IPOの基礎知識

公開会社とは?非公開会社(株式譲渡制限会社)との違いやメリット・デメリットを解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

公開会社とは?非公開会社(株式譲渡制限会社)との違いやメリット・デメリットを解説

公開会社とは、株式の全部または一部について譲渡制限のない株式を発行できることを定款で定めている株式会社のことです。株主は、会社の承認を得なくても自由に株式の譲渡・取得ができます。反対に、株式に譲渡制限を設けている会社を非公開会社と呼びます。

本記事では、公開会社の概要、非公開会社との違い、公開会社のメリット・デメリットを解説します。

目次

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公開会社とは

公開会社とは、株式の全部または一部について、譲渡制限のない株式を発行できることを定款で定めている株式会社のことです。公開会社の株主は、株式会社の承認を得なくても自由に株式の譲渡・取得ができます。

株式が証券取引所に登録されている上場会社は、原則としてすべて公開会社です。しかし公開会社が公開している株式が必ずしも証券取引所に上場されているわけではなく、すべての公開会社が上場会社であるとは限りません。

なお、株式の全部または一部について、譲渡制限のない株式を発行できることを定款で定めている公開会社に対し、定款ですべての株式の譲渡を制限している株式会社を非公開会社といいます。

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公開会社と非公開会社(株主譲渡制限会社)の主な違い

前述のとおり、非公開会社とは株式の全部について譲渡制限があることを定款で定めている株式会社のことです。

非公開会社の場合は公開会社と異なり、株主は取締役会などにおいて会社の承認を得なければ株式を自由に譲渡・取得できません。株式を自由に譲渡できるかどうかが、公開会社と非公開会社の大きな違いです。

このほかに、公開会社と非公開会社には下表の違いがあります。


公開会社非公開会社
取締役会設置が必要(3名以上)設置は任意
監査役設置が必要取締役会を置く場合は会計参与か監査役が必須(取締役会を置かなければ監査役は任意)
監査役の権限業務監査および会計監査会計監査のみを行う監査役設置可能
取締役・監査役の任期取締役は最大2年、監査役は最大4年取締役・監査役ともに10年まで
発行可能株式総数発行済株式の4倍まで発行制限なし
属人的株式設定不可設定可能
役員選任種類株式設定不可設定可能
株券の発行時期
(株券発行会社の場合)
遅滞なく発行する株主から請求があるまでは発行しなくてもよい
株主総会の招集通知原則2週間前原則1週間前
募集株式発行の決議取締役会株主総会
株主提案権株式を6ヶ月以上保有している株主のみ株式の保有期間による制限なし
株主代表訴訟提訴権株式を6ヶ月以上保有している株主のみ株式の保有期間による制限なし

公開会社のメリット

会社を公開会社にする主なメリットは以下の2つです。

公開会社のメリット

  • 資金調達力の強化
  • ガバナンスの強化

資金調達力の強化

公開会社は取締役会の決議により新株発行することができるため、機動的に資金調達できるメリットがあります。

また、証券取引所に登録される上場企業になることで、さらに幅広い資金調達も期待できます。公開会社の場合、上場の要件である「株式に譲渡制限がないこと」は必然的に満たしていることになります。

ガバナンスの強化

前述のとおり、公開会社は、経営上の意思決定と経営者の監督を行う取締役会の設置、取締役・取締役会の職務執行を監督する監査役の設置が必要です。

これによってコーポレートガバナンスの強化が図られる点も、公開会社が享受できるメリットといえるでしょう。

【関連記事】
コーポレートガバナンスとは? 企業統治の意味や内部統制の違いについてわかりやすく解説

公開会社のデメリット

メリットが大きいように見える公開会社にも、以下のようなデメリットが想定されます。

公開会社のデメリット

  • 株式の買い占めリスクがある
  • 会社運営のコストがかかる

株式の買い占めリスクがある

公開会社には株式の譲渡・取得に制限がないため、誰がどれくらいの株数を保有するのか、会社側が管理・操作することはできません。そのため、会社の意思とは関係なく特定の株主に株式を買い占められてしまうリスクがあります。

たとえば、外部による株式の買い占めによって、現在の経営層が経営権を失ってしまう事態が想定されます。もしくは株主が分散し、増えてしまうことで、将来的に株式を後継者に集中させたいと考えている場合に手間がかかってしまう可能性もあるでしょう。

会社運営のコストがかかる

前述のとおり、公開会社は取締役会や監査役を設置するため、ガバナンス強化のメリットがある反面、設置や維持のためのコストも発生します。具体的には取締役会の開催にあたっての事務的な手間や、監査役の報酬などです。こうしたコストの発生は公開会社のデメリットと考えられます。

まとめ

株主が自由に株式の譲渡・取得ができる公開会社には、資金調達力が高い、ガバナンス強化を推進できるといったメリットがある一方、株式の買い占めリスクやコスト増加などのデメリットもあります。

会社の経営方針によっては、必ずしも公開会社化のメリットが大きいとはいえない場合も考えられるため、慎重に検討しましょう。

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  • 承認なく営業が単独で受注・請求処理を行うことができる
  • 仕入計上の根拠となる書類が明確になっていない
 

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  • 発見的措置(モニタリング)のための、仕訳変更・承認履歴、ユーザー情報更新・権限変更履歴などアクセス記録
  • 国際保証業務基準3402(ISAE3402)に準拠した「SOC1 Type2 報告書」を受領

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よくある質問

公開会社と上場会社の違いは?

公開会社とは、株式の全部または一部について、譲渡制限のない株式を発行できることを定款で定めている株式会社のことです。

上場企業とは証券取引所に株式が登録される企業のことで、原則としてすべて公開会社が該当しますが、公開会社が公開している株式が必ずしも証券取引所に上場されているわけではありません。

詳しくは記事内「公開会社とは」をご覧ください。

公開会社と非公開会社(株式譲渡制限会社)の違いは?

公開会社と非公開会社の大きな違いは、株式を自由に譲渡できるかどうかです。

非公開会社の場合は公開会社と異なり、株主は取締役会などにおいて会社の承認を得なければ、株式を自由に譲渡・取得できません。

詳しくは記事内「公開会社と非公開会社(株主譲渡制限会社)の主な違い」で解説しています。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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