原価率とは、商品の販売価格に対する原価の割合を示す指標です。
適切な原価率を設定することは、ビジネスにおいて利益の最大化やコスト管理につながる非常に重要です。
本記事では、原価率の計算方法や概要、原価率を最適化するための具体的な方法について詳しく解説します。
目次
- 原価率とは
- 原価率を把握しておくメリット
- 原価率の計算方法
- 業種別の原価率の目安
- 原価率が高くなってしまう原因
- 販売価格が低い
- 仕入れコストが高い
- ロス率が高い
- 原価率を下げる方法
- 廃棄ロスの削減
- 仕入先の見直し
- 販売価格を上げる
- 生産プロセスの効率化
- 在庫管理の最適化
- 販売価格の決め方と計算方法
- 原価(コスト)から考えて販売価格を決める
- 利益率を計算してから販売価格を決める
- 市場ニーズや競合と比較して販売価格を決める
- 販売価格を決める際の注意点
- 消費者目線で検討しているか
- 市場価格とかけ離れていないか
- 最初に設定する価格を安くしすぎない
- まとめ
- 面倒な原価計算を楽にするならfreee販売
- よくある質問
原価率とは
原価率とは、売上高に対する原価の割合を示す指標で、企業が収益性を評価するための重要な指標の1つです。
たとえば、仕入れた商品のコストが売上に対してどれだけの割合かを把握することで、利益率やコスト管理の効率性を評価することができます。
原価率を把握しておくメリット
原価率を把握しておけば、利益管理が容易になります。原価率は商品の売上に対する利益を正確に計算できるため、自社にとってどの製品が高い利益をもたらし、どの製品が低利益であるかが明確になります。
また利益を上げるだけでなく、コスト削減にも有効です。
原価率が高すぎる場合、その原因を分析することで、仕入れコストの削減や無駄な経費のカットなど、具体的なコスト削減策を講じることができます。
原価率の計算方法
原価率の計算式は次のとおりです。
原価率 = (原価 ÷ 売上高) × 100
たとえば、商品Aの売上高が100万円、原価が30万円である場合の原価率は、(30万円 ÷ 100万円)× 100 = 30%となります。
この計算式を使用することで、売上に対する原価の割合を簡単に求められます。
業種別の原価率の目安
業種によって原価率の目安は異なり、2024年3月に公表された業種別の原価率目安は次のとおりです。
業種 | 原価率 |
---|---|
建設業 | 76.13% |
製造業 | 79.27% |
情報通信業 | 52.40% |
運輸業、郵便業 | 76.51% |
卸売業 | 84.88% |
小売業 | 69.58% |
不動産業、物品賃貸業 | 53.66% |
学術研究、 専門・技術サービス業 | 43.17% |
宿泊業、飲食サービス業 | 36.68% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 58.67% |
サービス業(他に分類されないもの) | 58.34% |
たとえば、飲食業では一般的に30%程度が適正といわれています。つまり売上の約30%が、食材や飲料の仕入れコストに充てられるべきだということです。
原価率の目安は業種ごとに異なるため、自社のビジネスに適した原価率を設定し、それを基に効果的なコスト管理を行いましょう。
原価率が高くなってしまう原因
原価率が高くなってしまう原因はいくつかあり、それらを理解すれば、適切な対策を講じることができます。
原価率が高くなってしまう原因
- 販売価格が低い
- 仕入れコストが高い
- ロス率が高い
販売価格が低い
販売価格が低いと売上高が減少し、その結果原価率が高くなります。
以下のように、同じ原価の商品でも販売価格が低ければ、その分原価が売上に占める割合が大きくなります。
例:原価40,000円の商品Aと商品Bの原価率の違い
<販売価格>
商品A:100,000円
商品B:80,000円
<原価率>
商品A:(40,000 ÷ 100,000)× 100% = 40%
商品B:(40,000 ÷ 80,000)× 100% = 50%
仕入れコストが高い
仕入れコストが高いということは原価も高くなるため、その分原価率も大きくなります。
たとえば為替変動による輸入品の仕入れ価格の上昇、サプライチェーンの問題や供給不足による仕入れ価格の上昇などが考えられます。
ロス率が高い
ロス率とは、製造過程や販売過程での無駄や損失の割合を指します。具体的には、製品や原材料が不良品として廃棄されたり、在庫管理の不備によって無駄になったりするケースが多いです。
ロス率が高いと実際に販売できる製品の数量が減少してしまうため、売上高が減り、結果原価率が上昇してしまいます。
原価率を下げる方法
原価率を下げるためにはコスト管理や運営の効率化が重要です。原価率を下げるための具体的な方法として以下が挙げられます。
原価率を下げる方法
- 廃棄ロスの削減
- 仕入先の見直し
- 販売価格を上げる
- 生産プロセスの効率化
- 在庫管理の最適化
廃棄ロスの削減
製造工程で品質管理を徹底することで、廃棄の対象となる不良品の発生を抑えることができます。また、定期的な設備のメンテナンスも不良品や欠陥品発生の削減につながります。
また、消費者の需要を正確に予測し、適切な製造量を設定することで、売れ残り商品の廃棄が減り(ロス率の低下)原価率を下げられます。
仕入先の見直し
原価率が高い原因として、製品を製造するために必要な原材料や部品を仕入れている業者が割高な可能性も考えられます。
複数の業者から見積もりを出してもらい、より低価格で提供してくれる仕入先を選ぶことも原価率低下につながります。
販売価格を上げる
販売価格を上げれば、相対的に原価率を低下させられます。ただし、価格を上げる際には市場の需要や競合状況を慎重に分析し、適切な価格設定を行わなければいけません。
その商品をただ値上げするのではなく付加価値を提供し、それに見合った価格設定を行うことで売上高を増加させることも可能です。
生産プロセスの効率化
たとえば、最新の生産技術を導入し、作業の無駄を排除すれば生産性を向上させられます。また、従業員のスキルアップを図り、より効率的な作業を行えるようにすることも有効です。
これにより余分にかかっていた製造コストが削減され、原価率が低下します。
在庫管理の最適化
適切な在庫管理を行うことで、在庫の過剰や不足を防ぎ、コストを抑えられます。
具体的には、定期的な在庫の棚卸しを行い在庫の状況を常に把握したり、システムを用いて部門間でリアルタイムに在庫の確認ができるようにしたりなどがあります。このように、在庫管理を最適化することで、全体のコストが削減され原価率が低下します。
【関連記事】
在庫管理とは?必要性や管理方法、在庫管理システムを導入するメリットを解説
販売価格の決め方と計算方法
自社にとって最適な原価率を目指すには、適切な販売価格の決定が不可欠です。販売価格の決め方には色々な方法がありますが、押さえておきたい基本となる3つの考え方と計算方法を説明します。
原価(コスト)から考えて販売価格を決める
商品における原価の割合で販売価格を決める方法で、次の計算式で算出します。
販売価格 = 原価(仕入価格)÷ 原価率
原価率の平均は業種によって異なるので、自社業界の平均原価率を確認するとよいでしょう。経済産業省によると、2022年の原価率の平均は製造業81.18%、卸売業87.2%、小売業71.7%となっています。
たとえば、原価(仕入価格)100円の商品を原価率80%で販売する場合は「100 ÷ 0.8」で、販売価格は125円です。原価率の割合を上げると販売価格は安くなり、下げると販売価格は高くなります。
原価率をベースにした考え方は計算式に当てはめるだけなので、価格設定は簡単です。
一方で買い手の感覚や市場感を度外視しているため、市場価格とかけ離れたり、競合に価格競争で負けたりしてしまう可能性があります。
原価から考えて販売価格を決める方法のメリット・デメリット
メリット
- 価格設定が簡単
デメリット
- 競合に価格競争で負ける可能性がある
- 市場価格と乖離する可能性がある
- 買い手の感覚と乖離する可能性がある
利益率を計算してから販売価格を決める
先に利益率を計算し、商品を販売した際にどれくらい利益を出したいかを基準に販売価格を決める方法で、次の計算式で算出します。
販売価格 = 原価(仕入価格)÷(1 − 利益率)
たとえば、5,000円で仕入れた商品で20%の利益率を出したい場合は「5,000÷(1−0.2)」となり、販売価格は6,250円です。利益率を高くすると、販売価格も高くなります。
利益率を基準にして販売価格を決める方法も算出は簡単ですが、買い手の感覚や市場感が反映されていないため、売り手の都合によっては市場価格からかけ離れてしまう可能性があります。
利益率から考えて販売価格を決める方法のメリット・デメリット
メリット
- 価格設定が簡単
デメリット
- 競合に価格競争で負ける可能性がある
- 市場価格と乖離する可能性がある
- 買い手の感覚と乖離する可能性がある
市場ニーズや競合と比較して販売価格を決める
市場の需要や競合の動向を調査すると、商品が売れる金額の予測がしやすくなります。原価率や利益率をベースに単純な計算式で販売価格を決める方法では不足している「マーケティング戦略の視点」が含まれた販売価格の決め方です。
市場ニーズや競合と比較して販売価格を決める方法のメリット・デメリット
メリット
- 市場価格と乖離しにくい
- 競合に価格競争で勝ちやすい・売れ安い販売価格の予測がしやすい
デメリット
- 原価率や利益率をベースに算出するより、価格設定が大変
- マーケティング戦略の視点が必要
販売価格を決める際の注意点
商品の売れ行きは、販売価格によって大きく左右されます。そのため、販売価格を決める際には慎重に検討することが大切です。
消費者目線で検討しているか
たとえば利益率をベースにして販売価格を検討する場合、売り手の希望が強く反映された価格になってしまい、消費者が購入したいという価格設定からかけ離れてしまうケースがあります。
このような事態を防ぐためには、利益率をベースにしながら、市場ニーズや相場価格も考慮して販売価格を決定しましょう。買い手の気持ちをよく考えたうえで価格設定をすることが大切です。
市場価格とかけ離れていないか
販売価格は高すぎても低すぎても売れにくいという特徴があります。
販売価格が高すぎると、希少性などの付加価値や差異化できるポイントがない限り、通常は競合との価格競争に負けてしまうことが多いです。
一方で販売価格を低くすれば売れると考えがちですが、実際には販売価格が低すぎると買い手に品質を疑われたり、不信感を抱かれたりすることもあります。販売価格を設定する際には、適正な市場価格を確認しましょう。
最初に設定する価格を安くしすぎない
売りたい気持ちが先行するあまり、最初から無理に販売価格を安く設定すると、後から値上げせざるを得ない状況になります。
その結果、消費者に「値上げした」というネガティブな印象を与えかねません。中長期的に考えて、無理のない価格設定をすることが大切です。
まとめ
販売価格を決めるには、利益率や消費者ニーズ、市場状況などのさまざまな角度から検討する必要があります。原価率や利益率の基本的な価格設定の考え方を踏まえつつ、複合的に検証し、自社の商品にとって適切な価格設定を心がけましょう。
面倒な原価計算を楽にするならfreee販売
サービスに関わる原価管理・利益管理・販売価格の決定・予算編成などには原価計算が必要となります。 原価を把握することは、適切なサービス価格の設定や利益を確保するために重要な要素です。
案件・プロジェクトごとに正しい原価情報や売上を把握したい方にはfreee販売とfreee工数管理を組み合わせたfreee原価管理セットがおすすめです。
freee原価管理セットはIT・システム開発、コンサル、クリエイティブ・制作業など、無形商材に特化したサービスです。
ここからは、freee原価管理セットの特徴について紹介します。
案件・プロジェクト別に原価管理ができる
管理すべき原価の例として、役務提供に関わるスタッフの給与などの直接労務費や、外部に業務委託した場合の外注費 、事務用品などの経費があります。
人件費や経費は、見込みから大きく変動することがあるため、可視化しながらの進捗管理が重要です。ほかにも、案件・プロジェクトごとに個別で経費を管理することは、粗利の正確な把握につながります。
freee原価管理セットを活用すれば、案件・プロジェクトごとの粗利進捗の管理や個別の原価計算を自動で行うことができます。
正確な原価管理によって、赤字プロジェクトの発見やコストの削減が可能となり、利益向上につながるでしょう。
外出先でも自宅でも帳票発行や情報確認ができる
案件やプロジェクトを受注し取引を開始するにあたり、見積もり時から納品されるまで多くの書類を発行しなければなりません。金額や納品日など重要な項目を扱うため、記載漏れや誤った内容の記入は会社の信用にも関わります。
freee原価管理セットでは、入力された内容をもとに自動で各帳票の作成が可能です。自動連携されるので、ヒューマンエラーが削減され、正確な書類を発行できます。
また、クラウドシステムなので場所を選ばずに入力・確認ができ、サービスの情報をリアルタイムで共有が可能です。
freee会計との連携も可能!帳簿づけや入金管理も自動に
原価管理は企業の利益を正しく把握し、決算書の作成や事業計画の策定を行うための重要な要素となります。また、決算書を作成するには、日々の記帳から決算整理仕訳、総勘定元帳への転記まで手間と一定の知識が必要です。
freee原価管理セットとfreee会計を連携することで、日々の仕訳・記帳も自動で行うことができます。同時に入金ステータスの確認など、入金管理もfreeeで一括管理が可能です。
なお、freee会計を利用されていない場合でも、仕訳データをお使いの会計システムに戻すことができます。
ほかにも、freee原価管理セットには販売管理に必要なさまざまな機能が組み込まれています。
freee原価管理セットの機能一覧
よくある質問
原価率30%の販売価格は?
商品の原価が500円の場合、原価率30%の販売価格は次の通りになります。
販売価格 = 500円 ÷ 0.30 = 1,666.67円
つまり、原価500円の商品を原価率30%に設定する場合、販売価格は1,667円となります。
原価率から販売価格を計算する詳しい方法は「原価(コスト)から考えて販売価格を決める」をご覧ください。
飲食店の原価率の理想は?
飲食店における理想的な原価率は30%前後とされています。
ただし、業態や提供するメニューの種類によっては、原価率の適正範囲が異なる場合も多いです。そのため一概に原価率の目安を30%に固定するのではなく、自社と似た業態の企業の原価率などを調べるのがよいでしょう。
詳しくは「業種別の原価率の目安」をご覧ください。
販売価格の決め方は?
販売価格の決め方にはいくつかの方法があります。以下に代表的な方法を紹介します。
- 原価(コスト)から考えて販売価格を決める
- 利益率を計算してから販売価格を決める
- 市場ニーズや競合と比較して販売価格を決める
詳しくは「販売価格の決め方と計算方法」をご覧ください。