経費精算の基礎知識

領収書の但し書きとは?書き方や記入例、注意点を解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

領収書の但し書きとは?書き方や記入例、注意点を解説

領収書に記載される但し書きは、どのような商品やサービスを提供・受領したかを示す項目です。経費の計上や消費税額控除を受けるために重要な項目ですが、適切に扱われていないケースもあります。

本記事では、領収書の但し書きとは何か、但し書きが必要な理由と書き方、取り扱いに際する注意点を解説します。

目次

経費精算の効率化におすすめの経費精算システム

最短1.5秒で申請完了。経費精算の面倒は自動化で極力ゼロに!申請・承認・経理業務をAIがサポート。freee経費精算は会社規模や業種を問わず、幅広い企業におすすめの経費精算システムです。

領収書の但し書きとは

領収書の但し書きとは、支払い者に対してどのような商品やサービスを提供したか、その内容を記載する項目のことです。

一般的に「◯◯代として」と記載されることが多く、たとえば「飲食代として」「お花代として」「書籍代として」などと用途に応じて記されます。

領収書の但し書きが必要な理由

領収書に但し書きが必要な理由は、主に次の3つです。

  • 消費税の仕入税額控除を受けるため
  • 経費申請の不正を防止するため
  • 第三者による悪用を防ぐため

それぞれについて詳しく説明します。

消費税の仕入税額控除を受けるため

消費税の仕入税額控除が適用されるためには、以下の項目が記載されている帳簿および領収書が必要となります。

  • 課税仕入れを行った相手方の氏名または名称
  • 課税仕入れを行った年月日
  • 課税仕入れにかかる資産または役務の内容
  • 課税仕入れにかかる支払対価の額(消費税額の相当額を含む)

領収書に記載される但し書きは、上記のうち「課税仕入れにかかる資産または役務の内容」に該当する情報です。よって但し書きのない領収書は消費税仕入税額控除の要件を満たしていないことになり、仕入税額控除が受けられません。

【関連記事】
消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説

経費申請の不正を防止するため

領収書の但し書きは、計上される経費が適切かどうかを判断する情報としても有用です。たとえば、企業の経理担当者が経費の申請内容と領収書の但し書きを照らし合わせて、業務上必要な経費であるか、その妥当性を判断します。

企業の規定によっては、不正な経費申請を防止するため、但し書きのない領収書での経費申請が認められない場合もあります。

第三者による悪用を防ぐため

領収書に但し書きを入れることで、第三者による悪用を防げます。

万が一、宛名や但し書きのない領収書を紛失してしまい、第三者が拾った場合に、その第三者が自身の経費に流用するケースが一切ないとは言いきれません。高額な領収書であれば、不正の規模も大きくなります。

宛名と但し書きを具体的に記載することで、「誰に対して」「何のために」発行した領収書であるか明確になり、悪用防止につながります。

領収書の但し書きの書き方

下図は領収書の記載例です。金額の下に記載されている文言が但し書きに該当します。


領収書の但し書きの書き方

具体的な書き方として想定されるのは以下のとおりです。

  • お食事代として
  • 書籍代として
  • 手土産代として
  • 文房具代として
  • 消耗品費として
  • 通信費として
  • 広告宣伝費として
  • セミナー参加代として
  • デスク・椅子5式分の代金として
  • ギフト代として

複数の異なる品物を購入して領収書に但し書きを書ききれない場合は、代表的な品物だけを記入します。たとえば「キャビネット、他3点」のように記載します。あわせてすべての品物の名称が記載されている納品書を添付するのが望ましいといえます。

なお、仕入税額控除の要件を満たした小売店等で受領した領収書やレシートは適格簡易請求書として扱われます。適格簡易請求書には、以下の必要項目がすべて記載されている必要があります。

適格簡易請求書の記載項目

  1. 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜きまたは税込み)
  5. 税率ごとに区分した消費税額等または適用税率

領収書の但し書きにおける注意点

領収書に但し書きには、なるべく使わないほうがよいとされる文言や、発行者が記載するといった注意点があります。それぞれについて解説します。

「お品代」はなるべく避ける

但し書きに「お品代として」と記載するのは避けたほうがよいとされています。

厳密にいうと「お品代として」と書かれた領収書でも経費として問題なく計上できるケースはありますが、その場合、帳簿には具体的な商品などを記載する必要があります。特に消費税の仕入税額控除を受けるには、但し書きが具体的に書かれていることが重要です。

このように「お品代」という記載だと正確な処理が行えないケースがあるため、但し書きの書き方には気を付けましょう。

但し書きは発行側が記載する

領収書の但し書きは原則として発行者に記載してもらう必要があります。但し書きのない領収書を受け取った場合、金銭を支払った側が但し書きを追記してはいけません。

領収書を発行する権限は金銭を受け取った側にあるため、それ以外の人物が但し書きなどの項目を書いてしまうと文書の改変にあたります。場合によっては内容の改ざんを疑われ、経費として認められない可能性があるため要注意です。

なお、領収書は手書き・印字どちらでも問題ありません。店舗のレジで発行されるレシートも、以下の項目が記載されていれば領収書として扱うことは可能です。

  • 取引日
  • 宛名
  • 金額
  • 但し書き
  • 金額の内訳(税率ごとに区分した取引合計金額)
  • 発行者名

ただし、会社の規定によってはレシートを領収書として代用できないケースもあるため、できるだけ手書きの領収書を発行してもらうようにするとよいでしょう。

【関連記事】
領収書の書き方を見本付きで解説!必須項目やルールなどのポイントは?

発行した領収書の保存について

領収書の発行側は、原本となる領収書を買い手に渡したのち、その控えを残しておく必要があります。領収書の控えは、複写式の領収書を使って作成するか、そうでない場合には領収書と控えに割印をして作成します。

領収書の控えは、商品や金額などの取引内容を証明するものとして役立つためです。万が一、買い手側とのトラブルが起こった場合にも、領収書の控えは重要な証明になります。

また、領収書の原本・控えのいずれも、確定申告書の提出期限の翌日から個人事業主は5年間、法人は7年間保存しなくてはなりません。インボイスについても、発行事業者は買い手に交付したものの写しの保存義務があります。保存期間は、交付または提供した日に属する課税期間の末日から2ヶ月を経過した日から7年間です。

なお、Webページなどを通じて発行した電子領収書は、発行側・買い手側ともに、改正電子帳簿保存法により紙に印刷して保存することはできません。法定のデータ保存の要件にしたがって対応する必要があります。


出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」
出典:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
出典:国税庁「5 適格請求書等の写しの保存」
出典:e-Gov法令検索「消費税法第57条」


【関連記事】
電子領収書とは?発行方法やデータ保存するメリット、注意点を解説

まとめ

領収書に記載される但し書きは、どのような商品やサービスを提供・受領したかを示す項目であり、経費の計上や消費税額控除を受けるためにも欠かせないものです。領収書の改ざんや悪用を防止するために、具体的に商品やサービスなどを記載する必要があります。

本記事で解説した内容を参考に、正しく取り扱うようにしましょう。

面倒な経費精算を秒速で終わらせる方法

経費精算は、「面倒だ・手間だ」という声をよく聞きます。
紙のレシートの保管が面倒、申請するのが手間、業務が忙しくて後回しになってしまう、申請内容の確認が手間、承認のやり取りに手間がかかる、入力ミスでの差し戻しでのコミュニケーションに時間がかかる、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応に時間がかかる・・・など、申請者・承認者、経理担当とそれぞれに課題があり、負荷がかかりがちな業務です。

経費精算の業務は、経費精算システムを導入することで、申請から承認、処理・保存までラクな仕組みに変えられます。
freee経費精算では経費精算に関わる業務をAIがサポートし、経理担当者はもちろん、申請をする従業員、承認をする上司にも多くのメリットがあります。また、会社規模や業種を問わず、幅広い企業の経費精算を効率化できます。

freee経費精算の機能例>

  • スマホアプリ利用で最短1.5秒で経費申請が完了。紙の保管負荷を削減
  • 高精度AI-OCRの自動処理で、明細も含めてAIが入力を行うので手入力ミス自体を削減
  • 証憑重複自動チェックで差し戻し自体を削減 etc...
freee経費精算について詳しく知りたい方はこちらよりご確認いただけます。
より詳しくサービスについて知りたい方は、ダウンロード資料をご覧ください。


経費精算だけでなく、請求書処理、小口現金やカード支払いなど、会社で支払うお金をまとめて効率化したい場合は、freee支出管理がおすすめです。AIを活用した自動処理、スマホでいつでもどこでも申請・承認可能で従業員全員が使いやすく、面倒を楽にする機能がそろってます。毎月の支払処理での人的ミスのリスクや負担軽減が可能になります。詳しく知りたい方はこちらよりご確認いただけます。

よくある質問

領収書に但し書きが必要なのはなぜ?

領収書に但し書きが必要な理由としては、次の3つが挙げられます。

  • 消費税の仕入税額控除を受けるため
  • 経費申請の不正を防止するため
  • 第三者による悪用を防ぐため

詳しくは記事内「領収書の但し書きが必要な理由」をご覧ください。

領収書の但し書きの「お品代」は問題ない?

領収書の但し書きに「お品代」と書くのはなるべく避けましょう。消費税の仕入税額控除を受けられないなどのデメリットが発生する可能性があります。

詳しくは記事内「「お品代」はなるべく避ける」で解説しています。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

経費精算の効率化におすすめの経費精算システム

最短1.5秒で申請完了。経費精算の面倒は自動化で極力ゼロに!申請・承認・経理業務をAIがサポート。freee経費精算は会社規模や業種を問わず、幅広い企業におすすめの経費精算システムです。