名刺の作成や印刷などにかかった費用は、適切な勘定科目を用いて仕訳すれば、経費計上できます。勘定科目には消耗品費や広告宣伝を用いることが一般的ですが、事務用品費や印刷製本費での仕訳も可能です。
しかし、名刺作成費用の仕訳に勘定科目として雑費を用いるのは、使いみちを把握しにくくなってしまうため避けた方が無難です。
本記事では、名刺作成にかかった費用の仕訳に用いる勘定科目について、仕訳例や注意点などわかりやすく解説します。
目次
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名刺は経費にできる?
名刺は事業を行う上で必要なものであり、かかった費用は経費にできます。
また、名刺を経費計上する際の勘定科目は比較的自由度が高いです。そのため、勘定科目を設定する際には、会社の会計ルールや日頃使用している勘定科目など、用途にあわせて選択しましょう。
経費計上は節税のために欠かせないものであるため、きちんと仕訳して申告を行ってしてください。
名刺を仕訳する際の勘定科目・仕訳例
名刺を仕訳する際に主に使われる勘定科目は以下の4種類です。
勘定科目 | 詳細 |
---|---|
消耗品費 | 事業を行なっていく上で消耗していく物品等にかかる費用 |
広告宣伝費 | 自社や自身を紹介するためにかかる費用 |
事務用品費 | 事務的なものにかかった費用として扱うときに使う |
印刷製本費 | 名刺作成を外部に依頼したときや社内で作成した印刷費とまとめて計上する場合に使用 |
勘定科目を一度決定したら、基本的には勘定科目の変更はできません。これを継続性の原則といい、経費などを経年比較できるようにするためのものであり企業会計原則のうちのひとつです。
勘定科目や継続性の原則について詳しく知りたい方は、別記事「勘定科目とは?仕訳方法や設定のポイントについてわかりやすく解説」をあわせてご覧ください。
消耗品費
消耗品費とは、事業を行なっていく上で消耗していく物品等にかかる費用のことです。名刺は日々の名刺交換で数が減っていくため、消耗品費として計上できます。
例:名刺作成費用として1万円を口座振込で支払った
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
また、名刺作成費用をクレジットカードで支払った場合には、以下のように勘定科目「未払金」を用いて、2回に分けて仕訳を行います。
例:名刺作成費用として1万円をクレジットカードで支払い、利用料を後日会社の口座から引き落とされた
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 10,000 | 未払金 | 10,000 |
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
未払金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
広告宣伝費
名刺は自社や自身を紹介・宣伝する意味合いももつため、広告宣伝費としても計上可能です。コミュニケーション目的よりも広告宣伝目的で名刺作成を作成している場合は、広告宣伝費が適しているといえます。
例:名刺作成費用として1万円を現金で振り込んだ
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
広告宣伝費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
事務用品費
名刺作成費用は、事務的なものにかかった経費だと括り、事務用品費としての計上もできます。大企業などは消耗品費の範囲が広く、名刺にかかった費用をより細かく仕訳する目的で事務用品費を用いるケースが多いです。
例:名刺作成費用として1万円を現金で振り込んだ
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事務用品費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
なお、事務用品費と似た勘定科目に「事務用消耗品費」があり、日々の仕訳業務で事務用消耗品費を主に用いている場合では、それに合わせて勘定科目を選ぶようにしましょう。
仕訳例は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事務用消耗品費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
印刷製本費
印刷製本費とは、名刺作成を外部業者に依頼して制作した場合に多く使用される勘定科目です。印刷製本費とすることもあれば、単に印刷費として計上することもできます。
例:名刺作成費用として1万円を現金で振り込んだ
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
印刷製本費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
名刺管理ソフトの勘定科目・仕訳例
名刺管理ソフトとは、紙の名刺をデータ化して読み込んで、システム上で管理や確認ができる名刺専用のソフトです。名刺管理ソフトには当然ながら利用料がかかり、経費として仕訳が必要になります。
しかし、名刺管理ソフトには大きく分けてクラウド型とインストール型の2種類があり、それぞれに合った勘定科目を用いなければなりません。以下では、各タイプの名刺管理ソフトの勘定科目・仕訳例を紹介していきます。
クラウド型ソフトの場合
クラウド型の名刺管理ソフトの場合は、毎月・毎年のようにサブスクリプション型の料金システムとなっているため、通信費を用います。通信費はインターネットに関わる固定費を計上する勘定科目として多く用いられており、会計ソフトやWi-Fiの利用料金なども通信費で経費計上することが一般的です。
具体的な仕訳例は、以下を参考にしてください。
例:クラウド型の名刺管理ソフトを毎月1万円で利用している
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
通信費 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
インストール型ソフトの場合
インストール型の名刺管理ソフトは買い切りのケースが多く、10万円未満であれば消耗品費として経費計上します。インストール型は、ソフトの購入後に利用料などのランニングコストがかからないことが特徴です。
具体的な仕訳例は、以下を参考にしてください。
例:インストール型の名刺管理ソフトを95,000円で購入した
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 95,000 | 現金 | 95,000 |
なお、名刺管理ソフトの購入代金が10万円以上の場合は、減価償却が必要になります。減価償却とは、高額なシステムの導入など、長期間の使用により経年劣化が生じるような資産の取得価額を、耐用年数に応じて1年ずつ経費計上することです。
減価償却する場合の仕訳例は、以下を参考にしてください。
例:耐用年数5年のインストール型の名刺管理ソフトを30万円で購入し、減価償却する
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 60,000 | 固定資産 | 60,000 |
上記では、直接法による仕訳例を紹介していますが、減価償却は間接法による仕訳も可能です。詳しくは、別記事「減価償却とは?償却できる資産や計算方法、耐用年数をわかりやすく解説」をご覧ください。
名刺を仕訳する際の注意点
名刺作成費を仕訳する際は、以下の点に注意が必要です。
名刺を仕訳する際の注意点
- 勘定科目に雑費は用いないほうがよい
- 名刺の勘定科目は法人と個人事業主で違いはない
- 名刺作成費に用いる勘定科目は統一する
それぞれの注意点について、詳しく確認していきましょう。
勘定科目に雑費は用いないほうがよい
雑費は、金額の小さいさまざまな費用に用いられる勘定科目ですが、極めてアバウトで不明確であることから、名刺作成費用には適していません。雑費はあくまでもどの勘定項目にも当てはまらない費用に対して用いる勘定科目と覚えておきましょう。
名刺作成費用においては、できるだけ何に使われた費用なのかわかりやすい、消耗品費や広告宣伝費などの勘定科目が適しています。
名刺の勘定科目は法人と個人事業主で違いはない
名刺に用いる勘定科目について、個人事業主と法人で違いはありません。
勘定科目は何に使われた金額なのかが一目でわかるようにすることが重要であるため、自身が行う事業にあわせて適切な勘定科目を選びましょう。
名刺作成費に用いる勘定科目は統一する
企業会計原則の継続性の原則において、勘定科目の統一は重要視されています。勘定科目を複数用いると、何に使われた費用なのかわかりにくいだけではなく、税務署に目をつけられやすくなるというデメリットもあります。
そのため、名刺作成費用の仕訳に消耗品費を用いたら今後も消耗品費を、広告宣伝費を用いたら今後も広告宣伝費というように、一度勘定科目を決めたらその後も統一して使い続けましょう。
まとめ
名刺作成にかかったデザイン費用や印刷費用などは、消耗品費や広告宣伝費、事務用品費などの勘定科目を用いることが一般的です。また、他社に名刺作成から印刷までの外注を行った場合などは、印刷製本費(または印刷費)を用いることもあります。
勘定科目は、企業会計原則の継続性の原則に則り、一度決めたら統一して使い続けることが重要です。自社の事業や会計ルールなどにあわせて適切な勘定科目を選定し、きちんと仕訳を行うようにしてください。
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