
出張手当とは、従業員が出張などにより遠方で業務を行う場合に、現地で必要な食費や通信費などの雑費を補填する目的で支給される手当です。出張手当を導入する場合は、メリットだけでなく不正などのリスクも理解し、適切な支給額を設定する必要があります。
本記事では、出張手当の概要、出張手当を支給するメリット・デメリット、税法上の扱いや相場、導入までの手順を解説します。
目次
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出張手当とは
出張手当とは、従業員が出張などにより遠方で業務を行う場合に、現地で必要な食費や通信費などの雑費を補填する目的で支給される手当です。「日当」とも呼ばれます。
出張手当の支給は法律で義務付けられているわけでなく、支給するかどうかは企業ごとの判断に委ねられています。出張手当を支給する場合の金額や条件も同様で、企業ごとに定められた出張規程(ルール)によって異なります。
産労総合研究所の「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」によると、日帰り出張に対して出張手当を支給している企業は84.2%、宿泊を伴う出張に対して出張手当を支給している企業は91.2%となっています。
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出張費・交通費との違い
出張手当は出張中にかかった費用を実費精算するのではなく、規定の額を一律で支給します。そのため、実費精算である出張費や交通費とは異なります。
出張手当の場合、従業員が領収書を提出して経費精算する必要もありません。経理側の手間も省けるため、従業員の出張が多い企業においては業務効率化に役立ちます。
出張手当を支給するメリット
出張手当の支給には、主に次のようなメリットがあります。
- 税負担の軽減
- 従業員の業務効率化
- 従業員のモチベーション向上
それぞれについて詳しく解説します。
税負担の軽減
出張手当は会社の経費として損金算入することが可能です。損金が増えると、法人税の課税対象となる利益が少なくなり節税につながります。
ただし、事業との関連性がなかったり、支出金額が必要以上に大きかったりする場合は経費としての正当性が認められず、課税対象になり得るため注意が必要です。
また、国内出張に対して支給される出張手当は、消費税の計算時に控除対象となる課税仕入になるため消費税額も少なくできます。さらに、出張手当は所得税や住民税、社会保険料などの課税対象にならないため、従業員が受け取る支給額が増えても、従業員側の税負担が大きくなるリスクはありません。
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従業員の業務効率化
前述のとおり、経費を実費支給で経費精算する場合、従業員側の経費申請と承認、経理担当者側の確認と処理が必要になります。しかし出張手当は規定に沿った一律支給になるため、経費精算にかかる手間を省くことができます。
出張手当を一律支給する場合のルールや金額は、出張旅費規程に定めておく必要があります。
従業員のモチベーション向上
普段の勤務地ではなく、遠方まで移動して業務を行う場合、従業員には少なからず心身の負担がかかります。これらを加味した出張手当がなければ、負担に対して従業員の手取りが増えることがないため、従業員のモチベーションが下がってしまう可能性があります。
会社が出張手当を支給することは従業員への労いとなり、従業員のモチベーションの維持・向上に役立ちます。従業員のモチベーションが高い状態であれば業務上の成果も出やすくなるため、組織的にもメリットが大きいといえるでしょう。
出張手当を支給するデメリット
出張手当を支給する場合のデメリットには、次のようなことが挙げられます。
- 支出の増加
- 出張旅費規程の整備が必要
- 不正受給のリスク
支出の増加
出張手当を導入すると、従業員に対する支給額が増えることで会社としての支出の負担が大きくなり、利益が減少する可能性があります。
会社側の負担が大きくなりすぎないように、継続的な運用を見据えて出張手当の金額や支給要件などを精査する必要があります。
出張旅費規程の整備が必要
出張手当を導入するためには、出張旅費規程で内容を定める必要があります。具体的には出張手当の金額や支給要件、申請手続きなどです。整備の手間がかかる点には留意しなくてはいけません。
出張旅費規程がなければ、出張手当を経費計上できる根拠がないため、損金算入が認められない可能性があります。時間と手間はかかりますが、出張手当は出張旅費規程を整備したうえで導入を進めましょう。
不正受給のリスク
一般的に、出張手当は従業員からの申請があり、その申請が支給要件に当てはまっていれば支給されます。しかし、場合によっては実態のないカラ出張の申請で出張手当の不正受給が起きてしまうリスクがあります。
一般社員の場合は申請時に上長の承認を経るケースが多いといえますが、役職者の場合は承認者が設定されておらず、不正に気づけない可能性があるためです。こうした不正が行われないように、複数人によるチェック体制を整えることが重要です。
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カラ出張とは?経費の不正利用への税務調査による懲罰・処分や防止策を解説
出張手当は課税対象か
基本的に、出張手当は従業員の給与には含まれず、所得税などの課税対象外になります。
また、会社にとっては、支給した出張日当は法人税法上、損金算入が認められます。さらに、国内の出張手当には消費税の仕入税額控除が適用されます。ただし、海外への出張に対して支給される出張手当は原則課税仕入れの対象にならないため、注意しましょう。
出典:国税庁「No.6459 出張旅費、宿泊費、日当、通勤手当などの取扱い」
出張手当の相場はいくら?
国内出張の場合の出張手当の相場は下表のとおりです。
役職 | 宿泊費の相場 |
---|---|
部長クラス | 2,500~3,000円 |
役職なし(一般社員) | 2,000~2,500円 |
出張手当は日帰りか宿泊かで多少の変動はあるものの、2,000~3,000円程度が相場です。
出張手当の上限は企業によって異なりますが、経費として適切と認められる範囲で定める必要があります。支給額が妥当ではないと判断されると、経費として認められない可能性があるため注意しましょう。
出張手当を導入するには
出張手当を導入するための具体的な手順を紹介します。
1.出張旅費規程を定める
出張旅費規程では以下のような項目を明文化します。特に出張手当の支給に当たっては、「出張の定義」「日当の金額」を明確に定める必要があります。
- 出張経費規程作成の目的
- 出張経費規程の対象範囲
- 出張の定義
- 旅費交通費の金額・内訳
- 宿泊費の金額
- 日当の金額
- 緊急時の対応
2.申請フローを整備する
出張旅費規程とともに申請フローも整備します。申請フローは、不正受給などのリスクを防ぎながら業務効率のよい方法を採用するのが望ましいでしょう。
一般的には、従業員が「出張申請書」を提出し、出張手当の支給要件に当てはまる場合は承認するという申請フローが多いといえます。
3.運用を開始する
出張旅費規程、申請フローなどの準備が整ったら、全社的に周知し運用を始めます。
運用後は実際の状況をモニタリングし、不具合が生じていないか都度確認しましょう。たとえば、申請のやり方がわかりづらく従業員に混乱が生じている、手当の金額が実態に見合っていないなどの状況が考えられます。
柔軟に改善を行いながら、従業員にとっても会社にとってもメリットのある制度にブラッシュアップしていきましょう。
また、出張旅費規程に基づく申請フローを効率的に運用するには、ワークフローシステムの導入もおすすめです。システムには自社独自の出張申請書を反映することができるため、従業員は記載漏れやミスなく入力・申請が可能になり、承認者のチェックにかかる負担も軽減します。さらにオンライン上で申請・承認が完結し、迅速に処理できるようになる点もメリットといえます。
まとめ
出張手当は、従業員が出張先でも安心して業務を行えるための手当であり、かつモチベーション高く業務にあたるための手当です。
出張手当の導入・運用にあたっては、適切な支給額やルールの取り決め、不正が行われない申請フローの整備が必要です。出張手当を適切に管理することで、従業員の負担を軽減し、業務の効率化を図ることができます。
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よくある質問
出張手当の支給は義務付けられている?
出張手当の支給は法律で義務付けられているわけでなく、支給するかどうかは企業ごとの判断に委ねられています。
詳しくは記事内「出張手当とは」をご覧ください。
出張手当の相場は?
出張手当は日帰りか宿泊かで多少の変動はあるものの、2,000~3,000円程度が相場です。
詳しくは記事内「出張手当の相場はいくら?」をご覧ください。