勘定科目の基礎知識

国民年金の勘定科目とは? 仕訳例や個人事業主が経費にできるのかを解説!

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

国民年金の勘定科目とは? 仕訳例や個人事業主が経費にできるのかを解説!

原則、20歳以上の人は国民年金保険料を負担します。本記事は、個人事業主の国民年金保険料は経費にできるのか勘定科目は何を使うのかを解説します。

国民年金とは、会社員や個人事業主など、20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務づけられている制度です。

国民年金の仕訳例や、国民年金保険料に関して知っておきたいポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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個人事業主の国民年金保険料は経費にできる?

国民年金の保険料は、個人事業主の経費にはできません。個人事業で経費と認められるのは、事業に関する支出に限られるためです。

原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は国民年金への加入義務があり、年金の保険料は個人的な支出と見なされます。国民年金の被保険者は職業などによって分類され、個人事業主の場合、第1号被保険者に分類されます。 出典:厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方」

会社員や公務員などの第2号被保険者は、企業と折半して保険料を負担しますが、第1号被保険者の場合、保険料はすべて自己負担です。

また、第2号被保険者の保険料の納付方法は「給与からの天引き」が一般的ですが、個人事業主は直接保険料を納めなければなりません。

国民年金に用いる勘定科目

そもそも、個人事業主がプライベート用の口座から納付した場合、仕訳する必要はありません。個人事業主が事業用の現金や銀行、クレジットカードなどの口座から国民年金保険料を納めた場合、「事業主貸」で仕訳します。

事業主貸とは、事業用の資金を使用して、事業以外の支払いをしたことを記録するための勘定科目です。事業に関係がない支出なので経費にはなりませんが、資金の移動を記帳しておかなければなりません。

【事例で解説】国民年金の仕訳例

個人事業主が、国民年金保険料を納めた場合の以下の仕訳例を紹介します。

国民年金の仕訳例

  • 現金で支払った場合
  • クレジットカードで支払った場合

いずれも事業用の資金やカードで支出したケースです。

国民年金保険料を現金で支払った場合

個人事業主が国民年金保険料を事業用の銀行口座から納めた際、次のように仕訳します。

(例)国民年金保険料(16,520円)を事業用口座から支払った場合

借方貸方
事業主貸16,520円普通預金16,520円

なお、保険料の過払いによる還付がある場合は、過払い金額のみ仕訳を取り消します。

国民年金保険料を現金で支払った場合

国民年金保険料を事業用クレジットカードで支払った場合の仕訳は、以下の通りです。

(例)国民年金保険料(16,520円)を事業用クレジットカードで支払った場合

納付時

借方貸方
事業主貸16,520円未払金16,520円

引き落とし時

借方貸方
未払金16,520円普通預金16,520円

なお個人用のクレジットカードで納付する場合は、記帳する必要はありません。

国民年金保険料に関して知っておきたいポイント

国民年金保険料を納める際に知っておきたいポイントに関して、次の3点を解説します。

国民年金保険料のポイント

  • 社会保険料控除になる
  • 前納すれば割引を受けられる
  • クレジットカードで支払いできる

それぞれ詳しく見てみましょう。

社会保険料控除になる

国民年金の保険料は、すべて社会保険料控除の対象です。

社会保険料控除とは、国民年金や国民健康保険の保険料を支払った場合、その支払った金額について所得控除を受けられる制度です。家族の保険料を納めているなら、その分も含めて控除できます。

国民年金の保険料を納めた人に対し、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が送付されます。個人事業主の人は、所得税の確定申告を行う際、控除証明書を添付して手続きしましょう。

【関連記事】
社会保険料控除とは?控除申請書の書き方や申告方法をわかりやすく解説!

前納すれば割引を受けられる

国民年金には、保険料の前払い制度があります。下表の通り、まとめて支払うと割引が適用され、納める期間が長いほど保険料を抑えられます。

前納の種類・納付額・割引額

前納の種類2年前納1年前納6ヶ月前納当月末振替
(早割)
毎月納付
1回あたりの納付額納付書払い
クレジットカード払い
387,170円194,720円98,310円16,520円
口座振替385,900円194,090円97,990円16,470円16,520円
割引額納付書払い
クレジットカード払い
14,830円3,520円810円
口座振替16,100円4,150円1,130円50円

※2024年1月時点

出典:日本年金機構「国民年金保険料の前納」

また口座振替で納めた場合、納付書払いやクレジットカードで納付するより、割引額が大きくなります。

クレジットカードで支払いできる

国民年金保険料の支払方法として、クレジットカード会社による立替納付があります。

クレジットカード払いは、納付漏れを防ぎ、金融機関の窓口やコンビニなどに出向く手間を省ける点がメリットです。また、クレジットカードによっては、ポイントがためられる場合があります。

まとめ

個人事業主が国民年金保険料を仕訳する際は、「事業主貸」を使います。国民年金の保険料は、事業に関係なく支払う義務があるものなので、個人事業主の経費にはできません。

必要経費として計上はできませんが、社会保険料控除の対象なので、確定申告で忘れずに反映させましょう。

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よくある質問

個人事業主の国民年金保険料は経費にできる?

国民年金や国民健康保険の保険料は、経費にできません。

個人事業で国民年金保険料を経費に計上できるか詳しく知りたい方は、「個人事業主の国民年金保険料は経費にできる?」をご覧ください。

国民年金に用いる勘定科目は?

個人事業主の場合、事業に関する口座で支払いが発生した際、「事業主貸」で仕訳します。

国民年金に用いる勘定科目を知りたい方は、「国民年金に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮