監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

日々の取引や金銭の受領・領収時に必須の「領収書」ですが、「発行した領収書を再発行してほしいといわれた」「受け取った領収書を紛失してしまった」といったトラブルもよく起こります。
本記事では、領収書の再発行義務や依頼されたときの対応、自分が領収書を紛失してしまったときの対応を解説します。
目次
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領収書の再発行は義務ではない
領収書の発行者に再発行の義務はありません。民法上では、領収書の発行者が支払者から領収書の発行を依頼された場合には対応する義務があるとする一方で、再発行自体の義務はなく、発行者側の判断によるとしています。
領収書を再発行する場合、元の領収書に記載されていた取引の日付や金額などの情報を変更するのは改ざんにあたるため、注意が必要です。
再発行と後日発行の違い
領収書の再発行と間違えられやすいものに「後日発行」があります。再発行と後日発行の違いは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
再発行 | 発行済みの領収書と同じものを再度発行すること |
後日発行 | 取引が行われた際に領収書を発行せず、取引が行われてから時間が経過した後に領収書を発行すること。 |
領収書を後日発行する場合は、過去に発行されたレシートなど、取引の記録となる書面をもとにする必要があります。後日発行は取引の証明があれば可能ですが、証明がない場合は発行は原則できません。
領収書の再発行によるリスク
領収書の再発行が行われると、本来の領収書と再発行分の領収書、2枚の領収書が発行されることになります。これにより、次のようなリスクが生じるため注意しましょう。
- 領収書の二重発行を使った不正
- 経費の二重計上など事務的なミス
領収書の再発行を依頼された場合の対応
前述のとおり、領収書の再発行は義務ではなく、領収書の再発行にはリスクもあることから、再発行は不可とするのが望ましいといえます。
ただし、発行者の裁量によって再発行しても問題はありません。顧客との関係上、依頼を断りづらいケースや、不要なトラブルを避けたいケースも想定されるためです。
やむを得ず領収書の再発行に応じる場合は、再発行の領収書に「再発行」と明記し、さらに元の領収書控えと再発行分の領収書控えを保管しておきましょう。
もしくは領収書自体を再発行せず、購入証明書で代用する方法もあります。購入証明書を使う場合は、以下の項目を必ず記載してください。
- 支払先
- 支払いがあった日付
- 領収書の但し書きに記載される内容
- 支払金額(税込)
再発行の場合も収入印紙は必要
領収書を再発行する場合に注意したいのは、再発行の場合であっても収入印紙は必要になるという点です。
収入印紙は、領収書の金額が5万円以上の場合に貼る必要があります。印紙税は取引ではなく発行された文書に課せられるため、取引や金銭の受け渡しが一度であっても、領収書が改めて発行された場合には別途、印紙税の課税対象になります。
万が一、収入印紙の貼付を忘れてしまうと過怠税として印紙税額の3倍が課されるため注意が必要です。
領収書の発行者側に過失がなかった場合でも、領収書を再発行する場合は発行者が印紙税を負担しなければなりません。再発行の際は、支払い側に手数料を請求するなどの対策も検討するとよいでしょう。
領収書を紛失した場合の対応
万が一、受け取った領収書を紛失してしまった場合、取引を証明する書類がないため、経費として計上できない可能性があります。社内では経費として処理できても、税務調査で指摘されるケースも否定できません。
領収書を紛失してしまった場合は、まず発行者に再発行を依頼しましょう。ただし、前述のとおり領収書の再発行は発行者の義務でないことに加え、再発行によるリスクもあるため、発行者に拒否されることも考えられます。
領収書の再発行が難しい場合は、出金伝票に支払記録を残しましょう。支払記録には、以下の項目を必ず記載します。
- 支払先
- 支払いがあった日付
- 領収書の但し書きに記載される内容
- 支払金額(税込)
ただし、出金伝票に記録したからといって必ずしも経費として認められるとは限りません。万が一不正と疑われた場合、税務署が支払先に対して反面調査と呼ばれる事実確認を行うケースもあります。このとき、確実に該当の支払いが行われていたという事実が確認できるかが、判断のポイントです。
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領収書の紛失を防ぐ方法
そもそも領収書の紛失を防ぐ方法として、発行側としては電子レシートの導入、受領側としては経費精算システムの導入が効果的です。
電子レシートとは、取引の内容を買い手のメールアドレスやSMSで送信するものです。データとして保存できるため受領側が紛失するリスクがなくなり、発行側が再発行を依頼されるケースは減ります。
一方、受領側においても経費精算システムを導入すると、スマートフォンで撮影した領収書の画像を添付して経費精算することが可能になるため、領収書の再発行を依頼しなければならないケースが減るでしょう。
まとめ
領収書は取引や金銭の受け渡しの証拠となる重要な書類です。日々扱う領収書の量が多いと、管理が大変でつい紛失してしまうケースもあります。
領収書の紛失が税務調査での指摘につながることもあるので、十分に注意して扱いましょう。
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よくある質問
領収書の再発行は可能?
領収書を再発行するかどうかは発行者の判断に委ねられます。
詳しくは記事内「領収書の再発行は義務ではない」で解説しています。
領収書を紛失した場合はどうする?
領収書を紛失したら発行者に再発行を依頼してください。ただし発行元に再発行の義務はないため拒否される可能性もあります。
領収書の再発行が難しい場合は、出金伝票に支払記録を残す、クレジットカードの利用明細を証憑にするといった対応をとりましょう。
詳しくは記事内「領収書を紛失した場合の対応」をご覧ください。
監修 前田 昂平(まえだ こうへい)
2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。
