勘定科目の基礎知識

自動車税の勘定科目は? 仕訳方法や個人事業主の家事按分なども解説

監修 安田 亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

駐車場代に使う勘定科目は? 仕訳例や消費税、個人事業主の経費計上方法も解説

自動車税は、車の所有者に毎年課される税金です。本記事では、自動車税が経費にできるのか勘定科目は何を使うのか、などを解説します。

また、想定されるケースごとに具体的な仕訳例も紹介します。

記事の後半では個人事業主の家事按分や、会計処理時の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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自動車税とは? 自動車重量税とは違う?

本記事で解説する自動車税は、自動車税(軽自動車税)種別割です。自動車税(軽自動車税)種別割とは、自動車・軽自動車の所有者に対して課税される税金です。

毎年4月1日時点で自動車を所有している人に対して、1年分の納付書がまとめて送付されます。

自動車の購入時は、自動車登録の翌月から年度末(3月)までの月割で納付金額が計算されます。ただし、軽自動車税には月割の制度はありません。

自動車に関連する税金には、ほかにも「自動車重量税」があり、車検や自動車購入のタイミングで納付します。

以前は、自動車購入時にかかる税金として「自動車取得税」がありましたが、現在では廃止されています。

2019年10月以降は、新たに「環境性能割」という税金が導入されました。環境性能割は、自動車購入の際に課税されます。

個人事業主も法人も自動車税は経費にできる?

事業で車を利用している場合、基本的に自動車税は経費として計上できます。ただし加算金・延滞金は経費として認められません。

本来の納付金額より多くの金額を納め、さらに経費計上できない場合、結果として損失につながってしまいます。税金は遅れずに納付しましょう。

自動車税の勘定科目

自動車税の仕訳に使用する勘定科目を解説します。

租税公課

自動車税を計上する際の仕訳には、一般的に「租税公課」の勘定科目を使用します。

租税公課とは、事業税・固定資産税など各種税金のほか、市役所などで住民票を取得する際に支払う手数料や、賦課金のような費用関連の計上にも用いられる勘定科目です。

車両費

「車両費」は、業務上使用する車の維持や管理にかかる費用に用いられる勘定科目です。

自動車に関係する費用である旨を明確にしておきたい場合、自動車税の計上に「車両費」の勘定科目を使用しても問題ありません。

【事例で解説】自動車税の仕訳例

自動車税の仕訳例を解説します。本項での勘定科目は「租税公課」を使用します。

自動車税を「現金」「預金」「クレジットカード」で納付した場合

自動車税を現金で納付した場合の仕訳例は次の通りです。


借方貸方
租税公課36,000円現金36,000円

また自動車税を納付する方法として、自治体によっては口座振替が利用できます。

自動車税を預金口座からの自動引き落としや、振り込みで納付した場合は下記のように仕訳します。


借方貸方
租税公課36,000円預金36,000円

クレジットカードで納付した場合の仕訳は次の通りです。

<納付時>

借方貸方
租税公課36,000円未払金36,000円

<カード利用代金の引き落とし時>

借方貸方
未払金36,000円預金36,000円

自動車税の還付金を受け取った場合

自動車税を誤って二重納付したり、一度納付した後に自動車の登録を抹消したりした場合、過誤納となった税金は還付されます。

登録抹消の場合、自動車の登録を抹消した翌月以降の納付済分が還付の対象です。ただし取得時と同様、軽自動車税には月割制度がなく、登録の抹消をした場合でも還付金は発生しません。

預金口座に還付を受けた場合の仕訳例は次の通りです。基本的には、納付したときの反対仕訳を行います。


<振り込みで受け取る場合>

借方貸方
普通預金36,000円租税公課36,000円

<還付金を金融機関で現金で受け取った場合>

借方貸方
現金36,000円租税公課36,000円

還付金は、自動車税を支払った年度内に受け取れるとは限りません。場合によっては、前年度に納付した自動車税が還付されることも考えられます。

租税公課の残高がマイナスになる場合は雑収入で処理します。


<振り込みで受け取る場合>

借方貸方
普通預金36,000円雑収入36,000円

<還付金を金融機関で現金で受け取った場合>

借方貸方
現金36,000円雑収入36,000円

年度末までに自動車税を納付できなかった場合

何らかの理由で年度末までに必要な税金の納付ができず、翌期に繰り越しとなった場合は未払金で処理します。


<期末計上時>

借方貸方
租税公課36,000円未払金36,000円

<翌期の納付時>

借方貸方
未払金36,000円現金(預金)36,000円

個人事業主で家事按分が必要なケース

個人事業主などでプライベートと業務の両方で自動車を使用している場合、経費計上するには家事按分が必要です。

家事按分の概要と自動車税の家事按分に関して、それぞれ解説します。

家事按分とは?

家事按分とは、かかった費用を一定のルールで生活用と事業用に算出し、区別することです。事業用にかかった費用は、経費として計上できます。

フリーランスや個人事業主の人が自宅で業務を行っている場合、家賃・光熱費など一部を経費にできる可能性があります。

自動車をプライベート用と事業用の兼用で使っている場合もあるでしょう。その場合、自動車関連の費用も同様に、業務使用分は経費算入できる可能性があります。

自動車税の家事按分

自動車に関連する経費の按分は、走行距離・使用日数・使用時間などから数字を算出します。

いずれの基準を用いる場合でも、全体の金額のうち経費として計上できるのは事業使用が占める割合の金額分のみです。

ただし事業用として使用した分であっても、家事按分して経費を計上できないケースがあります。

白色申告の場合は、事業用として使用した割合に注意が必要です。白色申告では、かかった経費のうち50%を超える部分が業務使用である場合のみ按分して費用として計上できます。

青色申告の場合は割合の制限がなく、業務使用が50%以下であっても家事按分して計上が可能です。

計上する際の金額を算出するには、運転日報などの記録が必要です。業務使用であった証明として、按分の計算に使用した記録資料は残しておきましょう。

家事按分の割合などは「家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

自動車税の会計処理をする際の注意点

自動車税の会計処理をする際の注意点は、以下の通りです。

自動車税の会計処理をする際の注意点

  • 勘定科目を統一し継続して処理する
  • 仕訳時の税区分に注意する

それぞれ詳しく解説します。

勘定科目を統一し継続して処理する

自動車税の計上には「租税公課」または「車両費」の勘定科目を使用できますが、一度採用した方針は原則として継続しなければなりません。

税務上、勘定科目は特段の理由なく安易に変更できないので注意しましょう。

仕訳時の税区分に注意する

税金の納付時に、消費税は課税されません。課税の取引として入力しないよう、会計ソフトの税区分の設定を確認しておきましょう。

特に車両費は、車検や洗車代といった自動車に関わる諸経費全般に使える勘定科目であるため、注意が必要です。

まとめ

業務で利用する車にかかる自動車税は、経費として計上できます。

自動車税を仕訳する際の勘定科目は、「租税公課」もしくは「車両費」を使用します。

いずれの科目を選択しても問題ありませんが、一度決めたら安易に変更しないよう注意が必要です。

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よくある質問

自動車税は経費にできる?

自動車税の納付額は基本的に経費にできますが、加算金・延滞金などは経費として認められません。また個人事業主は、家事按分に注意しましょう。

自動車税の経費計上に関して詳しく知りたい方は、「自動車税は経費にできる?」をご覧ください。

自動車税の勘定科目は?

自動車税の計上時は、一般的に「租税公課」の勘定科目を使用します。しかし車両に関する費用として管理・把握したい場合は、「車両費」の勘定科目を使用しても問題ありません。

自動車税の勘定科目を詳しく知りたい方は「自動車税の勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮