監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

SuicaやPASMOなど交通系ICカードの利用履歴を用いて経費精算を行うと、申請書を手書きする場合に比べて正確性や透明性を高められます。また、出張や移動の多い申請者側にとっても、申請時の事務作業を削減できるなどのメリットがあります。
本記事では、SuicaやPASMOを経費精算する方法や精算時の注意点、経費精算システムと連携させるメリットなどを解説します。利用履歴の具体的な確認方法もまとめているので、精算処理や経理業務に役立ててください。
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目次
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SuicaやPASMOで経費精算する方法
交通費精算にICカードを活用すると、経路や運賃の明確化に役立ちます。公共交通機関を利用する際は領収書が発行されないため、会社としても領収書の提出を求めていないケースがあります。一方、SuicaやPASMOなどのICカードなら、利用履歴から正しい運賃を容易に把握できます。
ICカードの利用履歴から経費精算する方法は次の3つです。
- 券売機で利用履歴を発行する
- ICカードリーダーで読み取る
- SuicaやPASMOのモバイルアプリを利用する
それぞれの方法について詳しく解説します。
券売機で利用履歴を発行する
駅に設置されている券売機は、ICカードの利用履歴の確認が可能です。券売機にICカードを挿入し「利用履歴を確認」または「チャージ・残額履歴」のボタンを押します。Suicaの場合は、「IC」マークのついた自動券売機・チャージ専用機・多機能券売機など対応できる券売機が限られている点に留意しましょう。
駅の券売機で表示される履歴は、直近の利用分のうち最大20件までです。なお、印字は26週以内の利用分のうち最大100件までとなります。1日の利用が21回を超える場合や、改札機にしっかりとタッチできていないなかった場合は、一部印字されない可能性があるため注意してください。
また、Suicaの履歴をSuicaエリア以外で表示・印字した場合、駅名ではなく事業者名が表示されます。PASMOやほかの交通系ICカードも同様なので、利用した駅名など正確な情報が必要な場合は、利用したエリアで印字しておくとよいでしょう。
ICカードリーダーで読み取る
SuicaやPASMOの利用履歴は、ICカードリーダーを使用してPCで確認することも可能です。専用のカードリーダーをPCに接続し、対応アプリをインストールすると、券売機で確認できる内容と同様の利用履歴データを取得できます。
取得したデータはExcelなどの表計算ソフトで管理できるほか、経費精算システムと連携すれば自動的にデータの反映ができます。手作業での入力を省略して経費精算を効率化できる点は魅力ですが、ICカードリーダーの購入費用や対応アプリのインストール作業など、初期の環境整備が必要です。
SuicaやPASMOのモバイルアプリを利用する
スマートフォンなどのモバイル端末でSuicaやPASMOを使用している場合、アプリ上で利用履歴を確認できます。モバイルSuicaやモバイルPASMOアプリで確認する際は、アプリ画面上で「SF利用履歴」や「残額履歴」をタップするだけで表示できます。
モバイル用のアプリとも連携できる経費精算システムもあるため、ICカードと同様に、履歴を確認したりそのまま申請したりすることも可能です。
SuicaやPASMOを使った経費精算の注意点
SuicaやPASMOの利用履歴を表示・印字するだけで経費精算システムと連携できるのは便利ですが、次のような注意点もあります。
- 履歴の確認・印字の上限を考慮する
- モバイルアプリ対応の端末が必要
- 領収書の発行はチャージした場合に可能
適切に管理しないと必要な情報を入手できなくなる可能性もある点に気をつけて利用しましょう。
履歴の確認・印字の上限を考慮する
SuicaやPASMOでは、履歴を表示や印字できる件数に限りがあります。そのため、経費精算を行う際はこういった事情を考慮して履歴を取得しましょう。
注意点 | 詳細 |
---|---|
履歴の表示 | ・直近の利用のうち最大20件まで |
履歴の印字 | ・直近の利用のうち最大100件まで ・利用から26週以内の内容に限る |
件数の上限や条件は、券売機とモバイルアプリともに同様です。また、利用エリア外での表示は正確な駅名でなく事業所名で表示される場合があります。申請まで期間が空いてしまう場合や広範囲の移動が多い場合は、こまめに印字したり精算したりしてください。
そのほか、改札機できちんとタッチできていなかった場合も表示されない可能性があるため、出張などあとでデータが必要になる際は気をつけましょう。
モバイルアプリ対応の端末が必要
モバイルSuicaやモバイルPASMOを利用するには、アプリに対応するスマートフォン端末が必要です。経費精算システムを導入したり、連携したりする際は、対応できない端末を使用している従業員がいないか確認しておきましょう。
万が一、従業員が使用しているスマートフォン端末がモバイルSuicaやモバイルPASMOに対応していない場合は、ICカードを使用してもらうなど柔軟な対応が求められます。
領収書の発行はチャージした場合に可能
SuicaやPASMOのICカードは、券売機でのチャージや切符の購入時に「領収書発行」ボタンを押すと、領収書を入手できます。
ただし、領収書にはクレジット利用分の記載が入ることがあります。正確な経費精算を行うのであれば、従業員にクレジットの利用明細を併せて提出してもらいましょう。
ICカード連携の経費精算システムを利用するメリット
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードを経費精算システムと連携できれば、業務効率化や不正防止といったメリットを享受できます。
- 申請や承認の手間を削減できる
- 申請内容のミスを減らせる
- 不正な経費申請を防げる
主なメリット3つをそれぞれ詳しく解説します。
申請や承認の手間を削減できる
経費精算において経理担当者は、申請内容が正確かどうかを確認する必要があります。従来の手書きの申請書類では、内容確認や情報の追加作業に時間を要し、上長や担当部署の承認依頼も煩雑な手続きとなっていました。
ICカードと連携した経費精算システムなら、利用データが自動で反映されるため手書きの申請書は不要となるほか、確認作業の負担も軽減できます。
さらに、クラウド型の経費精算システムを導入すれば、申請者は出張時の移動時間などを活用して、時間や場所を問わず申請作業を実施できます。承認プロセスもシステム上で完結できるため、経費精算に関連する業務を一元化でき、業務効率の向上が期待できるでしょう。
申請内容のミスを減らせる
交通費の精算を手書きで行う場合は、利用した経路や料金を毎回調べる必要があり、記入漏れや計算ミスなどの人的エラーも発生しやすい状況です。ICカードと連携した経費精算システムでは、経路や料金データが自動的に取り込まれるため、手入力による誤りのリスクを減らせます。
また、定期券の有効期間を除外した精算なども可能であるため、精算処理の正確性が高まる点もメリットです。差し戻しや再申請といったトラブルも防げます。
不正な経費申請を防げる
交通費の精算は1件あたりの金額が比較的少額です。また、公共交通機関では通常、領収書が発行されないため、実際の利用状況を確認するのが難しいといえます。
そのため、申請内容に疑わしい点があっても、差し戻しや再申請の手間を考慮して「少額だから」と意図的に見過ごされてしまうケースも起こらないとは限りません。
ICカードと経費精算システムの連携により、正確な履歴に基づいた申請が可能となるため、水増し精算などの不正を防げます。さらに経理処理の透明性が高まり、より適切な経費管理体制の構築が可能になります。
まとめ
SuicaやPASMOの利用履歴を経費精算システムと連携させると、申請者や経理担当者の負担を軽減できるのはもちろん、不正防止につながるなど企業としてのメリットもあります。移動や出張の多い従業員を抱える企業は、業務効率化と併せて健全な経営体制の構築も期待できるでしょう。
履歴を確認できる件数に上限があることや、従業員がシステムに対応している端末を保持しているかどうかなどの注意点に気をつけながら、導入を検討してください。
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経費精算は、「面倒だ・手間だ」という声をよく聞きます。
紙のレシートの保管が面倒、申請するのが手間、業務が忙しくて後回しになってしまう、申請内容の確認が手間、承認のやり取りに手間がかかる、入力ミスでの差し戻しでのコミュニケーションに時間がかかる、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応に時間がかかる・・・など、申請者・承認者、経理担当とそれぞれに課題があり、負荷がかかりがちな業務です。
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よくある質問
SuicaやPASMOを使って経費精算できる?
SuicaやPASMOを使って移動した履歴は、実際の経路や料金を正確に確認でき、経費精算の際に役立ちます。
詳しくは記事内「SuicaやPASMOで経費精算する方法」で解説します。
SuicaやPASMOの領収書は発行できる?
SuicaやPASMOの領収書は、券売機でチャージするときか、切符を購入するときに発行できます。ただし、クレジットの利用履歴なども記載される点に注意しましょう。
詳しくは記事内「領収書の発行はチャージした場合に可能」をご覧ください。
監修 前田 昂平(まえだ こうへい)
2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。
