生産や販売、マーケティング、人事や労務までを適切に管理してコントロールすることは、企業が掲げている目標を達成するために必要不可欠です。
今回は、経営管理の課題と対策について解説します。
目次
経営管理とは
経営管理とは、会社や組織などが経済活動の促進や効率的に目標を達成する上で、調整や総括を行う経営手法のことです。事業部単位や会社単位で行うのが一般的で、代表的な経営管理の対象には以下のようなものがあります。
- 生産管理
- 販売管理
- 人事・労務管理
- 財務管理
生産管理と販売管理は、生産や在庫の計画、予算と連動した製造工程の総合的な管理などを行います。また、人事・労務管理は、共通の人事・評価制度の策定や生産向上に向けた労働環境の改善などを行います。財務管理は、予算の計画や資金の調達、資金の運用などを行います。
経営管理の目的や方法は、会社によってそれぞれ異なっています。一般的な経営管理とは、企業が掲げるビジョンに沿って、グループ企業や部門、従業員などの方向性を統一することによってモチベーションを向上させることを目的としています。
「経営企画」と「経営管理」との違い
経営管理と似た言葉に「経営企画」という言葉がありますが、双方の違いは何でしょうか?
経営計画が組織の運営が主体なのに対して、経営企画は経営計画に必要な経営戦略を立てるなど、会社のかじ取りを行っているという違いがあります。規模の小さな会社や設立したばかりの会社などでは、経営企画を創業者である社長が自分で行っているケースが多く見られます。
主に経営企画では、中長期の経営計画の立案、プロジェクトのマーケティングや競合調査などのように会社に関する様々な業務を担当します。
経営企画を担当する人は幅広い業務を手掛けるため、マーケティングの知識や論理的思考能力、実践的な分析力とともに、それを実践に移すことができる実行力が求められます。
経営管理の課題とは
事業の拡大に伴い管理するデータ量が増えると、キャパシティを超えて管理に支障が生じる可能性があります。経営管理を行う上で、どんな課題に直面するのでしょうか?経営管理の主な課題は以下の4つです。
- 管理部門の業務プロセスが煩雑
- 計画や実行評価が不明確
- 業績予測精度が不正確
- 連結経営管理の高度化
1.管理部門の業務プロセスが煩雑
企業を経営するにあたり、常に利益を生み続けなければ経営が破綻してしまうのは当然のことです。しかし、実際に販売して得た金額「売上高」と、そこにかかった「費用」が同じ金額となり、損益がプラスマイナス0になる場合も少なからずあります。その状態を「損益分岐点」と呼んでいます。分かりやすく言えば「利益はないけれど、損もしていない」といった、企業にとっては評価し難い状況のことです。
2.計画や実行評価が不明確
海外展開している会社等、重要性のある子会社を有している会社の場合は、普段は各社の業務プロセスで機能していても、決算時期には連結で資料を作成する必要があるため、業務プロセスが煩雑になります。最近では、多角経営を行う会社やグローバル展開する会社も増えているため、この課題に直面する会社が今後増えていくでしょう。
3.業績予想精度が不正確
安定して会社経営するには、業績予想をしっかり立てつつ、常に先手で動くことで、リスクを最小限に抑えることが重要です。しかし、過去の業績からある程度の業績予想を立てることはできても、地政学的リスクなどの予測できない要因も関わるため、業績予測精度の品質を維持するのが困難でしょう。
4.連結経営管理の高度化
合併やグループ化などが積極的に行われている昨今では、連結して経営管理を行う必要が生じているため、管理する対象範囲が広がっている傾向にあると言えます。子会社化した会社の実態調査や課題調査、それらに対する継続的な支援やモニタリングが必要となるでしょう。
経営管理の改善方法とは
経営管理は、会社経営の根本部分を担うものであり、これを改善することで、業績の向上が期待できます。具体的にどんな経営管理の改善方法があるのでしょうか?主な改善方法は以下の通りです。
- 最適な経営管理システムの導入
- 組織内の各レイヤーに合わせた課題への対策
- 連結経営管理基盤の構築
最適な経営管理システムの導入
経営管理でよく用いられていた基幹システムは、システムごとに管理方法に違いがあると、横同士の連携の取りづらさが課題としてあります。そこで、基幹システムではなく、システムを統合して一元管理できるERPなどの経営管理システムを導入することが改善方法として挙げられます。
組織内の各レイヤーに合わせた課題への対策
各レイヤーで抱える課題はそれぞれ異なります。例えば、経営レイヤーでは、経営戦略の整理や社内共有、マネジメントレイヤーでは、適切なPDCAサイクルの実施、現場レベルでは、若い人材の離職防止といったように、それぞれのレベルで生じている課題を明確にして改善方法を立てることが求められるでしょう。
連結経営管理基盤の構築
元々異なる手法で経営管理を行っていた企業が連結すると、何らかのトラブルが生じるのは容易に想像できるでしょう。なぜなら、会社によって異なる勘定科目や財務指標、決算タイミングなどを統一するほか、連結経営管理・連結処理に対応している基盤システムの構築を行っていくことが必要だからです。
異なる経営管理の会社を統一していくには、国内外の地域情勢を踏まえつつ、グループ企業全体をコントロールし、経営の安定化を図るグローバル経営管理を心がけることが重要です。
グローバル経営管理とは、IFRS(国際財務報告基準)に沿った管理会計、ダイバーシティを尊重したグローバル人事、地域ごとのリスクマネジメント、粉飾決算などの不正会計を防ぐためのコーポレートガバナンスの強化などを指します。これらを意識しながら統一を進めていくと、スムーズに移行しやすくなるでしょう。
まとめ
経営管理とは、会社や組織などが、経済活動の促進や効率的に目標を達成するにあたって、調整や総括を行う経営手法のことです。
経営企画で決められた計画に基づいて適切に機能しているかを管理していきますが、合併やグローバル化によって企業規模が大きくなると、経営管理が行き詰まるケースがあります。
経営管理が抱える課題に対して、何をどうすればいいのか1つ1つ明確にしながら対策を練っていくことが会社の業績を向上させるためにも必要と言えるでしょう。