経費精算の基礎知識

経費精算のアウトソーシングとは?外部委託できる業務などを解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

経費精算のアウトソーシングとは?外部委託できる業務などを解説

経費精算業務には、申請内容の確認や承認作業など煩雑な業務が多くあります。経費精算業務にばかりリソースを割けない、煩雑な業務を効率化してコア業務に集中したいといった課題を抱えている場合は、「アウトソーシング」を検討してみるのもおすすめです。

本記事では、経費精算業務に関するアウトソーシングについて、対応可能な業務範囲やメリット・デメリットを解説します。アウトソーシングを有効活用して、経理業務の効率化や生産性向上を目指しましょう。

目次

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経費精算のアウトソーシングとは

経費精算のアウトソーシングとは、自社で行っている経費精算に関する業務を外部委託することを指します。簡単なデータ入力作業から専門知識を要する業務まで、幅広い範囲での対応を委託できるため、企業は自社のニーズに合わせて必要な業務範囲を選択できる点も特徴です。

近年では、経費精算業務の一部または全体を外注することで、テレワークをはじめ働き方の多様化に柔軟に対応しようとする企業も増えてきています。

経費精算をアウトソーシングする方法は主に2つあります。


アウトソーシング方法特徴
オンサイト型(常駐型)企業内に常駐して業務を行う
オフサイト型(センター型)離れた場所から業務を行う

オンサイト型とは、専門の担当者が企業に常駐して業務に取り組むタイプです。コミュニケーションがとりやすく、対面で行う業務などにも柔軟に対応できるといった特徴があります。

一方、オフサイト型は、専門の担当者が企業に出向くことなく他の場所(センター)で業務に取り組むタイプです。パソコンや専用ソフトさえあれば業務を遂行できるため、人件費やインフラにかかわるコストを抑えられます。

アウトソーシング可能な経費精算業務

経費精算業務をアウトソーシングすると、経費精算に関する申請から承認まで一連の流れを丸投げすることも可能です。

ここでは主に対応可能な業務について、3つ解説します。

申請内容の確認・承認

経費精算のアウトソーシングで委託できる主な業務の一つが、従業員からの経費精算申請に対する内容の確認や承認です。

経費申請された内容が経費として認められるものかどうかを確認するほか、経費申請書や領収書に不備がないかもチェックします。また、申請の様式や書類がルールに則ったものかどうかも確認してくれるため、煩雑な確認作業を一貫して任せられます。

承認後のフローを社内の経理担当者が行う場合でも、ここまでの業務をアウトソーシングできると、社内の人的リソースを有効活用できるでしょう。

会計ソフトへのデータ入力

経費精算のアウトソーシングでは、経費精算に関する情報を会計ソフトへ入力する作業も代行してくれます。特に申請書が紙媒体の企業であれば、承認された経費の会計ソフトへの入力は、業務効率化の面で大きなメリットになるでしょう。

情報入力は単純作業のようですが、実際には作業量が膨大になりがちで、正確性も求められる業務です。アウトソーシングでは導入済みの会計ソフトとの連携に対応しているケースもあり、一部の業務だけを外部委託するという選択肢もあります。自社の状況や課題に応じて、柔軟に対応範囲を検討しましょう。

経費の支払い処理

従業員が立て替えた費用を指定口座に振り込む作業なども、アウトソーシングが可能です。従業員数の多い企業では支払処理の件数が多く、社内の経理担当者の負担も大きくなりがちです。アウトソーシングすれば、処理を迅速かつ丁寧に行ってもらえるため、ミスや遅延のリスクも低減できます。

また、支払処理を社内の従業員だけに依存せず、第三者の手が加わることで、経費精算の透明性が高まります。不正防止の観点からも、アウトソーシングは有効な選択肢のひとつといえます。

経費精算をアウトソーシングするメリット

経費精算をアウトソーシングすると、以下のようなコスト削減や生産性向上といったメリットを享受できます。

  • 人件費を削減できる
  • 社内生産性が向上する
  • 対応品質の安定化を図れる
  • 属人化による不正を防げる

アウトソーシングのメリットを、それぞれ詳しく解説します。

人件費を削減できる

経費精算業務には、申請内容と領収書が合っているかをチェックしたり、会計データを作成したりと、時間と手間のかかる作業が多く含まれています。

また、自社で従業員を直接雇用して対応する場合、基本的には専任担当者を置く必要があるため、採用コストや教育コストも発生します。

一方、アウトソーシングであれば、すぐに経費精算業務に精通した人材に依頼ができます。これにより採用コストや教育コストの削減はもちろん、直接雇用にかかる人件費も抑えられます。業務の質を維持しながらコストを最適化できる点は、アウトソーシングの大きなメリットといえるでしょう。

社内生産性が向上する

経費精算に関する業務は月末や月初に集中することも多く、経理担当者の業務を圧迫する要因となりがちです。

業務をアウトソーシングすることで、経理担当者は支払処理や財務分析といったより重要な業務に時間を確保できるようになります。本来のコア業務により多くの時間を費やせるようになるため、組織全体の生産性向上につながるのもメリットです。

経費精算のアウトソーシングは、人的リソースを最適に配分し、企業の競争力を高める有効な手段といえます。

対応品質の安定化を図れる

経費精算に限らず、経理業務は専門知識と正確性が求められる分野です。特に、税制に関する法改正は頻繁に行われるため、最新の知識をもとに処理を進める必要があります。

法改正にも迅速に対応できる体制を整えている委託先であれば、経費精算に関する対応品質の安定化を図れます。知識が古いまま処理を進めてしまい、税務調査で指摘を受けるといったトラブルも防げるでしょう。

自社での採用や教育コストを抑えながら常に安定した品質での業務遂行が可能となるため、専門性の高い人材に外部委託することは、企業にとって大きなメリットといえます。

属人化による不正を防げる

経費精算や経理に関する業務は、担当者に任せきりになりがちな業務のひとつです。特定の担当者のみが長期間にわたって対応を続けることで、業務が属人化し、不正が発生するリスクが高まります。

たとえば、経費の不正使用や不自然な領収書の見過ごしといった問題が起きても、内部からは発見が困難になるケースが考えられます。アウトソーシングによる第三者の介入は、このような問題に対しても有効な解決策となりえます。外部の専門家が客観的かつ中立の立場から携わることで、不正を未然に防ぎ、透明性の高い管理体制を構築できるでしょう。

経費精算をアウトソーシングするデメリット

経費精算のアウトソーシングにおいては、以下のようなデメリットも想定されます。

  • 体制の整備に時間がかかる
  • 社内にノウハウが蓄積されない
  • 緊急時の迅速な対応が難しい場合がある

アウトソーシングを検討する際は、これらのデメリットへの対処法も考えておきましょう。

体制の整備に時間がかかる

経費精算業務をアウトソーシングする際には、事前の体制整備に時間がかかる可能性があります。外部委託先との契約締結に加え、業務に必要なシステムの導入や、これまで暗黙知として扱われていた社内ルールの可視化と共有といった準備作業が発生するためです。

また、既存の社内フローと外部委託先の業務フローを円滑に連携させるため、運用方法の見直しや調整が必要となるケースも少なくありません。場合によっては経理担当者だけでなく他部署との調整も求められるため、あらかじめ十分な準備期間を確保することが重要です。

社内にノウハウが蓄積されない

経費精算業務を丸ごとアウトソーシングすると、自社の従業員が業務プロセスや実務を把握できず、スキルアップの機会を奪ってしまう恐れがあります。

長期的なアウトソーシングにより社内における経理実務のノウハウ蓄積が進まず、突発的なトラブルへの対応力が低下する可能性も考えられます。将来的に業務の内製化を検討する場合も、実務経験のある人材がいないため、円滑な移行が難しくなるといったリスクが生じるかもしれません。

緊急時の迅速な対応が難しい場合がある

経費精算業務のアウトソーシングにおける重要な課題として、緊急時の対応が挙げられます。突発的なトラブルが発生した際、外部委託先との情報共有の遅れや連携ミスにより、問題解決までにタイムラグが生じてしまう可能性があります。

また、自社の従業員であれば即座に対応できる案件でも、外部委託先との契約内容によっては対応範囲外となるなど、対応が遅れるケースも考えられます。このような課題が起こり得る場合、契約段階で緊急時の対応方針やフローを明確に取り決めておくことが重要です。迅速な問題解決には、外部委託先との緊密なコミュニケーション体制の構築が必要となります。

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経費精算の外部委託先を選ぶポイント

信頼できる外部委託先を選定するには、重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、外部委託先を選ぶ際のポイントを4つ紹介します。

委託したい業務範囲に対応可能か

経費精算業務のアウトソーシングを検討する際は、まず自社が委託したい業務内容を具体的に洗い出し、それらに対応可能なところを探すことが重要です。外部委託先によって得意分野や対応可能な業務範囲が異なるため、事前に自社の要望と照らし合わせて慎重に選定する必要があります。自社独自の経理システムへの対応可否も、重要な判断材料となるでしょう。

特に、経費精算業務を一括して委託したい場合は、単なる実務対応だけでなく、業務改善のコンサルティング機能を持つ外部委託先を選択することも一案です。業務を任せるだけでなく、効率的な業務改善などのアドバイスを求めることができます。

セキュリティ対策が万全か

経費精算業務には、従業員の個人情報や取引先との機密情報など、重要な情報が多く含まれている場合があります。そのため、外部委託先の選定では、セキュリティ対策の実施状況を慎重に確認することが不可欠です。

具体的には「ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)」「プライバシーマーク」など、第三者機関の認証を取得しているか確認するとよいでしょう。また、過去の情報漏えい事故の有無や、その際の対応状況なども重要な判断材料になります。

さらに、データの保管方法や社員教育の実施状況、セキュリティポリシーの整備状況なども含めて、総合的に安全性を評価することが重要です。契約時には、秘密保持契約を締結しておくと安心につながります。

緊急時の柔軟な対応ができるか

外部委託先を検討する際は、緊急時の対応力も重要な選定基準に加えましょう。特に、オンサイト型とオフサイト型では対応方法が大きく異なるため、事前に確認しておくべきです。

オンサイト型であれば対面での迅速な相談や対応が期待できます。しかし、オフサイト型の場合は、問題発生時の連絡体制や対応フローによっては、柔軟な対応を望めない可能性があります。

また、外部委託先によっては契約で定められた対応範囲を超える案件については、追加料金が発生したり、そもそも対応できなかったりする場合もあります。そのため、契約前の段階で緊急時の対応範囲や方法について、詳細な確認と取り決めを行うことが重要です。

自社の会計ソフトとの連携ができるか

自社ですでに導入している会計ソフトと連携できるかどうかも、重要な検討事項の一つです。経費精算業務の一部のみを委託する場合は、データ入力などの基本作業は自社の従業員が継続して行うことも多いため、システム間の円滑な連携は業務効率に大きく影響します。

もっとも、外部委託先のシステムと自社の会計ソフトが適切に連携できない場合、データの手動入力や変換作業が必要となり、予期せぬ工数が発生する可能性があります。そのため、契約前の段階でシステム連携の可否や具体的な連携方法について、詳細な確認を行っておいてください。

まとめ

経費精算のアウトソーシングは、社内の人件費削減や生産性向上などメリットがあります。ただし、適切な外部委託先でないと体制の整備に時間がかかったり、緊急時に迅速な対応をしてもらえなかったりするなどの懸念もあります。

経費精算業務の外部委託先を選ぶ際は、自社が求める業務が対応範囲内かどうか、すでに導入しているソフトやシステムと連携し、業務効率化ができるかどうかなどのポイントを押さえながら慎重に検討しましょう。

面倒な経費精算を秒速で終わらせる方法

経費精算は、「面倒だ・手間だ」という声をよく聞きます。
紙のレシートの保管が面倒、申請するのが手間、業務が忙しくて後回しになってしまう、申請内容の確認が手間、承認のやり取りに手間がかかる、入力ミスでの差し戻しでのコミュニケーションに時間がかかる、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応に時間がかかる・・・など、申請者・承認者、経理担当とそれぞれに課題があり、負荷がかかりがちな業務です。

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よくある質問

アウトソーシングできる経費精算業務は?

経費精算においてアウトソーシングできる業務は、申請内容の確認や承認、会計ソフトへの入力作業などです。

詳しくは記事内「アウトソーシング可能な経費精算業務」で解説しています。

経費精算をアウトソーシングするメリットは?

経費精算のアウトソーシングには、人件費を削減できるほか社内の生産性向上を目指せるといったメリットが挙げられます。

詳しくは記事内「経費精算をアウトソーシングするメリット」をご覧ください。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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