請求書の基礎知識

領収書に貼る収入印紙のルールを解説。印紙を貼るべき金額はいくらから?

領収書に貼る収入印紙のルールを解説。印紙を貼るべき金額はいくらから?

領収書の発行にあたっては、領収書に記載の金額によって収入印紙が必要なケースがあります。収入印紙の貼付が必要な領収書にもかかわらず印紙を貼り忘れた場合は、印紙税を納税していないことになり、罰則が科せられるため注意が必要です。

本記事では、領収書に印紙の貼付が必要な受取金額や印紙の貼付が不要なケースなど、収入印紙のルールについて詳しく解説します。

目次

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収入印紙とは

収入印紙とは、印紙税などを支払う目的で国が発行している証憑です。一般的に「印紙」と略して呼ばれ、印紙税の課税対象となる書類に貼って使用します。

経済取引に伴って契約書や領収書などの書類を作成する際は、印紙税法に基づき印紙税という税金が課せられます。印紙には紙幣のようにそれぞれ金額が記載されており、必要な納税金額分の印紙を貼付することで「印紙税を納めた」という扱いになります。

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

収入証紙や普通切手との違い

収入印紙と見た目がよく似ているものに収入証紙や普通切手がありますが、それぞれ用途が異なります。収入証紙は地方自治体へ税金や手数料などを支払うため、普通切手は郵便局へ料金を前納するために用いるものです。

出典:兵庫県庁「収入証紙」

収入印紙の種類

収入印紙は、1円から10万円まで全部で31種類あります。

2018年7月には200円以上の収入印紙19種類の形式が変更され、紫外線の照射で発光する特殊インキやマイクロ文字、ホログラムといった偽造防止対策が導入されました。ただし、なお、改正前の収入印紙も引き続き使用できます。

出典:国税庁「収入印紙の形式改正について」

条件に該当する領収書には収入印紙の貼付が必要

領収書は、印紙税額一覧表に記載された第17号文書「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当します。

領収書には印紙税の課税対象になるものと非課税のものがあり、課税対象になる場合は収入印紙の貼付および後述する「消印」が必要です。また、領収書以外にも、印紙税額一覧表に掲げる20種類の文書が課税対象となります。

印紙税の課税対象となる主な文書は、以下のとおりです。

印紙税の課税対象となる文書例

  • 領収書
  • 請負に関する契約書
  • 借用証書
  • 約束手形・為替手形
  • 株券・出資証券
  • 預金証書・貯金証書
  • 保険証券
  • 定款
  • 預金通帳・貯金通帳・信託通帳・掛金通帳・保険料通帳

出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

非課税文書は国税庁の「印紙税額一覧表」から確認できます。

収入印紙を貼らなかったらどうなる?

課税対象となる領収書に収入印紙を貼り忘れると、「本来納付すべき印紙税を納税していない」と見なされます。

収入印紙の貼り忘れは税務調査などで発覚し、罰則の対象となるので注意が必要です。罰則として、納付しなかった印紙税の額とその2倍の金額に相当する「過怠税」を支払わなければなりません。よって、本来納付すべき税金の3倍を支払うことになります。罰則に関しては印紙税法に以下のとおり記載されています。

第八条第一項の規定により印紙税を納付すべき課税文書の作成者が同項の規定により納付すべき印紙税を当該課税文書の作成の時までに納付しなかつた場合には、当該印紙税の納税地の所轄税務署長は、当該課税文書の作成者から、当該納付しなかつた印紙税の額とその二倍に相当する金額との合計額に相当する過怠税を徴収する。

出典:e-Gov法令検索「印紙税法|第二十条」

たとえば、以下は800万円の領収書に収入印紙を貼り忘れたケースの過怠税および支払う合計額です。

  • 本来納付(貼付)すべき印紙税額:2,000円
  • 過怠税として支払う税額:4,000円(通常納税額の2倍)
  • 支払う合計額:2,000円(本来納付すべき印紙税) + 4,000円(過怠税) = 6,000円(通常納税額の3倍)

収入印紙を課税文書(領収書)に貼っていても、印章または署名で消印がされていなかった場合は、すでに領収書に貼っている収入印紙と同額の過怠税がかかります。

なお、税務調査を受ける前に納付忘れを自主申告すると、過怠税は2倍から1.1倍へ軽減されます。

また、収入印紙が必要な領収書に収入印紙が貼付されていなかった場合であっても、領収書そのものの法的な効力に変わりはありません。

出典:国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」

領収書に収入印紙の貼付が必要な金額はいくらから?

発行する領収書に収入印紙の貼付が必要かどうかは受取金額によって決まり、受取金額が「5万円以上の場合」に必要です。受取金額が5万円未満の場合は非課税として扱われ、収入印紙は不要となります。

課税か非課税かを判断する「5万円」という金額には、原則として消費税が含まれません。消費税額が領収書に記載されている場合は、本体価格(税抜)のみの金額で収入印紙を貼付するかどうか判断します。

印紙税一覧

収入印紙は、「売上代金の領収書」と「売上代金以外の領収書」で金額が変わります。「売上代金以外の領収書」には、損害賠償金、保険金、返還金、担保としての保証金などが該当します。

具体的な領収書の金額と、必要な印紙税(収入印紙の金額)の対応表は次の通りです。

【売上代金の領収書の印紙税一覧】

領収書の金額印紙税(収入印紙の金額)
5万円未満不要(非課税)
5万円以上、100万円以下200円分
100万円超、200万円以下400円分
200万円超、300万円以下600円分
300万円超、500万円以下1,000円分
500万円超、1,000万円以下2,000円分
出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

【売上代金以外の領収書の印紙税一覧】

領収書の金額印紙税(収入印紙の金額)
5万円未満不要(非課税)
5万円以上200円分
出典:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」

5万円以上の領収書でも収入印紙の貼付が不要なケース

受取金額が5万円以上の場合でも、領収書に収入印紙を貼付しなくてよいケースがあります。次の3つに該当するか、確認しておきましょう。

電子的に発行された領収書の場合

電子データは課税文書に該当しないと見なされるため、PDFファイルなど電子的に発行された領収書に収入印紙を貼付する必要はありません。

ただし、電子データをプリントアウトして紙の領収書を交付した場合は課税文書の扱いになるため、受取金額に応じた収入印紙が必要となります。

前述のとおり、収入印紙が貼られていなくても領収書の法的な効力に変わりはありません。

金銭を受け取っていない場合

紙で発行する領収書であっても、その時点で金銭を受け取っていないなら収入印紙の貼付は不要です。具体的には、クレジットカード決済やキャッシュレス決済をしたケースなどが該当します。

領収書には「クレジットカード決済」などと記載しておき、金銭を受け取っていないことを明確にしておきましょう。もし記載がなければ、クレジットカード(キャッシュレス)で決済したことが証拠として残らないため、受取金額が5万円以上の場合は収入印紙が必要になります。

事前に届出している場合

収入印紙は原則として貼付が必要ですが、「書式表示による申告及び納付の特例」という制度に基づいて事前に届出を行い、税務署長から承認を受けている場合は貼付が免除されます。

「書式表示による申告及び納付の特例」は、「毎月作成される」「大量に作成される」などといった課税文書で適用でき、制度を受けるためには「印紙税書式表示承認申請手続」という手続きを踏まなければなりません。手続きの詳細は、国税庁のページをご覧ください。

出典:国税庁「書式表示による納付の特例」
出典:「D2-7 印紙税書式表示承認申請手続」

収入印紙を購入できる場所

収入印紙は、郵便局や役所などで購入できます。いざというときにすぐ手に入れられるよう、あらかじめ自社周辺の購入できる場所を把握しておきましょう。

郵便局

郵便局の郵便窓口では、原則として31種類すべての収入印紙を取り扱っています。ただし、郵便局の規模によっては額面の大きな収入印紙を取り扱っていない場合もあるため、事前に取扱状況を確認しておくと安心です。

法務局

収入印紙は、法務局でも購入可能です。登記関連など収入印紙の貼付が必要な書類を提出する機会があるため、法務局には収入印紙の売り場が設けられています。

役所

役所のなかには、パスポートの申請用に収入印紙の売り場を設けていたり、収入印紙を取り扱う売店があったりします。

役所では、地方自治体へ税金や手数料などを支払うための収入証紙も取り扱っているため、印紙と証紙を誤って購入しないよう注意してください。

コンビニ・スーパー

コンビニやスーパーでも200円の収入印紙を取り扱っている店舗があります。ただし、すべてのコンビニやスーパーで取り扱いがあるわけではないため、事前に確認すると安心でしょう。

収入印紙の貼り方に関するルール

領収書への収入印紙の貼り方に関するルールについて解説します。

前述のとおり、収入印紙にはかならず消印を押さなければなりません。消印の押し方についてもあわせて解説します。

収入印紙を貼る場所

収入印紙を貼る場所


収入印紙の貼付方法や貼る位置は特に決まりがなく、領収書のどの部分に貼っても問題ありません。収入印紙を複数枚貼る場合は、上下もしくは左右に並べて貼るのが一般的です。

消印の押し方

収入印紙を貼ったら、収入印紙の彩文(図柄・模様)と領収書をまたぐように印鑑を押します。収入印紙に押印することを「消印(けしいん)」といい、再利用できないようにするために必要です。

消印で注意すべきポイントは、「誰が消印をしたか一目でわかること」かつ「通常の方法では消印が取れないこと」です。この2点を満たすために、印鑑かボールペン(容易に消せないもの)で消印をするのが一般的です。印鑑で消印をする場合、会社名または担当者の氏名がわかればゴム印なども使用可能です。

なお、ひとつの領収書に収入印紙を複数枚貼った場合は、すべての収入印紙に印影がかかるように消印をする必要があります。消印の場所はどこでも構いません。

消印と似た用語に「割印」があります。割印とは複数枚の紙の間に押印し、離すとそれぞれに印影が残る(割れる)ものですが、収入印紙は貼付後に紙から離すことがないため、割印には該当しません。

誤って違う印紙を貼ってしまった場合

収入印紙を間違えて領収書(課税文書)に貼ってしまったときは、「消印をしていない」もしくは「破れたり汚れたりしていない」場合にのみ還付の対象となります。

出典:国税庁「No.7130 誤って納付した印紙税の還付」

まとめ

領収書は印紙税法上の課税文書となるため、受取金額が5万円以上になる場合は収入印紙の貼付が必要です。ただし受取金額が5万円以上であっても、電子的に発行された領収書の場合や領収書を発行したタイミングで金銭を受け取っていない場合は、収入印紙を貼る必要はありません。

また、課税対象となる領収書に収入印紙を貼り忘れた場合にはペナルティがあります。収入印紙のルールや貼付すべき金額を正しく理解し、不備のない領収書を発行しましょう。

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よくある質問

領収書に収入印紙を貼るのはいくらから?

領収書の受取金額が5万円以上の場合は、領収書に収入印紙の貼付が必要です。受取金額によって印紙税(収入印紙)の額が変わるので注意してください。なお、5万円未満の場合は非課税として扱われるため、収入印紙は不要です。

詳しくは記事内の「領収書に収入印紙の貼付が必要な金額はいくらから?」をご覧ください。

領収書に収入印紙を貼らなくていい場合はある?

領収書の受取金額が5万円以上でも、以下のような場合は収入印紙の貼付は不要です。


  • ・電子的に発行された領収書の場合
  • ・クレジットカード決済・キャッシュレス決済など領収書を発行したタイミングで金銭を受け取っていない場合
  • ・特例制度に基づいて事前に届出を行い、承認を受けている場合

詳しくは記事内の「領収書でも収入印紙の貼付が不要なケース」をご覧ください。

領収書に印紙を貼らなかったらどうなる?

課税対象となる領収書に収入印紙を貼り忘れた場合、本来納付すべき印紙税を納税していないことになるため罰則の対象です。税務調査などで発覚すると、納付しなかった印紙税の額に加えて、その2倍の金額に相当する「過怠税」を支払わなければなりません。

詳しくは記事内の「収入印紙を貼らなかったらどうなる?」をご覧ください。

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