契約の基礎知識

契約書は信書に該当します!正しい郵送方法や注意点をまとめました

監修 山本 健太 弁護士(第二東京弁護士会)

契約書は信書に該当します!正しい郵送方法や注意点をまとめました

契約書は信書に該当します。信書とは特定の相手に対して送る文書のことで、法律により郵送方法が定められています。間違った方法で郵送してしまうと懲罰や罰金の対象となるため、注意が必要です。

本記事では、契約書などの信書の郵送方法や郵送する際の注意点について解説します。最後に信書を扱う手間を省く方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

信書とは?

信書とは、特定の相手に対して送る文書で契約書や請求書、住民票の写しなどの証明書がそれにあたります。信書は郵便法で以下のように定義されています。

特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書


e-Gov法令検索「郵便法 第四条 第二項

契約書のほか、以下のものが信書に該当します
  • 請求書の類(納品書・領収書など)
  • 会議招集通知の類(結婚式等の招待状など)
  • 許可書の類(免許証・表彰状など)
  • 証明書の類(印鑑証明書・戸籍謄本・住民票の写しなど)
  • ダイレクトメール
    • ・文書自体に受取人が記載されている文書
    • ・商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書

参考:総務省「信書のガイドライン

契約書などの信書を郵送できるサービス

信書は法令で定められた方法で郵送しなければなりません。現在、信書を送ることができるのは日本郵便株式会社と国が許可した信書便事業者のみです。

信書を定められた方法以外で郵送した場合には違反となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があるので、郵送方法は事前に確認しましょう。

参考:総務省「信書の送達についてのお願い

日本郵便では、以下のサービスで信書を郵送できます。

  • 手紙
  • はがき
  • レターパック
上記のサービスに収まらない厚みのある信書や特殊な形状のものを郵送したい場合は、特定信書便事業者を利用します。

特定信書便事業者を利用したい方は総務省のホームページより確認できます。

1. 売買契約書

売買契約とは、売主と買主がモノやサービスを売買する際に取り交わす契約です。

売買契約の内容は目的によって分かれています。例えば、1回の取引のために交わされる契約書の場合は、「売買個別契約書」と呼ぶことができます。

売買契約が締結されると、売主には財産権を移転する義務、買主には代金を支払う義務が発生します。売買契約書に商品が不良品だった場合の対応や買主が支払を怠った場合の対応などを記載しておくことで、未然にトラブルを防ぐことができます。

2. 賃貸借契約書

賃貸借契約とは、一方が特定の物の使用および収益を相手方にさせる契約のことです。この契約により、借主と貸主にはさまざまな権利義務が発生します。

たとえば、借主には「賃料を支払う義務」が発生し、貸主には「使用させる義務」や「使用及び収益に必要な修繕を行う義務」が発生します。

賃貸借契約は一般的な売買契約と異なり、一定期間の契約が継続されることが特徴です。身近な事例でいえば、不動産物件があります。マンション・店舗など賃貸物件を借りる際に、賃貸借契約書を取り交わした経験をもつ人も多いでしょう。

3. 請負契約書

請負契約とは、仕事の発注者と請負者の間で取り交わす契約です。請負者はある特定の仕事の完成を約束し、発注者がその仕事の結果に対して報酬を支払います。

この契約は仕事の完成を目的としており、請負者は仕事の結果に対して責任を問われます。そのため成果物にミスが見つかれば、請負者はミスの修正や損害賠償などを求められる場合があります。これを担保責任といいます。

請負契約を結ぶことで、発注者は担保責任を問う効力をもつことができます。また、仕事の結果を問う契約なので、契約書内でも完成させる仕事の内容を必ず明らかにしておきましょう。

一方、宅配便やメール便は荷物に該当するので、契約書などの信書を送ることはできません。

契約書などの信書を郵送する際の注意点

契約書を郵送する場合の注意点を見ていきましょう。

封筒に必ず「親展」と書く必要はある?

親展とは、一般的に宛名となっている本人に封を切って読んでほしい意味で記載するものです。信書に該当するかは文書の内容次第なので、必ず親展と書く必要はありません。

受け取った契約書を他の営業所や部署へ移送する場合も信書扱いになる?

顧客や取引先の意思・事実が会社に到達すれば信書の送達は完了です。たとえば、最初に受け取った支店などで受付処理を済ませていれば、その時点で信書の送達は完了とみなされます。よって、契約書やその写しを社内の他拠点に送付する場合は、信書の送達には該当しません。

ただし、受け付けた契約書について、「本社で審査・承認をしてほしい」、「取引先に代金を支払ってほしい」といった支店などの意思が表示されたものを社内拠点間で移送する場合は、信書の送達に該当します。

参考:総務省「信書に該当する文書に関する指針 Q&A集

電子メールで契約書を送付する場合

ペーパーレス化が進んでいる企業では、メールで契約書を送付する形式も想定されます。

メールで契約書を送付する場合は、S/MIME(エスマイム)を利用することが推奨されています。S/MIMEとは、送信者の身元の証明やなりすましの防止だけでなく、メールの暗号化で、第三者による盗み見を防止しメールの改ざんを検知します。主にフィッシング詐欺対策として利用されている技術です。

S/MIMEを利用するには、送信者と受信者側の双方がS/MIMEに対応する電子メールソフトを使用している必要があるため、取引先にも事前に確認しておきましょう。

クラウド型電子契約システム利用の場合

郵送に代わる契約書の送受信方法として、クラウド型電子契約システムがあります。

電子契約の場合、まず送信者が契約書の電子ファイルをアップロードし、相手のメールへ送信します。受信側がメールに記載されたURLから契約書を確認し、同意することで契約が締結される仕組みです。

最大のメリットは契約の送受信者に事前準備の手間や負担がかからない点です。

クラウド型電子契約システムは法的にも認められており、契約書を送受信する手段としておすすめです。

契約にまつわる業務を簡単にする方法

契約書の作成や押印、管理など、契約にまつわる作業は多岐に渡ります。リモートワークが普及した近年、コミュニケーションを取りづらくなってしまい、契約締結までに時間がかかってしまう場合や、押印のためだけに出社しなければいけない...なんてケースも少なくありません。

そんな契約まわりの業務を効率化させたい方には電子契約サービス「freeeサイン」がおすすめです。

freeeサインはインターネット環境さえあれば、PCやスマホで契約書作成から締結まで、契約にまつわる一連の業務を完結できます。さらに、過去の契約書類はクラウド上で保存できるので、紛失や破損の心配も解消します。

契約周りのさまざまな業務をクラウド上で完結!

freeeサインでできること

契約書を簡単に作成!

契約によって書式が異なるので、一から作成すると工数がかかってしまいます。 freeeサインでは、テンプレートを登録し、必要な項目を入力フォームへ入力するだけで簡単に契約書を作成できます。

社内の承認作業がリモートで完了!

freeeサインでは、契約書の作成依頼から承認にいたるまでのコミュニケーションもオンラインで管理・完結。ワークフロー機能は承認者の設定が可能なので、既存の承認フローをそのまま電子化することができます。

文書に応じて電子サイン・電子署名の使い分けが可能!

電子契約サービスの中には、どんな文書であっても1通送信する度に100~200円程度の従量課金が発生するものも少なくありません。freeeサインでは、従量課金のない「電子サイン」と従量課金のある「電子署名」のどちらを利用するかを、文書の送信時に選択できます。

重要な契約書や、後に争いが生じる可能性が高い文書には「電子署名」を利用して、より強固な証跡を残し、それ以外の多くの文書には「電子サイン」を利用するといった使い分けができるので、コスト削減につながります。

電子契約で契約書作成にかかる手間・コストを削減

電子契約にすると押印や郵送、契約管理台帳へのデータ入力の必要がなく、契約に関わる手間が大幅に削減されます。さらに、オンライン上での契約締結は印紙税法基本通達第44条の「課税文書の作成」に該当しないため、収入印紙も不要です。

電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。

過去の契約書もクラウド上で保存してペーパーレス化

紙ベースで契約書類を作成すると、紛失や破損の恐れがあります。また、管理するための物理的なスペースを確保しなくてはなりません。また、電子帳簿保存法の改正でPDFでの保管にも制約が発生します。

freeeサインでは、過去の契約書もPDF化してタイムスタンプ付きで保存ができるので、今まで紙やPDFで保存していた契約書も一緒にクラウド上で管理することができます。クラウド上で管理することで紛失や破損の恐れも解消され、社内間での共有も楽になります。

気になる方は、無料登録でも書類の作成や電子締結ができる「freeeサイン」をぜひお試しください。

まとめ

契約書は信書に該当するため、特別な注意が必要になります。信書は差出人の考えや思い、事実を相手方に正しく伝達することが重要であり、改ざんや漏洩があってはなりません。

そのため信書の郵送方法は法律でも定められており、現時点で利用できるサービスは日本郵便もしくは国が許可した信書便事業に限定されています。

信書を作成・送付する手間を削減したい方にはクラウド型電子契約システムの利用がおすすめです。電子契約にも紙の契約書と変わらず、法的な有効性があることが省庁によって言及されており、安心して利用できます。

監修 山本 健太 弁護士(第二東京弁護士会)

レイ法律事務所スポーツ部門、企業法務(ネット炎上対応・不祥事対応なども含む)担当弁護士。小中高と野球漬けの生活を送り、スポーツ選手の代理人になる夢を持ち、弁護士を志す。eスポーツ(e-Sports)も含む幅広いスポーツ分野において、選手・スポーツマネジメント会社・チーム・団体などの契約問題を扱う。日本プロ野球選手会公認選手代理人。2020年度より一般社団法人全日本シニア体操クラブ連盟常務理事。

freeeサインで契約業務をカンタンに

freeeサインは契約に関する一連の業務・書類の保存までクラウド上で完結!契約書作成から締結までにかかる手間やコストを大幅に削減できます。