監修 eel税理士法人
本業と平行して副業をしている人の中には、確定申告をしていない人もいるでしょう。確定申告をしない人の中には、本業の会社に副業を知られなくなかったり、確定申告方法がわからないなど、さまざまな理由が考えられます。
しかし、副業収入に関する確定申告を怠ると、複数のリスクが発生します。申告漏れが発覚した場合には、ペナルティとして附帯税が課せられるほか、副業していたことを本業の会社にバレてしまったり、青色申告特別控除が受けられなくなったりするリスクが生じてしまいます。
本記事では、副業で確定申告しないことによるペナルティやリスク、申告漏れがバレる理由などについて詳しく解説します。
目次
- 実際に副業で確定申告してない人は多い
- 副業で確定申告しないことによるペナルティ
- 無申告加算税の課税
- 延滞税の課税
- 重加算税の課税
- 副業で確定申告しないことによるリスク
- 本業の会社に連絡がいく場合がある
- 青色申告特別控除が受けられなくなる
- 刑事罰が下る恐れがある
- 副業の確定申告を忘れて税務調査が入った際の対処法
- すぐに期限後申告を行う
- 税務調査に詳しい税理士に相談する
- 確定申告に必要な書類や年間の所得を整理する
- 副業で確定申告してないことがバレる理由
- 税務調査により発覚する
- 支払調書の発行により発覚する
- 第三者からの匿名による通達により発覚する
- 銀行口座の金銭の動きの増加により発覚する
- 副業で確定申告してない人が多い理由
- 確定申告が必要であることをそもそも把握していない
- 所得が少ないと確定申告しなくてもバレないと思っている
- 副業禁止の会社に勤めており確定申告でバレたくないから
- 確定申告を後回しにしていて期限が過ぎていた
- 所得金額が20万円以下で確定申告が必要ない
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
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実際に副業で確定申告してない人は多い
副業をしている人で確定申告してない人は、実際のところ多くいるようです。国税庁が令和3年事務年度に調査したところによると、調査件数約60万件の中から申告漏れが指摘されたのは、31万件以上にも上りました。
また、無申告が発覚したのは3,828件で、すべてが副業のケースではありませんが、一定数は副業をしている人だと考えられています。
出典:国税庁「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
確定申告は、副業の所得金額が年間で20万円を超えた場合に必要です。ただし、実際の売上高から経費を引いたりして所得金額を計算しなければならないので、確定申告の要否等について詳しく知りたい方は別記事「【初心者向け】確定申告とは?対象者と申告方法を分かりやすく解説」をあわせてご確認ください。
副業で確定申告しないことによるペナルティ
副業の収入がどれだけ少ない場合であっても、条件を満たせば確定申告しなければなりません。万が一確定申告を怠ってしまうと、ペナルティとして以下のような附帯税が課せられる恐れがあります。
附帯税 | 詳細 |
---|---|
延滞税 | 期限から遅れた日数分課せられ、期限翌日から2ヶ月を基準に税率が異なる 出典:国税庁「延滞税の割合」 |
無申告加算税 | 納税すべきであった税額に対し、50万円までは15%、それ以上は20%が課せられる 出典:国税庁「確定申告を忘れたとき」 |
重加算税 | 特に悪質だと判断された場合に課せられる 期限内申告できれば納付すべき税額の35%、期限後申告となると40%となる 出典:財務省「加算税の概要」 |
このような附帯税が課せられると、本来よりも結局多くの税金を支払うことになってしまうため、確定申告は適正に行いましょう。
無申告加算税の課税
無申告加算税とは、確定申告が期限内に行われずに期限後申告となる場合に課せられる附帯税です。
無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります。
無申告加算税の納税は、通知書が届いた日の翌日から1ヶ月以内に行わなければなりません。
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
延滞税の課税
延滞税とは、納税が納付期限までになされなかった場合に課税される附帯税です。
納税額は、本来納めるべきであった所得税・住民税に対して日割りで計算されます。税率は、納期限の翌日から2ヶ月までが7.3%、それ以降は14.6%です。納税が遅れれば遅れるほど課される税額が増えるため、納付忘れに気づいたらできるだけ早く納税しましょう。
出典:国税庁「No.9205 延滞税について」
重加算税の課税
重加算税とは、税務調査等において確定申告が無申告、隠ぺいや仮装による事実とは違う内容で申告をした等の判断をされた場合に課せられる附帯税です。
重加算税の課税割合は、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%です。納期限は、無申告加算税と同様に通知書が届いた日の翌月から1ヶ月以内となっています。
出典:財務省「加算税の概要」
副業で確定申告しないことによるリスク
副業をしていて確定申告を怠ってしまうと、以下のリスクを負わなければいけない恐れがあります。
- 本業の会社に連絡がいく場合がある
- 青色申告特別控除が受けられなくなる
- 刑事罰が下る恐れがある
このように、副業で確定申告しないことによる影響は附帯税だけには限りません。せっかく収入を増やすために取り組む副業が自身の首を絞めてしまうことになりかねないため、確定申告は怠らないようにしてください。
本業の会社に連絡がいく場合がある
副業をしていると所得金額に応じて住民税の納税が必要です。住民税は本業の会社で受け取る給与から天引きにより支払っているものであるため、副業の住民税が未払いとなると会社に連絡がいくケースがあります。
その結果、経理担当者から部長等に連絡がいき、状況確認をされた結果、会社の規定によっては減給対象になったり、懲戒免職になったりする可能性があります。
青色申告特別控除が受けられなくなる
青色申告特別控除とは、確定申告で青色申告することにより、最大65万円の特別控除が受けられる制度です。しかし、これは期限内にきちんと確定申告した場合のみ適用されるもので、期限を過ぎてしまうと青色申告特別控除は受けられません。
期限後の申告となると、最悪の場合、控除が受けられない可能性があるので必ず期限内に確定申告しましょう。
出典:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
刑事罰が下る恐れがある
確定申告を行わないことが特に悪質だと判断されると、最悪の場合には刑事罰が下る恐れがあります。確定申告は所得税法によって明確に申告の義務が生じる条件が定められているため、条件を満たしているにもかかわらず無申告等であれば、当然ながら法律違反です。
副業をしている人で刑事罰にまで発展するケースは数少ないですが、最悪の事態として頭に入れておきましょう。
【関連記事】
確定申告しないとどうなるの? 無申告のペナルティと対処法を解説
副業の確定申告を忘れて税務調査が入った際の対処法
確定申告を忘れてしまうと、税務調査が入る場合があります。税務調査が入り連絡を受けたら、すぐに以下3つの対処法を実行しましょう。
- すぐに期限後申告を行う
- 税務調査に詳しい税理士に相談する
- 確定申告に必要な書類や年間の所得を整理する
すぐに期限後申告を行う
確定申告の申告期限である3月15日が過ぎてしまった場合でも、期限後申告として確定申告が行えます。税務調査が入ってからすぐに期限後申告することで、延滞税等の附帯税額を最小限に抑えられます。
また、もし税務調査が入る前に自主的に期限後申告を行なった場合は無申告加算税の金額が軽減されるので、確定申告が期限に間に合わなくても気づいたらすぐに行いましょう。
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
税務調査に詳しい税理士に相談する
はじめて税務調査がきてどのように対応すればわからないという場合には、税理士に相談するのがおすすめです。税務調査では税理士の立ち会いも可能なので、事前に相談しやすい税理士を見つけておくと良いでしょう。
ただし、税理士に相談して立ち会いの依頼をする際は費用が発生するため、できるだけ税務調査が入らないよう、正しく期限を守った確定申告に努めてください。
確定申告に必要な書類や年間の所得を整理する
税務調査では、帳簿や領収書などの書類が細かくチェックされます。そのため、当日までに必要書類をまとめておき、正しい年間の所得金額を計算しておきましょう。
また、税務調査ではどのような事業を営んでいるのかの説明が求められる場合もあるため、曖昧にせずわかりやすく回答できるように準備してください。
副業で確定申告してないことがバレる理由
そもそも副業で確定申告してない人が多いのは、申告しなくてもバレないと思っている人が多いからです。しかし、以下のような理由により副業の確定申告をしてないことが発覚します。
- 税務調査により発覚する
- 支払調書の発行により発覚する
- 第三者からの匿名による通達により発覚する
- 銀行口座の金銭の動きの増加により発覚する
確定申告してないことがバレる=脱税がバレるということにもなるため、バレる心配をするのであればリスクを避けるためにもきちんと確定申告するようにしてください。
税務調査により発覚する
税務調査とは、正しく税金が計算されて納税されているかを調べるための調査で、調査官の立ち会いのもと行われます。上述のように、税務調査では帳簿や領収書等がチェックされるため、調査の結果として確定申告が必要な所得を超えているとなれば無申告等がバレるでしょう。
無申告等が発覚した際は、税務署から追加納税が必要な旨の通知が入り、ペナルティが課されます。
【関連記事】
税務調査とは?税務調査の流れや調査官の視点を理解しましょう
支払調書の発行により発覚する
支払調書とは、事業者が支払った給与等と源泉徴収額を記録するための書類です。副業の収入を受け取る際は取引先にて支払調書が発行されるため、確定申告をしてないと取引先の支払調書と確定申告書の不一致が発覚し、無申告等が疑われてしまいます。
【関連記事】
支払調書とは?提出義務のある範囲から書き方までわかりやすく解説
第三者からの匿名による通達により発覚する
税務署では、納税の不正行為を防止するために匿名通報制度が設けられています。この制度で申告される対象となるのは、主に副業の収入を隠している場合や源泉所得税を納めていない場合などです。
そのため、匿名通報制度によって自身が副業の確定申告をしてないことを通報されると、当然無申告等が発覚してしまうでしょう。
銀行口座の金銭の動きの増加により発覚する
銀行口座を副業用と個人用で分けていない場合は、副業収入の受け取り等で口座内の取引数が多くなります。頻繁な入出金があると税務署の目にも留まりやすくなってしまい、副業の確定申告漏れが疑われるかもしれません。
その結果、税務調査が入ることにつながってしまうため無申告等が発覚するでしょう。
副業で確定申告してない人が多い理由
先述のように、令和3事務年度において確定申告漏れは31万件ほど確認されました。すべてが副業をしているケースではありませんが、一定数は副業をしている人の確定申告漏れだと考えられます。
このような確定申告してない人が多い理由としては、以下のようなものがあります。
- 確定申告が必要であることをそもそも把握していない
- 所得が少ないと確定申告しなくてもバレないと思っている
- 副業禁止の会社に勤めており確定申告ででバレたくないから
- 確定申告を後回しにしていて期限が過ぎていた
- 副業の所得金額が20万円以下で確定申告が必要ない
確定申告が必要であることをそもそも把握していない
普段から会社勤めで副業をはじめて間もないという人は、そもそも確定申告が必要かどうか把握していない可能性があります。確定申告は、年間の所得(給与所得等の一定の所得を除く。)が20万円を超えた場合や源泉徴収された税額の還付を受ける場合などに必要です。
いずれにせよ確定申告の知識がなければ自分が該当するかどうかもわからないため、副業をはじめても確定申告が身近にないという理由があります。
【関連記事】
確定申告が必要な人・お得になる人
所得が少ないと確定申告しなくてもバレないと思っている
確定申告をすると、当然ながら税金を納める義務が生じる場合があります。納税が嫌という理由から、副業による所得が少ないと確定申告しなくてもバレないと思っている人がいるようです。
また、確定申告するための書類の用意や手続きが面倒という理由でも、確定申告を怠ってしまう場合もあります。
副業禁止の会社に勤めており確定申告でバレたくないから
確定申告すると、住民税の納税が必要です。本業の会社で受け取る給与も住民税が差し引かれた状態でもらっているため、本業と副業の2つから住民税を支払うことになります。
そのため、本業の会社に住民税の情報が届くことを恐れて確定申告しない人もいるようです。ただし、住民税の情報が届くのは支払方法で特別徴収を選択した場合のみなので、普通徴収を選べば本業の会社に情報は渡りません。
出典:国税庁「住民税」
確定申告を後回しにしていて期限が過ぎていた
確定申告の期限は3月15日ですが、本業の仕事等が忙しく期限を過ぎてしまっている場合も少なくありません。個人事業主・フリーランスの場合の確定申告は毎年2月16日〜3月15日が基本となっているため、余裕を持って準備しましょう。
なお、法人で副業をしている場合は、決算月の末日の翌日から2ヶ月以内の確定申告が必要です。
所得金額が20万円以下で確定申告が必要ない
副業をしていて、所得が20万円を超えてない場合は、確定申告が必要な条件を満たさないため、法的に確定申告の必要はありません。
副業収入が月2万円ほどであれば、経費を差し引いて所得が20万円以下となる場合が多いです。
まとめ
副業で確定申告してない人は、実際には多いとされています。国税庁の調査によると、令和3事務年度における確定申告漏れは31万件あり、この中に副業のケースも一定数あるようです。
しかし、万が一確定申告してないことがバレてしまうと、附帯税の課税や本業の会社への連絡などのリスクがあり、最悪のケースでは刑事罰に発展してしまいかねません。
給与所得者の場合は年間所得額が20万円を超えると確定申告の対象となるため、忘れずに期限内に申告するようにしてください。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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よくある質問
副業で確定申告してない人はバレますか?
副業で確定申告してない人は、税務調査や支払調書の発行等によりバレるケースがあります。また、銀行口座の金銭の動きから目をつけられる場合もあるため、確定申告は忘れないようにしてください。詳しくは記事内「副業で確定申告してないことがバレる理由」をご覧ください。
副業は何万円までなら確定申告しなくても?バレませんか?
副業で確定申告が必要になる条件を満たせば、金額にかかわらず無申告がバレる可能性があります。給与所得者の場合は基本的に副業所得が20万円を超えた場合に確定申告が必要となるので、必ず忘れずに申告しましょう。詳しくは記事内「実際に副業で確定申告してない人は多い」をご覧ください。
副業の確定申告をしないとペナルティはありますか?
副業の確定申告を怠ると、ペナルティとして延滞税や重加算税等の附帯税が課せられる恐れがあります。附帯税額は、申告が遅れれば遅れるほど大きくなるため、必ず確定申告は忘れないようにしてください。詳しくは記事内「副業で確定申告しないことによるペナルティ」をご覧ください。
監修 eel税理士法人
eel税理士法人は、30代の若手税理士が運営するITと創業支援が強みの税理士事務所です。お客様に合わせたツールで、気軽にコミュニケーションをお取りいただける環境を用意しています。また、創業融資を強みとしておりますので、融資に関してもご相談がある方はお気軽にご相談ください。