働き方改革関連法案が整備され「副業元年」と呼ばれた2018年から、3年が経過しました。多くの企業が多様な働き方を認めるようになり、副業を本格的に解禁した企業も多く見られます。
本記事では、副業を始めたいと考えている方に向けて、副業と兼業の違いや、代表的な副業の種類、また副業を始める上での注意点について解説します。
目次
副業とは?
副業とは、本業以外の仕事で収入を得ることを指します。兼業・サイドビジネスとも呼ばれ、雇用形態によってアルバイト、在宅ビジネス、内職などに分類されます。
日本では明確に法律で副業が禁止されているわけではなく、就業後の時間の使い方は個人の自由です。このため、株式投資で利益を出したり、友人の引っ越しの手伝いで報酬をもらった、などのケースが懲戒の対象になることはありません。
2018年1月、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除しました。
モデル就業規則が改定されるまでは、労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がありましたが、これを削除し新たに「副業・兼業」という章を設けて以下のような条文を追記したのです。
第14章 副業・兼業
(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会 社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合出典:厚生労働省「モデル就業規則 」
これを受け、副業を解禁する会社が少しずつ増えてきました。
しかし、就業規則で副業を厳禁としている会社もまだ少なくはありません。もし副業が許可されていても、事前に承認を得る必要がある会社もあります。本業の会社とのトラブルを防ぐためにも、自社の就業規則は必ず確認しましょう。
複業・兼業との違いとは?
副業と似た言葉に「複業」や「兼業」があります。複業とは、字が表すとおり「複数の仕事を持つこと」です。
兼業は「本業以外に事業を持つこと」をいいます。副業と複業、兼業の違いは以下になります。
- 副業:収入、要する時間、労力が本業と比べると少なく、大きな責任が伴わないことが多い、いつ副業を辞めても特に咎められることはありません。
- 複業:複数の本業を持っているのが複業の特徴です。業務にかける時間や労力は限りなく本業に近く、収入に関しては本業以上になることもあります。そのためプロ意識をしっかりと持つ必要があります。
- 兼業:本業以外に自ら事業を持つことをいいます。複業に近い概念ですが、会社に勤務しながら自分でも事業を経営し、本格的にビジネスをしているという特徴があります。
それぞれ細かな違いはありますが、本業以外からも収入を得ていることに変わりはありません。
代表的な副業とは?
副業には、さまざまな種類があります。ここでは、いくつか代表的な副業についてご紹介していきます。
物販の副業
自らが作成したハンドメイドの作品を販売する副業が、主婦の方や一度仕事を離れて子育てに専念されていた女性に人気です。
自分でECサイトを立ち上げて販売するのは大変ですが、今ではハンドメイドの商品・作品を簡単に販売することができるアプリ「minne(ミンネ)」があるので初期費用を抑え、低リスクで始めることができます。
また、熟練してきたら講師として作り方を教える副業もあり、利益率はさらに高くなるでしょう。
メルカリやネットオークションで不用品を販売する、もしくは安く仕入れて販売する方法も副業のひとつです。ただし、梱包費用や商品掲載の手間、入札者とのやり取りなど意外と煩雑なので注意が必要です。
自らがブランドを作りECサイトで販売する副業
ファッションに興味があり簡単なデザインならできるけど、自分で商品を作ることができないという方でも、最近ではスマートフォンケースやTシャツならBASEというネットショップサービスを使用すると制作から販売まで行うことができます。
オリジナルデザインで副業したいけど、物を販売するときの最大のデメリットは在庫を抱えてしまうことですよね。ですが、このサービスを利用したら、在庫を持たなくても販売をすることができるという利点があります。
もし人気が出てきたら、小ロットから発注できる工場などもあるので、ビジネスを拡大しても良いかもしれませんね。
短期アルバイトで副業
土日や就業後の時間を活用したアルバイトの副業です。タウンワークの「副業・WワークOKバイト」からは、地域別に副業・WワークOKのバイトを探すことができます。
平日に仕事があるサラリーマンの場合、副業の時間帯はおのずと夜もしくは休日のいずれかになるでしょう。夜にできるバイトには、清掃や警備、ネットカフェ、ビジネスホテルのフロントなどがあります。
また土日や休日でしたら、イベントスタッフや試験監督ものアルバイトもあるでしょう。
スキルを活かした副業
ご自身が持つスキルを活かした副業もメジャーです。ワンコインマーケットのココナラでは、様々な分野でご自身のスキルを販売することができます。また、クラウドソーシングサイトのランサーズやクラウドワークスにも、自宅にいながらできるライティングやデータ入力などの仕事がたくさん掲載されています。
ボランティアもある意味では副業のようなものです。ご自身が本当にやりたいことであれば、今すぐには利益にならなくても経験を積むことで、何年か後に仕事になることもあるでしょう。
副業禁止の会社でも許容される可能性が高い副業
副業解禁の流れができているとはいえ、依然として副業を禁止する会社は少なくありません。しかし、許容される可能性が高い副業もいくつかあります。
ただ、就業規則で副業が禁止されている場合は、一度相談をした方がトラブルを防げるので安全ではあります。
株式投資、FXなどの投資
株式投資やFXなどの投資による副業、特に外国為替の場合は就業後にマーケットが動くケースが多く、体力の消耗も少ないため、本業に支障を与える可能性が低いです。
このため、以前から「投資でお小遣い稼ぎをした」、「資産を増やした」という会社員の方は少なくありません。しかし、その分知識が必要になってくるので、しっかりと株やFXについて勉強をしてリスクを把握した上で取り組んだ方が良いでしょう。
ブログ・アフィリエイトサイト運営で副業
ブログやアフィリエイトサイトを運営することで収益を得る副業もメジャーです。特定のテーマで記事を書き、アクセスを集めることができれば、広告収入を得ることができます。
自ら運営するブログやアフィリエイトサイトから広告収入を得る方法には、大きく分けて2種類あります。一つ目は、ブログに自動で広告を配信してくれるGoogleアドセンス。二つ目は、Amazonアソシエイト、A8.netやリンクシェアなどのASPと呼ばれるサービスをはじめとするアフィリエイトがあります。
Googleアドセンスは、ブログなどのアクセス数や広告のクリック数などによって広告費が決まってきますが、アフィリエイトの場合は、商品を紹介したリンクもしくはバナー経由で注文があると売上が発生します。
アフィリエイトでの収益は、商品単価の数%〜10%ほどとなっており、扱っている商材によっては月に数十万円程度の収益を出すサイトも多く見られます。
副業をするときの注意点
これまで副業の定義や、代表的な副業についてご紹介してきましたが、副業OKだったとしても、いくつか知っておかなければならない副業の注意点があります。
機密漏洩のリスク
転職する場合も「競合他社への転職は禁止」としている会社もあるほど、機密情報の漏洩に企業は敏感です。
機密は漏らさないと本人は言っても、社内での信頼や業務にも支障がでる可能性があります。本業の同僚や上司と気持ちよく仕事をするためにも、本業の競合にあたる会社とは副業をしないことをおすすめします。
またほとんどの場合、就業規則に「競業避止義務に関しての記載」があるので確認してみましょう。この競業避止義務とは、在職中に得た独自技術や営業データなどの知的財産を流用して、自分で事業を営んだり競業する企業へ転職、または副業などで従事し、企業に不利益をもたらす活動を控えなければならない義務のことをいいます。
経済産業省が公開する『競業避止義務契約の有効性について』では、競業避止義務についての例文が下記のように記載されています。
(競業避止義務)
第◯◯条
従業員は在職中及び退職後6ヶ月間、会社と競合する他社に就職及び競合する事業を営むことを禁止する。ただし、会社が従業員と個別に競業避止義務について契約を締結した場合には、当該契約によるものとする。出典:経済産業省「競業避止義務契約の有効性について」
また、競合にあたらない会社であったとしても、本業の機密を漏らすようなことは倫理的に許されないでしょう。
所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要
サラリーマンは通常勤めている会社が毎月給料から所得税を源泉徴収という形で徴収し、年末に年末調整を行うことで所得税の納税手続きが完了しているので、基本的には自ら確定申告を行う必要はありません。
しかし、「副業の所得が1年間で20万円を超えた場合」は、サラリーマンであっても確定申告をする必要があります。
所得とは副業で得た売上と、発生した経費を差し引いた金額をいいます。年間の売上が100万円あったとしても、経費に85万円かかっていれば所得は差し引き15万円になるので、確定申告は不要です。
出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
確定申告の種類に関しても簡単に説明をします。
確定申告には青色申告と白色申告があります。もし節税をしたいということでしたら、節税効果が高い青色申告がおすすめです。場合によっては、還付金という形で確定申告後にまとまったお金が還ってくるケースもあります。
なお、青色申告を選択したい場合は、事前に青色申告承認申請書と開業届の提出が必要です。また、青色申告する場合も、白色申告する場合も、帳簿付けや経理作業が必要になります。
確定申告に関する詳しい情報は、「フリーランスの確定申告」を参考にしてください。
※2022年10月12日更新※
国税庁は2022年8月1日に「副業収入300万円以下は事業所得ではなく雑所得にする」とのパブリックコメントを提出しましたが、これに対して約7,000件もの意見が集まり、10月7日に大幅な修正案が発表されました。
修正案では「副業収入において、帳簿や請求書などを保存している場合は原則『事業所得』とする」とあり、帳簿や請求書などの保存をしていれば収入額にかかわらず、事業所得として認められるという内容です。
詳しくは国税庁の公表した【「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について】をご確認ください。
副業の確定申告をカンタンに終わらせる方法
年末調整をしている会社員でも副業をしていて、その副業の所得が20万円を超える場合には個人で確定申告が必要です。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、副業所得が「雑所得」に該当する場合は白色申告のみで青色申告は受けられません。
一方、副業所得が「事業所得」「不動産所得」に該当する場合は、青色申告が可能です。青色申告では、さまざまな節税メリットを受けることができる反面、事前の手続きや複式簿記での記帳が必要になり、白色申告に比べて申告準備に手間がかかります。
青色申告の準備や日々の記帳、申告書類の作成を楽にしたい方は、確定申告ソフト「freee会計」「freee開業」の活用がおすすめです。
ここからはfreeeを活用するメリットを、青色申告で確定申告を完了させるまでのステップにあわせてご紹介します。
青色申告するためのステップ1:開業届と青色申告承認書を作成・提出
青色申告するためには、「開業届」「青色申告承認申請書」を税務署へ提出しなければなりません。ここでおすすめなのがfreee開業です。
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青色申告するためのステップ2:日々の記帳
青色申告する準備として、日頃から帳簿をつけることが重要です。青色申告では複式簿記での記帳が義務付けられているため、会計知識が必要になります。
しかし、freee会計を利用すれば、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけを行うことができます。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計・経理の経験がない方でも安心して利用できます。
青色申告するためのステップ3:確定申告書類の作成・提出
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なお、納税方法はいくつかありますが、電子申告(e-Tax)がおすすめです。電子申告(e-tax)からの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば、控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。
電子申告(e-tax)を検討されている方は、freee電子申告開始ナビ(無料)をご覧下さい。
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まとめ
厚生労働省が、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を定めてから徐々に副業しても大丈夫な企業が増えてきて、サラリーマンでも副業ができる環境が整ってきたと言えます。
副業は収入を増やすだけではなく、自分のスキルが向上する可能性もありますし、本当にやりたかった仕事に携われる可能性もあるので、サラリーマンにとっては良い制度だと思います。
しかし、副業をするのも本業があってこそ。副業に精を出すばかりで、本業が疎かになってしまったら本末転倒です。また、確定申告をしっかりしないといけなかったりするので社会的責任がサラリーマンだけしていたときよりも増すことを理解しておきましょう。