副業の基礎知識

雑所得は経費計上できる?副業で経費が認められる条件と経費の具体例について解説

雑所得は経費計上できる?副業で経費が認められる条件と経費の具体例について解説

副業の収入が雑所得・事業所得・不動産所得に該当する場合、確定申告の際に経費計上が可能です。正しく経費を計上することによって課税所得額を減らすことができ、節税につながります。

ただし、経費として認められるのは「仕事(事業)に使用した支出」のみです。

本記事では、副業で経費計上ができる所得の種類や経費計上できる支出の例などを解説します。

目次

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副業で経費計上ができる所得

所得税法では、本業や副業で得た所得を10種類に分けています。その中で経費計上が認められている所得は以下の3つです。

経費計上が認められている所得の種類

  1. 雑所得
  2. 事業所得
  3. 不動産所得

副業がパート・アルバイトなど、企業と雇用契約を交わしている場合の報酬は「給与所得」に該当します。給与所得は経費計上ができない代わりに給与所得控除が適用されます。

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雑所得

雑所得とは、所得税法で分類されているほかの9種類の所得に該当しない所得をいいます。副業で得た所得は基本的に雑所得となります。

副業の収入で雑所得に該当する例として、以下のようなものが挙げられます。

雑所得に該当する副業の例

  • ネットショップでの販売
  • ネットオークション
  • フリマアプリでの販売
  • 講演料
  • FX

上記以外にも、年金収入や事業所得以外の不動産貸付による所得も雑所得に該当します。


出典:国税庁「No.1500 雑所得」

事業所得

事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業などの事業から生ずる所得をいいます。

ただし、事業所得として認められるには以下の条件を満たしていなければなりません。

事業所得に該当する条件

  • 継続した期間、安定した収入が得られている
  • 営利目的である
  • 業務に本業と同等の時間を費やしている
  • 職業として社会的に認知されている

出典:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」

事業所得は青色申告が可能なので、経費計上に加えてさまざまな節税メリットを受けることができます。

雑所得と事業所得の違い

雑所得と事業所得は区別がつきにくいとされています。これは副業で得られる所得が雑所得だけでなく、事業所得に分類される場合もあるためです。

事業所得とは前述のとおり、事業を営んで得た所得で、継続して毎月安定した収入がある場合など、一定の条件に該当した場合に認められます。

一方、雑所得は一時的な収入に該当する場合に認められる所得であり、事業ではないため、規模感などで判断されることはありません。

たとえば、会社員が業務時間外にブログを書いて広告収入を得た場合は、作業時間や収入額から「事業」とは認められず、雑所得とみなされるケースが多いです。

しかし、ブログを書いて発生する広告収入やアフィリエイトで生計が立てられる収入額があったり、本業と同等の労力を費やしたりしている場合であれば事業所得とみなされるケースもあります。

また、事業所得は青色申告が可能ですが、雑所得は青色申告できません。

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雑所得とは? 雑所得の計算方法や必要経費になるものを理解して確定申告をしよう

不動産所得

不動産所得とは、アパートやマンションなどの不動産による貸付けや、駐車場・土地の貸付け、船舶・飛行機などの貸付けによる所得のことをいいます。 ほかにも地代家賃や更新料、返還義務のない敷金なども不動産所得に該当します。

下宿の場合も部屋の貸付けのみであれば不動産所得になります。しかし、食事を提供するなど不動産所得に適用しないサービスも付随する場合は事業所得または雑所得に該当します。


出典:国税庁「法第26条《不動産所得》関係」

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副業で経費計上できるもの・できないもの

前述したように、経費計上できるのは業務に関わる支出のみでプライベートで発生した支出は経費になりません。

また、自宅兼仕事場として使用している場合、家賃や光熱費の一部は業務の必要経費として計上することができます。

支出の全額を経費計上できるもの

基本的に副業をする上で発生した支出は全額経費として計上できます。具体的には以下のようなものがあります。


副業の業種具体例
共通
  • ・ネットやチラシに掲載した広告料
  • ・取引先との打ち合わせや接待による飲食代
  • ・仕事関係者に送るお中元やお歳暮代
  • ・仕事に使用する文房具や書籍
  • ・10万円未満(*)のパソコン、カメラ、仕事机
  • ・仕事用の携帯代やインターネットの通信費
物販
  • ・販売する商品の仕入れや商品の発送費用
  • ・商品を保管するために借りている倉庫の賃料
不動産
  • ・賃貸物件の固定資産税や不動産取得税
  • ・賃貸物件の水道代・ガス代・電気代(賃借人負担除く)
  • ・管理会社への管理手数料

(*)購入費用が10万円以上かつ1年以上使用可能な固定資産は、法定耐用年数に従って分割し、計上することとされています。これを減価償却といいます。

【関連記事】
減価償却とは?確定申告前に知っておきたい基礎知識と計算方法

支出の一部を経費計上できるもの

自宅兼仕事場として副業をおこなっている場合、家賃や光熱費も経費として計上が可能です。

しかし、経費はあくまで「事業を営む上で必要な費用」のみ該当するため、プライベートで使用している分を差し引いて経費計上する必要があります。これを家事按分といいます。

家賃の場合は、自宅の総面積から副業で使用している分の面積の割合を求めます。そして、家賃の総額から割合分を算出した額が経費計上できます。

例:家賃における経費の金額

・1月の家賃:100,000円
・自宅総面積:100㎡
・副業で使用している面積:30㎡

総面積から副業で使用している面積の割合:30㎡ ÷100㎡ = 30%
経費にできる額:100,000円 × 30% = 30,000円(1ヶ月あたり)

家賃のほかにも以下の支出は家事按分が可能です。

  • 家賃
  • 水道光熱費
  • インターネット使用料
  • 携帯電話代
  • 自動車のガソリン代
  • 車検費用など

家事按分に法的なルールはありません。しかし、家事按分が認められるのはこれらを副業で使用していると合理的に説明できる場合のみとなります。

経費として計上できないもの

プライベートの飲食代・書籍代・交通費・衣類の購入費など、明らかに事業と関係がない私的な買い物は経費にできません。

たとえば、副業で使用するためにスーツを購入した場合、プライベートでも着用することが想定されるため、経費として認められない可能性が高いです。

ほかにも、個人で納める住民税や所得税は経費計上できません。

医療費や生命保険料は所得控除に適用される

事業主個人の生命保険料や損害保険料、社会保険料などは経費として認められませんが、所得控除として所得額から一定額控除ができます。

所得控除とは、一定の要件にあてはまる場合に所得の合計金額から一定の金額を差し引く制度のことです。

経費に計上できない支出でも、所得控除の要件に該当していないか確認してみましょう。

【関連記事】
確定申告の所得控除は15種類! 対象となる条件や控除額、税額控除との違いについて解説

副業所得が20万円を超えたら確定申告が必要

会社員の場合、会社が年末調整をしてその年の所得税を個人に代わって申告・納税してくれるため、確定申告をする必要はありません。

しかし副業をしている場合、収入から必要経費を差し引いた「所得」が20万円を超える場合は個人で確定申告をする必要があります。

たとえば、副業収入が25万円、必要経費が10万円の場合の副業所得は15万円となるので、確定申告は不要です。

年末調整は1人1企業のみになるため、本業が会社員で副業にアルバイトで企業に雇用されている場合でも、年末調整を受けられるのはどちらかに限られます。一般的に収入の多い企業で年末調整を行います。

また、副業所得が20万円以下で確定申告をしない場合でも、住民税の申告は別途個人で行う必要があるため、忘れないように注意しましょう。

【関連記事】
副業所得が20万円以上なら確定申告は必要?申告しなかった場合のペナルティについても解説

確定申告をする際の注意点

確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。副業の所得が「雑所得」に該当する場合は青色申告はできないため、白色申告で確定申告をする必要があります。一方、副業の収入が「事業所得」「不動産所得」に該当する場合は青色申告がおすすめです。

青色申告は事前の手続きが必要だったり、複式簿記で記帳しなければならなかったりと複雑な分、経費計上以外にもさまざまな節税メリットを受けることができます。

雑所得では、節税効果の低い白色申告での確定申告となるので、経費にできる支出を正確に把握、計上して節税対策を行いましょう。

【関連記事】
青色申告と白色申告の違いとは? 7項目で比較するメリット・デメリット

※2022年10月12日更新※

国税庁は2022年8月1日に「副業収入300万円以下は事業所得ではなく雑所得にする」とのパブリックコメントを提出しましたが、これに対して約7,000件もの意見が集まり、10月7日に大幅な修正案が発表されました。

修正案では「副業収入において、帳簿や請求書などを保存している場合は原則『事業所得』とする」とあり、帳簿や請求書などの保存をしていれば収入額にかかわらず、事業所得として認められるという内容です。

詳しくは国税庁の公表した【「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について】をご確認ください。

経費の証拠書類の保管期間

経費計上した支出を証明する書類は所得税法によって確定申告の青色申告と、白色申告でそれぞれ保管期間が定められています。

青色申告の場合は、確定申告の翌日から7間の保存が義務づけられており、白色申告の場合は、5年間の保存が義務付けられています。

対象となる書類には、レシート・領収書・請求書などが該当します。レシートや領収書の場合は、月ごとの封筒に入れて保存すると管理がしやすくなるでしょう。

また、1枚のレシート内で経費になるものとならないものが混在している場合は、経費になるものに線を引いておくなどして、後から見てもわかるようにしておくことをおすすめします。

通帳も同様で、経費になるものには線を引くなどして対策しておきましょう。家事按分したものは、事業割合のパーセンテージなどを、該当金額の横に記載しておくとわかりやすくなります。


出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」

まとめ

副業でも雑所得・事業所得・不動産所得に該当する場合は経費計上が可能です。経費として認められるのは「副業をする上で発生した支出」のみで、プライベートによる支出は経費計上できません。

2023年の確定申告提出分からは、帳簿から明確に経費であることを証明できないものや、取引に必要な支出であることが証明できない経費については損金不算入とされ、経費計上できなくなるので注意が必要です。

副業で得た収入から必要経費を差し引いた所得額が20万円を超えた場合は確定申告をしなければなりません。経費計上できないものでも、所得控除の対象となる可能性もあります。所得控除の適用条件も確認しておくようにしましょう。

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よくある質問

副業の所得のうち、雑所得以外にも経費計上が認められる所得はある?

10種類ある所得のうち、経費の計上が認められている所得は、雑所得・事業所得・不動産所得の3種類です。詳しくはこちらで解説しています。

経費計上できる支出にはどのようなものがある?

経費として認められている支出には、広告料・打ち合わせのための飲食代・仕事に使用する文具や書籍代などがあります。他に経費として認められている支出やその条件についてはこちらで解説しています。

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