諸会費・雑費の勘定科目で分けることが可能です。

詳しくは記事内「クレジットカード年会費の勘定科目」をご覧ください。

クレジットカードの年会費が経費にならないパターンは?

年会費も含め、プライベートで利用したカードに関する費用は経費にはなりません。

詳しくは記事内「クレジットカードの年会費は経費に計上できる?」「プライベート用のカード年会費は経費にならない」をご覧ください。