経営管理の基礎知識

BSC(バランス・スコアカード)とは?4つの視点から作成の流れまでわかりやすく解説

BSC(バランス・スコアカード)とは?4つの視点から作成の流れまでわかりやすく解説

BSC(バランス・スコアカード)とは、経営ビジョンや戦略を効果的に推進するための経営管理方法です。BSC(バランス・スコアカード)の活用によって企業の目標や戦略が明らかになるほか、従業員の業務改善意欲やモチベーション向上が期待できます。

本記事では、BSC(バランス・スコアカード)の作成の流れや導入後に期待できることについて詳しく解説します。

目次

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BSC(バランス・スコアカード)は経営戦略のマネジメントシステム

BSC(バランス・スコアカード)とは、1990年代前半にアメリカで開発された企業の経営改革の手法であり、多角的な視点から評価することで目標や戦略を効果的に推進するための経営管理方法です。

具体的にはまず4つの視点(顧客・財務・内部プロセス・学習と成長)から目標と指数設定及び評価を行います。そのうえで明確な方策を示し、実行に移すことで戦略の実施を図るマネジメントシステムです。

戦略目標を明確に示すことから各従業員の日々の業務行動に影響を与え、業務改善意欲やモチベーション向上が期待できます。

4つの視点から経営ビジョンと戦略を設定する

事業発展のための経営ビジョン「将来どうなりたいのか」と戦略「そのためにはどうすればいいのか」の内容の設定は、以下の4つの視点から考えます。

4つの視点から経営ビジョンと戦略を設定する

財務の視点

財務の視点とは、財務業績達成のために、利害関係者(株主・経営者・従業員・取引先など)に対して「どのように行動すべきか」という視点です。目標達成度を測る指数として以下のようなものが挙げられます。

  • 売上高
  • 利益率
  • 利益額
  • 自己資本比率
  • ROE(自己資本利益率)
  • EPS(1株あたりの純利益)

上記のような財務データは企業の経営状況を分析するにあたり、必要な情報です。また、データ入力や収集、分析などは時間やコストがかかる傾向にあります。目標達成度を測るだけではなく、正確な財務状況の分析を行うためにも適切な経営管理をしましょう。

経営管理に役立つシステムについて詳しく知りたい方は別記事「経営管理とは? 目的や仕事内容、役立つシステムについて解説」をご覧ください。

内部プロセスの視点

内部プロセスとは、財務視点と顧客視点からの評価を上げるために、社内で行われる業務(作業)を「どのように構築し改善するか」という視点です。

財務面での評価の指数はコスト削減、生産性の向上などが挙げられ、顧客面での評価の指標は、出資者や顧客のニーズに合致しているか、アフターフォローができているかなどが挙げられます。

顧客の視点

顧客の視点とは、ビジョンと戦略を達成するため顧客に対して「何をすべきか」という視点です。目標達成度を測る評価の指数として以下のようなものが挙げられます。

  • ターゲットとする顧客層からの顧客満足度
  • リピート率
  • クレーム発生率
  • 商品売上シェア

学習と成長の視点

学習と成長の視点とは、経営ビジョンと戦略を達成するために人材育成、組織の能力維持や向上を「どのように行うか」という視点です。目標達成度を測る指標として従業員満足度・資格保有率及び取得率・エンゲージメントサーベイなどが挙げられます。

BSC(バランス・スコアカード)の作成の流れ

BSC(バランス・スコアカード)作成の流れは、以下のとおりです。


順番項目詳細
1組織の経営ビジョン・戦略の設定組織の目指すビジョンと戦略を明確にする
2戦略目標の検討と戦略マップの作成1で設定したビジョンと戦略を実現するための目標を設定し戦略マップを作成する
3重要成功要因の決定設定した目標を成功させるための要因を決める
4業績評価指標と目標値の設定目標に対しての評価指標を数値化し設定する
5アクションプランの検討業績評価指標達成のための従業員の行動プランを作成する
6BSCのレビューと管理業績評価指標に基づき評価し、BSC改善の必要性などを検討する

1. 組織の経営ビジョン・戦略の設定

自社の市場環境や競合環境を分析し、経営ビジョンと戦略を設定します。すでに経営ビジョンと戦略を設定している場合でも、最新の市場環境や競合環境を確認し検討したうえで、明確なビジョンを示すことが重要です。

2. 戦略目標の検討と戦略マップの作成

次に、戦略マップを作成します。上述したように、まず4つの視点(財務・内部プロセス・顧客・学習と成長)から1で設定した経営ビジョンと戦略を実現するための目標を設定します。

さらに戦略マップにおいて課題や目標を明確に記載し、それぞれの関係性や影響について記載します。

戦略マップを作成する目的は、戦略目標同士の関連付けや因果関係を整理することです。

3. 重要成功要因の決定

4つの視点それぞれの戦略目標を達成するための具体的な成功要因を設定します。

上記の戦略マップを例とすると、収益性を上げるために取り組むことは売上拡大であり、売上拡大の実現のためには高付加価値商品の提供が必要です。このように、収益性を上げるためには高付加価値商品の提供が重要成功要因となります。

4. 業績評価指標と目標値の設定

業績評価指標とは、戦略がどの程度達成されているかを測定し追跡する指標であり、具体的に数値化したものを設定します。

目標に対する指標を数値化することで客観的に評価することができ、より明確に現状を把握することができます。

たとえば、上記戦略マップの目標である収益性を上げるためには売上拡大を重要成功要因とし、目標値を売上20%アップに設定する、などです。

5. アクションプランの作成

業績評価指標によって数値として目標設定ができたあとは、目標に向かうための実施項目を作成します。アクションプランは、いつまでにどのような行動を取れば業績評価指標を達成できるのかを各従業員ごとの個人レベルまで落とし込み検討します。

6. 戦略とBSC(バランス・スコアカード)のレビューと管理

アクションプランの作成によって実際の行動が進んだあとは、業績評価指標に基づいて評価を行います。業績評価指標を達成できていなければ戦略や業務プロセスを見直し、再度検討を重ねる必要があります。

BSC(バランス・スコアカード)の導入で期待できること

BSC(バランス・スコアカード)の導入により、期待できることは以下のとおりです。

BSC導入で期待できること

  • 業績や戦略を明確に把握できる
  • 効果的な経営活動を具体的に計画できる
  • バランスのとれた業績評価ができる
  • 継続的な経営改善ができる

業績や戦略を明確に把握できる

BSC(バランス・スコアカード)の4つの視点から経営ビジョンや戦略・指標を分析することで、目標や業績を明確に可視化できるほか、各従業員レベルにおいて取り組む課題も把握できます。また、従業員や株主などの利害関係者が企業方針を理解できる手助けにもなります。

効果的な経営活動を具体的に計画できる

経営ビジョンや戦略を具体的な行動や指標に展開できるため、各従業員が目標達成のためいつまでにどのような行動を取れば良いか、アクションプランとして落とし込み検討することが可能です。アクションプランが具体的になれば従業員のモチベーションの維持や向上にも効果が期待できます。

バランスのとれた業績評価ができる

BSC(バランス・スコアカード)は、4つの視点(財務・内部プロセス・顧客・学習と成長)から目標や指標を設定することから、バランスのとれた評価表です。業績評価指標の設定は、短期的な視点と長期的な視点を捉えます。従業員や株主も含めビジョンや戦略を把握できるなど広くバランスのとれた評価を実現します。

継続的な経営改善ができる

BSC(バランス・スコアカード)は一度きりの使用ではなく、実践や検証を重ね継続的に使用するものです。指標を達成できない場合は、今の戦略やアクションプランを見直す必要があり、経営改善を図ることが可能です。

まとめ

BSC(バランス・スコアカード)とは、経営戦略のマネジメントシステムです。4つの視点から目標設定や評価を行うことで経営ビジョンと戦略達成のための具体的な方策が明らかになります。

BSC(バランス・スコアカード)の活用では戦略マップを使用することで、4つの視点を元に設定した目標同士の関連付けや因果関係の掌握が可能となり、各従業員毎のとるべき行動が明確になるほか業務改善意欲の向上が期待できます。

BSC(バランス・スコアカード)は、継続的に実践や検証を行い経営改善を図ります。そのため、BSC(バランス・スコアカード)を作成する際は企業の経営状況や課題を把握するための情報収集と分析が必要です。

経営管理に役立つシステムを導入することでデータ収集や入力、分析などにかかる時間やコストを削減することができます。

経営管理に役立つシステムについて詳しく知りたい方は別記事「経営管理とは? 目的や仕事内容、役立つシステムについて解説」をご覧ください。

よくある質問

BSC(バランス・スコアカード)とは?

BSC(バランス・スコアカード)とは、経営ビジョンや戦略を明確にし、指標や具体的行動を設定することで目標や戦略を効果的に推進するための経営管理方法です。

詳しくは記事内「BSC(バランス・スコアカード)は経営戦略のマネジメントシステム」をご覧ください。

BSC(バランス・スコアカード)とは?

BSC(バランス・スコアカード)の4つの視点とは、事業発展のための経営ビジョンと戦略を設定するための視点であり、以下の4つがあります。


  • 1.財務
  • 2.内部プロセス
  • 3.顧客
  • 4.学習と成長

各視点から目標と指数設定及び評価を行い具体的な方策を示し、実行することで戦略の達成を図ります。

詳しくは記事内「4つの視点から経営ビジョンと戦略を設定する」をご覧ください。

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