勘定科目の基礎知識

出張中の食事代は経費にできる?主な勘定科目や仕訳をする際の注意点を解説

監修 北田 悠策 株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所

出張中の食事代は経費にできる?主な勘定科目や仕訳をする際の注意点を解説

出張中にかかった食事代は、場合によって経費にできることがあります。食事代は「旅行交通費」「交際費」「会議費」の勘定科目を使って仕訳します。

どの勘定科目を使うかは、状況によって異なるため、経理の担当者はしっかりと内容を理解しておく必要があるでしょう。

本記事では出張中の食事代を経費にできる場合実際に使用する勘定科目仕訳をする際の注意点などを解説します。

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目次

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出張中にかかった食事代は経費にできる?

出張中にかかった食事代は、状況によって経費にできる場合とできない場合があります。

そもそも生活に必要な衣服費・食費・住居費などの家事費は個人の消費となるため、経費として認められません。出張中に個人で食事をする場合も家事費と考えられるため、原則、経費にすることは難しいです。

ただし、出張中の食事代が出張費に含まれている場合は、宿泊費や交通費とまとめて処理できることがあります。

食事代が出張費に該当するかどうかは、企業ごとに「旅費交通費支給規程」で定められているため確認しましょう。

なお、出張先で接待や会議をした際にかかる食事代に関しては、経費として処理することが可能です。

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出張中にかかった食事代の仕訳に使う勘定科目

出張中にかかった食事代を仕訳する際は、状況に応じて主に下記の勘定科目が使われます。

出張中の食事代の勘定科目

  • 出張費に食事代も含まれている場合は【旅費交通費】
  • 出張中に取引先を交えて接待をした場合は【交際費】
  • 取引先との打ち合わせや社内会議で発生した食事代の場合は【会議費】

基本的には「交際費」または「会議費」として仕訳するケースが多いです。ただし、旅費交通費支給規定で、出張費に食事代も含まれている場合は、「旅費交通費」の勘定科目を使って出張費としてまとめて処理することもあります。

【旅費交通費】

企業の旅費交通費支給規定で出張費に食事代も含まれている場合は、「旅費交通費」の勘定科目を使って、ほかの費用とまとめて仕訳をします。

旅費交通費は、日々の業務で利用する交通費や、出張時の宿泊費などを支払った場合に用いる勘定科目です。

なお、出張中の食事代が出張費に含まれているかは、企業によって異なるため、確認が必要です。

【交際費】

出張中に取引先を交えて1人あたりの食事代が10,000円を超えた場合や、接待をした場合は、「交際費」の勘定科目を使って仕訳をします。

交際費は、業務に関係する取引先に対して接待・贈り物などをしたときに用いる勘定科目です。

【会議費】

出張中に取引先との打ち合わせで生じた食事代や、支社で会議を行った際に生じた食事代などは、「会議費」の勘定科目を使って仕訳をします。

会議費とは、取引先との打ち合わせや、社内会議を目的とした費用を支出したときに使う勘定科目です。

会議費は1人あたり10,000円以下と決まっているため、注意が必要です。取引先との打ち合わせなどで10,000円を超える食事代が生じた場合は、交際費として処理するので、覚えておきましょう。

【事例で解説】出張中にかかった食事代の仕訳例

出張中にかかった食事代の具体的な仕訳を「旅費交通費」「交際費」「会議費」の勘定科目を使ったケース別に紹介します。

食事代を含む出張費40,000円を従業員に先払いした場合

出張する従業員に対して渡す出張費に食事代を含める場合は、食事代以外の宿泊代や交通費なども含めて「旅費交通費」として仕訳をします。

たとえば、食事代を含む出張費40,000円を従業員に先払いして、実際には20,000円の費用しかかからなかった場合の仕訳は以下です。

【先払い時】

借方貸方
仮払金40,0000円現金40,0000円

【精算時】

借方貸方
旅行交通費20,000円仮払金40,000円
現金20,000円

出張費を従業員に先払いする場合は、まだ実費が確定していないため、まず「仮払金」で仕訳を行います。旅行交通費の勘定科目を使って仕訳をするのは、後日実費が確定して精算を行うときになるので、注意しましょう。

なお、出張費を後払いする場合は、以下のように実費分を旅行交通費の勘定科目で仕訳して問題ありません。


借方貸方
旅行交通費20,000円現金20,000円

出張中に取引先と一緒に1人あたり10,000円を超える飲食をした場合

取引先と一緒に1人あたり10,000円を超える飲食をした場合は、「交際費」として仕訳をします。

たとえば、夜に居酒屋で、取引先と2人で12,000円の飲食をして、現金で支払った場合の仕訳は以下です。


借方貸方
交際費12,000円現金12,000円

出張中に取引先と一緒に1人あたり10,000円以下の飲食をした場合

取引先と一緒に1人あたり10,000円以下の飲食をした場合は、「会議費」として仕訳をします。

たとえば、ランチで、取引先と2人で6,000円の食事をして、現金で支払った場合の仕訳は以下です。


借方貸方
会議費6,000円現金6,000円

出張先で支払った食事代を経費にする際の注意点

出張先で支払った食事代を経費にすることは可能ですが、いくつか注意点があるので、確認しておきましょう。

旅費交通費支給規程を確認する

出張中の個人の食事代に関しては、企業側が負担する義務はありません。出張中の食事代を経費にできるかは企業によって異なるため、旅費交通費支給規定の内容を確認するようにしましょう。

なお、まだ旅費交通費支給規定を作成していない企業は、出張が必要になった場合を考えて事前に作成しておくほうが無難です。

旅行交通費支給規定に記載する主な内容には以下のようなことが挙げられます。

旅費交通費支給規定の記載内容

  • 日当
  • 交通費
  • 宿泊料
  • 支度料
  • 通信費

出張中の食事代に関しては、一般的に日当に含まれているケースが多いです。

領収書を必ず発行して保管する

出張先で従業員が取引先と食事をした場合は、領収書を必ずもらい、保管しておくようにしましょう。

また、領収書には食事をした相手の名前や人数、業務上の用途などをメモしておくことが大切です。相手の名前や人数などが一筆あるだけで、領収書の信頼性が高くなります。

まとめ

出張中の個人の食事代は原則、経費にできませんが、企業によっては出張費の一部として食事代が含まれている場合があります。

また、取引先との食事や支社の従業員との食事など、業務に関連する食事に関しては出張中でも経費として計上が可能です。

出張中の食事代を仕訳する際は、状況に応じて「旅費交通費」「交際費」「会議費」の勘定科目を使うため内容を理解しておきましょう。

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よくある質問

出張先での食事代は経費にできる?

出張先での個人の食事代は原則、経費にできません。ただし、取引先との食事や支社の従業員との食事など、業務に関係する食事に関しては経費にすることが可能です。

出張先での食事代を経費にできるのか詳しく知りたい方は「出張中にかかった食事代は経費にできる?」をご覧ください。

出張中の食事代の仕訳に使う勘定科目は?

出張中にかかった食事代は、状況に応じて「交際費」「会議費」の勘定科目を使って仕訳が可能です。また、企業によっては「旅費交通費」の勘定科目を使って出張関連の経費をまとめることもあります。

出張中の食事代の仕訳に使う勘定科目を詳しく知りたい方は「出張中にかかった食事代の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策