「シャチハタ」は、朱肉不要で手軽に押せる便利な浸透印で、正式にはシヤチハタ株式会社の登録商標です。 多くの場面で活用されていますが、印鑑とは法的な効力が異なるため、使用には注意が必要です。
本記事では、シャチハタと印鑑の違い、具体的な使用シーン、注意点などを詳しく解説します。
目次
シャチハタとは
シャチハタとは、一般的にインク浸透印と呼ばれるスタンプの一種で、朱肉を使わずに押印できる便利な印章です。この名称は、愛知県名古屋市に本社を置くシヤチハタ株式会社が製造・販売する製品から来ています。
シャチハタは、インクが本体に内蔵されており、スタンプ台を必要とせずに使用できるため、日常的な書類の押印や荷物の受け取りなどで広く利用されています。
シャチハタと印鑑の違い
シャチハタと印鑑は、使用するインクや素材、用途において明確な違いがあります。
- 朱肉とインクの違い
- 印刷面の素材の違い
- 用途の違い
それぞれの項目について解説していきます。
朱肉とインクの違い
シャチハタはインクが内蔵されているため、朱肉を使わずにそのまま押印できます。スタンプのように連続して使用できるので日常的な書類の押印や荷物の受け取りなどで利用されます。
一方、印鑑は朱肉を使用して押印するため、毎回朱肉を付け直す必要があります。朱肉はインクに比べて乾きにくく、変色しにくいため、長期間保存が必要な書類には適しています。
印面の素材の違い
シャチハタの印面はゴム製であり、インクが浸透する仕組みになっています。このため、押印時の力加減や経年劣化によって印影が変わる可能性があります。
一方、印鑑は木材や金属などの硬質な素材で作られており、押印時に形が変わることが少なく、長期間安定した印影を保つことができます。
用途の違い
シャチハタは日常的な書類や荷物の受け取りなど、頻繁に押印する場面で便利です。しかし、公的な書類や契約書など重要な文書には通常使用されません。シャチハタが大量生産されており、個人を特定する用途には適さないためです。
一方で、印鑑は公的書類や契約書などで使用されることが多く、その信頼性と証明力が求められる場面で使用されます。
【シーン別】シャチハタと印鑑の使い分け
シャチハタと印鑑の使用は、書類によって区別することが一般的です。実際に、シャチハタが許可されている書類もあれば、使用が禁止されているものもあります。
具体的に、印鑑が一般的な書類とシャチハタでOKな書類については、以下のとおりです。
印鑑が一般的な書類 | シャチハタでOKな書類 |
---|---|
・履歴書 ・各種保険の手続き ・印鑑証明書の提出が必要ない契約書 ・転入届 ・転出届 ・住民票の申請 ・会社への提出書類 |
・回覧書類 ・社内書類 ・郵便物や宅急便の受け取り |
ビジネスの場面でもシャチハタが適用できる場合と、適用できない場合があるので、印鑑との違いを理解し、状況に応じて使い分けることが重要です。
シャチハタが不可の理由
シャチハタがNGの場合、それには以下のような理由が挙げられます。
- 大量生産で同じ印鑑が多く存在するため
- 印影が変形するため
- インクを利用しているため
それぞれの理由について解説していきます。
大量生産で同じ印鑑が多く存在するため
シャチハタは大量生産されており、同じ印影を持つ印鑑が多く存在します。このため、個人を特定するための証明としての信頼性が低くなります。
公式な書類や契約では、唯一無二の印影が求められるため、シャチハタは適していません。
印影が変形するため
シャチハタは、印面に柔らかい素材のゴムを使用しており、押す力の加減やインクの付き具合によって、印影が変わってしまう可能性があります。
また、経年劣化や使用条件により印鑑としての正確性が損なわれるリスクもあります。
印影に変化が起きると、本当に本人が押印したものかを正確に判断するのは難しく、信頼性に欠けると見なされることがあります。特に法的拘束力のある文書では、安定した印影が求められるので、シャチハタは適していません。
インクを利用しているため
インクは、乾きが早いことから利便性が高いですが、朱肉に比べインクは劣化により変色や薄くなることがあります。
一方、朱肉は、朱色の顔料にひまし油や木蝋、松脂などを混ぜて作られています。水に触れても溶けにくく、にじみにくい上、長期間の保存に向いているため、退色しにくい特性があります。
公式な書類では、長期間にわたって鮮明さを保つ朱肉が好まれます。
シャチハタ(浸透印)の製造方法
シャチハタ(浸透印)の製造プロセスを詳しく説明します。
インク通路の作成
シャチハタの浸透印は、印面にインクが均一に染み出すための小さな穴が無数に開けられています。この穴は、ゴムに塩を練り込むことで作られます。
まず、ゴム素材を製造する際に塩を混ぜ込み、板状に加工します。その後、このゴムをお湯で洗うことで塩が溶け、小さな穴が開く仕組みです。この穴がインクの通り道となり、押したときに適切な量のインクが均等に紙に移るようになっています。
印面の加工
シャチハタの印面はレーザー加工によって精密に彫刻されます。これにより、細かい文字やデザインも美しく再現されます。特に日本語の漢字など、線が細かい文字でも正確に彫ることができるよう、CO2レーザーやYAGレーザーを使い分けています。
プラスチック部品の使用
シャチハタの本体部分には耐久性の高いプラスチック部品が使用されています。自動車部品にも使われるPBT樹脂を採用し、傷がつきにくく長期間使用可能です。また、環境への配慮から再生プラスチックも利用されています
契約にまつわる業務を簡単にする方法
契約書の作成や押印、管理など、契約にまつわる作業は多岐に渡ります。リモートワークが普及した近年、コミュニケーションを取りづらくなってしまい、契約締結までに時間がかかってしまう場合や、押印のためだけに出社しなければいけない...なんてケースも少なくありません。
そんな契約まわりの業務を効率化させたい方には電子契約サービス「freeeサイン」がおすすめです。
freeeサインはインターネット環境さえあれば、PCやスマホで契約書作成から締結まで、契約にまつわる一連の業務を完結できます。さらに、過去の契約書類はクラウド上で保存できるので、紛失や破損の心配も解消します。
契約周りのさまざまな業務をクラウド上で完結!
契約書を簡単に作成!
契約によって書式が異なるので、一から作成すると工数がかかってしまいます。 freeeサインでは、テンプレートを登録し、必要な項目を入力フォームへ入力するだけで簡単に契約書を作成できます。
社内の承認作業がリモートで完了!
freeeサインでは、契約書の作成依頼から承認にいたるまでのコミュニケーションもオンラインで管理・完結。ワークフロー機能は承認者の設定が可能なので、既存の承認フローをそのまま電子化することができます。
文書に応じて電子サイン・電子署名の使い分けが可能!
電子契約サービスの中には、どんな文書であっても1通送信する度に100~200円程度の従量課金が発生するものも少なくありません。freeeサインでは、従量課金のない「電子サイン」と従量課金のある「電子署名」のどちらを利用するかを、文書の送信時に選択できます。
重要な契約書や、後に争いが生じる可能性が高い文書には「電子署名」を利用して、より強固な証跡を残し、それ以外の多くの文書には「電子サイン」を利用するといった使い分けができるので、コスト削減につながります。
電子契約で契約書作成にかかる手間・コストを削減
電子契約にすると押印や郵送、契約管理台帳へのデータ入力の必要がなく、契約に関わる手間が大幅に削減されます。さらに、オンライン上での契約締結は印紙税法基本通達第44条の「課税文書の作成」に該当しないため、収入印紙も不要です。
電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。
過去の契約書もクラウド上で保存してペーパーレス化
紙ベースで契約書類を作成すると、紛失や破損の恐れがあります。また、管理するための物理的なスペースを確保しなくてはなりません。また、電子帳簿保存法の改正でPDFでの保管にも制約が発生します。
freeeサインでは、過去の契約書もPDF化してタイムスタンプ付きで保存ができるので、今まで紙やPDFで保存していた契約書も一緒にクラウド上で管理することができます。クラウド上で管理することで紛失や破損の恐れも解消され、社内間での共有も楽になります。
気になる方は、無料登録でも書類の作成や電子締結ができる「freeeサイン」をぜひお試しください。
よくある質問
シャチハタで印鑑登録はできますか?
印鑑登録には、いくつかのルールが設けられており、シャチハタを含むゴム印やエボナイト印など、印影が変わりやすいものは使用できません。
詳細は、記事内「シャチハタが不可の理由」をご覧ください
シャチハタと他の印鑑との使い分けは?
シャチハタは日常的な書類や荷物の受け取りなど、簡易的な確認が必要な場面で使用します。一方、実印や銀行印など重要な印鑑は、契約書や公的書類、金融取引など法的効力が求められる場面で使用します。
詳細は、記事内「【シーン別】シャチハタと印鑑の使い分け」をご覧ください
認印はシャチハタでも大丈夫?
認印としてシャチハタを使用することは可能です。ただし、使用できる場面は限られています。
まとめ
今回は、シャチハタの特徴や印鑑との違いなどについて説明しました。
シャチハタと印鑑の特性を把握しておけば、どの場面でどちらを使うべきか迷わずにスムーズに使用できます。
また、シャチハタではNGな書類もあるので、状況に合わせて使い分けることが大切です。
今回の記事を参考にして、シャチハタと印鑑について理解を深めましょう。