請求書の基礎知識

領収書はなぜ必要?もらう意味や発行が必要なケースなどわかりやすく解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

領収書はなぜ必要?もらう意味や発行が必要なケースなどわかりやすく解説

領収書とは、金銭やその他の支払いを受けたことを証明するための書類のことで、取引の事実を証明する証憑に該当します。法人や個人事業主にかかわらず、事業者であれば領収書を授受するケースが多々あり、事業者は取引で領収書を発行・受領する必要性や、その正しい扱い方を理解しておかなければなりません。

本記事では、領収書をもらう意味や発行が必要なケースや、個人事業主と法人での領収書の取り扱いの違いなどをわかりやすく解説します。

目次

インボイス制度対応!適格請求書を無料ですぐ作成

freee請求書なら、誰でもかんたんに、適格請求書をミスなく作成できます。

インボイス制度や電子帳簿保存法の法令にも対応済みなので、安心してご利用ください!

請求書以外にも、見積書や納品書なども作成可能です。

領収書とは

領収書とは、金銭やその他の支払いを受けたことを証明するための書類であり、取引内容が成立したことを証明する重要な書類である「証憑」に該当します。

領収書には、次のような項目を記載します。

領収書に記載する項目

  • 支払いを受けた者(受領者)の氏名
  • 支払った者(支払者)の氏名
  • 取引が行われた日付
  • 取引金額
  • 取引の内容 など

領収書の主な役割は、商品やサービスに対して金銭を支払った側が、その支払いを確実に行ったことを証明することです。また、お金を受け取った側にとって、領収書は代金を確実に受け取ったことを証明するという重要な役割を持ちます。

領収書が正しく発行されることで、取引の透明性が保たれ、後々のトラブル防止にもつながります。

インボイス制度での領収書の扱い

領収書は、一定の記載要件を満たすことで、適格請求書(インボイス)として扱うことができます。

領収書が適格請求書として認められるためには、以下の項目の記載が必須です。

適格請求書として領収書を発行する場合の記載要件

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)
  • 税率ごとに区分した消費税額等または適用税率

出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

上記項目のいずれかの記載ミス・漏れがあった領収書はインボイスとして認められず、買い手(領収書の受け取り側)は仕入税額控除を受けることはできません。

適格請求書について詳しくは、別記事「適格請求書とは?書き方や保存期間、簡単に作成する方法について解説」をご覧ください。

領収書と領収証の違い

領収書と似た名称の書類に「領収証」がありますが、実はこの2つに大きな違いはありません。民法において、領収書と領収証はどちらも「受取証書」に該当します。

ただし、国税庁では領収証やレシート、預かり証などの証拠書類の総称として「領収書」という言葉を使用しています。つまり、適用される法律や特定の状況に応じて、呼び名が変わるだけです。

領収書とレシート・預かり証との違い

ほかにも、領収書と似た言葉のひとつに「レシート」があります。領収書とレシートの違いは、宛名の有無と、購入したものの明細が記載されているか否かです。

レシートには宛名がないことが一般的ですが、領収書には通常、宛名が記載されます。また、レシートには支払いの詳細が記載されますが、領収書には詳しく書かれないことから支払いの詳細がわかりにくいことがほとんどです。

また、領収書と近いものに「預かり証」と呼ばれるものもあります。預かり証は、前金や内金、敷金、手付金などを受け取った際に仮で発行される領収書の一種です。

領収書は商品やサービスに対する金銭授受の際に発行されるのに対し、預かり証は資産が譲渡されたり、役務が提供されなくても金銭の授受を行ったりする場合に発行されます。

領収書発行の必要性

領収書の発行は、金銭の流れを明確にし、トラブルや不正を防ぐために必要です。具体的に、以下2つの観点から領収書発行の必要性について解説します。

領収書が必要な2つの理由

  • 二重請求や過払いを防ぐ
  • 内部不正を防げる

二重請求や過払いを防ぐ

領収書は、商品やサービスの代金が確実に支払われたことを証明し、二重請求や過払いを防ぐために重要な役割を果たします。

仮に領収書がない場合、支払いが完了したという事実を確認・証明することは非常に困難です。完了したはずの支払いに対して、誤って再度支払いが生じることを防止するため、正確に領収書を発行・受け渡すことが重要となります。

内部不正を防ぐ

領収書は、経費の支払いに関する内部不正を防ぐためにも必要です。

たとえば、社員が「ビジネスホテルに宿泊した」と申告しながら実際にはネットカフェに泊まり、差額を着服するような不正があったとします。このようなケースでは、宿泊費の領収書がない場合には不正した事実の裏付けは容易でありません。

領収書の提出を義務付けることにより、支払いの証明がなされ、経費に関連する不正行為を防げるのです。

領収書は買い手から求められたら発行しなければならない

領収書の発行について、民法では以下のように定められています。

第四百八十六条 弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。
 弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない。

出典:e-Gov法令検索「民法| 第四百八十六条」

つまり、「支払わなければならない”買い手”は、支払ったことと引き換えに、支払いを受ける”売り手”へ受取証書(領収書)の発行を要求できる」、「買い手は、売り手にかなりの負担がかかる場合を除いて、受取証書の代わりになるような電磁的記録(データ化された領収書のようなもの)を要求できる」ということです。

上記のような法律があることから、買い手から領収書の発行を求められたら、売り手は領収書を発行しなければなりません。

領収書の書き方

領収書の書き方


領収書を作成する際には、決められた項目を正確に記載することが重要です。記載すべき主な項目は以下のとおりです。

基本的な領収書の記載項目

  1. 取引日:取引が行われた日付
  2. 宛名:支払いを行った人または組織の名前
  3. 金額:取引における支払いの総額
  4. 但し書き:支払いが行われた商品やサービスの取引内容
  5. 金額の内訳:支払いが行われた商品やサービスの金額の内訳概要
  6. 発行者名:領収書を発行する事業者の名前

領収書を適格請求書(インボイス)として発行する場合には、上記に加えて次の項目の記載が必要です。

領収書を適格請求書として発行するための追加記載要件

  • 適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 発行した事業者の登録番号

出典:国税庁「適格請求書等保存方式の概要」

また、領収書には、取引金額に応じて収入印紙を貼付することが求められます。ただし、領収書に記載される金額が税別5万円以下の場合、収入印紙の貼付は必要ありません。税別5万円以下の金額を記載した領収書は、非課税とされるためです。

領収書に記載の金額が税別5万円を超える場合、特に紙で発行された領収書については課税文書とみなされ、収入印紙を貼付する必要があります。

「金額の内訳」の必要性

インボイス制度の観点から、領収書に「金額の内訳」の記載が求められます。

2019年10月に消費税率が10%に引き上げられた際、一部の商品やサービスには軽減税率の8%が適用されました。

このため、領収書に記載される商品やサービスが消費税10%と8%の両方を含む場合、それぞれの税率が適用される品目を区別して記載する必要があります。軽減税率対象品目(消費税8%)とそれ以外(消費税10%)を明確に分け、それぞれの合計金額と適用税率を記載しなければなりません。なお、金額の記載は税込、税別どちらでも構いません。

2023年10月以降は、インボイス制度へ対応するため消費税額を税率ごとに区分した記載が求められます。適格簡易請求書(簡易インボイス)の場合は、いずれか一方の税率のみの記載でも可とされています。

インボイス(適格請求書)に必要な記載項目についての詳細は、別記事「適格請求書とは?書き方や保存期間、簡単に作成する方法について解説」をご覧ください。

領収書の保存期間

領収書の保存期間は、法人と個人事業主で異なります。

法人における領収書の保存期間は、原則として7年間です。ただし、赤字が発生した事業年度に関しては、保存期間が以下のように延長されることがあります。

  • 2008年4月1日以降に終了した欠損金が生じた事業年度:9年間
  • 2018年4月1日以降に開始した欠損金が生じた事業年度:10年間

出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
出典:中小企業基盤整備機構「帳簿書類等の保存期間及び保存方法」


個人事業主の領収書保存期間は、確定申告の方法によって異なります。

白色申告の場合、保存期間は5年間です。一方、青色申告を行っている場合の保存期間は7年間になります。

ただし、青色申告をしていても、前々年度の所得が300万円以下の場合は領収書の保存期間が5年間となる例外規定があります。

出典:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

領収書を受け取る側(買い手)の注意点

領収書は、買い手にとって支払い完了を証明するための重要な文書です。特に、経費の申告や税務上の証拠としての役割を果たすため、領収書の取り扱いには注意が必要とされます。

ここでは、買い手における領収書の注意点について解説します。

領収書は原則再発行できない

領収書の発行は、金銭の授受があった際に一度だけ行われるのが原則です。多くの場合、領収書自体に「再発行不可」という旨の記載があります。

これは、何度も領収書を発行できてしまうと、経費の二重計上などの不正行為につながる恐れがあるためです。

事情によっては発行元が再発行に応じることもありますが、発行元によって対応が異なります。再発行された領収書には、二重計上を避けるために「(再)」や「(再発行)」といった記載がされるケースが一般的です。

領収書は経費申告に必要な根拠書類となるため、紛失や破棄には注意が必要です。税務調査で提出できない場合、その年の必要経費として認められないことがあります。これにより追徴課税されるリスクもあり、青色申告事業者の場合は承認が取り消されることも考えられます。

領収書とレシートを両方もらうことはできない

領収書とレシートの両方を受け取ることは、通常できません。レシートと領収書の両方を同時に提供すると、経費の二重計上のリスクが生じる恐れがあるためです。

レシートは購入時に自動的に発行されることが多く、購入を証明する役割を持ちます。一方、領収書は支払いの証明として発行されますが、特に違いはありません。

両方を同時に受け取ると、同一の取引に対して二重に経費を計上することになりかねません。そのため、経費の正確な計上のために、領収書またはレシートのいずれか一方を選択して受け取りましょう。

まとめ

領収書は、支払いが正しく行われたことを証明する役割を持つ重要な書類です。領収書が発行されることで取引の透明性が保たれ、後々の二重請求などトラブルを防げます。

また、2023年10月から開始されたインボイス制度によって、領収書に新たな役割が生まれました。領収書に定められた項目を記載することで、領収書を適格請求書(インボイス)とすることも可能です。適格請求書としての役割を持つ領収書であれば、買い手は仕入税額控除を受けられます。

領収書の必要性や役割をきちんと理解し、正しい発行・保存を心がけることが大切です。

無料で請求書・見積書を発行したいならfreee請求書がおすすめ

請求書や見積書の作成は、お金が絡む業務なので少しのミスが重大な問題に発展する場合もあります。請求・見積業務を負担に感じる方には、無料で請求書・見積書を発行できるfreee請求書の利用がおすすめです。

ここからはfreee請求書を利用するメリットについて紹介します。

フォーム入力で誰でも簡単に作成できる

freee請求書は見積書や発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を簡単に作成することが可能です。

またフォームに沿って入力した内容がリアルタイムで書類上に反映されるため、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できます。入力が必要な項目はあらかじめ設定されており、消費税(内税・外税)や源泉税なども自動計算されます。

freee請求書を利用することで、入力漏れや計算ミスなどを未然に防ぎ、正確な書類をスピーディに作成できるようになります。


freee請求書利用画面のイメージ1

2023年10月から開始されたインボイス制度にも対応

2023年10月からインボイス制度が施行されました。インボイス制度の制度施行に伴い、インボイス制度の要件を満たした適格請求書の交付、計算方法の変更、インボイスの写しの保存義務化など請求書業務の負担が増えることが予想されています。

freee請求書では、金額を入力するだけでインボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を作成・発行することが可能です。

また、作成した請求書は電子保存されるため、インボイスの写しの保存義務化にも対応できます。

テンプレートは40種類以上!自分にあった請求書・見積書を作成可能

freee請求書には40種類以上のテンプレートが用意されています。その中から自分にあったテンプレートを選択して書類を作成できます。書類に記載する項目はテンプレートから変更を行うことも可能です。


freee請求書利用画面のイメージ2

請求書や見積書の作成から管理までを効率化できるfreee請求書の使い方は動画でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。ぜひ参考にしてみてください。

会員登録不要で請求書のテンプレートを無料ダウンロードできるサービスも

freee請求書のほかにも、freeeでは請求書を無料で作成できるサービスを新たにご提供しています。会員登録不要で誰でも無料で請求書のテンプレートをダウンロードすることができます。

具体的に、freeeの無料テンプレート集でダウンロードできる書類には以下のようなものがあります。

<会計>
・請求書(インボイス制度対応)
・発注書
・納品書
・領収書

<人事労務>
・内定通知書
・在籍証明書
・顛末書 など

freeeの無料テンプレート集では、上記のほかにも無料でダウンロードできる書類を準備中です。ぜひこちらもご活用ください。

よくある質問

領収書の役割とは

領収書は、金銭やそのほかの支払いが行われたことを証明する役割を持つ重要な書類です。2023年から始まったインボイス制度においては、定められた項目を領収書に記載することで適格請求書(インボイス)としての役割も持ちます。

詳しくは記事内の「領収書とは」をご覧ください。

領収書の代わりにレシートを使える?

レシートは、購入の証明として使用され、領収書としての役割を果たすこともあります。そのため、領収書とレシートの同時発行は通常できません。

詳しくは記事内の「領収書とレシートを両方もらうことはできない」で解説しています。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一

インボイス制度対応!適格請求書を無料ですぐ作成

freee請求書なら、誰でもかんたんに、適格請求書をミスなく作成できます。

インボイス制度や電子帳簿保存法の法令にも対応済みなので、安心してご利用ください!

請求書以外にも、見積書や納品書なども作成可能です。