監修 税理士・CFP® 宮川真一
見積書をメールで送付する際は、見積書を添付したメールであることを件名や本文に明記し、データはPDFで用意することがポイントです。
見積書はメールによる送付が多いですが、郵送やFAXなどで送付するケースもあります。各パターンごとの送付方法や注意点などを理解しておくと、スムーズに見積書のやりとりができるでしょう。
本記事では、見積書をメールや郵便、FAXで送付する場合に必要な対応やルールについて解説します。見積書の送信側と受信側それぞれのメール文例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 見積書をメールで送付する側のポイント
- 見積書を添付したメールであることを明記する
- 見積書のデータはPDF形式で用意する
- 数日間返信がない場合は確認の連絡を入れる
- 見積書をメールで送信する場合の文例
- 見積書をメールで受け取る側のポイント
- メールを受け取った時点でお礼の連絡を入れる
- いつまでに返答できそうかを添えて返信する
- 見積書をメールで受け取った場合の文例
- 受領のお礼を伝える場合
- これから検討することを伝える場合
- 見積書の内容で発注する場合
- 発注を見送る場合
- 郵便で見積書を送る方法
- 見積書を郵送する際に用意するもの
- 郵送する際の送付状の書き方
- 郵送する際の注意点
- FAXで見積書を送る方法
- FAXで送る際の注意点
- まとめ
- 無料で請求書・見積書を発行したいならfreee請求書がおすすめ
- よくある質問
見積書をメールで送付する側のポイント
見積書をメールで送付する場合のポイントは以下のとおりです。
- 見積書を添付したメールであることを明記する
- 見積書のデータはPDF形式で用意する
- 数日間返信がない場合は確認の連絡を入れる
それぞれの項目ごとの具体的な内容を解説します。
見積書を添付したメールであることを明記する
メールで見積書を送る場合、メールの件名や本文に見積書を添付していることがわかるように記載しましょう。
なお、取引先のメールボックスには膨大な量のメールが届いていることを想定し、メールボックスの一覧の時点である程度内容がわかるよう、件名に「自社名」「要件の要約」「見積書を添付している旨」など要点を書いておくのがおすすめです。
見積書のデータはPDF形式で用意する
メールで見積書を添付する場合、データが改ざんされやすいExcelやWordではなく、編集制限をかけたPDFや画像データなど、作り替えにくいデータ形式で送るようにしてください。
なお、情報漏えいを防ぐために添付のZIPファイルにパスワードを設定する方法は、セキュリティ対策と受信側の利便性のうえであまり推奨されていません。実際に、内閣府では、メールでパスワード付きZIPファイルを送り、パスワードを別で送付する方法を2020年11月に廃止しました。
セキュリティに配慮するなら、ストレージサービスにファイルをアップロードし、パスワードを設定するほうがより安全で望ましいといえます。
出典:内閣府「平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日」
数日間返信がない場合は確認の連絡を入れる
送信先から数日間返信がない場合、見積書が届いているかを電話やメールで確認してみましょう。万が一、送信エラーでメールが届いていなかった場合は速やかに再送する必要があります。
送信先から返信がない理由として、送信先メールボックスの迷惑メールフォルダに入ってしまい、確認ができていないことも考えられます。差し支えなければ迷惑メールフォルダに入っていないか確認してもよいでしょう。
また、最悪の場合は「送信の際に送り先を間違えていた」ということもあるかもしれません。送信先に届いていない場合は、送信済みメールの宛先を改めて見直すことをおすすめします。
見積書をメールで送信する場合の文例
見積書をメールで送信する場合の文例を紹介します。
ポイントは、添付内容と有効期限を線で囲み、目に付きやすくすることです。見落とされたくない重要な内容は、以下のように書き方を工夫して目立つようにするのもおすすめです。
以下を参考に、メール本文を作成してみてください。
株式会社スワロー商事 XXX事業部 見積 花子 様 いつもお世話になっております。 つばめ株式会社のつばめ 太郎です。 このたびは◯◯◯◯のお見積りのご依頼をいただき、ありがとうございます。 お見積書をPDFでお送りいたします。 ご査収のほど、よろしくお願いいたします。 ---------- [添付内容] ・〇〇〇〇御見積書(PDF) 1通 ※御見積書有効期限:◯◯◯◯年◯月◯日まで ---------- ご不明な点や、添付ファイルの内容が表示されない場合は、お問い合わせください。 ご多忙とは存じますが、期限内にお返事を頂けますと幸いです。 何卒、よろしくお願いいたします。 |
見積書をメールで受け取る側のポイント
取引先から見積書をメールで受け取った場合のポイントは大きく2つです。まずは受け取った時点でお礼の連絡を入れましょう。その際、いつまでに返答できそうかを添えておくことが重要です。
どのように対応するのが望ましいかを解説します。
メールを受け取った時点でお礼の連絡を入れる
見積書をメールで受け取った時点で、まずはお礼の連絡を入れましょう。送信側の立場からすると、きちんとメールが届いているかどうかが気になるところです。
受信側は、確認でき次第なるべく早いタイミングで、たしかに受領したことを相手に伝えるのが望ましいといえます。
見積書のやりとりに限った話ではありませんが、できる限りスピーディーでこまめな連絡を心がけると、相手に余計な不安を抱かせることがなくなり、信頼につながるでしょう。
いつまでに返答できそうかを添えて返信する
返答予定日の目処が立っている場合、「〇日までに返答する」という旨を連絡しておくと親切です。
いつ返事がもらえるかわからない状態では、取引先に不安を与えてしまう可能性もあります。目安でも構わないため、仮の返答予定日をあらかじめ伝えておくのがおすすめです。
見積書をメールで受け取った場合の文例
ここでは、見積書をメールで受け取った場合の返信メールについて、下記のパターンごとのサンプルを紹介します。
見積書を受領した場合のメール文例パターン
- 受領のお礼を伝える場合
- これから検討することを伝える場合
- 見積書の内容で発注する場合
- 発注を見送る場合
受領のお礼を伝える場合
つばめ株式会社 XXX事業部 つばめ 太郎 様 いつもお世話になっております。 株式会社スワロー商事の見積 花子です。 このたびは〇〇〇〇の見積書をお送りいただきありがとうございます。 たしかに受領いたしました。 社内で検討し、〇月〇日までに返答させていただく見込みです。 何卒よろしくお願いいたします。 |
これから検討することを伝える場合
つばめ株式会社 XXX事業部 つばめ 太郎 様 いつもお世話になっております。 株式会社スワロー商事の見積 花子です。 このたびは〇〇〇〇の見積書をお送りいただきありがとうございます。 たしかに受領いたしました。 頂いた御見積はこれから社内で検討させていただきます。 目安ですが、〇月〇日までに返答できればと考えております。 何卒よろしくお願いいたします。 |
見積書の内容で発注する場合
つばめ株式会社 XXX事業部 つばめ 太郎 様 いつもお世話になっております。 株式会社スワロー商事の見積 花子です。 先日は〇〇〇〇の見積書をお送りいただきありがとうございました。 社内で検討を行いまして、本見積書の内容で発注させていただきたく考えております。 つきましては、発注にあたり必要な情報や、今後のスケジュールなどをお伺いできれば幸いです。 引き続きよろしくお願いいたします。 |
発注を見送る場合
つばめ株式会社 XXX事業部 つばめ 太郎 様 いつもお世話になっております。 株式会社スワロー商事の見積 花子です。 このたびは〇〇〇〇の見積書をお送りいただきありがとうございました。 社内で検討しましたた結果、大変心苦しいのですが、 今回は発注を見送らせていただくこととなりました。 ご期待に添えず申し訳ありません。 また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。 |
郵便で見積書を送る方法
取引先によっては、「見積書を郵送してほしい」と依頼されるケースもあります。
記載する内容自体は見積書のデータをメールに添付する場合と変わりませんが、郵送の場合、封筒や切手はもちろん、「見積書在中」のスタンプや同封する送付状の準備も必要です。
見積書を郵送する際に用意するもの
封筒・切手
送付用の封筒は、長形3号(120mm × 235mm)を使用するのが一般的です。長形3号は、A4用紙を3つ折りにして入れられるサイズなので、一般的な書類の郵送に適しています。
また、封筒はあらかじめ糊・テープが付いているものや、見積書の宛名が窓になっているもの、中身が透けにくいものがおすすめです。
切手は厚さ1cm以下、重量50g以内の場合は定形郵便で郵送可能です。0~25gまでは84円、25~50gまでは94円、50gを超える場合は定形外郵便扱いになります(2023年8月時点)。なお、切手の料金は「郵便局のホームページ」から確認できます。
基本的には、長形3号の封筒に送付状と見積書の合計2通であれば84円切手で問題ありません。請求書が複数枚ある場合や紙の重さが定かでない場合は、郵便局できちんと重さを量ってもらい、正しい切手を貼ってから投函しましょう。
「見積書在中」のスタンプ
一般的には見積書と送付状を入れる封筒の表には、「見積書在中」のスタンプを押します。
縦型封筒の場合、「見積書在中」のスタンプは左下隅に角から1文字程度のスペースを空けて押印し、横型封筒の場合、右下隅に角から1文字程度のスペースを空けてスタンプを押印します。
「見積書在中」のスタンプは文房具屋やインターネットで購入できます。
送付状
送付状とは、見積書などの書類と一緒に送付し、書類を開封する人が郵送された書類の概要を一目で把握できるようにするための書類です。送り状や添え状、カバーレターとも呼ばれます。
送付状を同封することで簡単な挨拶文を添えられ、挨拶状としての役割も持たせられます。見積書のような重要な書類を送る場合、送付状を同封するのがビジネスマナーとされています。
郵送する際の送付状の書き方
見積書を郵送する際の送付状について、一般的な書き方を項目ごとに紹介します。
1. 見積書の発送日付
送付する見積書がいつの取引かわかるように発送日を記入します。和暦、西暦どちらでも問題ありませんが、すでに発行している見積書や請求書などと統一したほうがよいでしょう。
2. 宛先・担当者名
会社名(屋号)を記入します。宛先に担当者が指定されている場合や、大企業などの場合は担当者の部署、名前まで書くとよいでしょう。会社宛の場合は会社名のあとに「御中」、担当者や個人名がわかる場合には名前のあとに「様」を記入します。
会社名や担当者名を間違えるのは、ビジネスマナーとして大変失礼にあたります。会社名は前株もしくは後株まで省略せずに記載しましょう。
3. 差出人
見積書の差出人(自社)の情報を記入します。会社名(屋号)で改行し、部署、見積書の作成者の順に記入します。
4. タイトル
送付状のタイトルを記入します。「見積書送付のご案内」や「見積書の送付について」など、送付する書類について具体的に記載すると伝わりやすく親切です。
5. 挨拶・本文・敬具
一般的な頭語は「拝啓」を使います。挨拶文は、時候の挨拶や相手の安否を気遣う言葉など、状況に応じたものを使用しましょう。本文は、同封の文書が見積書であることを伝え、確認をお願いし、最後に担当者名と連絡先を記入します。
本文記載後、「敬具」を右寄せで記入します。
6. 記書き
公文書(こうぶんしょ)などでも使用される「記書き」の書式を使って記入します。「記書き(きかき)」とは、挨拶文のあとに「記」と書き、伝えたいことを箇条書きにする書式です。記書きを使うことで、要点を簡潔に伝えることができます。
一般的な送付状の記書きの位置は、「記」は中央、伝達事項の箇条書き(書類名、通(送付枚数))は左か中央、「以上」は右に記入します。
なお、記書き書式を使用する場合には、「記~以上」は、1枚目で終わる書類に使い、2枚目に続くような複数枚にわたる書類には使わないのがルールです。
また、「以上」のあとに追記することはできません。一般的な文書やビジネス書類では、必要に応じて多少の追記をすることもありますが、公的文書では使用しないため注意しましょう。
郵送する際の注意点
見積書は信書(しんしょ)に該当します。信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことです。
信書の郵送方法は法令で定められており、日本郵便株式会社もしくは国が許可した信書便事業者から郵送する必要があります。(2023年8月時点)
上記以外で郵送した場合は違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があるため、郵送方法は事前に確認しましょう。
出典:総務省「信書の送達についてのお願い」
FAXで見積書を送る方法
見積書は基本的にメールで送ることが多いです。ただし、依頼者が希望した場合、FAXで見積書を送るケースもあります。
FAXで見積書を送付する場合は、郵送と同様に送付状を添付してください。FAXによる送付が完了したあと、必要であれば原本も郵送しましょう。
原本を郵送するときの送付状には、「FAXで先に送付済みですが」「原本をお送りします」などの文章を添えておくと伝わりやすくなります。
FAXで送る際の注意点
1. ページ番号を付ける
FAXで送る書類には、混乱を避けるため、ページ番号を付けてください。
2. FAX番号を確認して送信
送信前にFAX番号を確認し、原稿の向き・順番・サイズを整え、送信します。依頼者が受け取りやすい時間帯に送信すると、親切でよいでしょう。
なお、誤送信は機密情報の漏えいにつながる恐れがあります。FAX番号や送る原稿は正しいか、送信前に入念にチェックしましょう。
3. FAX送信後に電話連絡
FAX送信後は取引先に電話で連絡し、正常に届いているか、印刷ミスがないかなどを確認しておくとよいでしょう。可能であれば、FAX送信前に電話で知らせておくとよりスムーズな対応が可能です。
まとめ
見積書をメールで送るときは、見積書を添付したメールであることを件名や本文に明記しましょう。添付するデータは改ざんのリスクがあるWordやExcelではなく、PDFで用意することも重要なポイントです。
見積書を郵送する場合、封筒や切手はもちろん、見積書在中のスタンプや送付状の準備も必要です。FAXで送る場合も送付状を添付し、必要であればFAX送信後に見積書の原本を郵送しておきましょう。
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よくある質問
メールで見積書を送るときの文例は?
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具体的な文面サンプルは記事内「見積書をメールで送信する場合の文例」で紹介しています。
メールで見積書を受け取ったときの文例は?
メールで見積書を受け取ったときは、まず「たしかに受領した旨とお礼」「返答日の目安」などを記載したメールを返信します。受け取った見積内容での発注が難しい場合は、丁重にお断りのメールを送りましょう。
具体的なメール文サンプルは記事内「見積書をメールで受け取った場合の文例」をご覧ください。
見積書を郵送するときの方法は?
見積書を郵送する場合は、封筒や切手、送付状の準備などが必要です。
詳しくは記事内「郵便で見積書を送る方法」を参考にしてください。
監修者名 税理士・CFP® 宮川真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは25年以上に及ぶ。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表としてコンサルティング、税務対応を担当。また、事業会社の財務経理を担当し、複数企業の取締役・監査役にも従事。