社内で何らかの意思決定をする際は「稟議」という手続きをして関係者の承認を仰ぎます。稟議には関連する用語が多く、種類もさまざまです。そのため、稟議の定義や種類を正しく理解しておかなければなりません。
また、稟議にはいくつかの課題も存在します。課題を解決できれば、本来の業務により注力できるようになります。本記事では、稟議の種類や書き方、業務効率化の方法などを解説します。
目次
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稟議とは
稟議とは、自分の権限だけでは決定できない事項について、関係者の承認を得て、組織としての最終決定を仰ぐプロセスのことです。組織運営において、意思決定の質を向上し、リスクを分散する役割を担います。
独断で進めると、専門外の視点での見落としや、トラブル発生時に責任が個人に集中するリスクがあります。しかし、正規の手順を踏むことで、法務や財務などの専門部署が事前にチェックを行い、多角的な視点から案件を精査できるのです。会社全体の利益を守ると同時に、担当者個人を保護する仕組みとしても機能します。
また、承認フローを通じて情報が共有されるため、他部署もプロジェクトの進捗を把握できます。全社で業務の進捗を確かめられるのも、稟議の特徴です。
稟議が発生するケース
日々の業務で稟議が必要になるのは、自分や自部署の権限を超えて、会社のお金や権利が動く場面です。主に以下のようなケースが挙げられます。
| 購買に関するもの | パソコンや備品の購入、ソフトウェアのライセンス取得など |
|---|---|
| 契約に関するもの | 新規取引先との基本合意、業務委託契約の締結など |
| 人事に関するもの | 中途採用や増員、異動など |
多くの企業では「決裁権限規定」などの社内規定で、金額や重要度に応じた承認フローが定められています。たとえば「5万円以下の消耗品は課長承認、それ以上は部長承認」といった形です。迷ったときは、過去の類似事例を参考にするか、上司に相談しましょう。
稟議承認について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。
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稟議承認について解説。必要になるシーンや通し方のコツ、ワークフローを効率化するポイントは?
稟議と関連語句の違い
稟議とセットで使われる語句には、以下のようなものがあります。
- 起案
- 回覧
- 承認
- 決裁
それぞれ明確な役割の違いがあり、稟議とも定義が異なります。正しく使い分けられるようにしましょう。
起案との違い
稟議が制度や手続き全体を指すのに対し、起案はその手続きを開始するための行動を指します。稟議書を作成する際にまず実施するのが、起案のステップです。多くの企業では専用のテンプレートが用意されており、必要事項を記載して申請します。
回覧との違い
回覧とは、起案された稟議書が承認ルートに沿って、関係者の間を移動していく流れのことです。稟議は複数の関係者の合意を得る目的で行うため、対象となる全員への稟議書の提示が必要です。近年はワークフローシステムの導入により回覧手続きの自動化が進んでいます。
承認との違い
承認とは、回覧の各段階で上司や関係部署の担当者が内容をチェックし、同意を与える行為です。
稟議の過程には複数の承認者が介在し、それぞれの立場から予算や法的リスクを確認します。承認を得るには、誰が何を見ているかを意識した書類作成が不可欠です。事前に根回しを行い、関係者の理解を得ておくのも有効です。
決裁との違い
決裁とは、案件に対して最終的な権限をもつ決裁者が意思決定することです。
承認者は内容をチェックして次へ送る役割なのに対し、決裁者は結果に対して責任を負う立場にあります。決裁が下りることで、初めて正式な予算執行や契約締結が可能になります。
稟議書は、決裁者が迷わず判断できる材料を揃えるための資料です。現状の課題、解決策、費用、導入後の成果を簡潔かつ論理的に記載しましょう。
稟議の主な種類
ビジネスの現場で行われる稟議は、目的によってチェックすべきポイントや承認ルートが異なります。主な稟議の種類を確認しましょう。
契約稟議
契約稟議は、新規取引の開始や契約更新、内容変更を行う際に必要な手続きです。会社が法的な義務を負うため、契約内容が自社に不利益でないか、コンプライアンス上の問題がないかを精査します。秘密保持契約(NDA)や業務委託契約などの締結が、これに該当します。
稟議書には、契約書案を添付し、事前に法務担当者の確認を得た旨を記載しておくとスムーズです。取引の必要性やリスク対策も論理的に説明しましょう。
捺印稟議
捺印稟議は、契約書や証明書に、会社の角印や代表者印の使用許可を得る手続きです。
印鑑を捺す行為は、組織として正式に認め、法的責任を負うことを対外的に表明するものです。そのため、印鑑の管理は厳格に行われます。
どの書類にどの印影が必要かを明記し、押印理由を記載します。契約稟議とセットで申請されることが一般的ですが、企業によっては別々に運用される場合もあります。
採用稟議
採用稟議は、新たな人材の雇用や、派遣社員の受け入れ、契約延長を行う際の手続きです。人件費は固定費として経営に影響するため、慎重な判断が求められます。残業時間の増加や受注増など、増員の必要性を定量的なデータで示すのが重要です。
あわせて、採用によって見込まれる成果や生産性の向上、採用コストや給与などの予算面の裏付けも記載しましょう。
購買稟議
購買稟議は、備品購入やソフトウェアのライセンス取得など、会社の資金を支出する際に行う手続きです。支出のたびに行うため、発生頻度は高いでしょう。
ポイントは、費用対効果を明確にすることです。導入によるコスト削減効果や作業時間の短縮などを具体的に記載します。公平な判断材料として、複数社からの見積もり(相見積もり)を添付することがルール化されているケースもあります。
接待交際稟議
接待交際稟議は、取引先との会食や贈答品など、交際費を支出する際の手続きです。支出が私的流用でないことの証明と、ビジネス上のリターンが見込めるかを確認します。
稟議書には、親睦といった抽象的な理由ではなく「受注確度の向上」「キーパーソンへの働きかけ」など具体的な目的を明記するのが望ましいです。参加予定者の役職や人数、概算費用を詳細に記載し、規定の上限を超えていないかを確かめましょう。
稟議書の書き方のポイント
稟議を無事に終了させるには、稟議書を論理的かつ具体的に記載する必要があります。稟議書の書き方で意識したいポイントを解説します。
目的・理由・手段を明確にする
稟議書作成の基本は、以下の3要素を整理することです。
| 目的 | 何のためにこの案件が必要なのか |
|---|---|
| 理由 | なぜ今この案件について協議する必要があるのか |
| 手段 | 具体的に何を行うのか |
とくに重要なのは「理由」です。たとえば、パソコン購入に関する稟議書をつくる場合「パソコンが古いから」といった単純なものではなく「起動に毎日10分かかり、部署全体で月間20時間のロスが発生している」といった定量データを示すと、説得力が増します。
論理が正しいか、正当な理由があるかといった点を確認しながら作成しましょう。
メリット・デメリットを提示する
稟議書には、メリットだけでなくリスクやデメリットも正直に提示しましょう。
どのような提案にも、初期費用や導入の手間といった懸念点は存在します。これらを包み隠さず記載することで、多角的に検討した結果であることが稟議書を読む人に伝わり、信頼を得やすくなります。
そのうえで、ROI(投資対効果)の観点から、デメリットを上回るメリットがあることを説明すると、より説得力ある内容となるでしょう。
課題と対処方法を提示する
稟議書には、実施にあたって想定される課題と、その対処法を記載します。
決裁者が躊躇するのは、失敗や不測の事態への不安があるためです。懸念されるリスクに対して、以下のように適切な解決策・対処法を記載していれば、決裁者も安心して承認できます。
- 現場の反発が予想される場合:説明会を実施することで内容を理解してもらう
- セキュリティの懸念がある場合:情報システム部門と連携してルール設定やセキュリティレベルの確認を行う
リスクを考慮した内容であることを示せば、懸念点も解消しやすくなるでしょう。
承認者に前もって内容を伝える
システムで申請する前に、主要な承認者へ事前の相談をすると効果的です。
事前の相談なしに突然書類が回ってくると、詳細な説明を求められて時間がかかることがあります。企画段階から上司や同僚にアドバイスを求めておけば、部署に所属する全員が当事者意識を持ちやすくなります。
他部署との調整が必要な案件も、あらかじめ関連部署に懸念点を確認しておきましょう。
稟議における課題
従来の稟議制度には、主に2つの課題があります。
1つ目は物理的な停滞による進行遅延です。紙やハンコを前提としたフローでは、承認者の不在やテレワーク時に手続きが止まります。非効率な出社や残業の増加などを招き、企業としての生産性も低下する可能性があるのです。
2つ目は、ルールの曖昧さです。稟議書の書き方が明文化されていないと、従業員は「どのように書いたらよいのか」「どう書くのが正解なのか」がわかりません。ルールがないと、上司の主観や判断基準によって稟議書の体裁が左右されてしまい、従業員としても稟議書の作成にストレスを感じやすくなります。結果的に、作成や修正に時間を取られ、プロジェクトの実行が遅れてしまうのです。
これらの課題を解消するため、ワークフローの可視化やデジタル化が急務となっています。
業務効率化には稟議の電子化がおすすめ
業務効率化のためには、稟議のフローを電子化するのが有効です。稟議を電子化すれば、決裁スピードが向上し、ペーパーレスも実現できます。また、昨今重要視される柔軟な働き方にも対応でき、従業員のストレスも低減可能です。稟議を電子化するメリットを解説します。
決裁スピードが向上する
稟議を電子化すれば、起案した瞬間に次の承認者へ通知が届き、書類を次の承認者に届ける手間がなくなります。
承認者はPCやスマートフォンから内容を確認できるため、外出中や移動時間でも判断可能です。職場に居なくとも稟議書をチェックできるため、プロセスが早期に完了し、意思決定スピードが向上します。
電子化すれば進捗状況も可視化されるため、滞留している箇所へのリマインドも容易になります。
紙が増えず業務スペースを圧迫しない
稟議書を電子化すれば、紙ではなく電子データで書類を管理するため、現物を保管する場所が必要ありません。過去の稟議書を参考にしたい場合も、キーワード検索ですぐに見つけられます。
過去の決裁内容や金額設定は、今後同様のケースに遭遇した際の参考となる、重要な知的資産です。これを容易に活用できる仕組みは、業務効率化だけでなく人事異動による引き継ぎにも役立ちます。
柔軟な働き方に対応できる
電子の稟議書は、インターネット環境があれば場所を選ばずに確認や承認手続きができるため、テレワークや出張先でも業務が止まりません。
また、押印のために出社する必要がなくなり、個人のワークライフバランスも改善されます。「どこでも仕事ができる環境」を整えることは、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
まとめ
稟議は、組織として適切な意思決定を行い、リスクを管理するための重要なプロセスです。目的や種類、稟議書の作成方法を正しく理解しておけば、スムーズな承認につながります。
また、電子稟議システムの導入は、決裁スピードの向上やペーパーレス化など、多くのメリットをもたらします。ツールを活用して稟議を適切に運用し、業務効率化を実現しましょう。
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よくある質問
稟議申請とはなんですか?
稟議申請とは、自分の権限では決定できない事案について、組織としての合意を得るために書類を回し、正式な承諾を仰ぐ手続きのことです。
物品購入、契約、採用など、会社のお金や権利に関わる決定において、リスク管理と責任の明確化を目的に行われます。
詳しくは記事内「稟議が発生するケース」をご覧ください。
従業員が稟議を通すために意識したいのはどのようなことですか?
従業員が稟議を通すためには、稟議書の読み手である承認者に安心感を与えることが重要です。定量的なデータを用いて費用対効果を示し、デメリットや課題への対処法もあわせて記載しましょう。また、申請前に上司や同僚へ事前に相談しておくのも重要です。
詳しくは記事内「稟議書の書き方のポイント」をご覧ください。
