経費精算の基礎知識

消込とは?入金・支払消込の作業の流れ、起こりうる問題などを解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

消込とは?入金・支払消込の作業の流れ、起こりうる問題などを解説

消込とは経理業務において欠かせない業務であり、入金や支払金額の照らし合わせは手間がかかりミスも起きやすい業務のひとつです。とくに入金消込や支払消込において金額や入金先を確認する場合には念入りな対応が求められます。処理漏れや記録の誤りがあると、帳簿に大きな影響を及ぼすため注意が必要です。

本記事では、消込についての基本的な知識や流れ、消込作業で起こりうる問題点について解説します。

目次

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消込とは

消込とは、売掛金や買掛金などの勘定科目の残高を帳簿上から消していく作業を指します。読み方は「けしこみ」で、経理の専門用語として頻繁に使用されます。消込は、実際の入金や支払いが正確に行われ、帳簿上の記録と一致しているか確認するための重要な作業です。

たとえば、売掛金の入金が確認された際には関連する請求書が存在するため、請求した金額が正しく入金されているか、そもそも入金されること自体が正しいのか確認できます。確認した入金データを帳簿から消し込むことで、売掛金が予定通りに回収できているのか、未入金や金額がずれていないかが明確になります。

消込を行うことで、会社の資金管理がより正確になり、精度の高い財務状況が把握できるのです。

消込の種類

消込には、企業が回収すべき売掛金や未収金を管理するための「入金消込」と、支払い義務が発生する買掛金や未払金を管理する「支払消込」の2種類があります。入金消込を行うことで、取引先からの支払い状況を確認でき、売掛金の回収漏れを防止できます。

一方、支払消込では自社が負担すべき支払い義務を管理し、支払い漏れや金額の誤りを防ぐことが可能です。入金消込と支払消込についてそれぞれ詳しく解説します。

入金消込

入金消込とは、売掛金や未収金が入金された際に行う、債権の残高を減らすための作業です。この作業により、取引先から期日どおりに売掛金が入金されているかを確認し、入金金額の誤りや不足がないかを確かめます。

入金消込を通じて、取引先ごとの入金状況をリアルタイムで把握できるため、滞納や回収遅延が生じていないかの確認が容易になります。

支払消込

支払消込は、買掛金や未払金など自社が支払うべき債務に対して行われる消込作業です。この作業では支払期日に対して適切に支払いが行われたかを確認し、支払い漏れや金額の相違が発生していないかをチェックします。

支払消込は、取引先からの信頼を維持するためにも非常に重要です。支払消込を行うことで、取引ごとの支払い内容が確実に反映されるため、資金の支出が予定通り進むよう管理できます。

入金消込作業の流れ

入金消込は、主に売掛金が入金された際に行われる重要な作業です。たとえば、取引先からの売掛金の回収が発生した場合、その入金を確認したうえで帳簿上の処理を行います。

消込作業の流れは、以下のとおりです。


  1. 売掛金が発生した時点での掛取引の仕訳
  2. 入金確認後の消込の仕訳

それぞれの仕訳について、具体例を交えて解説します。

1. 掛取引の仕訳を行う

自社側から商品やサービスの提供などを行ったタイミングで売上が発生しますが、このときまだ代金は受け取っていません。この時点で計上されるのは「売掛金」です。10万円を掛け取引した場合の仕訳例を表にまとめました。


借方貸方
売掛金100,000円売上高100,000円

上記の仕訳により、売上の発生と同時に売掛金が記録され、帳簿上に債権が反映されます。

2. 消込の仕訳を行う

入金予定日に取引先から100,000円が普通預金に入金された場合、売掛金の残高を普通預金に振り替えて消込を行います。


借方貸方
普通預金100,000円売掛金100,000円

上記の仕訳によって売掛金が消込され、入金分が普通預金に記録されます。このようにして、売掛金の入金状況が正確に管理され、回収したことが帳簿に反映されるのです。

消込業務で起こりうる問題

消込作業は、経理の正確性を支える重要な作業です。しかし、実務においていくつかの問題が発生しやすい業務でもあります。代表的な問題として「消込漏れ」や「金額の誤り」といったヒューマンエラーや、消込業務が特定の従業員に偏る「属人化」が挙げられます。

このような問題が積み重なると、業務効率の低下やミスの発生リスクが高まるため、適切な対処が必要です。それぞれの問題について詳しく解説します。

消込漏れや金額・払込元の確認ミス

消込作業でよくあるのが金額や振込元の確認ミス、消込漏れです。銀行振込による入出金を通帳と帳簿でひとつずつ突き合わせて確認している場合、件数が多くなるほどミスの発生リスクが増します。

たとえば、取引先からの入金額を確認する際に、請求した金額と実際の入金額が一致しないケースがあります。この相違は振込手数料が引かれていたり、取引先の入金ミスが原因である場合も少なくありません。

また、支払者の名前が異なっていたり略称が使われていたりするなど、振込元の名義の違いから消込ミスにつながることもあります。取引件数が多いほど、消込作業の負担は増えます。ミスが積み重なると、帳簿の信頼性に影響を与える可能性があるため注意が必要です。

業務が属人化しやすい

消込作業は、特定の担当者に依存しやすい「属人化」が問題になりがちです。たとえば、以下のような細かい事情は、業務経験が豊富な担当者であれば把握しておりスムーズに進められるケースがあります。


  • 振込手数料が自社と相手先のどちらを優先するのか
  • 振込人の名義がどの取引先を指すのか

しかし、ひとりに業務が集中すると、他の担当者が消込作業を行う際にミスが発生しやすくなるほか、業務を分担しにくい問題も生じます。また、担当者が休暇を取ったり異動や退職したりする場合、代わりに消込作業を担当できる担当者がおらず、経理業務全体の進行が滞ることも懸念事項です。

業務の属人化を防ぐためには、消込作業の経験豊富な担当者を複数人配置したり、システム化したりすることが重要となります。

消込作業を自動化できる会計ソフトを導入するメリット

会計ソフトを導入することで消込作業を自動化できるため、従来の手作業による消込作業から開放され、経理業務全体の効率化が可能です。

消込作業は、取引ごとの金額や入金元の確認をひとつずつ行う必要があるため、ミスが起きやすく時間もかかります。そのため、システムで自動化することにより、入出金データが自動で取り込まれるため、ヒューマンエラーの防止を期待できます。

会計ソフトを導入することで得られるメリットについて、それぞれ詳しく解説します。

【関連記事】
会計システムとは?種類や機能、導入メリット、選び方を解説

業務効率化を図れる

会計ソフトを導入することで、これまで通帳と請求書をひとつずつ目視で突き合わせていたり、表計算ソフトを使って入出金の一覧表を作成したりしていた手間がなくなります。多くの会計ソフトには、銀行口座やクレジットカードの取引データを自動で取り込む機能が備わっており、入出金のたびに手動で金額を入力する必要も省けます。

さらに、会計ソフトにより消込作業が自動化されるため、経理担当者が処理方法を正確に把握していなくても対応可能です。その結果、属人化の問題も解消され、誰でも簡単に消込作業が行える環境が整います。

ヒューマンエラーを減らせる

会計ソフトの導入により消込作業が自動化されるため、金額の入力ミスや確認漏れも防げます。消込作業のミスは企業間の信用問題に発展する可能性もあるため、ミスを防げることは大きなメリットです。

また、会計ソフトを導入することで取引データの自動入力が可能になり、金額の不一致や確認漏れが減少するため経理担当者の負担も減らせます。消込作業の精度も高まり、経理業務における業務の品質向上が期待できます。

まとめ

消込作業は、企業の経理業務において重要な役割を果たしており、売掛金や買掛金の正確な管理が欠かせません。手作業での消込作業はミスや漏れが発生しやすく、業務の属人化も起こりやすいため、システム導入による自動化が推奨されます。

システムを導入すれば業務効率化できるだけでなく、ヒューマンエラーを削減し、消込作業の精度が一気に向上するなどさまざまなメリットを享受できます。消込業務におけるミスや漏れに悩んでいる場合は、システム導入がおすすめです。

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よくある質問

消込作業とはなにか?

消込作業は、売掛金や買掛金の入金・支払い状況を確認し、帳簿上で金額が正しいか確認する作業です。消込が正しく行われることで、取引先からの入金漏れや、自社の支払い漏れがないか正しくチェックできます。

詳しくは記事内「消込とは」で解説しています。

入金消込と支払消込の違いは?

入金消込は、売掛金の入金時に行う作業で、取引先からの入金が漏れなく行われているか、金額に間違いがないかなどを帳簿上照らし合わせます。逆に支払消込は、自社が取引先に対して正しい金額を支払いできているか帳簿上で確認する作業のことです。

詳しくは記事内「消込の種類」をご覧ください。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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