勘定科目の基礎知識

入場料・入館料は経費にできる?勘定科目の種類や仕訳の具体例を紹介

監修 北田 悠策 株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所

入場料・入館料は経費にできる?勘定科目の種類や仕訳の具体例を紹介

入場料・入館料を経費にする場合、状況に応じて「取材費」「広告宣伝費」「販売促進費」「福利厚生費」「交際費」「研修費」の勘定科目で仕訳します。

どの勘定科目を使って仕訳を行うのかは、職種や目的によって異なるため、担当者は使い分けができるように、内容をしっかりと把握しておく必要があるでしょう。

本記事では入場料・入館料を仕訳する場合の勘定科目仕訳の具体例などを紹介します。

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目次

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入場料・入館料は経費にできる?

映画館や美術館、博物館などの入場料・入館料は、事業に関係する目的で支払った場合、経費にすることが可能です。

たとえば、デザイナーが創造意欲を高めるために美術館や博物館などに行く場合や、取引先の接待として施設に入場する場合などは、経費として該当するでしょう。

経費にできないケース

事業に関係のある入場料・入館料に関しては経費にできますが、プライベートの映画鑑賞など業務に関係のない場合は、経費にできません。

また、経費に該当する場合でも、証拠が保持されていないものに関しては経費にできないため注意が必要です。そのため、入場料・入館料を経費にする場合は、領収書やレシート、入場時の半券などを保管しておくようにしましょう。

入場料・入館料の仕訳に使う勘定科目

入場料・入館料を仕訳する場合の勘定科目は状況によって異なりますが、主に以下の勘定科目を使います。

入場料・入館料の主な勘定科目

  • 取材目的の場合は【取材費】
  • 自社商品やサービスの販売促進を目的とする場合は【広告宣伝費】または【販売促進費】
  • 慰安・人間関係の親密化を図ることを目的とした場合は【福利厚生費】
  • 接待目的の場合は【交際費】
  • 社員研修の一環として施設に入場する場合は【研修費】

それぞれ解説します。

【取材費】

主にメディア関連の業務として入場料・入館料を支払う場合は「取材費」の勘定科目を使って仕訳ができます。

取材費は、新聞や雑誌、書籍などの出版を目的とした取材を行う際に、移動や入場に伴う費用を支出したときに使う勘定科目です。

映画監督やデザイナーなどのクリエイターも、取材が必要であれば入場料・入館料を取材費として仕訳をしても問題ありません。

【広告宣伝費・販売促進費】

企業の製品やサービスを広く知ってもらうことを目的として、博覧会や展覧会などの入場券を自社で購入し、取引先などに配布するときは、「広告宣伝費」や「販売促進費」の勘定科目を使って仕訳ができます。

広告宣伝費は、不特定多数を対象として企業の製品やサービスを広く知ってもらうための宣伝にかかる費用を支出したときに使う勘定科目です。

また、販売促進費は、不特定多数を対象として自社の商品やサービスの販売を促進するためにかかる費用を支出したときに使う勘定科目です。

【福利厚生費】

従業員の職場環境を整えることや慰安・人間関係の親密化を図ることを目的とした場合の入場料は「福利厚生費」を使います。

ただし、福利厚生費として仕訳する場合は、平等性がポイントになるため、特定の従業員だけ美術館へ入場するなどのケースでは、福利厚生費として処理できない点に注意しましょう。

【交際費】

交際費は、得意先や仕入先など、事業に関係のある相手に対して接待・贈り物などをしたときに使う勘定科目です。

取引先を接待する目的で映画館や博物館などの入場料・入館料を支払った場合は、「交際費」として仕訳ができます。

【研修費】

研修費は、業務に必要な知識や技術を身につけるための、研修やセミナーなどに関連する費用を支出したときに使う勘定科目です。

社員研修の一環として施設に入場する場合は、「研修費」として仕訳ができます。

【事例で解説】入場料・入館料の仕訳例

入場料・入館料を仕訳するときは、職種や状況によって用いる勘定科目が異なります。

ケース別に仕訳の具体例を紹介するので、確認しておきましょう。

取材目的で映画館に入館して2,000円の入場料を支払った場合

メディア関連の企業が取材目的で入場料・入館料を支払った場合は、「取材費」の勘定科目を使って仕訳をします。

たとえば、雑誌で話題の映画を特集するために、映画館に入館し、現金2,000円を入場料として支払った場合の仕訳は以下です。


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取材費2,000円現金2,000円

サービスの利用特典として映画の前売り券50枚(1枚2,000円)を購入した場合

自社の商品やサービスを宣伝するために、入場料・入館料を支払った場合は、「広告宣伝費」の勘定科目を使って仕訳をします。

たとえば、自社サービスの利用特典として映画の前売り券50枚(1枚2,000円)を現金で購入した場合の仕訳は以下です。


借方貸方
広告宣伝費100,000円現金100,000円

また、協賛している博覧会の入場券20枚(1枚5,000円)を現金で購入した場合は、企業イメージの向上を図ることになるため、「販売促進費」を使って以下のように仕訳をしてもよいでしょう。


借方貸方
販売促進費100,000円現金100,000円

社員旅行で博物館の入館権を支払った場合

従業員の福利厚生の一環として入場料・入館料を支払った場合は、「福利厚生費」として仕訳をします。

たとえば、社員旅行中に博物館へ行き、全従業員20名分(1人1,000円)の入館料をクレジットカードで支払った場合の仕訳は以下です。

【支払い時】

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福利厚生費20,000円未払金20,000円

【クレジットカード利用料の支払い(口座引き落とし)時】

借方貸方
未払金20,000円普通預金20,000円

なお、クレジットカードで支払いをした場合は、支払い時と実際にクレジットカードの利用料が引き落としされるときに分けて仕訳が必要です。

接待として取引先の社長と美術館に行き、入館料4,000円を支払った場合】

取引先への接待を目的として入場券やチケットを贈った場合は、「交際費」の勘定科目で仕訳をします。

たとえば、接待のために取引先の社長と美術館に行き、入館料4,000円を現金で支払った場合の仕訳は以下です。


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交際費4,000円現金4,000円

新入社員研修の一環として、業務に関連する展示会への入場料を支払った場合

従業員のスキルアップや見識を広げるために入場料・入館料を支払った場合は、「研修費」の勘定科目を使って仕訳をします。

たとえば、新入社員研修の一環として、自社の業務に関連する展示会への入場料10,000円を現金で支払った場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
研修費10,000円現金10,000円

入場料・入館料の仕訳は職種や目的で異なる点に注意が必要

入場料・入館料の仕訳は、職種や目的によって適切な勘定科目が異なるため、注意しましょう。

主にメディア関連や取材目的なら「取材費」、それ以外の業務を行う企業であれば、状況に応じて「交際費」「広告宣伝費」「福利厚生費」などの勘定科目から目的に応じて使い分けることが大切です。

なお、一度決めた勘定科目は原則変更してはならないため、自社で明確なルールを作っておく必要があります。勘定科目の使い分けに時間をかけたくない場合は、会計ツールを活用するのもおすすめです。

まとめ

入場料・入館料は、業務に関係のあることであれば経費にできますが、領収書や入場券の半券など証拠が必要になるので、保管しておくことが大切です。

また、仕訳をする際は、取材費や福利厚生費、交際費、広告宣伝費などの勘定科目があり、職種や目的によって勘定科目が異なります。

入場料・入館料の仕訳は、目的や状況に応じた勘定科目を用いて正確に行いましょう。

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入場料・入館料を経費にできるのか詳しく知りたい方は「入場料・入館料は経費にできる?」をご覧ください。

入場料・入館料の仕訳に使う勘定科目は?

入場料・入館料の仕訳に使う勘定科目は、職種や目的によって異なります。主に使われる勘定科目には、「取材費」「広告宣伝費・販売促進費」「福利厚生費」「交際費」「研修費」があります。

入場料・入館料の仕訳に使う勘定科目を詳しく知りたい方は「入場料・入館料の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策