監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

本業を続けながら安定的に収入を得ていくためには、目標を決めてご自身に合った方法で副業を始めることが重要です。
厚労省の定める「モデル就業規則」の中に副業・兼業を推奨する記述が新たに追加されたことから、2018年は「副業元年」といわれています。
本記事では、副業をしたいけれど何から始めればよいかわからない人に向けて、副業の始め方・やり方を4つのステップで解説します。副業を始めるメリット・デメリットや注意点も紹介するので、ぜひご覧ください。
目次
開業届をかんたん・無料で作成するならfreee開業
freee開業は開業届を無料で作成できます。
書類はオンラインでの提出が可能!税務署へ出向かずに手続きまで完結でき、忙しい方にもおすすめのサービスです。
副業の始め方・やり方
「収入を増やしたい」や「活躍の場を広げたい」など、副業の目的は人によってさまざまです。しかし、明確な目標や計画がない状態でスタートすると、副業で安定した収入を継続的に得るのは難しいでしょう。
副業を始める際は、最初に目標を決めて計画的に進めることが重要です。
副業をするための時間を捻出できなければ、そもそも副業を始められません。本業が忙しい場合は、時間ができるまで本業に専念することも検討しましょう。
①目標を決める
副業は今ある仕事のほかに仕事をすることです。本業を続けながら仕事をすることになるため、目標がしっかりしていないと途中で挫けてしまうかもしれません。
明確な目標があると、辛くなってきたとき・忙しくて目標を見失いがちなときにも役立ちます。「今よりも月2万円多く稼いでお小遣いにあてる」「住宅ローンの繰り上げ返済をする」「年1回海外旅行に行く」など、なるべく具体的な目標を設定しましょう。
②空き時間を確保する
副業をするためには、空き時間が必要です。
たとえば、会社員の場合は始業前・終業後の数時間や休日の過ごし方を工夫し、副業の時間を確保しましょう。本業がおろそかになったり体調を崩したりしないためには、副業と休息の時間を明確に分けることが大切です。
ご自身の目標にあわせて、本業・プライベート時間とのバランスも鑑みたうえで時間を捻出しましょう。
③副業を選ぶ
副業を無理なく継続していくためには、ご自身に合った仕事を選択することが重要です。仕事には、大きく分けて2つの種類があります。
仕事の種類
- 時間労働型
- 成果報酬型
時間労働型は「時間を切り売りする労働」で、働いた時間分だけ確実にお金になりますが、自分のキャリアになる仕事は少なく、市場価値が上がりにくいといわれています。
また、単価が安い仕事も多く、高収入を望むのは難しいかもしれません。具体的には一般的なアルバイトや、お小遣い稼ぎのサイト利用、代行業などが当てはまります。
単純にお金が必要な場合は、時間労働型の仕事を副業にするのがおすすめです。短期バイトや単発バイトをすればすぐにお金を得ることができます。
一方、成果報酬型は、成果に応じて報酬が支払われるタイプの仕事です。たとえば、自分で物品や制作物を販売する仕事は、売れた分だけ報酬が発生するので、ビジネスの成果によっては起業に至る人もいます。
成果報酬型の例として、以下のような仕事が挙げられます。
成果報酬型の仕事例
- Webメディア・サービス運営などのネットビジネス
- 転売
- 投資やシェア(車や部屋貸し)
- クリエイティブ職(ウェブ制作・ハンドメイド制作・執筆)
今後のキャリアも見据えて副業をしたい場合は、自分の経験・スキルも鑑みたうえで成果報酬型の副業に挑戦するのがおすすめです。
【関連記事】
会社員におすすめの副業を紹介!安全に始めるためのポイントについても解説
④仕事の獲得方法を検討する
副業が決まったら、どのような方法で仕事を獲得するか検討しましょう。主な方法は以下の5つです。
仕事の獲得方法の例
- 知人から紹介してもらう
- 求人サイト・アプリで探す
- クラウドソーシングサービスを利用する
- エージェントを利用する
- 企業に直接営業する
クラウドソーシングサービスとは、インターネット上で業務委託の仕事を受注できるプラットフォームです。特別なスキルが求められない案件も多く募集されているため、人脈や経験がない状態でも仕事を受注しやすくなります。
また、エージェントは仕事を受注したい人・発注したい人同士をつなぐ仲介会社です。案件探しや条件交渉、契約などをサポートしてくれます。
さらに、副業したい内容を企業が募集している場合は、直接企業に営業して仕事を獲得する方法もあります。企業のニーズを把握し、自分の専門性や有用性をアピールできれば、仕事を獲得しやすいです。
副業を始めるメリット
副業を始めるにあたっては、具体的なメリットとデメリットを把握しておくことが大切です。副業を始めるメリットとして、以下が挙げられます。
副業を始めるメリット
- 収入が増える
- 人生が豊かになる
- 本業以外の人のつながりが生まれる
- リスクを抑えて経験を積める
副業を始めると、経済的な余裕ができるだけでなく、人脈が広がったり新たなスキルを身に付けられたりするなどのメリットが得られます。
収入が増える
副業を始めると、第2の収入源ができます。「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」によると、副業をする理由(複数回答)でもっとも多かった回答は「収入を増やしたいから」(54.5%)でした。
次に、「ひとつの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」(38.2%)が続いており、多くの人が収入の増加を目的に副業をしていることがわかります。
また、複数の収入源をもつことは、単に収入を増やすだけでなく、収入減少などによるリスクを分散する意味でも効果的です。
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」
人生が豊かになる
経済面での収入アップにとどまらず、ライフスタイル全体の満足度が高まる点もメリットのひとつです。
副業のために新しい目標をもつことで生活にメリハリがついたり、新しい価値観に出会えたりします。
また、副業の時間を捻出するためには、「やらないことを決める」ことも大切です。ずっと同じ仕事が続いて日々に閉塞感を感じている場合、こういったライフスタイルの変化が少なからず生活に変化を与えます。
本業以外の人とのつながりが生まれる
新たな人とのつながりが生まれる点もメリットのひとつです。企業によっては、この点に着目して副業を解禁しています。
普段と違う仕事を副業にすると、今までと立場が違う人からアドバイスをもらうことができ、副業をきっかけに視野が広がるかもしれません。そこから本業にもよい効果が期待でき、副業をすることで本業での成長を感じられる可能性もあります。
リスクを抑えて経験を積める
副業を通じて新たな経験が積める点は大きな魅力です。起業や転職となると、準備も必要なうえ大きく仕事環境を変えるリスクもあり、場合によっては収入が減ってしまうケースもあります。
しかし、副業は本業を行いつつ取り組めるため、大きな仕事環境の変化や収入面のリスクが少ないです。また、副業は時間を使って確実に収入を得るものから、チャレンジしてスキルや経験を得られるものまでさまざまな種類があります。
本業と副業で多くの経験を積むことで、仕事に対するモチベーションを高めることができるでしょう。
副業を始めるデメリット
副業を始めると、収入面だけでなくスキルアップや人生経験などの面でも得られるものが多い一方で、デメリットもあります。
副業を始めるデメリット
- 労働時間が増える
- すぐに成果が出るとは限らない
本業や生活に支障が生じる可能性もあるため、副業を始める際は、上記の2点も踏まえて検討しましょう。
労働時間が増える
副業を始めると、労働時間が増え、以下のような支障が生じる可能性があります。
労働時間の増加による主な影響
- 集中力が低下する
- 仕事に遅刻する
- 体調不良で欠勤が増える
- 健康状態が悪くなる
- 家族との時間を取りにくくなる
本業の評価や収入に影響が及ぶ可能性もあるため、無理のない範囲でスケジュールを組むことが大切です。また、休息日を決めておくことや、定期的に健康診断を受けるなどの健康管理が重要です。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
すぐに成果が出るとは限らない
副業を始めたばかりの頃は、努力をしてもすぐに成果が出るとは限りません。
短期間で収入が得られると思っていると、副業を継続できないだけでなく、本業へのモチベーションが低下する可能性もあります。長期的な目標だけでなく比較的短期間で達成できる小さな目標を設定し、ひとつずつ達成することがモチベーションを維持するためのポイントです。
また、確実に収入を増やしたい人は、時間労働型の副業を検討しましょう。
副業を始める際の注意点
働き方の多様化などを背景に、副業を希望する人が増えています。副業を始めたいと考えている人は、以下の注意点を押さえておきましょう。
副業を始める際の注意点
- 勤務先の規則で禁止されている場合がある
- 副業が原因でトラブルになる可能性がある
- 「簡単に稼げる」を信じない
- 副業所得が20万円を超えると確定申告の手続きを行う必要がある
注意点を事前に把握していなければ、本業の勤務先とトラブルになったり、収入の申告漏れが生じたりする可能性があります。
勤務先の規則で禁止されている場合がある
副業を始める前は、必ず勤務先が副業OKかどうかを確認しましょう。
副業解禁が推奨され始めたとはいえ、まだ副業解禁に踏み切っていない企業は少なくありません。勤務先が副業NGの場合、ダブル雇用(二社と雇用関係を結ぶ)になるため、副業をすることはできません。
ただし、企業によっては「人事に相談してみたら副業の許可がもらえた」というケースもあります。
たとえば「休日にスポーツ団体を運営する」など、本業に支障が出ない場合が挙げられます。これは「副業が完全にNG」ではなく、「第三者に雇用されるのがNG」という場合です。企業によっては副業の種類次第で許可が下りる場合もあるため相談してみましょう。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
副業が原因でトラブルになる可能性がある
副業NGの勤務先で副業が発覚した場合、解雇される危険があります。明らかに本業に支障をきたした場合や勤務先のブランドを毀損した場合に、解雇された事例もあります。
また、解雇までは至らなくとも「本業の手を抜いている」「規則を守らない」などと不快に思われてしまうかもしれません。同僚との人間関係や、査定に影響を及ぼす可能性があることも念頭に置いておきましょう。
副業をする場合は、自分が副業をする理由や本業に支障がないことを明らかにしたうえで、上司・同僚・家族も含め、信頼できる人に協力者になってもらうことが大切です。
「簡単に稼げる」を信じない
「簡単にできて、短期間で儲かる」などと謳っている業者から販売ノウハウや情報商材を高く売りつけられるリスクにも注意してください。
副業に興味をもっている人に対して、副業の商材を売りつける業者も存在します。収入アップやスキルアップを目的に始めた副業で、最初に多額のお金を失ってしまうケースも報告されています。
副業所得が20万円を超えると確定申告の手続きを行う必要がある
副業の所得が年間20万円を超えると、確定申告の義務が生じます。
確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)に生じた所得や所得税の額を計算して税務署に申告する手続きです。
会社員などの給与所得者は勤務先が年末調整を行うため、多くの人は確定申告が不要です。しかし、副業で収入を得た場合はご自身で確定申告をしなければなりません。
確定申告が必要であるにもかかわらず行わなければ、本来の所得税とは別に無申告加算税や延滞税などが課される可能性があります。また、所得が20万円を超えていない場合でも、少しでも所得が出ていれば住民税の申告は必要となる点に留意が必要です。
【関連記事】
副業で確定申告が必要な所得はいくらから?未申告のペナルティややり方も解説
出典:国税庁「スマホで確定申告(副業編)」
出典:国税庁「No.2020 確定申告」
出典:国税庁「令和6年分年末調整のしかた」
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
まとめ
副業を始めると、単に収入が増えるだけでなく、人生が豊かになる、本業に活かせる経験を積めるなどのメリットもあります。
一方で、労働時間が増える点やすぐに成果が出るとは限らない点には注意してください。また、勤務先が副業を認めているかどうかも確認する必要があります。
本業を続けながら無理なく副業を継続していくために、まずは明確な目標を設定し、ご自身に合った方法で計画的に副業を始めましょう。
freee開業なら、税務署に行かずに開業届をかんたんに作成
個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。
そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。
freee開業で作成可能な5つの届出
1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。
2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。
3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。
freee開業の使い方を徹底解説
freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

Step1:準備編

準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。

事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。
Step2:作成編
次に、作成編です。

申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。

給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。

さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。
Step3:提出編
最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。

入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。

届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。
郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。
いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。
しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。
また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業とfreee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。
よくある質問
副業の始め方は?
副業は以下の4つのステップで計画的に進めましょう。
- 目標を決める
- 空き時間を確保する
- 副業を選ぶ
- 仕事の獲得方法を検討する
副業の始め方を詳しく知りたい方は、「副業の始め方・やり方」をご覧ください。
副業を始める際に注意すべき点は?
副業を始める際は、勤務先が副業を認めているかどうかを事前に確認しましょう。また、副業の所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
副業を始める際の注意点を詳しく知りたい方は、「副業を始める際の注意点」をご覧ください。
監修 安田 亮(やすだ りょう)
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。
