青色申告の基礎知識

確定申告後の納税方法7つ! メリット・デメリットの比較とおすすめの支払方法

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

確定申告後の納税方法7つ! メリット・デメリットの比較とおすすめの支払方法

確定申告後の納税方法は全部で7つです。e-Taxでの納付やクレジットカード納付、コンビニ納付など、納税方法によって特徴が異なります。

本記事では、確定申告後の納税方法の種類や各納税方法のメリット・デメリット、おすすめの支払方法を紹介します。

所得税の納税方法の種類

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所得税の納税方法の種類

所得税の確定申告をする際の納税方法には以下の7種類があります。

  • 振替納税
  • 電子納税(ダイレクト納付またはインターネットバンキング)
  • クレジットカード納付
  • スマホアプリ納付
  • コンビニ納付
  • 金融機関・税務署窓口での現金納付

手数料や手続きなど、納税方法ごとに特徴が異なります。各納税方法のメリット・デメリットを理解して、自身に合った方法を選択しましょう。


納税方法メリットデメリット
振替納税 ・手数料がかからない
・一度手続きをすれば翌年以降の手続きは不要
・振替日まで納付を先延ばしできる
・事前に手続きが必要
・口座残高不足で引き落としがされないと延滞税がかかる
・領収書が発行されない
電子納税ダイレクト納付 ・手数料がかからない
・自宅などで納付手続きができる
・事前に手続きが必要
・領収書が発行されない
・手数料が発生する
インターネットバンキング
クレジットカード納付 ・自宅などで納付手続きができる
・引落日まで納付を先延ばしできる
・分割払いやリボ払いが選べる
・届出などの事前手続きは不要
・決済手数料がかかる
・領収書が発行されない
スマホアプリ納付 ・手数料がかからない
・自宅などで納付手続きができる
・届出などの事前手続きは不要
・一度に納付できるのは30万円まで
・Pay払いを初めて利用する人はアカウント登録手続きが必要
・残高のチャージが必要
・領収書が発行されない
コンビニ納付 ・買い物のついでに納付できる
・手数料がかからない
・届出などの事前手続きは不要
・対応しているコンビニが限られる
・クレジットカードや電子マネーは使えず現金の準備が必要
・一度に納付できるのは30万円まで
・領収書が発行されない
・手数料が発生する
金融機関・税務署窓口での現金納付 ・手数料がかからない
・領収書が発行される
・届出などの事前手続きは不要
・窓口の開いている時間にしか納付できない
・クレジットカードは使えず現金の準備が必要
・窓口まで出向く手間がかかる
出典:国税庁「納税の方法」

銀行口座から納税額を引き落としてくれる振替納税

振替納税とは、指定した口座から税金が振替日に自動で引き落とされる納税方法で、所得税と消費税の納税時に選択できます。手数料はかかりません。

所得税を振替納税で納付するときの振替日は例年4月中旬で、2024年分所得の確定申告の振替日は2025年4月23日(水)です。所得税の納付期限は3月15日ですが、振替納税で納付する場合は、振替日までに納税額分の資金を引落口座に用意しておけば問題ありません。

振替納税を利用するには、確定申告の期限までに口座振替依頼書を税務署または引落先の金融機関へ提出する必要があります。同一の税目であれば初回だけ手続きをすることで、翌年以降は手続き不要で自動的に振替納税が適用されます。

振替納税は全国の銀行・信用金庫・労働金庫・信用組合・農協・漁協で利用できますが、インターネット専用銀行など一部の金融機関では利用できません。また、普通預金や当座預金は引落口座として指定できるものの、定期預金や貯蓄預金は対象外です。

なお、引っ越して納税地を所轄する税務署が変わったときは、変更後の税務署に口座振替依頼書を改めて提出する必要があります。

振替納税のメリット

  • 手数料がかからない
  • 一度手続きをすれば翌年以降の手続きは不要
  • 振替日まで納付を先延ばしできる

振替納税のデメリット

  • 事前に口座振替依頼書の提出が必要で手続きの手間がかかる
  • 口座残高不足で引き落としがされないと延滞税がかかる
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」
出典:国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」
出典:国税庁「振替納付日について/期限内に納付できなかった場合は」

e-Taxで申請して口座引落で納税するダイレクト納付

ダイレクト納付とは、e-Taxで確定申告書を提出した後、預金口座からの振替によって即時または期日指定で税金を支払う納税方法です。手数料はかかりません。

ダイレクト納付を利用するには、e-Taxの利用開始手続きを行ったうえで、「国税ダイレクト方式電子納税依頼書兼国税ダイレクト方式電子納税届出書」を税務署に提出する必要があります。

納税者が個人の場合、届出は書面提出とオンライン提出、いずれも可能です。手続きが完了すると「ダイレクト納付登録完了通知」がe-Taxのメッセージボックスに届き、ダイレクト納付の利用が可能になります。

届出をしてからダイレクト納付が利用可能になるまでの日数は、書面提出では1ヶ月程度、オンライン提出では1週間程度です。納付期限に間に合うように届出書の提出は早めに行いましょう。

ダイレクト納付のメリット

  • 手数料がかからない
  • 自宅などで納付手続きができる

ダイレクト納付のデメリット

  • 事前に届出書の提出が必要で手続きの手間がかかる
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-2 ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の手続」

金融機関のサイトから納付手続きができるインターネットバンキング

インターネットバンキングによる納税方法とは、税金や公共料金などの支払いができるサービス「ペイジー(Pay-easy)」を使って納付する方法です。インターネットバンキングやATM等の利用手数料が発生する場合があります。

ペイジーで納付するには、インターネットバンキングの利用手続きを金融機関で行ったうえで、e-Taxの利用開始手続きをする必要があります。どの金融機関がペイジーに対応しているのかは、ペイジーのサイト「利用できる金融機関」で確認してください。

手続きは登録方式と入力方式の2種類あり、登録方式はe-Taxに納付情報を事前登録する方法、入力方式は事前登録をしない方法です。いずれの方式でも取得したコードを利用して納付します。

インターネットバンキングで納付するメリット

  • 手数料がかからない
  • 自宅などで納付手続きができる

インターネットバンキングで納付するデメリット

  • 事前にインターネットバンキングの利用手続きが必要で手続きの手間がかかる
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-3 インターネットバンキング等からの納付手続」
出典:国税庁「登録方式による納税手続」
出典:国税庁「入力方式による納税手続」

分割払いやリボ払いが選べるクレジットカード納付

クレジットカード納付とは「国税クレジットカードお支払サイト」から納付する方法です。振替納税のような事前の届出手続きは必要ありません。

1度の手続きで納付できるのは、1,000万円未満、かつ、利用するクレジットカードの決済可能額以下の金額です。一般的に支払方法は一括払い・分割払い・リボ払いの中から選択できますが、利用するクレジットカードによっては、選択できる支払方法が限られる場合があります。

クレジットカード納付で納税する場合、税金の納付期限までに「国税クレジットカードお支払サイト」での手続きが必要です。手続きが納付期限内に完了していれば、クレジットカードの引落日が納付期限より後でも延滞税はかかりません。

他の納税方法と比べた場合、クレジットカード納付では決済手数料がかかる点がデメリットです。決済手数料の金額は納税額に応じて変わります。


納付税額決済手数料(税込)
1円~10,000円83円
10,001円~20,000円167円
20,001円~30,000円250円
30,001円~40,000円334円
40,001円~50,000円418円

出典:国税庁「G-2-4 クレジットカード納付の手続」

以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。納税額に応じた決済手数料の金額は「国税クレジットカードお支払サイト」で試算できるので、手数料が気になる人は納税額を入力して確認してください。

クレジットカード納付のメリット

  • 自宅などで納付手続きができる
  • 引落日まで納付を先延ばしできる
  • 分割払いやリボ払いが選べる
  • 届出などの事前手続きは不要

クレジットカード納付のデメリット

  • 決済手数料がかかる
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」

アプリを使って納付できるスマホアプリ納付

スマホアプリ納付とは、「国税スマートフォン決済専用サイト」からスマホアプリ決済を利用して納付する方法です。振替納税のような事前の届出手続きは必要ありません。

利用可能なPay払いには以下の7種類があり、利用するPay払いを決済専用サイトで選択して納付の手続きを行います。決済手数料はかかりません。

Pay払いを利用するには、利用するPay払いのインストールやアカウント登録を行ったうえでチャージする必要があります。1度に納付できる金額は30万円までです。

従来決済専用サイトへのアクセスには複数の方法がありましたが、2025年2月1日からはe-Taxを経由する方法に集約されます。今まで確定申告書等作成コーナーで申告書を書面で作成するとQRコードが出力されていましたが、2025年1月6日からは出力されず利用もできません。

2025年2月1日以降のスマホアプリ納付では、e-Taxにより確定申告等の手続きを行ったうえで、e-Tax経由で決済専用サイトにアクセスしてください。

スマホアプリ納付のメリット

  • 手数料がかからない
  • 自宅などで納付手続きができる
  • 届出などの事前手続きは不要

スマホアプリ納付のデメリット

  • 一度に納付できるのは30万円まで
  • Pay払いを初めて利用する人はアカウント登録手続きが必要
  • 残高のチャージが必要
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-5 スマホアプリ納付の手続」

買い物で寄ったときに納税手続きができるコンビニ納付

コンビニ納付とは、国税庁のシステムで作成したQRコードを使ってコンビニで納付する方法です。事前に作成したQRコードをコンビニの端末に読み込ませると、バーコード(納付書)が出力されるので、出力されたバーコード(納付書)に現金を添えてコンビニ窓口で納付します。

手数料はかからず、振替納税のような事前の届出手続きは必要ありません。1度に納付できる金額は30万円までです。

コンビニ窓口での支払方法は現金のみで、クレジットカードや電子マネーでの支払いはできません。QRコードは確定申告書等作成コーナー・コンビニ納付用QRコード作成専用画面・e-Taxで作成できます。

コンビニ納付ができるのは、ローソン・ナチュラルローソン・ミニストップの「Loppi」端末設置店、ファミリーマートの「マルチコピー機」端末設置店です。近所に該当の店舗がある人は税金をコンビニで納付できます。

コンビニ納付のメリット

  • 買い物のついでに納付できる
  • 手数料がかからない
  • 届出などの事前手続きは不要

コンビニ納付のデメリット

  • 対応しているコンビニが限られる
  • クレジットカードや電子マネーは使えず現金の準備が必要
  • 一度に納付できるのは30万円まで
  • 領収書が発行されない
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-6 コンビニ納付(QRコード)」

手数料がかからない金融機関・税務署窓口での現金納付

金融機関や税務署の窓口で納付する場合は、税務署や金融機関などに用意されている納付書を使用します。スマホ納付やコンビニ納付のような納付上限額はなく、手数料はかかりません。振替納税のような事前の届出手続きも不要です。

金融機関の営業時間内や税務署の開庁時間内でないと手続きができず、窓口に直接行く手間はかかりますが、領収書が発行される点がメリットです。

確定申告後の納税で領収書がほしい場合は金融機関・税務署の窓口で納付しましょう。ただし、納付は現金で行う必要があり、クレジットカードでの支払いはできません。

金融機関・税務署窓口で税金納付するメリット

  • 手数料がかからない
  • 領収書が発行される
  • 届出などの事前手続きは不要

金融機関・税務署窓口で税金納付するデメリット

  • 窓口の開いている時間にしか納付できない
  • クレジットカードは使えず現金の準備が必要
  • 窓口まで出向く手間がかかる
出典:国税庁「納税の方法」
出典:国税庁「【税金の納付】」
出典:国税庁「G-2-8 現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)」

納税方法の選び方

納税のやり方には複数の方法がありますが、自身のライフスタイルや事業の内容、規模に合った納税方法を選択するのが一番です。

たとえば、毎年継続して事業を行っている人は初年度のみの手続きで継続利用できる振替納税がおすすめです。振替納税であれば、口座の残高が残っているかを確認するだけで、毎年の納税の手間を省略できます。

クレジットカード納付は、カード会社のポイントが貯まったり、分割払いやリボ払いなどの支払方法を選択できたりします。さらに、一部のクレジットカードは会計ソフトとの連携が可能です。利用明細データを自動で取り込むことで仕訳をスムーズに行えます。

確定申告書の作成を毎年e-Taxで行っている人にはダイレクト納付もおすすめです。ダイレクト納付であれば、事前に登録した預金口座から即時または期日指定で税金を納付できます。

納税額が少額な場合や、今年のみ納税の必要がある場合は、手軽に納付手続きを完了できるスマホアプリ納付やコンビニ納付が便利です。

確定申告後の納付期限

確定申告の申告期間は毎年2月16日〜3月15日で、所得税の納付期限は確定申告期限と同じ3月15日です。

ただし、確定申告期間の初日・最終日が土日にあたる年はその翌平日が申告期間の初日・最終日になります。2024年分の所得の確定申告と所得税の納付期限は2025年3月17日(月)です。

また、振替納税制度を利用する場合は、国税庁が定める振替日(例年4月中旬〜下旬頃)までに自身が指定している口座の残高が足りているか、必ず確認しましょう。


確定申告の納付期限
出典:国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」

納税期限を過ぎてしまうと延滞税がかかる

納税期限から延滞の日数が長くなるほど延滞税が多くかかるので、期限後に納付忘れが判明したら早めに支払いましょう。

また、事前に納税期限に間に合わないとわかっている場合は、所轄の税務署へ相談して、納税の猶予制度や延納制度を利用できないか確認しましょう。


出典:国税庁「No.9205 延滞税について」

【関連記事】
確定申告しないとどうなるの? 無申告のペナルティと対処法を解説

延納制度の利用方法

所得税の延納制度とは、確定申告期限までに納税額の2分の1以上を納付すると、残りの税金の納付期日を延長できる制度です。

確定申告を行う時点で納税期限に間に合わないことが分かっている人は、確定申告書にある延納の届出の欄へ記載して届け出れば、残りの税金の納付期限を5月末まで延長できます。

ただし、延納期間中は所定の率で計算した利子税がかかるため、延納制度を利用しない場合に比べて負担が増える点には注意が必要です。


出典:国税庁「【税金の納付】」

まとめ

確定申告後の納税方法はさまざまな手段があります。振替納税・ダイレクト納付・クレジットカード納付など、納税方法によって特徴やメリット・デメリットが異なるので、自身に適した方法を選びましょう。

なお、納税方法によってはすぐには利用できず、事前の届出など手続きが必要になることがあります。税金の納付期限に間に合うように、事前の手続きは早めに行うようにしてください。

確定申告をかんたんに終わらせる方法

確定申告の期間は1ヶ月です。それまでに正確な内容の書類を作成し、申告・納税しなければいけません。

ほかにも、青色申告の場合に受けられる特別控除で、最大65万円を適用するためにはe-Taxの利用が必須条件であり、はじめての人には難しい場面が増えることが予想されます。

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よくある質問

所得税の納付書はどこで入手できる?

金融機関や税務署の窓口にて現金で納付する場合、金融機関や税務署などで用意されている納付書を使って納付します。

金融機関・税務署窓口での納付について詳しくは「手数料がかからない金融機関・税務署窓口での現金納付」をご覧ください。

所得税の納税方法は?

所得税の納税方法には「振替納税」「電子納税(ダイレクト納付またはインターネットバンキング)」「クレジットカード納付」「スマホアプリ納付」「コンビニ納付」「金融機関・税務署窓口での現金納付」の7つがあります。

納税方法について詳しくは「所得税の納税方法の種類」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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