勘定科目の基礎知識

経費精算で用いる勘定科目とは? 仕訳例や処理時のポイントも解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

経費精算で用いる勘定科目とは? 仕訳例や処理時のポイントも解説

経費精算は、従業員が支払った経費を精算する会計処理です。経費精算で用いる勘定科目仕訳例仕訳の際のポイントや注意点を解説します。

経費精算は、従業員が支払った費用によって用いる勘定科目が異なります。

従業員が立て替えた場合と従業員に先払いした場合でも仕訳が異なるので、適切な処理の方法を理解しましょう。

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目次

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経費精算に用いる勘定科目

経費精算では、従業員が支払ったさまざまな経費を精算します。経費精算の処理時に用いられる代表的な勘定科目は5つあります。

経費精算に用いる勘定科目

  • 交通費や宿泊代を精算するなら【旅費交通費】
  • 接待費用や会議費用を精算するなら【交際費・会議費】
  • 文房具や10万円未満の備品を精算するなら【消耗品費】
  • 社員旅行やレクリエーションの費用を精算するなら【福利厚生費】
  • 少額で一時的な支出を精算するなら【雑費】

各勘定科目の特徴や、どのような経費の精算で用いるかを解説します。

【旅費交通費】

旅費交通費は、通常の勤務地以外の場所へ移動するために使用した交通費の計上で用いる勘定科目です。

宿泊代、出張に関する日当や手当なども含まれます。

たとえば、従業員が取引先を訪問するために立て替えた新幹線料金やホテル宿泊代を精算する場合、旅費交通費勘定で計上します。

【交際費・会議費】

交際費は、得意先や仕入れ先の接待・供応・贈答などで使った費用に用いる勘定科目です。

会議費は、株主総会や社内会議、取引先との打ち合わせなどで使った費用で用いられます。

社内会議のために用意した飲料品を精算する場合、会議費勘定で計上する方法が一般的です。

なお、交際費と会議費は区分けが難しい部分もあるので、計上の際は注意しましょう。

【消耗品費】

消耗品費は、使用可能期間が1年間未満、もしくは取得価額が10万円未満の備品や什器で用いる勘定科目です。

具体的には文房具やコピー用紙、10万円未満のパソコンなどが該当します。

たとえば、従業員が業務で使用する伝票やボールペンを自費で購入して、あとで精算する場合、消耗品費で仕訳を行います。

【関連記事】
消耗品費とは?具体例や雑費との違い、仕訳方法について解説

【福利厚生費】

福利厚生費は、会社が給与以外で従業員のために支出した費用で用いる勘定科目です。

具体的には、慰安旅行費用やクラブ活動の補助、食事補助やレクリエーション費用などが挙げられます。

たとえば、業務中の従業員の飲み物として用意されるお茶を購入する際、従業員が自分の財布で立て替えた費用を精算する場合などに、福利厚生費勘定が用いられます。

【雑費】

雑費は、ほかの勘定科目に当てはまらず、少額である支出に用いる勘定科目です。

具体的には、少額の手数料やごみの処分料、所属する団体の年会費やクリーニング費などが該当します。

雑費は、消耗品費との使い分けに戸惑いやすい勘定科目です。

通常、物品などの購入費用は「消耗品費」、ごみの処分料やクリーニング費など、サービスに伴い一時的に発生する費用では「雑費」の勘定科目が用いられます。

【関連記事】
雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

【事例で解説】経費精算の仕訳例

経費精算の仕訳は、従業員に先払いした場合と従業員が立て替えた場合で異なります。正しい仕訳の仕方を知って、正確な精算処理を行いましょう。

出張費を先払いしてあとで精算する場合

従業員に出張費用として100,000円を現金で手渡し、出張後に実費を精算する場合、2回に分けて処理を行います。

具体的な仕訳例は次の通りです。

●出張費用100,000円を現金で先払いしたとき

借方貸方
仮払金100,000円現金100,000円

●出張で従業員が90,000円を使用し、現金10,000円が戻ってきたとき

借方貸方
旅費交通費90,000円仮払金100,000円
現金10,000円

従業員に100,000円を先払いした時点では、旅費交通費ではなく仮払金で計上します。

現金の移動はありますが、出張費用が確定していないからです。

従業員が出張を終えて費用が確定したあとに、仮払金から旅費交通費へ振り替えます。

従業員が立て替えた会議費用を精算する場合

従業員が立て替えた経費をあとで精算する場合も、2回に分けて計上します。従業員が、社内会議の飲み物代10,000円を個人の財布から支払った場合の仕訳例は次の通りです。

●従業員が飲み物代10,000円を立て替えたとき

借方貸方
会議費10,000円未払金10,000円

●立て替えたお金を従業員の口座へ振込んだとき

借方貸方
未払金10,000円普通預金10,000円

従業員が立て替えた費用を精算する場合、借方には経費に対応した勘定科目(今回の場合は会議費)を計上します。

ただし、その時点では従業員への支払いがまだ済んでいないため、未払金勘定を立てておき、従業員に支払った時点で振り替えます。

経費精算を会計処理する際のポイント・注意点

通常、経費は業務用の口座や小口現金から支払いますが、経費精算では従業員が支払った経費を処理します。

計上ミスがないように、次で紹介するポイントに注意しましょう。

従業員から立て替えたお金の証憑を受け取る

経費を精算する場合、従業員から必ず領収書やレシートを受け取りましょう。経費計上には、お金が実際にやり取りされた証憑が必要です。

領収書には、一般的に次の項目が必要です。

領収書に必要な項目

  • 支払者の氏名や会社名
  • 支払者が代金を受け取った日付
  • 受け取った代金の金額
  • 取引した内容(但し書き)
  • 発行者の氏名や会社名
  • 登録番号(インボイス対応)
  • 税率ごとに区分した税込金額および消費税額等(インボイス対応)

2023年10月1日よりインボイス制度が開始されています。

対応するためには、登録番号や税率ごとに区分した税込金額および消費税額等が必要です。

提出された書類に間違いがないか確認する

経費精算の業務フローは、会社により違いはありますが、領収書とともに「経費精算申請書」などの書類を提出する方法が一般的です。

書類を受け取ったときは、間違いがないかを必ず確認しましょう。

たとえば、「記載金額の転記ミス」や「領収書の添付忘れ」などはよくある間違いです。

また、領収書が必要な要件を満たしていない場合もあります。会計処理の誤りにもつながるので、丁寧にチェックしましょう。

領収書の宛名が従業員個人になっている場合に消費税の仕入税額控除を受けたいときは、インボイス制度で定められている立替金精算書を提出してもらう必要があります。

立て替えた場合はこまめに提出するように従業員へ周知する

経費精算は、書類の確認や経費の仕訳などに多くの手間がかかります。まとめて提出されると、処理ミスも起こりやすくなるので注意が必要です。

従業員に対して、立て替えた場合はこまめに書類を提出するように求めるなど、対策を講じましょう。

そのほか、経費精算システムを導入して、業務を効率化する方法も有効です。

まとめ

適切な経費計上は、収益にかかる税金の負担軽減にもつながる作業です。

業務上、従業員が経費を支払うケースは多々存在するため、適切な勘定科目で計上しましょう。 従業員から書類を受け取ったときは、領収書の有無や書類内容の確認が重要です。

経費精算業務が負担になる場合は、業務フローの見直しやシステムの導入を検討しましょう。

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経費精算を会計処理する際の勘定科目は?

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経費精算の勘定科目を詳しく知りたい方は「経費精算に用いる勘定科目」をご覧ください。

領収書に必要な項目は?

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監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮