経費精算の基礎知識

統制経費(統制可能経費)とは?経費管理を正しく行うポイントを解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

統制経費(統制可能経費)とは?経費管理を正しく行うポイントを解説

統制経費(統制可能経費)とは、企業の責任者の権限や判断により、金額を変更できる経費のことです。企業経営では出張や取引先との接待などが必要となる場面も多く、旅費交通費や交際費など金額が固定的ではない経費が発生してしまいます。

本記事では、統制経費の概念や経費管理の必要性についてわかりやすく解説します。

経費削減や利益を生み出す施策や戦略立案につながる経営管理のポイントもまとめているので、統制経費や経費管理について知りたい方は参考にしてください。

目次

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統制経費(統制可能経費)とは

統制経費(統制可能経費)とは、企業において責任者の権限や判断によって金額の増減を管理できる経費のことです。「制御可能経費」や「管理可能経費」とも呼ばれます。

統制経費には、主に以下のような経費項目が挙げられます。

統制経費の例

  • 仕入高
  • 旅費交通費
  • 交際費
  • 広告宣伝費
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 会議費
  • 研究開発費
  • 事務委託費
  •     

ただし、これらの経費項目が統制経費に該当するかどうかは、管理する責任者の職位や権限によって異なります。たとえば、部門管理者レベルでは調整できない広告宣伝費でも、経営層レベルでは統制可能な経費として扱われることがあります。

一方で、さまざまな制約や契約によって短期的には金額の削減が難しい経費を管理不能経費と呼びます。管理不能経費の具体例としては、以下の経費項目があります。

管理不能経費の例

  • 減価償却費
  • 賃借料
  • 法定福利費
  • 租税公課
  • リース料
  • 慶弔費
  •   

これらの管理不能経費も、中長期的な観点や経営層の意思決定によっては削減を検討できるケースがあります。具体的には、賃借料は契約期間中は固定されていますが、契約更新時に見直しが可能です。また、リース料も契約終了後に新規契約を行わないという判断もできます。

経費の削減は企業の直接的な利益の創出につながるため、項目ごとに管理責任者を明確に定め、管理を行うことが重要です。

【関連記事】
経費予算管理で利益率を向上|目的・メリット・手法とは

経費管理の必要性

経費管理とは、企業の事業活動に伴う支出を正確に把握し、適切な資金利用を実現するための取り組みです。これにより、必要な支出は適切に利用しつつ、不正な経費利用を防止する役割を期待できます。

経費管理の必要性は、主に以下の3つです。

  • 会社の資金を守るため
  • 正確な経営分析をするため
  • 資金需要を予測するため

適切な経費管理は、企業の持続的な成長と健全性を確保するために重要です。特に統制経費の管理は、経営効率の向上と収益性の確保に直接的な影響を与えます。

会社の資金を守るため

会社が保有する資金や財産に対し、無駄な支出や不正利用を防止するには、適切な経費管理が欠かせません。特に統制経費は管理者の判断によって調整可能なため、適切な管理体制がないと常識的な範囲を超えた支出や不適切な利用が横行するリスクがあります。

たとえば、出張の多い社員が交通費や宿泊費などを経費精算する場合、一時的に費用を立て替えておき、後日精算する流れが一般的です。しかし、会社側が適切な管理体制を整えていない場合、私的な旅行にかかった宿泊費や交通費などを申請されても気づけないかもしれません。

経費の不正利用は、会社の経営状態はもちろん、社会的な信用にも影響を及ぼすリスクがあります。そのため、申請された経費について「本当に業務に必要があって使用したのか」「この場合の交通費(宿泊費)の金額は妥当か」などと確認する経費管理は、会社にとって重要な役割を担います。

正確な経営分析をするため

経費管理は、「一定期間にどれだけ利益を上げられたのか」「売上と支出のバランスは正しいか」といった判断を行うために必要です。

経営分析には利益が発生した日時や金額のほか、経費の情報も欠かせません。経費を月ごとに計上し、それらを把握しやすい状態で管理しておくことは、正常な経営判断を下すための要素になるほか、経営戦略の立案や見直しにも役立ちます。

注意すべきは、「月ごとに計上する」ことです。経費は利用した月内に精算するのが大切で、処理がずれ込んでしまうと大きな利益が出ているように錯覚したり、もしくは実際よりも不振だと判断したりする恐れがあります。正しく管理することで事実とのズレを最小限にし、正確な経営分析の要素として活かしてください。

資金需要を予測するため

経費管理は、資金需要の予測にも役立ちます。たとえば、固定費は単独でなく継続的な支払いが発生する経費です。経費管理によって毎月の支出を記録しておけば、来期以降の経営に必要な費用も予測しやすくなります。

また、消耗品費などの変動費についても、記録や管理を行うことである程度の予測が可能です。将来的な支出をある程度予測しておくことで、計画的な経営を実現できます。適切な経費管理を行うことで、万が一急な支出があっても、財政状況が不安定になるのを防げます。

経費管理を正しく行うポイント

経費管理の必要性を理解していても、正しく管理できていなければ経営に悪影響をおよぼします。経費管理を正しく行うポイント3つを解説します。

  • 経費の定期的な見直しを図る
  • 経費の予算を遵守する
  • 経費管理ができるツールを導入する

これらは適切な経費管理だけでなく、健全な会社経営や、生産性・業務効率向上にも寄与するポイントです。

経費の定期的な見直しを図る

経費管理で大切なのは、定期的な見直しを図ることです。予算は本来、実現可能な数値を設定しますが、市場動向の変化や実際の状況によって、その通りにいかないケースもあります。

月次や四半期などの一定期間ごとに、予算と実際の支出を照らし合わせて数値を比較しましょう。分析や見直しの実施により、無駄な経費を削減し、事業への影響を最小限に抑えたり、利益を最大化できたりすることも可能になります。

また、統制経費はもちろんのこと、管理不能経費についても見直してみると、削減を検討できる項目がみつかるかもしれません。たとえば、契約更新のタイミングで賃借料を見直したり、リース契約の継続を再検討したりすることで、中長期的な経費削減につながる可能性も考えられます。

経費の予算を遵守する

予算は目標達成のための基準となるため、原則として遵守する必要があります。予算を立てる際は、根拠に基づき実現可能な数値を設定しましょう。厳しすぎる数値を設定してしまうと、予算内ではおさまらない事態に陥ってしまい、修正や追加予算が必要となってしまうかもしれません。

また、予算を遵守するには無駄な支出を避けることが第一です。部署やチーム単位で予算をどれくらい使用しているのか、リアルタイムで状況を確認し、不正や改善点がないか管理してください。

経費管理を効率化できるシステムを導入する

経費管理を正確かつスピーディに行うには、専用システムの導入がおすすめです。経費はExcelなどを用いて管理することも可能ですが、アナログな手法では人的ミスや記載漏れなどのリスクが伴います。

経費精算システムに搭載されている機能はシステムによって異なりますが、交通費や宿泊費などの申請から精算まで一元化できるものもあり、業務効率化が目指せます。

たとえば、OCR(自動読み取り)機能を搭載した経費精算システムの場合は、従業員は申請書を記入しなくても、領収書を読み取るだけで申請できるため、手入力によるミスを防ぐうえに作業時間も圧迫しません。

また、チャットツールと連携することで、承認者や経理担当者とのやりとりがスムーズになる点もメリットです。申請をリアルタイムでチェックでき、差し戻しや再確認も円滑に行えるため、申請から承認までをスピーディに完了できます。

さらに、システム上で予算消化率を確認できる機能を活用すれば、データの可視化によりコスト意識を高めることも期待できます。コスト意識の醸成につながれば、利益を出すための施策や戦略を推進しやすくなるでしょう。

まとめ

統制経費(統制可能経費)は、企業の責任者の権限や判断によって金額の増減を管理できる経費を指し、旅費交通費や交際費などが該当します。一方で、減価償却費や賃借料など、短期的には削減が難しい経費については、管理不能経費と呼ばれています。

経費管理においては、統制経費だけでなく管理不能経費についても中長期的な視点で見直しが可能なケースがあるため、経費の性質を理解したうえで適切に行うことが重要です。

経費管理は会社の資金を守り、正確な経営分析を行い、将来的な資金需要を予測するために欠かせません。正しい経費管理を行うには、定期的な見直しを図り、予算を遵守することが求められます。また、手計算による人的ミスや記載漏れを防ぎ、予算消化率をリアルタイムで把握するためにも、経費精算システムの導入も検討してみてください。

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よくある質問

統制経費(統制可能経費)とは?

統制経費(統制可能経費)とは、企業において責任者の権限や判断によって金額の増減を管理できる経費を指しており、「制御可能経費」や「管理可能経費」とも呼ばれています。

詳しくは記事内「統制経費(統制可能経費)とは」をご覧ください。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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