建設業の請求書では、他業種ではあまり使われない「人工費」といった言葉が用いられます。項目を正しく理解したうえで、正確な請求書の作成が求められます。
本記事では、建設業・一人親方向けに請求書の書き方をわかりやすく解説します。
▶︎ 2023年10月1日からインボイス制度が開始
インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された新しい仕入税額控除の方式で、一定の事業者に影響があります。インボイス制度について詳しく解説した記事はこちら
目次
建設業の請求書にフォーマットはない
建設業の取引をはじめ、請求書には決まったフォーマットはありません。ただし、ビジネスマナーや税額控除の観点から記載しておくべき項目があります。
以下の項目は、消費税の仕入税額控除を受けるために必ず記載が必要です。
請求書に必ず記載しておく事項
- 書類作成者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
基本的に上記の5項目があれば請求書として成立しますが、必ず「入金してもらう」ためには、取引相手がスムーズに入金できるように以下の情報も記載しておきましょう。
- 請求書番号
- 振込先(振込先の口座情報と振込手数料なども記載)
- 支払期限
各項目について詳しく知りたい方は、別記事「請求書の書き方完全ガイド! 記載事項や文章の書き方を紹介します」をあわせてご確認ください。
なお、工事の取引先が都道府県や市区町村などの場合は、各自治体のホームページに請求書の様式があるので、そちらを使用しましょう。
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東京都税務局「工事に係る書類」
建設業における請求書の書き方(人工費)
人工(にんく)費とは、1日仕事をして発生した人件費のことです。
たとえば、1日3万円の費用で1人が現場で勤務した場合は「1人工費=3万円」ということになります。
実務が3時間しかなかったとしても、1日単位になっているので3万円請求することが可能です。もし同一契約の現場で、3人が5日間働く仕事の場合は、15人工といったりします。
日付 | 内容 | 数量 | 単位 | 単価 (税抜) | 消費税 | 小計 (税込) |
2023/05/31 | 人工費 (3人×5日間) | 15 | 人工 | ¥30000 | 10% | ¥450,000 |
内容に人工費と記載し、何人が何日間働いたのか分かるようにしておきましょう。数量は日数×日数の数字を記載して、単位を人工にします。あとは通常の請求書と同様に、単価・消費税・小計を記載します。
さらに、請求書の備考欄にどの現場にかかった費用なのか明確にしておくと、取引先も何の請求書かをすぐに把握できます。
請求書の送付方法
請求書を送付する手段として、「郵送」と「メール」の2パターンが考えられます。
郵送で請求書を送る場合
郵送で請求書を送る場合は、請求書以外に送付状も同封するようにしましょう。
送付状の同封は任意ですが、宛先や書類内容などを記すことで請求書発行のプロセスで起こりうるミスを防ぐことにつながります。また、ビジネスマナーの観点でも好印象を与えられ、会社の信用度も上がるので同封するようにしましょう。
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請求書に添付する送付状の正しい書き方と注意点
請求書をメールで送付する場合
請求書をメールで送る場合、送付状の内容と同様の文章をメール本文に記載します。送付状としてファイルを別に用意する必要はありません。
請求書は改ざんのリスクを軽減するために、ワードなどの変更できる形式ではなく、PDFで送りましょう。また、郵送の場合よりも宛先のミスが起こりやすいので、CCを含めて注意が必要です。
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請求書をメールで送る際の基礎知識と注意点
2024年4月には働き方改革関連法が適用開始される
建設業界では、高齢化や労働人口の減少に伴う人材不足で長時間労働が常態化している課題を抱えています。これらの問題解決は短期間では難しい点を考慮し、建設業では働き方改革関連法の適用が2024年4月に延期されました。これを2024年問題といいます。
建設業は2024年4月の働き方改革関連法の適用までに、時間外労働の上限規制や割増賃金引上げに対応しなければなりません。これにより、今後の請求書の内容も大きく変わることが考えられます。
働き方改革関連法の内容を正しく理解するとともに、請求書のテンプレートのアップデートも検討しましょう。
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まとめ
建設業の請求書は専門的な用語を使用するため、きちんと理解する必要があります。請求書は、法的に定められたフォーマットはありませんが、取引先も一目で内訳がわかるように作成することが大切です。
自身の取引内容に合ったテンプレートを利用することで業務効率化につながります。freee請求書では、請求書だけでなく見積書や納品書も無料で作成が可能です。約40種類あるテンプレートを利用可能なので、ぜひご活用ください。
無料で請求書・見積書を発行したいならfreee請求書がおすすめ
請求書や見積書の作成は、お金が絡む業務なので少しのミスが重大な問題に発展する場合もあります。請求・見積業務を負担に感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。
ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。
フォーム入力で誰でも簡単に作成できる
freee請求書は見積書や発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を簡単に作成することが可能です。
またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。
freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。
2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応
2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。
freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。
また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。
テンプレートは40種類以上!自分にあった請求書・見積書を作成可能
freee請求書には40種類以上のテンプレートが用意されています。その中から自分にあったテンプレートを選択して書類を作成できます。書類に記載する項目はテンプレートから変更を行うことも可能です。
請求書や見積書の作成から管理までを効率化できるfreee請求書の使い方は動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。ぜひ参考にしてみてください。
会員登録不要で請求書のテンプレートを無料ダウンロードできるサービスも
freee請求書のほかにも、freeeでは請求書を無料で作成できるサービスを新たにご提供しています。会員登録不要で誰でも無料で請求書のテンプレートをダウンロードすることができます。
具体的に、freeeの無料テンプレート集でダウンロードできる書類には以下のようなものがあります。
<会計>
・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書
<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など
freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。
よくある質問
人工費とはなんですか?
人工(にんく)費とは、1日仕事をして発生した人件費のことです。建設業の請求書の内訳として利用されることが多いです。詳しい書き方は記事内「建設業における請求書の書き方(人工費)」をご覧ください。
建設業の請求書に決まったフォーマットはある?
建設業だけでなく、請求書に法的に定められたフォーマットはありません。ただし、ビジネスマナーや税額控除の観点から以下の項目は必ず記載するようにしましょう。
- 書類作成者の氏名または名称
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
項目ごとの詳しい書き方については、別記事「請求書の書き方完全ガイド! 記載事項や文章の書き方を紹介します」をあわせてご確認ください。
インボイス制度導入で請求書の書き方は変わる?
2023年10月1日からインボイス制度が導入されます。インボイス制度導入後、仕入税額控除を適用するためには、適格請求書の発行・保存が必要です。
適格請求書は、現行の区分記載請求書の項目に以下を追加した書類を指します。
- 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
なお、適格請求書は消費税の課税事業者かつ適格請求書発行事業者でなければ発行できません。
インボイス制度について詳しく知りたい方は、別記事「2023年10月から始まるインボイス制度とは?図解でわかりやすく解説!」をあわせてご確認ください。