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間接部門とは?別名はバックオフィス?役割や直接部門との違い、起こりうる課題を解説

間接部門とは?別名はバックオフィス?役割や直接部門との違い、起こりうる課題を解説

間接部門は会社の売上に直接つながりにくいものの、会社の運営にあたって欠かせない重要な役割を果たす部門です。会社には間接部門と直接部門の2種類が存在しており、それぞれ異なる役割を担っています。

間接部門の主な目的は、会社全体の効率化を図ることです。具体的には、コスト削減や生産性向上を目指します。

本記事では間接部門の役割や種類、間接部門の業務を効率化するためのポイントについて詳しく解説します。

目次

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間接部門とは

間接部門とは、売上に直結しない業務を担う部門のことで、バックオフィスとも呼ばれます。具体的には経理部や人事部、情報システム部などが該当します。間接部門は直接の売上には関わりませんが、企業がスムーズに機能するための基盤づくりを担当しており、企業にとって欠かせない存在です。

たとえば経理部なら企業全体の資金管理や支出の管理、人事部では社員の採用や労務管理、情報システム部は社内のIT環境やセキュリティ管理というように、社員が業務を行いやすい環境を提供します。

近年ではバックオフィス業務のDX促進が注目されており、コスト削減や生産性の向上がより期待できるようになりました。バックオフィス業務については以下の記事でも解説しているため、あわせて参考にしてください。

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間接部門と直接部門の違い

企業では主に間接部門と直接部門といった2つの部門があり、それぞれが異なる役割と目的をもちます。

間接部門では、経理や人事、総務などの部署が該当します。会社の売上にはつながらないものの、企業が円滑に機能するための管理業務やサポート業務が主体です。

各部署が適切に機能することで直接部門の業務がスムーズに進み、結果として企業全体の売上や生産性向上が目指せます。しかし、直接売上には関わっていないため、貢献性について定量的な評価が難しくなりがちです。

一方で、直接部門は企業の収益に直結する活動を行う部門です。具体的には、営業や製造の部署が該当します。営業では商品やサービスの販売、製造は販売する商品の生産によって収益を生み出します。

直接部門は新規顧客の獲得数や販売数などの定量的な目標が設定されることが多く、達成した結果が数字で表れやすいのが特徴です。

間接部門の種類

企業によって間接部門の部署は若干違いが見られますが、主に以下の種類に分類されます。

  • 総務
  • 人事
  • 労務
  • 経理・会計
  • 法務

それぞれの業務内容について詳しく解説します。

総務

総務は、企業運営がスムーズに進むようにオフィス環境の整備や福利厚生の充実、社内制度の改善などを担当する部署です。従業員が安心して働ける環境を提供するため、備品管理や社内イベントの企画運営など、会社全体に関わる業務を幅広く手掛けています。

総務は業務範囲が広いため担当業務が不明瞭に思われがちですが、会社の基盤を支える重要な役割を担っています。また、人事や経理、労務などの他の間接部門の役割を兼務することもあり、総務は企業運営においていわば「縁の下の力持ち」となる存在でしょう。

人事

人事は、企業における「人材」に関する業務を幅広く担当する部署です。具体的には、新規社員の採用や既存社員の育成、評価などが挙げられます。

採用活動では求人広告の作成や面接の実施、内定通知など、求職者とのやり取りを行います。一方、既存社員に対しては研修の実施や人事評価、配置転換などを行い、社員の成長を促進する立場です。人事は、企業にとって必要な人材を確保し、社内の人的リソースを効果的に活用するための重要な役割を果たしています。

労務

労務は、社員と会社の関係を適切に管理するための部署です。入社や退職の手続き、社会保険の手続き、勤怠管理、労働契約の管理といった業務を行っています。

労務は労働基準法や企業の規則に則り、法令に準じた社内環境を維持する役割を果たします。労務管理が徹底されることで会社の労働環境が整い、コンプライアンスの強化にもつながります。

経理・会計

経理・会計は、企業のお金に関わるすべての管理を行います。具体的な業務内容は、日々の収入と支出を仕訳し、経費精算や請求書、領収書の発行、財務諸表の作成などです。金銭管理に関連する業務のため、正確で注意深い業務が求められており、不備のない適切な対応が欠かせません。

会社によっては、会計や財務の領域まで経理担当者が行うこともあります。会社の資金が適切に管理されているか確認し、企業の財務状況を支えるのが主な役割です。

法務

法務は、社内の法的な問題に関連した業務を行う部署です。具体的には契約管理や知的財産権の保護、訴訟対応、法的アドバイスの提供などを通じて、企業活動が法令に従って行われるようにサポートします。

また、コンプライアンス体制の整備も法務の重要な役割となっており、法的リスクを最小限に抑えるためにも欠かせない存在です。法務部門が適切に機能することで企業の法令遵守が徹底され、信頼性が高まるとともに安定した事業経営が支えられています。

間接部門の役割

間接部門の主な役割は、企業活動が円滑に進むためのサポートや、業務改善や生産性向上への貢献などです。

直接部門をサポートして事業を進めやすくする

間接部門は直接部門の業務をスムーズに進められるよう、裏方で支える役割を担っています。会計や人材確保、労働環境の整備などのバックオフィス業務が適切に行われることで、営業や製造といった直接部門は業務に集中でき、企業全体の生産性や業務効率の向上につながるのです。

たとえば、総務部がオフィス環境の整備や備品の管理を行うことで、社員は働きやすい環境で業務できます。人事部が適切な人材を確保し労務管理を徹底すれば、直接部門が必要なスキルをもつ人材を活用できる体制が整うでしょう。

このように間接部門が社内のサポート体制を充実させることで、直接部門が企業の売上を向上させるための活動に専念できる環境が整い、企業の成長に貢献する役割を持ちます。

会社全体の業務改善・生産性向上に貢献する

間接部門は、会社の業務改善や生産性向上を推進する役割も担います。企業の利益は売上から費用を差し引いたものであるため、間接部門が直接売上を増やせなくても、コスト削減を図ることで利益の拡大に貢献できます。

経理部門が経費の見直しを行ったり、人事部が効率的な働き方改革を推進したりすることによって、コスト削減や効率化が実現します。

また、間接部門はヒト・モノ・カネといったリソースを管理しているため、業務フローの改善点を把握しやすい点も特徴です。たとえば、情報システム部がITツールを導入して業務を自動化することで、直接部門の作業負担を減らし業務効率を向上させられます。

このように、間接部門は企業の業務効率化と利益向上を支える存在として、企業全体の成長に深く関わっています。

間接部門で起こりうる課題

間接部門は企業の運営に欠かせない役割を担っていますが、その性質上いくつかの課題が生じやすくなっています。間接部門で生じる課題は、主に次の3つが挙げられます。

業務を可視化しづらく属人化しやすい

間接部門では業務の流れや進捗を可視化しづらく、それぞれの業務が担当者に依存しやすい傾向にあります。とくに総務や人事、労務といった部門はヒト対ヒトの業務が中心となるため、担当者の経験やスキル、コミュニケーション能力に依存しがちです。

そのため、担当者の変更があった際には業務の引き継ぎがうまくいかず、不都合が生じる可能性もあります。

直接売上に関与せず人件費削減対象になりやすい

間接部門の業務は直接的に企業の収益に直結するわけではないため、コスト削減の対象になりやすいといった特徴もあります。

たとえば収益に直結する直接部門と比べると、間接部門の人件費は削減されやすい傾向にあります。実際に、間接部門にかかる費用を抑えれば企業全体の利益が増加するため、人件費の削減や業務の外注、システム導入を通じてコストカットが図られることも少なくありません。企業の経営戦略によっては、間接部門が他の部門と比べてリソースを十分に確保しにくいケースもあるでしょう。

定量的な評価が難しい

間接部門の業務は成果を数字で評価しづらいことから、目標やKPIの設定が難しいといった課題があります。

直接部門においては、売上件数や金額などの明確な数値があるため業績を評価できます。これに対して、間接部門の業務は直接売上につながるわけではないため、業務の結果を数字で表すのは容易ではありません。

また、間接部門では複数の担当者がひとつの業務を分担するケースも多く、誰がどれだけの成果を上げたかといった定量的な評価も簡単ではありません。

このように、間接部門は企業の運営を行うためには欠かせませんが、個人の成果を客観的に測る仕組みが不足しているため、評価制度の見直しが課題となっています。

効率良く間接部門の業務を実施するポイント

間接部門の業務を効率化することによって、企業全体のコスト削減や生産性向上につながります。しかし、効率化を図る際には関係者を混乱させたり、逆に手間がかかったりするようなことがないように注意が必要です。

間接部門の業務効率化を目指すためのポイントについて、詳しく解説します。

業務内容やフローを見直して体制を整える

間接部門の業務効率化には業務内容やフローの現状を把握し、課題を明確にすることが重要です。業務フローを視覚化することで、属人化や重複作業の問題点が見えやすくなり、効率的な運用体制整備につながります。

さらに、KPIを設定して各業務の進捗を管理すれば評価や改善も容易になります。定期的な見直しとフロー改善により、間接部門の業務効率が大幅に向上します。

アウトソーシングやシェアードサービスを活用する

間接部門の業務の一部をアウトソーシング(外部委託)することで社内リソースを重要な業務に集中させられるため、より効率的な運営が可能です。

また、グループ会社間の共通業務をシェアードサービスにまとめると、コスト削減や業務効率化が期待できます。シェアードサービスについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

【関連記事】
シェアードサービスとは?BPOとの違いや成功事例を紹介
経理業務をアウトソーシングする際の注意点や失敗例とは?「法律上やってはいけないこと」も解説

まとめ

間接部門は総務や人事、経理などの業務を通じて企業全体の運営を支えています。しかし、属人化や評価の難しさ、コスト削減対象になりやすい点などいくつかの課題を抱えています。

間接部門が抱える課題を解決するには、業務フローの見直しやKPIの設定、アウトソーシングやシェアードサービスの活用が効果的です。間接部門の効率化を進めることで、企業全体の生産性向上やコスト削減が実現します。

企業の成長を支えるためにも、間接部門の課題解決と効率化を進めていきましょう。

よくある質問

間接部門にはどのような種類がある?

間接部門には、主に以下の種類が存在しています。

  • 総務
  • 人事
  • 労務
  • 経理・会計
  • 法務

どの業務も会社を運営するうえで欠かせない業務ばかりです。詳しくは記事内「間接部門の種類」で解説しています。

間接部門と直接部門の違いは?

間接部門は企業の売上には直結しないものの、企業を運営するうえで決して欠かせないバックオフィス業務を担っている部門です。一方で直接部門は、商品やサービスを販売する営業や商品を製造する部署など、企業の売上に直接関わっている部門を指します。

間接部門と直接部門の違いについては記事内「間接部門と直接部門の違い」をご覧ください。

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